『赤ちゃんが泣き止まない!』何かの病気?

お知らせ
2026.07.05

『赤ちゃんが泣き止まない!』何かの病気?原因・泣き止まない理由・受診の目安を小児科医がわかりやすく解説

赤ちゃんが毎日決まった時間に激しく泣き続ける「乳児疝痛(コリック)」。原因や症状、受診が必要なサイン、家庭でできる対応まで、小児科医が保護者の方へわかりやすく解説します。

赤ちゃんが毎日夕方になると泣き止まない…それは乳児疝痛(コリック)かもしれません

乳児疝痛(コリック)は、生後数週間から数か月の赤ちゃんによくみられる「長時間泣き続ける状態」です。命に関わる病気ではないことがほとんどですが、まれに治療が必要な病気が隠れていることもあります。赤ちゃんの機嫌や全身状態を確認しながら、心配な場合は小児科を受診しましょう。

「おむつも替えたのに泣き止まない…」
「授乳しても抱っこしても泣き続ける…」
「毎日夕方になると何時間も泣く」
「私の育て方が悪いのでは…」

このようなお悩みで受診される保護者の方は少なくありません。

初めての育児では特に、「何か病気ではないか」「どこか痛いのでは」と不安になるものです。しかし、このような激しい泣き方の多くは**乳児疝痛(コリック)**と呼ばれる赤ちゃんによくみられる現象です。

今回は、乳児疝痛とはどのようなものか、原因や症状、受診が必要なサインについて詳しくご説明します。

乳児疝痛(コリック)とは?

乳児疝痛(コリック)とは、健康に見える赤ちゃんが原因不明の激しい泣きを繰り返す状態です。

病気の名前というよりも、「特定の病気が見つからないのに長時間泣く状態」を表す言葉として使われています。

世界的には「夕方から夜にかけて泣くことが多い」「生後2〜3週頃から始まり、生後3〜4か月頃までに自然に改善する」という特徴があります。

以前は「3のルール(Rule of Three)」として、

  • 1日3時間以上泣く
  • 週3日以上続く
  • 3週間以上続く

という基準が使われていました。

最近では、保護者への負担も重視し、「保護者が困るほど泣き続ける状態」であれば乳児疝痛として対応することが推奨されています。

どのくらい多いの?

乳児疝痛は決して珍しいものではありません。

約10〜20%の赤ちゃんにみられるとされ、生後数か月までの赤ちゃんではよくある相談内容の一つです。

つまり、5〜10人に1人程度の赤ちゃんが経験すると考えられています。

なぜ泣くの?乳児疝痛の原因

実は、乳児疝痛の原因はまだ完全には解明されていません。

いくつかの要因が重なって起こると考えられています。

① 神経の発達途中

生まれたばかりの赤ちゃんは、脳や神経がまだ未熟です。

昼夜のリズムや刺激への対応が十分ではないため、疲れや刺激が積み重なる夕方頃に泣きやすくなると考えられています。

② お腹の張り(ガス)

授乳中に空気を飲み込みやすく、お腹にガスがたまることで不快感を感じる赤ちゃんもいます。

ただし、「ガスだけが原因」と断定できるわけではありません。

③ 腸内環境

近年では腸内細菌(腸内フローラ)の違いが乳児疝痛と関係している可能性も報告されています。

現在も研究が進められている分野です。

④ 赤ちゃんの気質

刺激に敏感な赤ちゃんや、眠りが浅い赤ちゃんは泣きやすい傾向があります。

これは性格というより、生まれ持った個性の一つと考えられています。

⑤ 家庭環境や疲労

赤ちゃん自身だけではなく、

  • 暑すぎる・寒すぎる
  • 音が多い
  • 疲れすぎ
  • 眠れない

なども影響すると考えられています。

乳児疝痛の症状

代表的な症状は次のようなものです。

  • 毎日ほぼ同じ時間帯に泣く
  • 特に夕方から夜が多い
  • 顔を真っ赤にして泣く
  • 足を曲げてお腹に引き寄せる
  • 抱っこしても泣き止まない
  • 授乳しても落ち着かない
  • 数時間続くことがある

一方で、

  • 授乳はできる
  • 熱はない
  • 呼吸は苦しくない
  • 普段は元気
  • 体重は順調に増えている

ということが多いのも特徴です。

病気との違いは?

乳児疝痛そのものは病気ではありません。

しかし、「泣く」という症状の裏には別の病気が隠れていることがあります。

例えば、

  • 中耳炎
  • 尿路感染症
  • 腸重積
  • 鼠径ヘルニア嵌頓
  • 骨折や外傷
  • 髄膜炎
  • 心疾患
  • 牛乳たんぱくアレルギー
  • 胃食道逆流症(逆流が強い場合)

などです。

そのため、「ただ泣いているだけ」と決めつけず、赤ちゃん全体の様子を確認することが大切です。

小児科ではどのように診断するの?

乳児疝痛を診断する特別な検査はありません。

まず最も重要なのは、他の病気ではないことを確認することです。

小児科では、

問診

  • いつから泣くようになったか
  • 何時頃に泣くか
  • 授乳量
  • 体重増加
  • おしっこ・うんち
  • 発熱の有無
  • 嘔吐の有無
  • 家族歴

などを詳しく伺います。

診察

  • 全身状態
  • 呼吸
  • 心音
  • お腹
  • のど
  • 皮膚
  • 神経学的所見

を確認します。

必要に応じて、

  • 血液検査
  • 尿検査
  • 超音波検査
  • レントゲン検査

などを追加する場合もありますが、多くの赤ちゃんでは検査は必要ありません。

当院でもよくあるご相談

みなとみらい小児科クリニックでも、

「夕方になると2〜3時間泣き続ける」
「何をしても泣き止まない」
「お腹が痛いのでしょうか?」
「母乳が足りないのでしょうか?」

というご相談をよくいただきます。

実際には乳児疝痛だったというケースが多い一方で、中耳炎や尿路感染症、便秘、逆流症など、治療が必要な病気が見つかることもあります。

また、「自分の育児が悪いのでは」と涙ながらに相談される保護者の方もいらっしゃいます。しかし、乳児疝痛は保護者の育て方が原因ではありません。

当院では、赤ちゃんの診察だけでなく、ご家族のお話も丁寧に伺い、不安や疲れに寄り添いながら診療を行っています。

子どもの乳児疝痛(コリック)とは?家庭でできるケア・受診の目安・よくある質問を小児科医がわかりやすく解説【後編】

前編では、乳児疝痛(コリック)の原因や症状、診断についてご説明しました。

乳児疝痛は多くの赤ちゃんにみられ、多くは成長とともに自然に改善します。しかし、「どうやって泣き止ませたらいいの?」「病院に行った方がいいの?」と悩まれる保護者の方は少なくありません。

後編では、ご家庭でできる対応、治療、受診の目安、よくある質問について、小児科医の立場からわかりやすく解説します。

家庭でできる乳児疝痛(コリック)のケア

残念ながら、乳児疝痛をすぐに治す特効薬はありません。

しかし、赤ちゃんが安心できる環境を整えることで、泣き方が和らぐことがあります。

① まずは基本的な欲求を確認しましょう

泣いている原因が乳児疝痛ではなく、

  • お腹が空いている
  • おむつが濡れている
  • 暑い・寒い
  • 眠い
  • 衣類がきつくないか
  • 鼻づまりがないか

などが原因になっていることも少なくありません。

まずは一つずつ確認してあげましょう。

② 抱っこで安心させる

赤ちゃんは抱っこされることで安心します。

おすすめなのは、

  • 縦抱きにする
  • 抱っこ紐を利用する
  • ゆっくり部屋の中を歩く
  • 優しく背中をトントンする

といった方法です。

必ず泣き止むわけではありませんが、多くの赤ちゃんでは安心感につながります。

③ おくるみを利用する

生後2か月頃までの赤ちゃんでは、おくるみで優しく包むことで落ち着くことがあります。

ただし、

  • 顔を覆わない
  • 股関節を締め付けない
  • 寝るときは必ず仰向けにする

など、安全な方法で使用しましょう。

④ 音や光などの刺激を減らす

夕方は赤ちゃんも一日の刺激で疲れています。

  • 部屋を少し暗くする
  • テレビを消す
  • 大きな音を避ける

など、静かな環境をつくることで落ち着くことがあります。

⑤ お腹を優しくマッサージする

お腹の張りが気になる場合は、

  • 時計回りに優しくお腹をさする
  • 足をゆっくり曲げ伸ばしする

ことでガスが出やすくなることがあります。

強く押したり、赤ちゃんが嫌がるほど行ったりしないようにしましょう。

⑥ 外の空気を吸って気分転換する

ベビーカーで短時間散歩したり、抱っこをして外の空気を吸ったりすると、気分が変わって落ち着く赤ちゃんもいます。

また、短時間のドライブで眠りにつくこともあります。

ただし、チャイルドシートやベビーカーで眠った場合は、そのまま長時間寝かせず、安全な寝床へ移すようにしましょう。

やってはいけないこと

赤ちゃんが何時間も泣き続けると、保護者も心身ともに疲れてしまいます。

そんな時こそ、次のことは避けましょう。

  • 激しく揺さぶる
  • 大声で怒る
  • 強く体を押さえつける
  • イライラしたまま無理にあやし続ける

特に**激しく揺さぶること(揺さぶられっ子症候群)**は、脳に重大な障害を残す危険があります。

どうしてもつらいときは、安全な場所に赤ちゃんを寝かせ、数分間その場を離れて気持ちを落ち着かせましょう。

家族や周囲の方に赤ちゃんをお願いして休憩することも、とても大切な育児の一つです。

母乳やミルクが原因ですか?

多くの場合、母乳やミルク、保護者の育て方が原因ではありません。

ただし、

  • 牛乳たんぱくアレルギー
  • 胃食道逆流症
  • 哺乳量の問題

などが隠れていることもあります。

自己判断でミルクを変更したり、母乳をやめたりする必要はありません。

授乳について心配なことがある場合は、小児科で相談しましょう。

治療について

乳児疝痛そのものを治す特効薬はありません。

そのため治療の中心は、

  • 赤ちゃんが安心できる環境を整えること
  • 保護者が無理をしすぎないこと
  • 病気が隠れていないか確認すること

です。

診察の結果、中耳炎や尿路感染症、便秘、胃食道逆流症など、別の病気が見つかった場合には、それぞれに応じた治療を行います。

こんな時は小児科を受診してください

乳児疝痛と思っていても、次のような症状がある場合は、別の病気が隠れている可能性があります。

早めに小児科を受診しましょう。

  • 発熱がある
  • 母乳やミルクをほとんど飲まない
  • 繰り返し吐く
  • 緑色(胆汁性)の嘔吐をする
  • 血便が出る
  • お腹が大きく張っている
  • 呼吸が苦しそう
  • 顔色が悪い
  • 元気がない
  • ぐったりしている
  • 泣き方がいつもと明らかに違う
  • けいれんがある

また、生後3か月未満の赤ちゃんで発熱がある場合は、夜間や休日であっても早めの受診が必要です。

当院でよくあるご相談

みなとみらい小児科クリニックでは、

「毎日夕方になると2〜3時間泣き続けます。」
「抱っこしても何をしても泣き止みません。」
「お腹が痛いのでしょうか。」
「母乳が足りないのでしょうか。」
「私の育て方が悪いのでしょうか。」

といったご相談を数多くいただいています。

実際には乳児疝痛であることが多い一方で、中耳炎や便秘、胃食道逆流症、尿路感染症など、治療が必要な病気が見つかることもあります。

また、診療では赤ちゃんだけでなく、保護者の疲労や睡眠不足、不安の大きさを感じることも少なくありません。

当院では赤ちゃんの全身を丁寧に診察し、病気が隠れていないか確認するとともに、ご家庭でできる対応や育児の工夫についてもわかりやすくご説明しています。

保護者の方へ伝えたいこと

乳児疝痛は、赤ちゃんにとっても保護者にとっても大変な時期です。

「どうして泣いているのかわからない。」
「何をしても泣き止まない。」
「自分の育て方が悪いのではないか。」

そのように感じてしまう保護者の方は少なくありません。

しかし、乳児疝痛は保護者の育て方や愛情不足が原因ではありません。

赤ちゃんの脳や体が成長していく過程でみられることが多く、多くは月齢とともに自然に落ち着いていきます。

毎日泣き声を聞き続けることは、ご家族の心や体にも大きな負担となります。

つらいと感じたときは、一人で抱え込まず、ご家族や周囲の方、小児科へ相談してください。

保護者が十分に休息をとることも、赤ちゃんにとって大切なことです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 毎日同じ時間に泣くのは異常ですか?

いいえ。乳児疝痛では夕方から夜にかけて毎日同じ時間帯に泣くことがよくあります。ただし、発熱や嘔吐、ぐったりしているなどの症状がある場合は受診してください。

Q2. 抱き癖がつくので抱っこしない方がいいですか?

いいえ。乳児期は抱っこで安心感を得る時期です。抱っこによって抱き癖がつくという医学的根拠はありません。安心して抱っこしてあげましょう。

Q3. 泣かせたままにしても大丈夫ですか?

短時間、安全な場所に寝かせて保護者が気持ちを落ち着かせることは問題ありません。しかし、長時間放置したり、激しく揺さぶったりすることは避けてください。

Q4. いつ頃治りますか?

多くは生後3〜4か月頃までに改善し、生後5か月頃には自然に落ち着くことがほとんどです。

横浜市・みなとみらいで赤ちゃんが泣き止まずお困りの方へ

赤ちゃんが長時間泣き続けると、「どこか悪い病気なのではないか」「このまま様子を見ていて大丈夫なのか」「自分の育て方が悪いのではないか」と、不安や戸惑いを感じる保護者の方は少なくありません。

実際には乳児疝痛(コリック)であることが多く、成長とともに自然に改善するケースがほとんどです。しかし、その一方で、中耳炎や尿路感染症、便秘、胃食道逆流症など、治療が必要な病気が隠れていることもあります。

みなとみらい小児科クリニックでは、乳児疝痛(コリック)をはじめ、「赤ちゃんが泣き止まない」「機嫌が悪い」「授乳がうまくいかない」「何時間も泣き続ける」といったご相談にも対応しています。

診察では、赤ちゃんの全身状態を丁寧に確認し、必要に応じて検査や治療を行うとともに、ご家庭でできる対応や育児の工夫についてもわかりやすくご説明しています。

また、私たちは赤ちゃんだけでなく、毎日育児を頑張っている保護者の方のお気持ちにも寄り添うことを大切にしています。

「受診するほどではないかもしれない」「こんなことで相談してもいいのかな」と迷われることでも構いません。赤ちゃんのことで気になることがありましたら、どうぞお気軽にみなとみらい小児科クリニックへご相談ください。

参考資料

  • 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」
  • こども家庭庁「乳幼児健康診査に関する情報」
  • 日本小児科学会「赤ちゃんが泣きやまない(保護者向け資料)」
  • 日本小児科学会「Injury Alert(揺さぶられっ子症候群)」
  • 日本小児救急医学会 乳児の啼泣・不機嫌に関する資料
  • 日本外来小児科学会 育児支援・乳児の啼泣に関する資料
  • 日本新生児成育医学会 新生児・乳児の発達に関する資料
  • Rome Foundation「Rome IV Diagnostic Criteria for Infant Colic」
  • National Institute for Health and Care Excellence(NICE)「Infantile Colic」
  • American Academy of Pediatrics(AAP)「Infant Colic」

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック