
赤ちゃんの鼻水・鼻づまりが続く…これって病気?生理的な鼻水との違い・受診の目安を小児科医がわかりやすく解説
赤ちゃんの鼻水や鼻づまりは病気とは限りません。生理的な鼻水の特徴や原因、風邪との違い、受診の目安まで、小児科医が保護者の方にわかりやすく解説します。
赤ちゃんの鼻水・鼻づまりが続いて心配な保護者の方へ
「いつも鼻がフガフガしている…」
「風邪ではないのに鼻づまりが治らない」
「ミルクを飲みにくそうだけど大丈夫?」
生まれたばかりの赤ちゃんでは、このようなご相談を非常によくいただきます。
結論からお伝えすると、赤ちゃんの鼻水や鼻づまりの多くは、生理的な変化によるもので、病気ではありません。
特に生後数か月までは鼻の穴がとても狭く、少し鼻水があるだけでも「ゼーゼー」「フガフガ」と聞こえることがあります。
一方で、風邪やRSウイルス感染症などの感染症、アレルギー、副鼻腔炎など治療が必要な病気が隠れている場合もあります。
この記事では、
- 生理的な鼻水とは何か
- なぜ赤ちゃんは鼻づまりしやすいのか
- 風邪との違い
- 受診が必要な症状
について、小児科医の立場からわかりやすくご説明します。
赤ちゃんの生理的な鼻水・鼻づまりとは?
赤ちゃんの「生理的な鼻水」とは、
病気ではなく、成長の過程でみられる自然な鼻水・鼻づまりのことです。
新生児から生後数か月頃までによくみられます。
赤ちゃんの鼻は、
- とても狭い
- 粘膜が敏感
- 鼻水が少しでも詰まりやすい
という特徴があります。
そのため、
- 鼻が鳴る
- フガフガする
- 寝ている時にズーズー聞こえる
という症状だけであれば、病気ではないことが少なくありません。
保護者の方は「鼻が詰まって苦しそう」と心配になりますが、体重が順調に増え、ミルクも飲めて機嫌が良ければ、生理的な鼻づまりであることが多いと考えられます。
なぜ赤ちゃんは鼻づまりしやすいのでしょう?
赤ちゃんには大人と違う特徴があります。
① 鼻の穴がとても狭い
大人なら気にならない程度の鼻水でも、
赤ちゃんでは空気の通り道がすぐ狭くなります。
そのため
少量の鼻水でも大きな鼻づまりに感じます。
② 鼻だけで呼吸する「鼻呼吸」が中心
赤ちゃんは生後数か月頃までは、
口呼吸があまり得意ではありません。
そのため鼻が少し詰まるだけでも
- ミルクを飲みにくい
- 苦しそう
- 泣く
ように見えることがあります。
③ 鼻水を自分で出せない
大人は鼻をかめますが、
赤ちゃんにはできません。
そのため鼻水が少しずつ溜まりやすくなります。
④ 粘膜がとても敏感
乾燥
冷たい空気
エアコン
ほこり
授乳後の逆流
など、ちょっとした刺激でも鼻水が増えることがあります。
これは病気ではなく、生理的な反応であることも少なくありません。
生理的な鼻水の原因
生理的な鼻水には、いくつかの理由があります。
鼻の働きが未熟
鼻は
- 空気を温める
- 湿らせる
- ゴミを取り除く
という役割があります。
赤ちゃんではこの働きが発達途中のため、鼻水が多く分泌されやすくなっています。
周囲の環境に反応しやすい
例えば
- 冬の乾燥
- 夏のエアコン
- 気温差
- ハウスダスト
などでも鼻水は増えます。
病気ではなくても鼻水が続くことがあります。
授乳後の逆流
授乳後に少量のミルクが鼻へ逆流すると、
一時的に鼻づまりが起こることがあります。
これもよくある現象です。
生理的な鼻水の症状
よくみられる症状は
- フガフガ音がする
- 鼻がズーズー鳴る
- 少量の透明な鼻水
- 寝ている時だけ鼻が鳴る
- 授乳中だけ飲みにくそうになる
- 起床時に少し鼻が詰まる
などです。
一方で
- 元気がある
- ミルクを飲める
- 熱がない
- 顔色が良い
のであれば、生理的な鼻づまりの可能性が高くなります。
風邪との違い
保護者の方が最も気になるのが、
「これは風邪ではないの?」
という点です。
以下のように考えるとわかりやすくなります。生理的な鼻水風邪透明な鼻水が多い鼻水が増えてくる熱はない発熱することがある元気がある機嫌が悪くなることがあるミルクは飲めることが多い飲めなくなることがある数週間〜数か月続くこともある数日〜1週間程度で改善することが多い
ただし、鼻水の色だけでは病気かどうかは判断できません。
透明だった鼻水が白っぽくなったり黄色っぽく見えたりすることは風邪でも回復期でもみられるため、鼻水の色だけで抗菌薬(抗生物質)が必要とは判断できません。

小児科ではどのように診断するのでしょう?
生理的な鼻づまりには特別な検査は必要ないことがほとんどです。
診察では、
- いつから続いているか
- 発熱があるか
- ミルクは飲めているか
- 呼吸は苦しくないか
- 体重は増えているか
- 家族に風邪症状があるか
などを詳しく確認します。
さらに、
- 鼻の中の状態
- のど
- 耳
- 呼吸音
- 全身状態
を診察し、
風邪やRSウイルス感染症、急性中耳炎、肺炎などが隠れていないかを確認します。
必要に応じてウイルス検査などを行うこともありますが、生理的な鼻づまりだけであれば検査は不要です。
保護者の方からよくいただくご相談
当院でも特によくいただくご質問があります。
「毎日鼻を吸っても大丈夫ですか?」
「鼻吸い器を使いすぎると鼻が傷つきませんか?」
「鼻づまりだけで受診していいのでしょうか?」
赤ちゃんの鼻は非常に狭いため、少しの鼻水でも授乳や睡眠に影響することがあります。
鼻水が原因でミルクが飲みにくかったり、眠れなかったりする場合には、ご家庭での鼻吸いだけでは改善しないこともあります。
無理に頻回・強力に吸引すると粘膜を傷つけることもあるため、適切な方法で行うことが大切です。
赤ちゃんの鼻づまりはどう治療するの?
結論からお伝えすると、
生理的な鼻水・鼻づまりは病気ではないため、多くの場合は特別な薬は必要ありません。
赤ちゃんの成長とともに鼻の通り道が広がり、自分で鼻水を処理できるようになることで、徐々に改善していきます。
一方で、鼻づまりが強く、
- ミルクや母乳が飲みにくい
- 呼吸が苦しそう
- 夜に何度も目が覚める
といった場合には、ご家庭での適切なケアや、小児科での診察・治療が必要になることがあります。
家庭でできるケア
① 鼻吸い器で鼻水を吸う
最も効果的なケアは鼻水の吸引です。
赤ちゃんは自分で鼻をかめないため、鼻水が溜まると呼吸や授乳に影響します。
特に、
- 授乳前
- ミルクの前
- 寝る前
に鼻水を吸ってあげると、授乳や睡眠がしやすくなることがあります。
家庭用の電動鼻吸い器は、適切に使用すれば安全で、ご家庭でのケアに役立ちます。
ただし、長時間や強い力で何度も吸引すると鼻の粘膜を傷つけることがあるため、やさしく短時間で行いましょう。

② 部屋の湿度を適切に保つ
空気が乾燥すると鼻水が固まりやすくなります。
室内の湿度は40〜60%程度を目安に保つと、鼻の粘膜の乾燥を防ぐことができます。
一方で、加湿しすぎるとカビやダニが増えやすくなるため、適度な湿度管理を心がけましょう。
③ 母乳やミルクをしっかり飲ませる
月齢に応じて十分な母乳やミルクが飲めていれば、多くの場合は心配ありません。
水分不足になると鼻水が粘りやすくなるため、授乳回数を極端に減らさないことも大切です。
④ 安全な睡眠環境を整えましょう
赤ちゃんの鼻づまりが気になると、「頭を高くして寝かせた方が楽になるのでは?」と思われる保護者の方もいらっしゃいます。
しかし、就寝中に枕やクッション、タオルなどで頭を高くすることは推奨されていません。
乳幼児突然死症候群(SIDS)や窒息事故を予防するためにも、
- 仰向けで寝かせる
- ベッドの中には枕やクッション、ぬいぐるみなどを置かない
- 硬めの寝具を使用する
ことが大切です。
鼻づまりが続く場合は、ご家庭だけで対応しようとせず、小児科へご相談ください。
鼻水の色が黄色や緑色なら細菌感染?
「黄色い鼻水が出ています。」
「緑色だから抗生物質が必要でしょうか?」
これは診療でも非常によくいただく質問です。
実は、
鼻水の色だけでは細菌感染かどうかは判断できません。
風邪の経過でも、
- 白色
- 黄色
- 黄緑色
へ変化することがあります。
元気で食欲があり、熱もなく改善傾向であれば心配ないことが多く、鼻水の色だけを理由に抗菌薬(抗生物質)が必要になるわけではありません。
一方で、
- 高熱が続く
- 顔の痛みや腫れがある
- 鼻づまりや鼻水が10日以上改善しない、または悪化する
- 強い咳が続く
- 中耳炎を伴う
などの場合には、副鼻腔炎などの細菌感染が疑われることもあります。
市販薬は使っても大丈夫?
赤ちゃんの鼻づまりに対して、市販のかぜ薬や鼻炎薬を自己判断で使用することはおすすめできません。
乳児では十分な効果や安全性が確認されていない薬も多く、副作用が問題になることがあります。
また、大人用の点鼻薬(血管収縮薬)は乳児には使用できません。
薬が必要かどうかは、月齢や症状を確認したうえで小児科で判断します。
こんな時は小児科を受診しましょう
生理的な鼻づまりだけなら心配ないことが多いですが、次のような場合には受診をおすすめします。
早めに受診した方がよい症状
- 鼻づまりで母乳やミルクが十分飲めない
- 呼吸が苦しそう
- 鼻翼呼吸(小鼻が大きく動く)がある
- 眠れないほど鼻が詰まる
- 咳が強い
- 発熱がある
- 黄色や緑色の鼻水が長く続く
- 耳を痛がる、耳を頻繁に触る
- 鼻づまりや鼻水が2〜3週間以上改善しない
すぐに受診が必要な症状
次のような場合は、時間外や救急受診も検討してください。
- 生後3か月未満で38.0℃以上の発熱がある
- 呼吸が速い、苦しそう
- 胸が大きくへこむ呼吸(陥没呼吸)がある
- 顔色や唇の色が悪い
- 母乳やミルクをほとんど飲めない
- 尿が極端に少ない
- ぐったりして反応が悪い
これらは、生理的な鼻づまりではなく、重い感染症や呼吸器疾患が隠れている可能性があります。
保護者の方からよくある質問(FAQ)
Q. 鼻水は毎日吸っても大丈夫ですか?
はい。授乳や睡眠に支障がある場合は、必要に応じて吸引して構いません。
ただし、強い力で何度も吸引すると鼻の粘膜を傷つけることがあるため、やさしく短時間で行いましょう。
Q. 鼻水だけで受診してもいいのでしょうか?
もちろん大丈夫です。
赤ちゃんは鼻づまりだけでも授乳や睡眠に影響することがあります。
病気かどうか判断が難しい場合は、お気軽にご相談ください。
Q. 鼻づまりはいつまで続きますか?
鼻の発達とともに改善することが多く、生後6〜12か月頃には気にならなくなるお子さんが多くみられます。
ただし、症状が長く続く場合や悪化する場合は、小児科での診察をおすすめします。
Q. 鼻水があっても予防接種は受けられますか?
透明な鼻水だけで元気があり、発熱などの体調不良がなければ、予定どおり接種できることが多いです。
接種の可否は、お子さんの全身状態を診察したうえで医師が判断します。
横浜市・みなとみらいで赤ちゃんの鼻水・鼻づまりが心配な方へ
赤ちゃんは鼻の通り道がとても狭く、自分で鼻をかむこともできないため、少しの鼻水でも「フガフガ」「ズーズー」と苦しそうに聞こえることがあります。その多くは成長に伴って改善する生理的な鼻水・鼻づまりですが、中には風邪やRSウイルス感染症、急性中耳炎など、治療が必要な病気が隠れていることもあります。
みなとみらい小児科クリニックでは、鼻水や鼻づまりの原因を丁寧に診察し、生理的な変化なのか、治療が必要な病気なのかを見極めています。また、月齢や症状に応じて、ご家庭での鼻吸いの方法や受診のタイミングについてもわかりやすくご説明しています。
実際の診療では、「鼻づまりだけだと思っていたら急性中耳炎が見つかった」「風邪を心配して受診したところ、生理的な鼻づまりと分かり安心できた」というケースも少なくありません。
赤ちゃんの鼻づまりは、授乳や睡眠に影響し、保護者の方にとって大きな心配事の一つです。「様子を見ても大丈夫かな」「受診した方がいいのかな」と迷われた際には、お一人で悩まず、お気軽にご相談ください。
参考文献
- 厚生労働省「乳幼児突然死症候群(SIDS)について」
- 厚生労働省「健やか親子21」
- 厚生労働省「予防接種Q&A」
- 日本小児科学会
- 日本小児呼吸器学会
- 日本小児感染症学会
- 日本小児救急医学会
- 日本外来小児科学会
- 日本新生児成育医学会
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)感染症情報
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン」
- 小児呼吸器感染症診療ガイドライン
- Nelson Textbook of Pediatrics
お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。
みなとみらい小児科クリニック


































