子どもの熱中症が心配?

お知らせ
2026.07.01

子どもの熱中症とは?原因・症状・治療・予防・受診の目安を小児科医がわかりやすく解説

子どもの熱中症は、早めに気づいて適切に対応することで重症化を防ぐことができます。本記事では、熱中症の原因や症状、家庭でできる予防法や応急処置、小児科を受診する目安まで、小児科医の視点でわかりやすく解説します。

子どもの熱中症でお困りの保護者の方へ

暑い日にお子さんが「ぐったりしている」「顔が赤い」「水分を飲みたがらない」と、「熱中症ではないか」と心配になりますよね。

**熱中症は、高温多湿の環境で体温調節がうまくできなくなり、体の中に熱がたまることで起こる病気です。**早めに気づいて体を冷やし、水分・塩分を補給することで、多くは改善します。しかし、水分が飲めない、ぐったりしている、意識がぼんやりしている場合は、すぐに医療機関を受診することが大切です。

この記事では、厚生労働省、日本小児科学会、日本救急医学会、日本小児救急医学会、熱中症診療ガイドライン2024などを参考に、保護者の方に知っていただきたい熱中症の知識をわかりやすくまとめました。

熱中症とは?

熱中症とは、暑い環境により体温調節機能がうまく働かなくなり、体に熱がたまってしまうことで起こる病気です。

子どもは大人と比べて

  • 体温が上がりやすい
  • 汗をかく機能が未熟
  • 身長が低く地面からの照り返しを受けやすい
  • 自分で水分補給ができない
  • 「のどが渇いた」とうまく伝えられない

という特徴があり、熱中症になりやすいことが知られています。

特に乳幼児は短時間でも体温が上昇しやすく、保護者が気づいた時には脱水が進んでいることもあります。

熱中症の原因

熱中症は次のような状況で起こりやすくなります。

  • 真夏の屋外で遊ぶ
  • スポーツをする
  • 暑い車内にいる
  • 水分や塩分が不足している
  • 発熱や下痢による脱水
  • 湿度が高く風が少ない
  • エアコンを使用していない室内

近年は気温だけでなく**暑さ指数(WBGT)**を参考にすることが推奨されています。気温が30℃未満でも湿度が高い日は熱中症になることがあります。

初期症状で気をつけたいこと

熱中症は、「少し疲れているだけかな」と思うような症状から始まります。

次のような様子があれば注意しましょう。

  • 普段より元気がない
  • 遊ぶのをやめる
  • 顔が赤い
  • 汗をたくさんかいている
  • 頭痛
  • 吐き気
  • 機嫌が悪い
  • ぼんやりしている

乳幼児では

  • 不機嫌
  • よく泣く
  • 授乳量が減る
  • 食欲がない
  • 水分を飲みたがらない

といった症状だけのこともあります。

「いつもと様子が違う」と感じたら、熱中症を疑うことが大切です。

熱中症の症状

重症度主な症状発熱対応軽症めまい、立ちくらみ、顔が赤い、大量の汗、足がつる平熱〜38℃台涼しい場所で休み、水分補給中等症頭痛、吐き気、嘔吐、ぐったりする、水分が飲めない38〜39℃小児科受診重症意識障害、けいれん、歩けない、呼びかけに反応しない40℃以上になることが多い救急車を要請

熱中症では発熱することがありますが、熱の高さだけで重症度は判断できません。

「意識」「水分が飲めるか」「ぐったりしていないか」が重要です。

熱中症の診断

診察では

  • 暑い環境にいたか
  • 水分摂取量
  • 症状の経過
  • 体温
  • 脈拍
  • 血圧
  • 酸素飽和度

などを確認します。

必要に応じて

  • 血液検査
  • 尿検査

を行い、脱水や電解質異常、腎機能・肝機能への影響を調べます。

熱中症の治療

熱中症診療ガイドライン2024では、早期の冷却と水分・電解質補給が最も重要とされています。

軽症

  • 涼しい場所へ移動
  • 衣服をゆるめる
  • 首・脇・足の付け根を冷やす
  • 経口補水液(ORS)を少量ずつ飲む

中等症

水分が十分飲めない場合は、小児科で点滴治療が必要になることがあります。

重症

意識障害やけいれんがある場合は救急搬送し、積極的な冷却と集中治療を行います。

家庭でできる熱中症対策

熱中症は予防が何より大切です。

ご家庭では

  • のどが渇く前から水分補給
  • 汗をかいたら塩分も補給
  • 暑い時間帯(10〜14時)の外遊びを避ける
  • 帽子をかぶる
  • 通気性の良い服装
  • エアコンを適切に使う
  • 車内に子どもを絶対に残さない

ことを心掛けましょう。

乳幼児では保護者が定期的に水分補給を促すことが重要です。

小児科を受診する目安

次のような症状がある場合は早めに受診してください。

  • 水分が飲めない
  • 嘔吐を繰り返す
  • 頭痛が強い
  • ぐったりしている
  • 38〜39℃の発熱が続く
  • 休んでも改善しない

救急受診が必要な症状

  • 呼びかけへの反応が悪い
  • 意識がぼんやりしている
  • けいれん
  • 歩けない
  • 40℃以上の高体温
  • 呼吸が苦しそう

登園・登校の目安

熱中症そのものに出席停止期間はありません。

十分に回復し、

  • 発熱がない
  • 水分や食事がしっかりとれる
  • 元気に歩ける
  • 普段どおり遊べる

状態であれば登園・登校できます。

ただし、脱水や他の病気が原因の場合は、医師の指示に従ってください。

保護者の方からよくある質問(FAQ)

Q. 熱中症では熱が出ますか?

はい。38〜39℃程度の発熱がみられることがあります。重症では40℃を超えることもあります。

Q. 水だけ飲ませればよいですか?

大量に汗をかいた場合は、水だけでなく塩分も必要です。経口補水液が適しています。

Q. スポーツドリンクでもよいですか?

スポーツドリンクは糖分が多いため、脱水時は経口補水液の方が適しています。

Q. 解熱剤は使った方がよいですか?

熱中症の発熱は感染症とは原因が異なるため、解熱剤だけでは改善しません。まずは体を冷やすことが大切です。

当院でよくあるご相談

当院では、「熱中症かと思って受診したら、実は溶連菌感染症や尿路感染症、肺炎などの感染症だった」というケースや、「発熱で受診したものの、脱水や熱中症が主な原因だった」というケースも少なくありません。

特に乳幼児は自分で症状をうまく伝えられないため、「何となく元気がない」「食欲がない」「顔色が悪い」といった変化だけで受診されることも多くあります。

熱中症と感染症は症状が似ていることもあり、適切な診断には小児科での診察が重要です。

横浜・みなとみらいで子どもの熱中症なら みなとみらい小児科クリニック

みなとみらい小児科クリニックでは、お子さんの熱中症の診療を行っています。

脱水の評価や必要に応じた血液検査・点滴治療を行い、熱中症だけでなく感染症など他の病気も含めて総合的に診察いたします。

「熱中症かもしれない」「病院を受診した方がよいか迷う」というときは、どうぞお気軽にご相談ください。

参考にした主な資料

本記事は

  • 厚生労働省「熱中症予防のための情報・資料」
  • 環境省「熱中症予防情報サイト」
  • 日本救急医学会・日本臨床救急医学会監修『熱中症診療ガイドライン2024
  • 日本小児科学会「こどもの生活環境改善委員会」熱中症に関する提言・啓発資料
  • 日本小児救急医学会 熱中症に関する診療・啓発資料
  • 日本外来小児科学会 熱中症予防に関する資料
  • 日本小児科医会 熱中症予防・学校生活に関する資料
  • 日本小児感染症学会 小児感染症診療に関する情報
  • 日本小児神経学会 熱性けいれん・中枢神経疾患に関する診療情報
  • 日本小児循環器学会 循環管理に関する診療情報
  • 日本小児栄養消化器肝臓学会 小児の水分・栄養管理に関する資料
  • 日本小児腎臓病学会 脱水・電解質異常に関する診療情報
  • 日本新生児成育医学会 乳幼児の体液管理に関する資料
  • 日本小児体液研究会 小児の体液・電解質管理に関する資料
  • 国立健康危機管理研究機構(旧 国立感染症研究所)感染症情報サイト

上記を参考に作成しています。

~大切なお子さんを熱中症から守るために~

暑い日が続くと、「少し元気がないけれど大丈夫かな?」と心配になる保護者の方も多いと思います。子どもは大人より体温調節が未熟なため、熱中症になりやすい特徴があります。しかし、早めに気づいて適切に対応すれば、多くは回復します。正しい知識を身につけ、暑い季節を安全に過ごしましょう。

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック