
赤ちゃんの体重が増えないのは大丈夫?原因・受診の目安・検査について小児科医がわかりやすく解説
赤ちゃんの体重が増えないと心配になりますよね。体重が増えない原因や正常な体重増加の目安、受診が必要なサイン、検査について、小児科医が保護者の方にわかりやすく解説します。
赤ちゃんの体重が増えなくて心配な保護者の方へ
赤ちゃんの体重が少し増えにくいだけなら、必ずしも病気とは限りません。
授乳量や個人差によることも多くありますが、中には治療が必要な病気が隠れている場合もあります。
「母乳が足りていないのかな?」
「ミルクを飲んでいるのに体重が増えない…」
「健診で体重が少ないと言われた」
「成長曲線から外れてしまった」
このようなお悩みは、小児科でとても多く相談を受けます。
赤ちゃんは、生まれてからの1年間で人生の中でも最も大きく成長する時期です。体重は健康状態を知る大切なサインの一つですが、一度の測定だけで判断するのではなく、「成長の流れ」を見ることがとても重要です。
この記事では、保護者の方が安心して子育てできるように、
- 赤ちゃんの体重が増えないとは?
- 正常な体重増加の目安
- 体重が増えない原因
- 病気が隠れているサイン
- 小児科ではどのような診察・検査をするのか
について、小児科医の立場からわかりやすくご説明します。
赤ちゃんの体重が増えないとは?
赤ちゃんの体重増加は、一人ひとり違います。
そのため、
「○kgだから異常」
ではなく、
成長曲線に沿って増えているか
が最も大切です。
母子健康手帳には男女別の成長曲線が掲載されています。
多少上下していても、
- 曲線に沿っている
- 身長も一緒に伸びている
- 元気に過ごしている
のであれば、経過観察となることも少なくありません。
一方で、
- 成長曲線を大きく下回る
- 一度伸びていた曲線が急に横ばいになる
- 体重だけでなく身長も伸びない
場合は詳しい評価が必要になります。
赤ちゃんの体重はどれくらい増える?
個人差がありますが、おおよその目安は次のとおりです。年齢体重増加の目安生後0〜3か月1日20〜30g程度生後3〜6か月1日15〜20g程度生後6〜12か月1日10〜15g程度
出生直後は、生理的体重減少といって出生体重の約5〜10%程度減ることがありますが、多くは生後1〜2週間で出生体重まで戻ります。
ただし、この数値はあくまで目安です。
数日間だけ体重が増えないことよりも、数週間から数か月の成長の経過を見ることが重要です。
赤ちゃんの体重が増えない主な原因
原因は大きく分けると、
- 十分に栄養が入っていない
- 栄養をうまく吸収できない
- 体がたくさんエネルギーを使っている
の3つに分けられます。
① 授乳量・ミルク量が足りない
最も多い原因です。
例えば、
- 母乳が十分に飲めていない
- 吸う力が弱い
- 授乳時間が短い
- 授乳回数が少ない
- ミルクの量が少ない
などがあります。
特に母乳育児では、
「飲めているように見えて、実際には十分な量を飲めていない」
ことも珍しくありません。
体重測定や授乳状況の確認で原因が分かることも多くあります。
② 飲む量は多いのに体重が増えない
十分飲んでいるように見えても、
- 吐き戻しが多い
- 下痢が続いている
- 吸収が悪い
場合は体重が増えにくくなります。
原因として、
- 胃食道逆流症
- 牛乳たんぱくアレルギー
- 消化吸収障害
- 慢性的な下痢
などが考えられます。
③ 病気が隠れていることもあります
頻度は高くありませんが、
体重増加不良の背景に病気が見つかることがあります。
例えば、
心臓の病気
先天性心疾患では、
呼吸や心臓を動かすために多くのエネルギーを使うため、
十分飲んでいても体重が増えないことがあります。
特に、
- 授乳するとすぐ疲れる
- 汗をたくさんかく
- 呼吸が速い
場合は注意が必要です。
内分泌・代謝の病気
まれではありますが、
- 甲状腺機能異常
- 先天代謝異常
- 副腎疾患
などが原因となることがあります。
これらの一部は、新生児マススクリーニングで見つかる病気もありますが、すべてが出生時検査で分かるわけではありません。
消化器の病気
栄養を十分に吸収できない病気でも体重は増えにくくなります。
例えば、
- 吸収不良症候群
- 慢性下痢
- 消化管の先天異常
などがあります。
慢性的な感染症・その他の病気
繰り返す感染症や慢性的な病気でも、
エネルギー消費が増えたり、食欲が低下したりして体重が増えにくくなることがあります。
こんな症状があるときは早めに小児科を受診しましょう
体重が増えないことに加えて、次のような症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。
- 母乳やミルクをほとんど飲まない
- 元気がなく眠ってばかりいる
- おしっこの回数が少ない
- 繰り返し吐く
- 激しい下痢が続く
- 呼吸が速い、苦しそう
- 授乳中に大量の汗をかく
- 顔色が悪い
- 発熱が続く
- 成長曲線が急に横ばいになった
- 身長も伸びなくなってきた
特に生後3か月未満のお子さんで哺乳力低下や体重増加不良がある場合は、早めの評価が重要です。
小児科でよくあるご相談
当院でも、
「母乳が足りていないのでしょうか?」
というご相談をよくいただきます。
実際には、母乳不足ではなく、
- 赤ちゃんの飲み方の癖
- 授乳姿勢
- 哺乳時間
- 吐き戻し
- 授乳回数
を少し調整するだけで体重増加が改善することも少なくありません。
一方で、「様子を見よう」と思っていたところ、詳しく調べると心臓や消化器の病気が見つかることもあります。
そのため、「体重が増えていない気がする」と感じたら、一人で悩まずに早めにご相談ください。
小児科ではどのように診断するの?
赤ちゃんの体重増加不良では、「体重が少ない」ことだけで診断するわけではありません。
原因を見つけるために、いくつかの情報を総合的に判断します。
① 成長曲線を確認します
まず最も重要なのが、母子健康手帳などに記録された成長曲線です。
確認するポイントは、
- 出生体重
- これまでの体重の増え方
- 身長の伸び
- 頭囲の成長
- 成長曲線から急に外れていないか
です。
1回だけの体重ではなく、数週間から数か月の変化を見ることで、多くのことが分かります。
② 授乳の様子を詳しく伺います
体重増加不良では、授乳について詳しくお聞きします。
例えば、
- 母乳かミルクか
- 1日の授乳回数
- 1回に飲む量
- 授乳時間
- 飲んでいる途中で疲れてしまわないか
- 飲んだ後に吐いていないか
などです。
当院でも、「思ったより授乳間隔が長かった」「途中で眠ってしまい十分に飲めていなかった」というケースは少なくありません。
③ 全身を診察します
診察では、
- 顔色
- 元気さ
- 脱水の有無
- 心雑音
- 呼吸の状態
- お腹の張り
- むくみ
- 皮膚の状態
などを確認します。
これらの診察だけでも、病気が疑われることがあります。
④ 必要に応じて検査を行います
すべてのお子さんに検査が必要なわけではありません。
診察の結果から必要と判断した場合に、次のような検査を行います。
血液検査
- 貧血
- 炎症
- 栄養状態
- 肝機能・腎機能
- 電解質
- 甲状腺機能
- その他、内分泌・代謝疾患が疑われる場合の検査
などを調べます。
尿検査
尿路感染症や腎臓の病気が隠れていないか確認します。
特に乳児では、高熱がなくても尿路感染症が見つかることがあります。
便検査
下痢が続いている場合には、
- 感染症
- 消化吸収障害
- 腸の炎症
などを調べることがあります。
画像検査
症状に応じて、
- 胸部レントゲン
- 心エコー検査(専門医療機関)
- 腹部超音波検査
などを追加することがあります。
治療は原因によって異なります
体重を増やすために大切なのは、「原因に合わせた治療」を行うことです。
授乳量が不足している場合
最も多いケースです。
例えば、
- 授乳回数を増やす
- 授乳姿勢を見直す
- 哺乳状態を確認する
- 必要に応じてミルクを追加する
ことで改善することがあります。
自己判断で授乳方法を大きく変更するのではなく、小児科医や助産師と相談しながら進めることが大切です。
胃食道逆流が原因の場合
赤ちゃんでは生理的な吐き戻しはよくみられますが、体重増加に影響するほど強い場合は、胃食道逆流症などを考慮します。
症状に応じて、
- 授乳方法の工夫
- 授乳量や回数の調整
などを行い、必要に応じて専門的な治療を検討します。
アレルギーが疑われる場合
牛乳たんぱくアレルギーなどが疑われる場合には、
- 症状
- 発育
- 検査結果
を総合的に評価し、必要に応じて加水分解乳やアミノ酸乳などの特殊ミルクを使用します。
自己判断で食事制限やミルクの変更を行うことはおすすめできません。
病気が見つかった場合
心臓病、内分泌疾患、代謝疾患、消化器疾患などが原因であれば、それぞれの専門的な治療を行います。
必要に応じて小児循環器科、小児内分泌科、小児消化器科などの専門医療機関をご紹介します。
ご家庭で気をつけたいポイント
体重が増えないからといって、無理にたくさん飲ませようとすると、かえって吐き戻しが増えたり、授乳を嫌がるようになったりすることがあります。
ご家庭では、
- 母子健康手帳の成長曲線を定期的に確認する
- 授乳回数やミルク量を記録する
- おしっこの回数や便の様子を観察する
- 元気さや機嫌の変化を見る
- 定期健診を受ける
ことが大切です。
赤ちゃんの発育は個人差が大きいため、他のお子さんと比較する必要はありません。
保護者の方からよくいただくご質問(FAQ)
Q. 母乳だけでは足りないのでしょうか?
必ずしもそうではありません。
母乳だけで順調に育つ赤ちゃんもたくさんいます。
大切なのは、母乳かミルクかではなく、「十分な栄養が取れているか」を確認することです。
Q. 成長曲線の下の方ですが大丈夫ですか?
成長曲線の下限付近でも、その曲線に沿って増えていれば問題ないことが多くあります。
一方で、急に増え方が悪くなった場合は、受診をおすすめします。
Q. たくさん吐き戻します。受診した方がいいですか?
少量の吐き戻しは乳児では珍しくありません。
ただし、
- 体重が増えない
- 勢いよく何度も吐く
- 緑色の嘔吐
- 元気がない
- 水分が取れない
場合は、早めに小児科を受診してください。
Q. 離乳食を食べません。体重が増えなくなりますか?
離乳食が始まったばかりの時期は、栄養の中心はまだ母乳やミルクです。
焦って無理に食べさせる必要はありませんが、体重の増え方が悪い場合は、小児科でご相談ください。
小児科医から保護者の方へ
診療をしていると、
「もっと早く相談すればよかったです。」
というお声をいただくことがあります。
体重が増えない原因は、本当にさまざまです。
実際には病気ではなく、授乳方法を少し工夫するだけで改善するお子さんも多くいらっしゃいます。
一方で、見た目は元気でも、詳しく調べることで心臓や消化器、内分泌の病気が見つかることもあります。
だからこそ、「様子を見続ける」のではなく、「気になった時点で相談する」ことが、お子さんの健やかな成長につながります。
横浜市・みなとみらいで赤ちゃんの体重が増えずお困りの方へ
「母乳やミルクは足りているのかな?」「体重の増え方がゆっくりだけど大丈夫?」「健診で成長曲線について指摘された…」そんな不安を感じたら、一人で悩まずご相談ください。
赤ちゃんの体重が増えにくい原因は、授乳量や授乳方法によることが多い一方で、胃食道逆流症や食物アレルギー、心臓・消化器・内分泌・代謝の病気などが隠れていることもあります。そのため、体重だけで判断するのではなく、成長曲線や身長・頭囲の伸び、授乳状況、全身の様子を総合的に評価することが大切です。
みなとみらい小児科クリニックでは、赤ちゃん一人ひとりの発育を丁寧に確認し、授乳や育児に関するお悩みに寄り添いながら診療を行っています。必要に応じて血液検査や尿検査などを行い、専門的な検査や治療が必要と判断した場合には、適切な専門医療機関と連携しながら診療を進めています。
「少し体重の増え方が気になる」「様子を見ていてよいのか分からない」という段階でも、早めにご相談いただくことで安心につながることが少なくありません。お子さんの健やかな成長を、ご家族と一緒に見守り、支えてまいります。
お子さんの体重や発育について気になることがありましたら、どうぞお気軽にみなとみらい小児科クリニックへご相談ください。
参考資料
- 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」
- 厚生労働省「乳幼児身体発育調査」
- 厚生労働省「母子健康手帳(乳幼児身体発育曲線)」
- 日本小児科学会「乳幼児健康診査に関する提言」「成長曲線の活用」
- 日本小児栄養消化器肝臓学会「小児の栄養・発育に関する資料」
- 日本小児アレルギー学会「食物アレルギー診療ガイドライン」
- 日本小児循環器学会「先天性心疾患診療に関する資料」
- 日本小児内分泌学会「小児内分泌疾患診療の手引き」
- 日本新生児成育医学会「新生児医療に関する資料」
- 日本マススクリーニング学会「新生児マススクリーニングに関する資料」
お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。
みなとみらい小児科クリニック


































