
赤ちゃんの吐き戻しとは?いつまで続く?受診の目安や病気との違いを小児科医がわかりやすく解説
赤ちゃんの吐き戻しは多くが心配のいらない生理的な現象です。一方で病気が隠れている場合もあります。原因やよくある症状、病気との見分け方、小児科を受診する目安まで小児科医がわかりやすく解説します。
赤ちゃんの吐き戻しでお困りの保護者の方へ
「授乳のたびにミルクを吐いてしまう…」
「こんなに吐いて大丈夫?」
「噴水のように吐いたけれど病院へ行くべき?」
「体重は増えているけれど、このままでいいの?」
赤ちゃんの吐き戻しは、多くの保護者の方が経験する心配ごとの一つです。
結論からお伝えすると、元気があり、体重が順調に増えている赤ちゃんの吐き戻しの多くは心配のいらない生理的な現象です。
一方で、吐き方や全身状態によっては、早めの診察や治療が必要な病気が隠れていることもあります。
この記事では、小児科医の立場から、吐き戻しが起こる理由、正常な吐き戻しと病気の見分け方、受診の目安について詳しくご説明します。
赤ちゃんの吐き戻しとは?
吐き戻しとは、飲んだ母乳やミルクが食道を逆流して口から出てくることです。
医学的には「胃食道逆流(gastroesophageal reflux:GER)」と呼ばれます。
赤ちゃんでは非常によくみられる現象で、
- 生後数週間から始まる
- 生後2〜4か月頃に最も多い
- 離乳食が進み、立ったり歩いたりできるようになるにつれて自然に減っていく
という経過をたどることが一般的です。
日本小児栄養消化器肝臓学会や海外ガイドラインでも、健康な乳児の多くが胃食道逆流を経験することが知られています。
なぜ赤ちゃんは吐き戻しやすいの?
赤ちゃんは大人より吐き戻しやすい体の特徴があります。
① 胃の入り口の筋肉が未熟
胃と食道の境目には逆流を防ぐ筋肉があります。
しかし赤ちゃんではこの筋肉がまだ十分発達していないため、飲んだミルクが逆流しやすくなります。
② 胃が小さい
新生児の胃はとても小さく、一度にたくさん飲むと入りきらずにあふれやすくなります。
授乳直後の吐き戻しが多い理由の一つです。
③ 寝ている時間が長い
赤ちゃんは1日の大半を横になって過ごします。
重力の助けを受けにくいため、胃の内容物が食道へ戻りやすくなります。
④ 空気を一緒に飲み込みやすい
授乳中には空気も一緒に飲み込みます。
飲み込んだ空気がゲップとして出る際に、ミルクも一緒に逆流することがあります。
正常な吐き戻しの特徴
次のような場合は、生理的な吐き戻しであることが多く、慌てる必要はありません。
- 授乳後に少量がタラーっと出る
- ゲップと一緒に少し出る
- 白いミルクや少し固まったミルクが出る
- 吐いてもすぐ機嫌が良い
- よく飲めている
- 体重が順調に増えている
- 発熱や下痢など他の症状がない
「全部吐いてしまった」と感じる保護者の方も多いですが、実際には衣服やガーゼに広がるため、多く見えているだけということも少なくありません。
吐き戻しと嘔吐の違いは?
実は、小児科では「吐き戻し」と「嘔吐」は少し意味が異なります。
吐き戻し
- 自然に少量出る
- 苦しそうではない
- 力まずに出る
- 授乳後に多い
嘔吐
- お腹や胸に力が入る
- 繰り返し吐く
- 元気がない
- 病気が原因の場合がある
この違いは診察でもとても重要なポイントになります。
病気が隠れていることもあります
吐き戻しの中には、治療が必要な病気が原因となっていることもあります。
例えば、
胃食道逆流症(GERD)
逆流そのものはよくある現象ですが、
- 体重が増えない
- 強い不機嫌
- 哺乳量が減る
- 食道炎を起こしている
などがある場合は、胃食道逆流症と診断されることがあります。
ウイルス性胃腸炎
- 繰り返す嘔吐
- 下痢
- 発熱
を伴う場合には感染性胃腸炎が考えられます。
肥厚性幽門狭窄症
生後2〜8週頃の赤ちゃんにみられる病気です。
特徴は
- 噴水のような勢いで吐く
- 飲んでも毎回吐く
- 体重が増えない
- 脱水になる
などです。
自然に治ることはなく、手術が必要となるため早めの診断が重要です。
腸閉塞・腸回転異常症など
腸が詰まる病気では
- 緑色(胆汁性)の嘔吐
- 強い腹部膨満
- 元気がない
などがみられます。
緊急手術が必要になることもあるため、速やかな受診が必要です。
小児科ではどのように診断するの?
診察では、まず詳しくお話を伺います。
特に重要なのは、
- 生後何か月か
- いつから始まったか
- 毎回吐くのか
- 噴水状かどうか
- 母乳かミルクか
- 飲めている量
- 尿の回数
- 体重の増え方
- 発熱や下痢の有無
- 家族に胃腸炎の人がいるか
などです。
続いて、
- 全身状態
- 脱水の有無
- お腹の張り
- 体重増加
- 腹部診察
などを確認します。
必要に応じて、
- 腹部超音波検査
- 血液検査
- 尿検査
- レントゲン検査
などを行い、病気が隠れていないか確認します。
当院でよくあるご相談(みなとみらい小児科クリニック)
当院でも、
「毎日吐くので病気ではないですか?」
というご相談を非常に多くいただきます。
実際には、多くのお子さんが体重増加も順調で、生理的な吐き戻しと判断されます。
一方で、詳しくお話を伺い、診察を行うことで、
- 胃食道逆流症
- 肥厚性幽門狭窄症
- ウイルス性胃腸炎
- 食物アレルギー
- 哺乳方法の問題
などが見つかることもあります。
吐く量だけでは病気かどうかを判断することはできません。
「吐くこと」よりも、赤ちゃん全体の元気さや体重の増え方を総合的に評価することが大切だと考えています。
多くの吐き戻しは成長とともに改善します
赤ちゃんの吐き戻しの多くは、胃の発達が未熟なために起こる生理的な現象です。
体重が順調に増え、機嫌も良く、しっかり飲めている場合は、特別な治療を必要としないことがほとんどです。
一方で、吐き戻しが続いて授乳が難しい、体重が増えない、元気がないなどの場合は、病気が隠れていることがあります。心配なときは、小児科へ相談しましょう。
家庭でできる吐き戻し対策
吐き戻しを完全になくすことは難しいものの、日常生活の工夫で減らせることがあります。
① 一度に飲ませすぎない
赤ちゃんの胃はまだ小さく、一度にたくさん飲むと逆流しやすくなります。
- 赤ちゃんのペースで授乳する
- 一度に大量に飲ませようとしない
- 必要に応じて授乳回数を分ける
などを意識すると、吐き戻しが減ることがあります。
② 授乳後はげっぷをさせる
授乳中には空気も一緒に飲み込んでいます。
授乳後は縦抱きにして、ゆっくりげっぷを促しましょう。
げっぷが出なくても、数分間縦抱きをするだけで逆流が減ることがあります。
③ 授乳後すぐに激しく動かさない
授乳直後に
- 高く抱き上げる
- 激しくあやす
- お腹を圧迫する
と、吐き戻しやすくなることがあります。
授乳後20〜30分ほどは、落ち着いて抱っこしてあげるとよいでしょう。
④ おむつは締め付けすぎない
きついおむつや衣服はお腹を圧迫し、逆流しやすくなることがあります。
適度なゆとりを持たせましょう。
寝かせ方で気を付けること
「吐き戻しがあるから頭を高くして寝かせた方がいいですか?」
という質問をよくいただきます。
答えは、「通常はおすすめしません」。
現在、日本小児科学会や海外ガイドラインでは、
赤ちゃんは仰向けで寝かせることが最も安全とされています。
枕やクッション、タオルなどで頭を高くして寝かせる方法は、乳幼児突然死症候群(SIDS)や窒息事故の危険性があるため推奨されていません。
睡眠中は、
- 仰向け寝
- 硬めの寝具
- 枕・クッションを置かない
ことが大切です。
小児科ではどのような治療をするの?
生理的な吐き戻し
最も多いケースです。
この場合は、
- 成長の確認
- 体重の評価
- 授乳方法の見直し
- ご家族への説明
が中心となり、お薬は必要ないことがほとんどです。
胃食道逆流症(GERD)
体重増加不良や食道炎などがある場合には、
- 授乳方法の調整
- 必要に応じたミルクの変更(医師の判断による)
- 合併症の評価
- 薬物療法(適応がある場合)
などを検討します。
なお、**胃酸を抑える薬は、すべての吐き戻しに使うわけではありません。**現在のガイドラインでも、必要な場合に限って使用することが推奨されています。
こんな時は早めに小児科を受診してください
次のような症状がある場合は、生理的な吐き戻しではない可能性があります。
- 噴水のように勢いよく何度も吐く
- 緑色(胆汁が混じる)の吐物が出る
- 血液が混じる
- 母乳やミルクをほとんど飲めない
- 尿の回数が減っている
- 体重が増えない
- 元気がない
- 顔色が悪い
- 強い腹部の張りがある
- 発熱や激しい下痢を伴う
- 生後3か月未満で発熱がある
これらの場合は、早めの受診をおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q. 毎日吐いていますが大丈夫ですか?
体重が順調に増え、元気で機嫌も良ければ、生理的な吐き戻しであることが多く、成長とともに改善していきます。
Q. 吐いたあとにまた飲ませてもいいですか?
吐いた量が少なく、機嫌が良ければ、すぐに追加で飲ませる必要はありません。
様子を見ながら、赤ちゃんが欲しがるようであれば授乳して構いません。
Q. 母乳の方が吐きやすいですか?
母乳でもミルクでも吐き戻しは起こります。
どちらが原因というわけではありません。
Q. 吐いた後に寝てしまっても大丈夫ですか?
元気があり、普段どおりの様子であれば心配ないことがほとんどです。
ただし、寝かせるときは必ず仰向けにしましょう。
Q. 市販薬で治りますか?
乳児の吐き戻しに対して、市販薬を自己判断で使用することはおすすめできません。
原因によって対応が異なるため、心配な場合は小児科へご相談ください。
当院でよくあるご相談(みなとみらい小児科クリニック)
当院では、
「毎回吐くので全部出てしまっている気がします」
というご相談をよくいただきます。
実際には、ガーゼや衣服に広がることで実際以上に多く見えることが多く、診察すると体重増加は順調というケースが少なくありません。
一方で、
- 体重が思うように増えていない
- 実は哺乳量が少ない
- ミルクの作り方や授乳方法に改善できる点がある
- 胃食道逆流症や他の病気が隠れている
こともあります。
当院では、「吐く量」だけでなく、赤ちゃんの成長や全身状態を総合的に評価し、本当に治療が必要かどうかを丁寧に判断することを大切にしています。
横浜市・みなとみらいで赤ちゃんの吐き戻しが心配な方へ
赤ちゃんの吐き戻しは、多くの場合、成長とともに自然に改善する生理的な現象です。しかし、「毎回のように吐いてしまう」「噴水のように吐く」「体重が増えているか心配」など、不安を感じる保護者の方は少なくありません。また、吐き戻しの中には、胃食道逆流症(GERD)や肥厚性幽門狭窄症、感染性胃腸炎など、治療が必要な病気が隠れていることもあります。
みなとみらい小児科クリニックでは、吐き戻しの回数や量だけでなく、お子さんの体重の増え方、授乳の様子、全身状態、発育・発達を総合的に評価し、生理的な吐き戻しか、詳しい検査や治療が必要な状態かを丁寧に診察しています。また、授乳方法やご家庭でできる対策についても、お子さん一人ひとりに合わせてわかりやすくご説明しています。
「様子を見ても大丈夫なのかな」「病気ではないか心配」「授乳のたびに吐いてしまう」など、気になることがありましたら、一人で悩まずお気軽にご相談ください。保護者の皆さまの不安に寄り添いながら、お子さんが安心して成長できるようサポートいたします。
みなとみらい小児科クリニック
お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。
みなとみらい小児科クリニック


































