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2026年7月

停留精巣

子どもの停留精巣とは?原因・症状・受診の目安を小児科医がわかりやすく解説

子どもの停留精巣は、精巣(睾丸)が陰のうまで下りてこない病気です。自然に治ることもありますが、適切な時期に治療が必要な場合もあります。原因や症状、ご家庭での確認方法、受診の目安まで小児科医がわかりやすく解説します。

子どもの停留精巣でお困りの保護者の方へ

停留精巣は、精巣(睾丸)が陰のうまで下りてこない病気です。生後数か月で自然に下りることもありますが、生後6か月を過ぎても下りていない場合は、小児科や小児外科・小児泌尿器科で詳しく診てもらうことが大切です。適切な時期に治療を行うことで、将来の精巣の働きや妊娠する力(妊孕性)を守ることにつながります。

乳児健診で、

「片方の精巣が触れませんね。」

と言われ、不安になった保護者の方も多いのではないでしょうか。

また、

  • 「手術が必要なの?」
  • 「自然に治ることはある?」
  • 「お風呂では触れる気がするけれど大丈夫?」
  • 「家でも確認できる?」

というご相談もよくいただきます。

停留精巣は決して珍しい病気ではありません。そして、早く見つけて適切に治療すれば、多くのお子さんは問題なく成長できます。

この記事では、停留精巣の原因や症状、ご家庭で確認する方法、受診の目安について、小児科医の立場からわかりやすくご説明します。

停留精巣とは?

停留精巣(ていりゅうせいそう)とは、精巣(睾丸)が陰のうまで下りてこない状態です。

男の子の精巣は、お母さんのお腹の中で作られ、妊娠後半になるとお腹の中から足の付け根(鼠径部)を通って陰のうへ移動します。

この途中で止まってしまうと、停留精巣になります。

片側だけに起こることが多いですが、両側にみられることもあります。

なぜ精巣は陰のうにあるの?

精巣は、将来精子を作る大切な臓器です。

実は精子は、体温より2〜3℃ほど低い温度で最も作られやすいことが知られています。

そのため、精巣は体の外にある陰のうに入っています。

お腹の中や足の付け根では温度が高く、長期間そのままの状態が続くと、精巣の発育や働きに影響する可能性があります。

停留精巣はどれくらい多い?

停留精巣は比較的よくみられる病気です。

発生頻度は

  • 正期産児:約2〜5%
  • 早産児:約20〜30%

とされています。

生後数か月で自然に陰のうまで下りるお子さんも多く、生後6か月頃には約1%まで減少します。

そのため、生後6か月を過ぎても陰のうに精巣が触れない場合には、専門医による診察が勧められています。

停留精巣の原因

停留精巣は、保護者の育て方や生活習慣が原因で起こる病気ではありません。

原因は一つではなく、

  • 胎児期の発育
  • 男性ホルモンの働き
  • 精巣を引っ張る組織(精巣導帯など)の発育
  • 遺伝的要因
  • 早産や低出生体重

など、さまざまな要因が関係していると考えられています。

停留精巣の症状

停留精巣そのものでは、痛みや発熱などの症状はほとんどありません。

多くは、

  • 乳児健診で指摘された
  • オムツ替えで気付いた
  • お風呂で気付いた

ことをきっかけに見つかります。

見た目では、

  • 陰のうの片側が小さい
  • 左右の大きさが違う
  • 精巣が触れない
  • 足の付け根に小さなしこりを触れることがある

といった特徴があります。

家庭で停留精巣を確認する方法はあるの?

「家でも確認できますか?」

これは診療でも非常によくいただく質問です。

ご家庭でも確認はできますが、停留精巣かどうかを診断することはできません。

それでも普段の様子を知っておくことは、とても大切です。

おすすめは「お風呂でのチェック」

最も確認しやすいのは、お風呂で体が温まり、お子さんがリラックスしている時です。

寒い場所や泣いている時には、精巣は反射的に体の方へ引き上げられやすく、正しく確認できないことがあります。

どのように確認するの?

お子さんを立たせるか、あぐらをかいたような楽な姿勢で、陰のうをやさしく見てみましょう。

確認するポイントは、

  • 左右とも陰のうがふくらんでいるか
  • 左右とも精巣が触れるか
  • 左右の大きさに大きな差がないか

です。

精巣は、ビー玉やうずらの卵のような、少し硬めの丸い感触があります。

強く押したり、無理に探したりする必要はありません。

「昨日はあったのに今日はない」は大丈夫?

「昨日は触れたのに今日は触れない」

このようなことは珍しくありません。

寒い時や緊張した時には、精巣が一時的に足の付け根へ上がることがあります。

これを**移動性精巣(遊走精巣)**といい、停留精巣とは異なる状態です。

ただし、移動性精巣の中には、成長とともに上昇精巣となり、手術が必要になるお子さんもいます。

そのため、「上がったり下がったりするから大丈夫」と自己判断せず、一度小児科で相談することをおすすめします。

移動性精巣については、後編で詳しく解説します。

放置するとどうなるの?

自然に改善しない停留精巣をそのままにしておくと、将来的に次のようなリスクが高くなることが知られています。

将来の妊孕性(妊娠する力)の低下

精巣が長期間高い温度にさらされることで、精子を作る細胞の発育に影響する可能性があります。

精巣がんのリスクが高くなる

停留精巣では、将来的な精巣腫瘍の発症リスクが一般より高いことが知られています。

早期に治療することで、精巣を観察しやすくなり、異常にも気付きやすくなります。

精巣捻転

精巣がねじれてしまう「精巣捻転」を起こすことがあります。

突然の強い痛みや陰のうの腫れがある場合は、緊急手術が必要になることもあります。

鼠径ヘルニアを合併することも

停留精巣では、鼠径ヘルニアを合併することがあります。

足の付け根が膨らんでくる場合には、早めの受診が必要です。

当院でもよくあるご相談

みなとみらい小児科クリニックでは、

  • 「健診で片方がないと言われました。」
  • 「お風呂ではあるのに健診では触れませんでした。」
  • 「左右で大きさが違う気がします。」
  • 「家でどのように確認すればいいですか。」

というご相談を多くいただきます。

実際には停留精巣ではなく、移動性精巣だったお子さんも少なくありません。

一方で、生後6か月を過ぎても陰のう内に精巣が確認できず、小児外科・小児泌尿器科へご紹介し、適切な時期に治療を受けられたお子さんもいらっしゃいます。

ご家庭だけで判断することは難しいため、「いつもと違うかもしれない」と感じたら、お気軽にご相談ください。

こんな時は小児科を受診してください

次のような場合は、小児科や小児外科・小児泌尿器科への受診をおすすめします。

  • 生後6か月を過ぎても精巣が陰のうに触れない
  • 乳児健診で停留精巣を指摘された
  • 片方の陰のうが小さく見える
  • お風呂でも精巣が触れない
  • 左右差が気になる
  • 突然、陰のうや足の付け根に強い痛みや腫れが出た(緊急受診)

停留精巣と診断されたらどうする?

停留精巣は、生後6か月を過ぎても自然に精巣が陰のうへ下りてこない場合、小児外科や小児泌尿器科で詳しい診察を受けることが勧められます。必要と判断された場合には、1歳頃(遅くとも1歳半頃まで)に精巣固定術を行うことが、国内外の診療ガイドラインで推奨されています。

一方で、健診や小児科で

  • 「移動性精巣ですね」
  • 「今は手術は必要ありません」

と言われることもあります。

この場合は停留精巣とは対応が異なりますが、「もう安心」というわけではありません。

この記事では、診断方法や治療に加え、多くの保護者が疑問に思われる**「移動性精巣」と「上昇精巣」**について詳しく解説します。

停留精巣はどのように診断するの?

停留精巣の診断で最も重要なのは、医師による触診です。

医師は

  • 陰のう
  • 足の付け根(鼠径部)
  • お腹

を丁寧に診察し、精巣がどこにあるのかを確認します。

泣いていたり、寒かったりすると精巣は反射的に上へ引き上げられるため、できるだけリラックスした状態で診察を行います。

ほとんどのお子さんでは、この診察だけで診断できます。

超音波検査(エコー)は必要?

「エコーをすればすぐ分かりますか?」

という質問をよくいただきます。

実は、停留精巣の診断では触診が最も重要です。

超音波検査は補助的な検査であり、

  • お腹の中にある精巣
  • 小さな精巣

は見つけられないこともあります。

そのため、超音波検査だけで診断することは少なく、必要に応じて専門医で追加検査が行われます。

手術は必要?

生後6か月を過ぎても自然に下降しない停留精巣では、精巣固定術が標準的な治療です。

この手術では、

  • 精巣を陰のうまで下ろす
  • 元の位置へ戻らないよう固定する

という治療を行います。

日本ではホルモン治療は一般的には推奨されておらず、手術が最も確実な治療法とされています。

手術はいつ受けるの?

現在の日本小児外科学会、日本泌尿器科学会、海外ガイドラインでは、

1歳頃までに手術を行うことが望ましい

とされています。

遅くとも1歳半頃までには治療することが勧められています。

早期に治療することで、

  • 精巣の正常な発育を守る
  • 将来の妊孕性(妊娠する力)を保つ
  • 精巣へのダメージを減らす

ことが期待されています。

停留精巣と移動性精巣(遊走精巣)の違い

保護者の方が最も混乱しやすいのが**移動性精巣(遊走精巣)**です。

どちらも「精巣が陰のうにないように見える」という共通点がありますが、実際には全く異なる状態で、治療方針も違います。

移動性精巣とは?

男の子の精巣には、**寒い時や緊張した時に精巣が一時的に体の方へ引き上げられる「挙睾筋反射」**があります。

そのため、

  • 泣いている時
  • 寒い場所にいる時
  • 診察で緊張している時

には、精巣が足の付け根近くまで上がることがあります。

しかし、お風呂などで体が温まり、リラックスすると自然に陰のうへ戻ります。

これが移動性精巣です。

停留精巣との違い

停留精巣では、医師が診察しても精巣を陰のうまで下ろすことができません。

一方、移動性精巣では、診察で陰のうまで下ろすことができ、そのまま陰のう内にとどまります。停留精巣移動性精巣陰のうまで下ろせない陰のうまで下ろせる自然には改善しないことが多い成長とともに改善することが多い手術が必要になることが多い多くは経過観察将来の精巣機能に影響する可能性がある通常は精巣機能への影響は少ない

移動性精巣でも定期的な診察が必要です

「移動性精巣だから手術はいりません。」

と言われると安心される保護者の方が多いのですが、それで診察が終わりというわけではありません。

実は、移動性精巣の一部は成長とともに**上昇精巣(Ascending testis)**へ変化することがあります。

上昇精巣とは、一度は陰のうにあった精巣が、成長とともに足の付け根の高い位置で固定され、陰のうまで十分に下りなくなった状態です。

この場合は、停留精巣と同様に精巣固定術が必要になることがあります。

移動性精巣は、幼児期から学童期(特に5〜10歳頃)に上昇精巣へ変化することがあります。そのため、「今は手術が不要」と診断されても、思春期前までは定期的な診察を受けることが大切です。

ご家庭で気を付けていただきたいこと

移動性精巣のお子さんでは、ご家庭でも時々精巣の位置を確認していただくことをおすすめしています。

確認しやすいのは、お風呂で体が温まり、リラックスしている時です。

次のような変化がないかを見てみましょう。

  • 左右とも陰のうに精巣があるか
  • 左右差が目立っていないか
  • 以前より精巣が触れにくくなっていないか

毎日確認する必要はありません。

お風呂や着替えの時に時々見ていただくだけで十分です。

こんな時は再度受診しましょう

移動性精巣と診断されていても、次のような場合には再度受診してください。

  • お風呂でも精巣が陰のうまで下りてこない
  • 以前より精巣が触れにくくなった
  • 下ろしてもすぐに足の付け根へ戻る
  • 陰のうの左右差が大きくなってきた
  • 健診で「精巣が触れない」と言われた
  • 陰のうや足の付け根に痛みや腫れがある

特に、突然の強い痛みや腫れがある場合には、精巣捻転など緊急治療が必要な病気の可能性があるため、速やかに受診してください。

当院でもよくあるご相談

みなとみらい小児科クリニックでは、

  • 「健診では精巣がないと言われました。」
  • 「お風呂では触れるのに健診では触れません。」
  • 「片方だけ上がったり下がったりしています。」
  • 「手術が必要と言われましたが、本当に必要でしょうか。」

というご相談を多くいただきます。

実際には、停留精巣ではなく移動性精巣だったお子さんも少なくありません。

一方で、移動性精巣として経過観察していたお子さんが、小学校入学前後に上昇精巣となり、小児外科・小児泌尿器科で精巣固定術を受けられたケースもあります。

ご家庭だけで判断することは難しいため、「以前より触れなくなった」「何となくいつもと違う」と感じた時には、お気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 停留精巣は自然に治りますか?

生後3〜6か月頃までは自然に下降することがあります。

しかし、生後6か月以降に自然に下降することは少なく、その後も陰のうにない場合には専門医の診察が勧められます。

Q. 移動性精巣は手術が必要ですか?

多くの場合は手術を行わず、定期的に経過をみます。

ただし、上昇精巣へ変化した場合には、停留精巣と同じように手術が必要になることがあります。

Q. お風呂では精巣があるのに、健診ではないと言われました。

移動性精巣の可能性があります。

ただし、停留精巣や上昇精巣との区別は難しいため、小児科や専門医で診察を受けることをおすすめします。

Q. 健診では問題なかったのに、後から精巣が上がることはありますか?

あります。

これを上昇精巣と呼びます。

特に幼児期から学童期(5〜10歳頃)にみられることがあるため、定期健診や小児科での診察を続けることが大切です。

小児科医から保護者の皆さまへ

停留精巣は、早く見つけて適切な時期に治療を行えば、多くのお子さんが元気に成長できる病気です。

一方で、保護者の方が最も悩まれるのは、「停留精巣なのか、移動性精巣なのか」「今は手術が不要と言われたけれど、このままでよいのか」という点ではないでしょうか。

私たちは、「すぐに手術が必要か」だけでなく、「本当に停留精巣なのか」「移動性精巣として経過観察でよいのか」を丁寧に診察し、お子さん一人ひとりに合わせた診療を行っています。

横浜市・みなとみらいで停留精巣・移動性精巣が心配なお子さんへ

乳児健診で「精巣が触れない」と言われたり、「お風呂では触れるのに健診ではないと言われた」「左右で大きさが違う気がする」など、不安に感じる保護者の方は少なくありません。

停留精巣と移動性精巣(遊走精巣)は、ご家庭だけで見分けることが難しく、診察では精巣の位置や動き、発育を丁寧に確認することが大切です。また、移動性精巣と診断されたお子さんでも、成長とともに上昇精巣へ変化することがあるため、定期的な経過観察が重要です。

みなとみらい小児科クリニックでは、乳児健診や一般外来で停留精巣・移動性精巣・上昇精巣の診察を行っています。必要に応じて小児外科・小児泌尿器科と連携し、お子さん一人ひとりに合わせて適切なタイミングで専門的な診療をご案内しています。

「健診で指摘された」「片方の精巣が触れない」「以前より触れにくくなった」「手術が必要か相談したい」など、気になることがありましたら、お気軽にみなとみらい小児科クリニックまでご相談ください。

参考資料

  • 厚生労働省
  • こども家庭庁
  • 日本小児科学会
  • 日本小児外科学会
  • 日本泌尿器科学会
  • 日本小児泌尿器科学会
  • European Association of Urology(EAU)EAU Guidelines on Paediatric Urology
  • European Society for Paediatric Urology(ESPU)Cryptorchidism Guidelines
  • American Urological Association(AUA)Evaluation and Treatment of Cryptorchidism Guideline
  • Nelson Textbook of Pediatrics(ネルソン小児科学)

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック

『赤ちゃんが泣き止まない!』何かの病気?

『赤ちゃんが泣き止まない!』何かの病気?原因・泣き止まない理由・受診の目安を小児科医がわかりやすく解説

赤ちゃんが毎日決まった時間に激しく泣き続ける「乳児疝痛(コリック)」。原因や症状、受診が必要なサイン、家庭でできる対応まで、小児科医が保護者の方へわかりやすく解説します。

赤ちゃんが毎日夕方になると泣き止まない…それは乳児疝痛(コリック)かもしれません

乳児疝痛(コリック)は、生後数週間から数か月の赤ちゃんによくみられる「長時間泣き続ける状態」です。命に関わる病気ではないことがほとんどですが、まれに治療が必要な病気が隠れていることもあります。赤ちゃんの機嫌や全身状態を確認しながら、心配な場合は小児科を受診しましょう。

「おむつも替えたのに泣き止まない…」
「授乳しても抱っこしても泣き続ける…」
「毎日夕方になると何時間も泣く」
「私の育て方が悪いのでは…」

このようなお悩みで受診される保護者の方は少なくありません。

初めての育児では特に、「何か病気ではないか」「どこか痛いのでは」と不安になるものです。しかし、このような激しい泣き方の多くは**乳児疝痛(コリック)**と呼ばれる赤ちゃんによくみられる現象です。

今回は、乳児疝痛とはどのようなものか、原因や症状、受診が必要なサインについて詳しくご説明します。

乳児疝痛(コリック)とは?

乳児疝痛(コリック)とは、健康に見える赤ちゃんが原因不明の激しい泣きを繰り返す状態です。

病気の名前というよりも、「特定の病気が見つからないのに長時間泣く状態」を表す言葉として使われています。

世界的には「夕方から夜にかけて泣くことが多い」「生後2〜3週頃から始まり、生後3〜4か月頃までに自然に改善する」という特徴があります。

以前は「3のルール(Rule of Three)」として、

  • 1日3時間以上泣く
  • 週3日以上続く
  • 3週間以上続く

という基準が使われていました。

最近では、保護者への負担も重視し、「保護者が困るほど泣き続ける状態」であれば乳児疝痛として対応することが推奨されています。

どのくらい多いの?

乳児疝痛は決して珍しいものではありません。

約10〜20%の赤ちゃんにみられるとされ、生後数か月までの赤ちゃんではよくある相談内容の一つです。

つまり、5〜10人に1人程度の赤ちゃんが経験すると考えられています。

なぜ泣くの?乳児疝痛の原因

実は、乳児疝痛の原因はまだ完全には解明されていません。

いくつかの要因が重なって起こると考えられています。

① 神経の発達途中

生まれたばかりの赤ちゃんは、脳や神経がまだ未熟です。

昼夜のリズムや刺激への対応が十分ではないため、疲れや刺激が積み重なる夕方頃に泣きやすくなると考えられています。

② お腹の張り(ガス)

授乳中に空気を飲み込みやすく、お腹にガスがたまることで不快感を感じる赤ちゃんもいます。

ただし、「ガスだけが原因」と断定できるわけではありません。

③ 腸内環境

近年では腸内細菌(腸内フローラ)の違いが乳児疝痛と関係している可能性も報告されています。

現在も研究が進められている分野です。

④ 赤ちゃんの気質

刺激に敏感な赤ちゃんや、眠りが浅い赤ちゃんは泣きやすい傾向があります。

これは性格というより、生まれ持った個性の一つと考えられています。

⑤ 家庭環境や疲労

赤ちゃん自身だけではなく、

  • 暑すぎる・寒すぎる
  • 音が多い
  • 疲れすぎ
  • 眠れない

なども影響すると考えられています。

乳児疝痛の症状

代表的な症状は次のようなものです。

  • 毎日ほぼ同じ時間帯に泣く
  • 特に夕方から夜が多い
  • 顔を真っ赤にして泣く
  • 足を曲げてお腹に引き寄せる
  • 抱っこしても泣き止まない
  • 授乳しても落ち着かない
  • 数時間続くことがある

一方で、

  • 授乳はできる
  • 熱はない
  • 呼吸は苦しくない
  • 普段は元気
  • 体重は順調に増えている

ということが多いのも特徴です。

病気との違いは?

乳児疝痛そのものは病気ではありません。

しかし、「泣く」という症状の裏には別の病気が隠れていることがあります。

例えば、

  • 中耳炎
  • 尿路感染症
  • 腸重積
  • 鼠径ヘルニア嵌頓
  • 骨折や外傷
  • 髄膜炎
  • 心疾患
  • 牛乳たんぱくアレルギー
  • 胃食道逆流症(逆流が強い場合)

などです。

そのため、「ただ泣いているだけ」と決めつけず、赤ちゃん全体の様子を確認することが大切です。

小児科ではどのように診断するの?

乳児疝痛を診断する特別な検査はありません。

まず最も重要なのは、他の病気ではないことを確認することです。

小児科では、

問診

  • いつから泣くようになったか
  • 何時頃に泣くか
  • 授乳量
  • 体重増加
  • おしっこ・うんち
  • 発熱の有無
  • 嘔吐の有無
  • 家族歴

などを詳しく伺います。

診察

  • 全身状態
  • 呼吸
  • 心音
  • お腹
  • のど
  • 皮膚
  • 神経学的所見

を確認します。

必要に応じて、

  • 血液検査
  • 尿検査
  • 超音波検査
  • レントゲン検査

などを追加する場合もありますが、多くの赤ちゃんでは検査は必要ありません。

当院でもよくあるご相談

みなとみらい小児科クリニックでも、

「夕方になると2〜3時間泣き続ける」
「何をしても泣き止まない」
「お腹が痛いのでしょうか?」
「母乳が足りないのでしょうか?」

というご相談をよくいただきます。

実際には乳児疝痛だったというケースが多い一方で、中耳炎や尿路感染症、便秘、逆流症など、治療が必要な病気が見つかることもあります。

また、「自分の育児が悪いのでは」と涙ながらに相談される保護者の方もいらっしゃいます。しかし、乳児疝痛は保護者の育て方が原因ではありません。

当院では、赤ちゃんの診察だけでなく、ご家族のお話も丁寧に伺い、不安や疲れに寄り添いながら診療を行っています。

子どもの乳児疝痛(コリック)とは?家庭でできるケア・受診の目安・よくある質問を小児科医がわかりやすく解説【後編】

前編では、乳児疝痛(コリック)の原因や症状、診断についてご説明しました。

乳児疝痛は多くの赤ちゃんにみられ、多くは成長とともに自然に改善します。しかし、「どうやって泣き止ませたらいいの?」「病院に行った方がいいの?」と悩まれる保護者の方は少なくありません。

後編では、ご家庭でできる対応、治療、受診の目安、よくある質問について、小児科医の立場からわかりやすく解説します。

家庭でできる乳児疝痛(コリック)のケア

残念ながら、乳児疝痛をすぐに治す特効薬はありません。

しかし、赤ちゃんが安心できる環境を整えることで、泣き方が和らぐことがあります。

① まずは基本的な欲求を確認しましょう

泣いている原因が乳児疝痛ではなく、

  • お腹が空いている
  • おむつが濡れている
  • 暑い・寒い
  • 眠い
  • 衣類がきつくないか
  • 鼻づまりがないか

などが原因になっていることも少なくありません。

まずは一つずつ確認してあげましょう。

② 抱っこで安心させる

赤ちゃんは抱っこされることで安心します。

おすすめなのは、

  • 縦抱きにする
  • 抱っこ紐を利用する
  • ゆっくり部屋の中を歩く
  • 優しく背中をトントンする

といった方法です。

必ず泣き止むわけではありませんが、多くの赤ちゃんでは安心感につながります。

③ おくるみを利用する

生後2か月頃までの赤ちゃんでは、おくるみで優しく包むことで落ち着くことがあります。

ただし、

  • 顔を覆わない
  • 股関節を締め付けない
  • 寝るときは必ず仰向けにする

など、安全な方法で使用しましょう。

④ 音や光などの刺激を減らす

夕方は赤ちゃんも一日の刺激で疲れています。

  • 部屋を少し暗くする
  • テレビを消す
  • 大きな音を避ける

など、静かな環境をつくることで落ち着くことがあります。

⑤ お腹を優しくマッサージする

お腹の張りが気になる場合は、

  • 時計回りに優しくお腹をさする
  • 足をゆっくり曲げ伸ばしする

ことでガスが出やすくなることがあります。

強く押したり、赤ちゃんが嫌がるほど行ったりしないようにしましょう。

⑥ 外の空気を吸って気分転換する

ベビーカーで短時間散歩したり、抱っこをして外の空気を吸ったりすると、気分が変わって落ち着く赤ちゃんもいます。

また、短時間のドライブで眠りにつくこともあります。

ただし、チャイルドシートやベビーカーで眠った場合は、そのまま長時間寝かせず、安全な寝床へ移すようにしましょう。

やってはいけないこと

赤ちゃんが何時間も泣き続けると、保護者も心身ともに疲れてしまいます。

そんな時こそ、次のことは避けましょう。

  • 激しく揺さぶる
  • 大声で怒る
  • 強く体を押さえつける
  • イライラしたまま無理にあやし続ける

特に**激しく揺さぶること(揺さぶられっ子症候群)**は、脳に重大な障害を残す危険があります。

どうしてもつらいときは、安全な場所に赤ちゃんを寝かせ、数分間その場を離れて気持ちを落ち着かせましょう。

家族や周囲の方に赤ちゃんをお願いして休憩することも、とても大切な育児の一つです。

母乳やミルクが原因ですか?

多くの場合、母乳やミルク、保護者の育て方が原因ではありません。

ただし、

  • 牛乳たんぱくアレルギー
  • 胃食道逆流症
  • 哺乳量の問題

などが隠れていることもあります。

自己判断でミルクを変更したり、母乳をやめたりする必要はありません。

授乳について心配なことがある場合は、小児科で相談しましょう。

治療について

乳児疝痛そのものを治す特効薬はありません。

そのため治療の中心は、

  • 赤ちゃんが安心できる環境を整えること
  • 保護者が無理をしすぎないこと
  • 病気が隠れていないか確認すること

です。

診察の結果、中耳炎や尿路感染症、便秘、胃食道逆流症など、別の病気が見つかった場合には、それぞれに応じた治療を行います。

こんな時は小児科を受診してください

乳児疝痛と思っていても、次のような症状がある場合は、別の病気が隠れている可能性があります。

早めに小児科を受診しましょう。

  • 発熱がある
  • 母乳やミルクをほとんど飲まない
  • 繰り返し吐く
  • 緑色(胆汁性)の嘔吐をする
  • 血便が出る
  • お腹が大きく張っている
  • 呼吸が苦しそう
  • 顔色が悪い
  • 元気がない
  • ぐったりしている
  • 泣き方がいつもと明らかに違う
  • けいれんがある

また、生後3か月未満の赤ちゃんで発熱がある場合は、夜間や休日であっても早めの受診が必要です。

当院でよくあるご相談

みなとみらい小児科クリニックでは、

「毎日夕方になると2〜3時間泣き続けます。」
「抱っこしても何をしても泣き止みません。」
「お腹が痛いのでしょうか。」
「母乳が足りないのでしょうか。」
「私の育て方が悪いのでしょうか。」

といったご相談を数多くいただいています。

実際には乳児疝痛であることが多い一方で、中耳炎や便秘、胃食道逆流症、尿路感染症など、治療が必要な病気が見つかることもあります。

また、診療では赤ちゃんだけでなく、保護者の疲労や睡眠不足、不安の大きさを感じることも少なくありません。

当院では赤ちゃんの全身を丁寧に診察し、病気が隠れていないか確認するとともに、ご家庭でできる対応や育児の工夫についてもわかりやすくご説明しています。

保護者の方へ伝えたいこと

乳児疝痛は、赤ちゃんにとっても保護者にとっても大変な時期です。

「どうして泣いているのかわからない。」
「何をしても泣き止まない。」
「自分の育て方が悪いのではないか。」

そのように感じてしまう保護者の方は少なくありません。

しかし、乳児疝痛は保護者の育て方や愛情不足が原因ではありません。

赤ちゃんの脳や体が成長していく過程でみられることが多く、多くは月齢とともに自然に落ち着いていきます。

毎日泣き声を聞き続けることは、ご家族の心や体にも大きな負担となります。

つらいと感じたときは、一人で抱え込まず、ご家族や周囲の方、小児科へ相談してください。

保護者が十分に休息をとることも、赤ちゃんにとって大切なことです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 毎日同じ時間に泣くのは異常ですか?

いいえ。乳児疝痛では夕方から夜にかけて毎日同じ時間帯に泣くことがよくあります。ただし、発熱や嘔吐、ぐったりしているなどの症状がある場合は受診してください。

Q2. 抱き癖がつくので抱っこしない方がいいですか?

いいえ。乳児期は抱っこで安心感を得る時期です。抱っこによって抱き癖がつくという医学的根拠はありません。安心して抱っこしてあげましょう。

Q3. 泣かせたままにしても大丈夫ですか?

短時間、安全な場所に寝かせて保護者が気持ちを落ち着かせることは問題ありません。しかし、長時間放置したり、激しく揺さぶったりすることは避けてください。

Q4. いつ頃治りますか?

多くは生後3〜4か月頃までに改善し、生後5か月頃には自然に落ち着くことがほとんどです。

横浜市・みなとみらいで赤ちゃんが泣き止まずお困りの方へ

赤ちゃんが長時間泣き続けると、「どこか悪い病気なのではないか」「このまま様子を見ていて大丈夫なのか」「自分の育て方が悪いのではないか」と、不安や戸惑いを感じる保護者の方は少なくありません。

実際には乳児疝痛(コリック)であることが多く、成長とともに自然に改善するケースがほとんどです。しかし、その一方で、中耳炎や尿路感染症、便秘、胃食道逆流症など、治療が必要な病気が隠れていることもあります。

みなとみらい小児科クリニックでは、乳児疝痛(コリック)をはじめ、「赤ちゃんが泣き止まない」「機嫌が悪い」「授乳がうまくいかない」「何時間も泣き続ける」といったご相談にも対応しています。

診察では、赤ちゃんの全身状態を丁寧に確認し、必要に応じて検査や治療を行うとともに、ご家庭でできる対応や育児の工夫についてもわかりやすくご説明しています。

また、私たちは赤ちゃんだけでなく、毎日育児を頑張っている保護者の方のお気持ちにも寄り添うことを大切にしています。

「受診するほどではないかもしれない」「こんなことで相談してもいいのかな」と迷われることでも構いません。赤ちゃんのことで気になることがありましたら、どうぞお気軽にみなとみらい小児科クリニックへご相談ください。

参考資料

  • 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」
  • こども家庭庁「乳幼児健康診査に関する情報」
  • 日本小児科学会「赤ちゃんが泣きやまない(保護者向け資料)」
  • 日本小児科学会「Injury Alert(揺さぶられっ子症候群)」
  • 日本小児救急医学会 乳児の啼泣・不機嫌に関する資料
  • 日本外来小児科学会 育児支援・乳児の啼泣に関する資料
  • 日本新生児成育医学会 新生児・乳児の発達に関する資料
  • Rome Foundation「Rome IV Diagnostic Criteria for Infant Colic」
  • National Institute for Health and Care Excellence(NICE)「Infantile Colic」
  • American Academy of Pediatrics(AAP)「Infant Colic」

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック

チック症

子どものチック症とは?原因・症状・受診の目安を小児科医がわかりやすく解説

子どものチック症は、まばたきや肩をすくめる動き、咳払いなどを繰り返す病気です。原因や症状、受診の目安、家庭での接し方まで、小児科医が保護者の方にわかりやすく解説します。

子どものチック症でお困りの保護者の方へ

「最近、何度もまばたきをするようになった…」
「咳も出ていないのに『んっ、んっ』と咳払いを繰り返している」
「クセなの?病気なの?」
「注意したほうが治るの?」

このようなご相談は、小児科でもとても多くあります。

結論からお伝えすると、チック症は子どもによくみられる発達期の病気で、多くは一時的なもので自然に改善します。

一方で、症状が長く続く場合や学校生活に支障がある場合には、適切な診断やサポートが必要になることがあります。

大切なのは、お子さんを責めたり「やめなさい」と注意したりしないことです。

この記事では、小児科医の立場から、チック症の原因や症状、受診の目安、家庭でできる対応についてわかりやすくご説明します。

チック症とは?

チック症とは、自分の意思とは関係なく、急に・速く・繰り返し起こる体の動きや声がみられる状態です。

本人も「やめよう」と思っていても完全には止められず、多くのお子さんは「勝手に出てしまう」と感じています。

チックは決して「わざと」しているわけではありません。

5〜10歳頃に始まることが多く、男の子にやや多いことが知られています。

日本小児神経学会や小児チック症診療ガイドラインでも、小児期には比較的よくみられる病気であることが示されています。

チック症は珍しい病気ではありません

チック症は決して珍しい病気ではありません。

一時的なチックは小学生のおよそ10〜20%程度にみられるとされ、多くは数か月以内に自然と軽快します。

つまり、クラスに数人いても不思議ではない身近な病気です。

保護者の方が「うちの子だけなのでは」と心配される必要はありません。

チック症の原因

実は、はっきりとした原因はまだ完全には分かっていません。

現在では、

  • 脳の発達過程
  • 神経伝達物質(ドパミンなど)の働き
  • 遺伝的な体質

などが関係していると考えられています。

以前は「親の育て方」や「精神的ショック」が原因と言われたこともありましたが、現在ではその考え方は否定されています。

もちろん、

  • 緊張
  • 疲れ
  • 睡眠不足
  • 不安
  • 興奮

などによって症状が強くなることはありますが、それらが原因そのものではありません。

保護者の方が自分を責める必要はありません。

チックの種類

チックは大きく分けると、

  • 運動チック
  • 音声チック

の2種類があります。

運動チック

体の動きを繰り返します。

例えば

  • まばたき
  • 顔をしかめる
  • 鼻を動かす
  • 首を振る
  • 肩をすくめる
  • 手を振る
  • ジャンプする

などがあります。

最初は「目の病気かな?」と思って眼科を受診されるお子さんも少なくありません。

音声チック

声や音を繰り返します。

例えば

  • 咳払い
  • 「んっ」「んんっ」という声
  • 鼻を鳴らす
  • のどを鳴らす
  • せき込みのような音

などがあります。

風邪が治ったあとも咳払いだけが続いている場合、実はチックだったということもあります。

チック症の症状の特徴

チックには特徴があります。

一時的に我慢できる

短時間であれば我慢できることがあります。

しかし、その後にまとめて出てしまうことがよくあります。

緊張すると増える

  • 発表会
  • 習い事
  • テスト
  • 初めての場所

などでは症状が強くなることがあります。

夢中になっていると減る

反対に、

  • ゲーム
  • 読書
  • 工作
  • 好きな遊び

に集中していると、チックがほとんど出なくなることがあります。

日によって変わる

昨日は目のチックだったのに、

今日は肩を動かす、

数週間後には咳払いになる、

というように症状が変化することも珍しくありません。

「クセ」とチックの違いは?

保護者の方から最も多い質問の一つです。

クセは本人が意識すれば止められます。

一方、チックは本人の意思だけでは止めることが難しい症状です。

「またやってるよ」
「やめなさい」

と注意されることで、かえってストレスが増え、症状が悪化してしまうこともあります。

チック症はどんな子に多い?

チック症は誰にでも起こる可能性があります。

特に、

  • 発達障害(ADHD・ASD)があるお子さん
  • 不安が強いお子さん
  • 真面目で頑張り屋のお子さん

では合併することがあります。

ただし、チックがあるから発達障害というわけではありません。

多くのお子さんはチックだけで元気に成長していきます。

小児科でよくあるご相談(当院で感じること)

みなとみらい小児科クリニックでも、

「学校の先生に指摘された」
「動画を見返して初めて気づいた」
「花粉症やアレルギーだと思っていた」

という理由で受診されるお子さんが多くいらっしゃいます。

特にまばたき咳払いは、アレルギー性結膜炎や喘息、鼻炎などと区別が必要になることがあります。

当院では、まず「本当にチックなのか」を丁寧に診察し、目・鼻・のどの病気や神経の病気など、ほかに原因がないかを確認したうえで診断を進めています。

また、お子さん本人だけでなく、保護者の方のお話も十分に伺い、ご家庭や学校で困っていることがないかも含めてサポートしています。

こんなときは小児科を受診しましょう

次のような場合は、一度小児科への相談をおすすめします。

  • まばたきや咳払いが数週間以上続く
  • 症状が徐々に増えてきた
  • 学校生活や日常生活に支障が出ている
  • 本人が困っている、気にしている
  • 手足の力が入りにくい、歩き方がおかしいなど、チック以外の神経症状がある
  • 発達や学習面についても気になることがある

早めに相談することで、ご家族の不安が軽くなり、お子さんに合った対応を一緒に考えることができます。

チック症はどのように診断するの?

チック症には血液検査やレントゲン、MRIなどで診断できる特別な検査はありません。

診断で最も大切なのは、**症状の経過を詳しくお聞きすること(問診)**です。

小児科では次のような点を確認します。

症状について

  • いつから始まったか
  • どんな動きや声が出るか
  • 毎日あるのか
  • 我慢できることがあるか
  • 症状が強くなる場面はあるか

日常生活について

  • 学校生活に困っていないか
  • お友達との関係
  • 家庭で困っていること
  • 睡眠や生活リズム

発達について

必要に応じて

  • ADHD(注意欠如・多動症)
  • ASD(自閉スペクトラム症)
  • 強迫症

などがないかも確認します。

トゥレット症候群とは?

チック症の中にはトゥレット症候群と呼ばれるタイプがあります。

次の条件を満たす場合に診断されます。

  • 運動チックと音声チックの両方がある
  • 1年以上続いている
  • 18歳未満で発症している

名前を聞くと重い病気のように感じるかもしれませんが、適切な支援を受けながら学校生活や社会生活を送っている方も多くいます。

すべてのチック症がトゥレット症候群になるわけではありません。

チック症の治療

多くのお子さんは薬が不要です

保護者の方が驚かれることもありますが、チック症は必ずしも薬を使う病気ではありません。

次のような場合は経過観察になることが多いです。

  • 日常生活に支障がない
  • 本人が気にしていない
  • 学校生活に問題がない
  • 症状が軽い

多くのお子さんは成長とともに軽くなっていきます。

治療が必要になる場合

次のような場合には治療を検討します。

  • 本人がとても困っている
  • 学校生活に支障がある
  • 痛みが出るほど首を振る
  • 友達との関係に影響している
  • 学習に集中できない

症状だけではなく、「生活への影響」を重視して治療方針を決めます。

行動療法

現在、海外でも推奨されている治療の一つが**行動療法(CBIT:Comprehensive Behavioral Intervention for Tics)**です。

専門的な訓練によって、

  • チックが出そうな感覚に気づく
  • チックの代わりになる動きを身につける
  • 悪化しやすい場面への対処法を学ぶ

ことで症状の軽減を目指します。

すべての医療機関で実施されているわけではありませんが、有効性が報告されています。

薬による治療

症状が強く生活に支障がある場合には、お薬を使用することがあります。

使用するかどうかは、

  • 年齢
  • 症状の程度
  • 合併症
  • 副作用

を考慮しながら慎重に判断します。

「チックがあるからすぐ薬」ということはありません。

家庭でできる対応

一番大切なのは「注意しないこと」

保護者の方が最も気を付けていただきたいのは、

「やめなさい」と注意しないことです。

注意されることで、

  • 緊張
  • 不安
  • ストレス

が増え、かえってチックが悪化することがあります。

本人も「止められない」ことに困っている場合が少なくありません。

症状よりも生活を見ましょう

チックの回数を数えるよりも、

  • 元気に遊べているか
  • 食事がとれているか
  • 学校に行けているか
  • よく眠れているか

を大切にしましょう。

症状だけに注目し過ぎないことが、お子さんの安心につながります。

規則正しい生活を心がける

チックは

  • 睡眠不足
  • 疲労
  • ストレス

で悪化しやすいことがあります。

そのため、

  • 十分な睡眠
  • バランスの良い食事
  • 適度な運動
  • リラックスできる時間

を意識しましょう。

学校・幼稚園・保育園ではどうしたらいい?

学校生活では、先生の理解がとても重要です。

先生には、

  • 本人はわざとしているわけではない
  • 注意すると悪化することがある
  • 必要以上に指摘しないでほしい

ことを伝えておくと安心です。

お友達から「どうしたの?」と聞かれることがありますが、周囲の大人が正しく理解しているだけでも、お子さんの安心感は大きく変わります。

登園・登校の目安

チック症そのものが原因で登園や登校を休む必要はありません。

チック症は感染症ではなく、人にうつる病気でもありません。

そのため、

  • 元気がある
  • 普段どおり生活できる

のであれば、通常どおり登園・登校できます。

ただし、

  • 本人が強いストレスを感じている
  • いじめやからかいがある
  • 学校生活が非常につらい

場合には、学校と相談しながら無理のない対応を考えることが大切です。

小児科でよくあるご相談(当院で感じること)

みなとみらい小児科クリニックでは、

「学校で注意されてから悪化した」
「動画を見る時間を減らした方がいいですか?」
「様子を見ていいのか分からない」

といったご相談を多くいただきます。

実際には、「ゲームや動画がチック症の原因」と言い切れる科学的な根拠はありません。

ただし、夜更かしによる睡眠不足や疲れは症状を悪化させることがあります。そのため当院では、画面時間だけに注目するのではなく、睡眠時間や生活リズムを整えることを大切にしています。

また、チック症と思って受診されたお子さんの中には、アレルギー性結膜炎、鼻炎、喘息など、治療が必要な別の病気が見つかることもあります。

「チックだろう」と決めつけず、まずは一度ご相談いただくことをおすすめしています。

よくある質問(FAQ)

Q. チック症は自然に治りますか?

多くのお子さんは成長とともに軽くなります。

一時的なチックで終わることも多く、すべてのお子さんが長期間症状に悩まされるわけではありません。

Q. 注意したら治りますか?

いいえ。

注意するとストレスが増え、かえって悪化することがあります。

Q. チックはうつりますか?

うつりません。

感染症ではないため、家族や友達にうつることはありません。

Q. 運動やスポーツはできますか?

基本的には問題ありません。

症状が強くなければ、普段どおり運動やスポーツを楽しむことができます。

Q. テレビやゲームはやめた方がいいですか?

ゲームや動画そのものがチック症の原因という明確な証拠はありません。

ただし、長時間の使用による睡眠不足や疲労は症状を悪化させることがあるため、年齢に応じた適切な利用時間を心がけましょう。

横浜市・みなとみらいでお子さんのチック症が心配な方へ

みなとみらい小児科クリニックでは、お子さんのチック症の診療を行っています。

「最近まばたきが増えた」「咳払いを繰り返している」「学校の先生から指摘された」「このまま様子を見ていて大丈夫?」など、不安を抱えて受診される保護者の方は少なくありません。

チック症は、アレルギー性結膜炎や鼻炎、喘息などの病気でも似た症状がみられることがあり、まれに神経疾患との区別が必要になる場合もあります。当院では、まずチック症かどうかを丁寧に診察し、他の病気の可能性も含めて総合的に評価します。

また、お子さんの症状だけでなく、ご家庭や学校・園で困っていること、ご本人の気持ちにも寄り添いながら、ご家庭での接し方や生活上の工夫についてもわかりやすくご説明します。必要に応じて、小児神経専門医や児童精神科など専門医療機関と連携し、お子さん一人ひとりに適した診療につなげています。

チック症は、お子さんの「性格」や「育て方」が原因ではありません。多くは成長とともに軽快しますが、ご家族だけで悩まず、気になる症状が続く場合や日常生活・学校生活に影響がある場合は、お気軽にみなとみらい小児科クリニックへご相談ください。

参考資料

  • 厚生労働省
  • こども家庭庁
  • 日本小児神経学会
  • 日本小児科学会
  • 小児チック症診療ガイドライン
  • 日本児童青年精神医学会
  • 日本精神神経学会
  • 日本トゥレット(チック)協会
  • American Academy of Neurology(AAN)Practice Guideline: Treatment of Tics in People with Tourette Syndrome and Chronic Tic Disorders
  • European Society for the Study of Tourette Syndrome(ESSTS)European Clinical Guidelines for Tourette Syndrome and Other Tic Disorders

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック

子どもの熱性けいれんとは?初めてでも慌てないために

子どもの熱性けいれんとは?初めてでも慌てないために|原因・症状・受診の目安を小児科医がわかりやすく解説

メタディスクリプション(約120文字)

子どもの熱性けいれんは突然起こるため、多くの保護者が強い不安を感じます。原因や症状、家庭での対応、救急車を呼ぶ目安、診断まで、小児科医が最新の診療ガイドラインに基づいてわかりやすく解説します。

子どもの熱性けいれんでお困りの保護者の方へ

熱性けいれんは、発熱に伴って起こる子どものけいれんです。多くは5分以内に自然に止まり、後遺症を残すことはほとんどありません。まずは慌てず、お子さんの安全を確保することが何よりも大切です。一方で、けいれんが長く続く場合や意識が戻らない場合は、すぐに救急受診が必要です。

お子さんが突然けいれんを起こすと、

  • 「息をしていないように見える…」
  • 「脳に障害が残るのでは?」
  • 「救急車を呼んだ方がいい?」
  • 「また繰り返すの?」
  • 「てんかんとは違うの?」

と、不安になるのは当然です。

実際に、みなとみらい小児科クリニックでも、「初めて熱性けいれんを見て頭が真っ白になった」「次に熱が出るのが怖い」というご相談を数多くいただきます。

しかし、熱性けいれんは乳幼児では比較的よくみられる病気であり、**日本では約10人に1人が経験するといわれています。**正しい知識を知っておくことで、万が一のときにも落ち着いて対応できるようになります。

熱性けいれんとは?

熱性けいれんとは、発熱に伴って起こるけいれん発作です。

主に生後6か月〜5歳頃のお子さんにみられ、特に1〜2歳頃に最も多く発症します。

発熱の原因は、

  • かぜ
  • 突発性発疹
  • インフルエンザ
  • RSウイルス感染症
  • アデノウイルス感染症
  • 新型コロナウイルス感染症

など、さまざまな感染症です。

「40℃近い高熱だから起こる」と思われがちですが、実際には熱が急激に上がるタイミングで起こることが多く、38℃前後でも発症することがあります。

また、熱性けいれんは**脳に細菌やウイルスが感染して起こる病気ではありません。**一方で、髄膜炎や脳炎などでもけいれんが起こることがあるため、初めて熱性けいれんを起こした場合は小児科で診察を受けることが重要です。

なぜ熱性けいれんが起こるの?

原因はまだ完全には解明されていませんが、次のような要因が関係していると考えられています。

  • 乳幼児の脳がまだ発達途中であること
  • 急激な体温上昇
  • 遺伝的な体質

ご両親や兄弟姉妹に熱性けいれんの既往がある場合は、お子さんにも起こりやすいことが知られています。

熱性けいれんではどんな症状が出るの?

熱性けいれんでは、お子さんによって動き方は少し異なりますが、最も多いのは**全身が硬くなり、その後ガクガクと震える「強直間代発作」**です。

よくみられる症状は次のとおりです。

  • 全身がピーンと硬くなる
  • 手足がガクガクと震える
  • 白目をむく
  • 呼びかけに反応しない
  • 顔色や唇が紫色っぽく見える
  • 泡を吹くことがある
  • 尿や便を漏らすことがある
  • けいれん後は眠ったり、ぼんやりしたりする

多くは数分以内に自然に止まります。

一方で、

  • 片方の手足だけが動く
  • 顔の片側だけがピクピクする

といった場合は、典型的な熱性けいれんではない可能性もあるため、詳しい診察が必要です。

単純型熱性けいれんと複雑型熱性けいれん

熱性けいれんは、大きく2つに分けられます。

単純型熱性けいれん

次のすべてに当てはまる場合です。

  • 5分以内に自然に止まる
  • 全身のけいれん
  • 24時間以内に1回だけ
  • 麻痺などの神経症状が残らない

約8〜9割がこのタイプで、予後は非常に良好です。

複雑型熱性けいれん

次のいずれかに当てはまる場合です。

  • 15分以上続く
  • 24時間以内に繰り返す
  • 片側だけのけいれん
  • けいれん後に麻痺などが残る

この場合は、脳炎や髄膜炎、てんかんなど他の病気との鑑別が必要となるため、追加の検査や入院が必要になることがあります。

けいれんが起きたら、まず何をすればいい?

突然のけいれんでは慌ててしまいますが、まずはお子さんの安全を守ることが大切です。

  • けいれんが始まった時間を確認する
  • 横向きに寝かせる
  • 周囲の危険な物を避ける
  • 衣服を少しゆるめる
  • 口の中に物を入れない
  • 無理に体を押さえつけない

また、安全を確保できる状況であれば、スマートフォンで動画を撮影しておくと診断に非常に役立ちます。

病院受診・救急車を呼ぶ目安

**初めて熱性けいれんを起こした場合は、症状が治まっていても必ず小児科を受診しましょう。**発熱の原因や、熱性けいれん以外の病気ではないかを確認することが大切です。

次のような場合は、ためらわず119番してください。

  • けいれんが5分以上続く
  • 24時間以内に繰り返す
  • 意識がなかなか戻らない
  • 呼吸が苦しそう、顔色が悪い
  • 片側だけがけいれんする
  • 発熱がないのにけいれんした
  • 生後6か月未満でけいれんを起こした

小児科ではどのように診断するの?

診察では、

  • 発熱の原因
  • けいれんの時間
  • 動き方
  • 左右差があったか
  • 発作後の様子
  • 家族歴

などを詳しく確認します。

必要に応じて血液検査や尿検査、感染症検査などを行いますが、典型的な単純型熱性けいれんでは、全員にCT・MRI・脳波検査が必要になるわけではありません。

検査は、お子さんの年齢や症状、診察結果をもとに必要性を判断します。

子どもの熱性けいれんとは?治療・再発・登園の目安を小児科医がわかりやすく解説【後編】

メタディスクリプション(約120文字)

子どもの熱性けいれんの治療や再発率、ダイアップ®(ジアゼパム坐剤)の適応、てんかんとの違い、登園の目安、よくある質問まで、最新の診療ガイドラインに基づいて小児科医がわかりやすく解説します。

熱性けいれんは治療が必要?

熱性けいれんは、多くの場合数分以内に自然に止まるため、けいれんそのものに特別な治療が必要ないことがほとんどです。

小児科では、

  • 発熱の原因となっている病気は何か
  • 熱性けいれんで間違いないか
  • 髄膜炎や脳炎など重い病気ではないか

を確認し、その結果に応じて治療を行います。

つまり、熱性けいれんそのものを治すというよりも、「発熱の原因となった病気」を適切に診断・治療することが重要です。

5分以上続く場合は早めの治療が必要です

けいれんが5分以上続く場合は、自然には止まりにくくなることが知られています。

このような場合には、医療機関で

  • ミダゾラム
  • ジアゼパム
  • レベチラセタム
  • ホスフェニトイン

などの抗けいれん薬を使用して発作を止めます。

さらに長時間続く場合には、「けいれん重積状態」として集中治療が必要になることがあります。

そのため、

  • けいれんが5分以上続く
  • 呼吸が苦しそう
  • 意識が戻らない

場合は、迷わず119番しましょう。

ダイアップ®(ジアゼパム坐剤)は使った方がいい?

以前は、熱が出たときにダイアップ®を予防的に使用することが広く行われていました。

しかし現在の**「熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023」**では、

すべてのお子さんへの予防投与は推奨されていません。

ダイアップ®を検討するのは、

  • 長時間の熱性けいれんを繰り返している
  • けいれん重積状態の既往がある
  • 医師が再発時のリスクが高いと判断した

などの場合です。

お子さんごとに適応は異なるため、自己判断で使用するのではなく、主治医と相談することが大切です。

解熱剤で熱性けいれんは予防できる?

「熱が出たらすぐに解熱剤を使えば、けいれんを防げますか?」

これは外来で最も多くいただく質問の一つです。

結論からいうと、

解熱剤で熱性けいれんを予防できることは証明されていません。

解熱剤は、

  • 熱によるつらさを和らげる
  • 水分や食事をとりやすくする

ために使用する薬です。

熱性けいれんを防ぐ目的で使用する薬ではありません。

また熱が出たら必ずけいれんしますか?

熱性けいれんを経験すると、「次に熱が出たら必ずまた起こるのでは」と心配になる保護者の方が多くいらっしゃいます。

しかし、

約3分の2のお子さんは再発しません。

一方で、

**約30~40%**のお子さんでは再発すると報告されています。

再発しやすいとされるのは、

  • 初回発症が1歳未満
  • ご家族に熱性けいれんの既往がある
  • 発熱して間もなく発作が起きた
  • 初回発症年齢が低い

などの場合です。

再発しても、多くは初回と同じような経過をたどります。

将来てんかんになりますか?

これも非常に多いご質問です。

ほとんどのお子さんは、将来てんかんにはなりません。

一般のお子さんがてんかんを発症する割合は約1%ですが、熱性けいれんを経験したお子さんでは約2~7%とやや高くなります。

ただし、95%以上のお子さんはてんかんを発症せず、健康に成長します。

複雑型熱性けいれんや発達の遅れがある場合などは、小児神経専門医による経過観察が必要になることがあります。

お風呂・外遊びはいつから?

熱がある間やぐったりしている間は、入浴や激しい運動は控えましょう。

一方で、

  • 熱が下がっている
  • 元気がある
  • 水分が十分とれる

ようであれば、短時間のシャワーや普段どおりの生活に少しずつ戻して構いません。

無理をせず、お子さんの体調に合わせて過ごしましょう。

登園・登校の目安

熱性けいれん自体には、法律で定められた登園・登校停止期間はありません。

登園できるかどうかは、

発熱の原因となった病気によって決まります。

次のような状態が目安です。

  • 熱が下がっている
  • 元気に遊べる
  • 食事や水分が十分にとれる

さらに、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などでは、それぞれ決められた出席停止期間がありますので、園や学校のルールも確認しましょう。

保護者の方からよくある質問(FAQ)

Q. ワクチンは受けても大丈夫ですか?

体調が回復すれば通常どおり接種できます。

熱性けいれんを経験したことだけを理由に、予防接種を避ける必要はありません。

Q. またけいれんしたら毎回救急車を呼ぶべきですか?

5分以内に止まり、意識も普段どおりに戻れば、慌てる必要はありません。

ただし、

  • 5分以上続く
  • 呼吸が苦しそう
  • 意識が戻らない
  • 何度も繰り返す

場合は救急車を呼びましょう。

Q. 動画は撮った方がいいですか?

安全を確保できる状況であれば、動画は診断に非常に役立ちます。

発作の動きや持続時間を確認できるため、診断や今後の治療方針を決める重要な情報になります。

Q. 普段の生活で気を付けることはありますか?

特別な生活制限は必要ありません。

十分な睡眠や体調管理を心がけ、発熱した際には慌てず様子を観察しましょう。

みなとみらい小児科クリニックの考え

熱性けいれんは、多くの場合は後遺症を残さず自然に回復する病気ですが、お子さんが突然けいれんを起こす様子を目の前で見ることは、保護者の方にとって大きな衝撃です。

みなとみらい小児科クリニックでは、熱性けいれんのお子さんを診療する際、「けいれんが止まったから大丈夫」と判断するだけではなく、発熱の原因となっている病気を正しく診断し、髄膜炎や脳炎など緊急性の高い病気が隠れていないかを丁寧に確認することを大切にしています。

また、診察では病気の説明だけでなく、

  • 発熱時にご家庭で観察していただきたいポイント
  • けいれんが起きたときの正しい対応方法
  • 救急車を呼ぶ目安
  • 再発した場合の受診方法
  • ダイアップ®(ジアゼパム坐剤)が必要なお子さんかどうか

についても、お子さん一人ひとりの状況に合わせてわかりやすくご説明しています。

熱性けいれんは、一度経験すると「また熱が出たらどうしよう」と不安になる保護者の方が少なくありません。私たちは、病気を診断・治療するだけでなく、ご家族が安心してお子さんを見守れるようサポートすることも、小児科の大切な役割だと考えています。

熱性けいれんや発熱について心配なことがありましたら、どうぞお気軽にみなとみらい小児科クリニックへご相談ください。

参考資料

  • 熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023(日本小児神経学会)
  • 小児てんかん重積状態・けいれん重積状態治療ガイドライン2023(日本小児神経学会)
  • 厚生労働省「子どもの救急医療・小児医療に関する情報」
  • こども家庭庁「母子保健・乳幼児の健康に関する情報」
  • 国立健康危機管理研究機構(JIHS、旧 国立感染症研究所)「感染症情報」
  • 日本小児科学会「保護者向け情報・小児救急に関する資料」
  • 日本小児救急医学会「小児救急診療に関する資料」
  • 日本てんかん学会「てんかん診療・熱性けいれんに関する情報」
  • Nelson Textbook of Pediatrics(ネルソン小児科学)
  • 標準小児科学(医学書院)

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック

子どもの尿路感染症とは?高熱だけでも要注意

子どもの尿路感染症とは?高熱だけでも要注意|原因・症状・検査を小児科医がわかりやすく解説

子どもの尿路感染症は、高熱だけで始まることも多く、乳幼児では見逃されやすい細菌感染症です。原因や症状、検査、受診の目安まで、小児科医が保護者の方にもわかりやすく解説します。

子どもの尿路感染症でお困りの保護者の方へ

「40℃近い熱があるのに、咳も鼻水もない…」

「風邪と言われたけれど、なかなか熱が下がらない…」

「尿路感染症ってどんな病気?」

「腎臓に後遺症は残らないの?」

このような不安を感じて受診される保護者の方は少なくありません。

子どもの尿路感染症は、尿の通り道(尿路)に細菌が感染する病気です。特に赤ちゃんや乳幼児では「高熱だけ」が症状となることが多く、風邪との区別が難しいことがあります。しかし、早めに診断して適切な治療を行えば、多くのお子さんは後遺症なく回復します。反対に、診断が遅れると腎臓に炎症が広がり、まれに腎臓へ影響が残ることもあるため、高熱が続くときには尿路感染症も考えることが大切です。

尿路感染症とは?

尿路感染症とは、尿の通り道(尿路)に細菌が入り込み、炎症を起こす病気です。

尿は

  • 腎臓
  • 尿管
  • 膀胱
  • 尿道

を通って体の外へ排出されます。

通常、尿には細菌はいません。しかし、肛門周囲の細菌(多くは大腸菌)が尿道から入り込み、感染を起こすことがあります。

子どもの尿路感染症は大きく2つに分けられます。

上部尿路感染症(急性腎盂腎炎)

細菌が腎臓まで到達し、炎症を起こした状態です。

乳幼児ではこちらのタイプが多く、

  • 38.5~40℃の高熱
  • 元気がない
  • 食欲低下
  • 嘔吐

などがみられます。

日本では、24か月未満の発熱を伴う尿路感染症は、原則として上部尿路感染症(急性腎盂腎炎)として考え、治療を行います。

下部尿路感染症(膀胱炎)

感染が膀胱にとどまっている状態です。

年長児では

  • 排尿時の痛み
  • 頻尿
  • 残尿感
  • 下腹部痛

などが主な症状で、高熱を伴わないことが多くなります。

子どもの尿路感染症の原因

最も多い原因菌は**大腸菌(Escherichia coli)**です。

大腸菌は誰でも腸の中にいる細菌ですが、尿道から膀胱や腎臓へ入り込むことで感染が起こります。

特に乳幼児では、

  • おむつを使用している
  • 尿道が短い
  • 自分で清潔を保てない

ことなどから感染しやすくなります。

また、次のような場合には尿路感染症を繰り返しやすくなります。

  • 便秘
  • 排尿を我慢する習慣
  • 水分摂取が少ない
  • 膀胱尿管逆流症(VUR)
  • 尿路の先天的な異常

特に便秘は見落とされやすい原因の一つです。便がたまることで膀胱が圧迫され、尿が残りやすくなり、細菌が増殖しやすい環境になります。

子どもの尿路感染症の症状

赤ちゃん・乳幼児

乳幼児では、尿路感染症の症状はとても分かりにくいことがあります。

最も多い症状は、

「高熱だけ」

です。

咳や鼻水などの風邪症状がほとんどないため、「原因不明の発熱」として受診されることが少なくありません。

そのほかには、

  • 元気がない
  • ミルクや母乳の飲みが悪い
  • 食欲がない
  • 機嫌が悪い
  • 嘔吐する
  • 顔色が悪い

などがみられます。

赤ちゃんは「おしっこが痛い」と言葉で伝えられないため、症状だけで見分けることは困難です。

幼児・学童

年齢が上がると、自分で症状を伝えられるようになります。

次のような症状がある場合は膀胱炎や尿路感染症を疑います。

  • 排尿すると痛い
  • トイレが近い
  • 尿を我慢できない
  • 下腹部が痛い
  • 腰や背中が痛い
  • 血尿が出る
  • 発熱

高熱と腰痛を伴う場合には、腎臓まで感染が広がっている可能性があります。

「熱だけ」でも尿路感染症のことがあります

小児科では、

「高熱があるのに風邪症状がほとんどない」

というお子さんでは、尿路感染症を必ず考えます。

特に、

  • 生後2か月〜2歳くらい
  • 39℃前後の高熱が続く
  • 咳や鼻水が目立たない
  • インフルエンザやRSウイルスなどの検査が陰性
  • 原因がはっきりしない発熱

このような場合には、尿検査を行うことが重要です。

日本小児感染症学会でも、乳幼児の発熱性尿路感染症は早期診断・早期治療が重要であるとされています。

小児科ではどんな検査をするの?

尿路感染症が疑われた場合には、次のような検査を行います。

尿検査

最も重要な検査です。

尿の中に

  • 白血球
  • 細菌
  • 亜硝酸塩
  • 血液

などがないかを調べます。

乳幼児では、できるだけ細菌の混入を避けるため、年齢に応じた適切な方法で採尿を行います。

尿培養検査

尿路感染症が疑われた場合には、抗菌薬を開始する前に尿培養検査を提出することが重要です。

培養検査では、

  • 本当に細菌感染か
  • 原因となる細菌の種類
  • どの抗菌薬が効くか

を詳しく調べることができます。

結果が判明するまで数日かかりますが、その後の治療方針を決めるうえで非常に重要な検査です。

血液検査

発熱を伴う尿路感染症では、炎症の程度や全身状態を確認するために血液検査を行うことがあります。

特に急性腎盂腎炎が疑われる場合には、CRPや白血球数などを測定し、重症度を評価します。

腎臓・膀胱の超音波検査

乳幼児の発熱性尿路感染症では、尿路の形に異常が隠れていないかを確認するために超音波検査を行うことがあります。

超音波検査では、

  • 水腎症
  • 尿管の拡張
  • 腎臓の大きさ
  • 膀胱の異常

などを調べます。

放射線を使わないため、お子さんにも安心して受けていただける検査です。

さらに詳しい検査が必要になることもあります

尿路感染症を何度も繰り返す場合や、超音波検査で異常が疑われた場合には、専門病院でさらに詳しい検査を行うことがあります。

代表的なのが**排尿時膀胱尿道造影検査(VCUG)**です。

この検査では、**膀胱尿管逆流症(VUR)**という病気がないかを確認します。

VURでは、膀胱の尿が腎臓へ逆流してしまうため、尿路感染症を繰り返しやすくなることがあります。

当院でよくあるご相談(みなとみらい小児科クリニック)

みなとみらい小児科クリニックでは、

「熱だけで風邪症状がないので心配です」

というご相談を非常によくいただきます。

実際に診察をすると、咳や鼻水がほとんどなく、高熱だけが続いているお子さんの中に、尿路感染症が見つかることは決して珍しくありません。

一方で、おむつのお子さんでは尿を採取すること自体が難しく、採尿方法によっては細菌が混入してしまうこともあります。

そのため当院では、

  • 診察所見
  • 尿検査
  • 必要に応じた尿培養検査
  • 血液検査

を総合的に判断し、できるだけ正確な診断を心がけています。

また、乳幼児で発熱性尿路感染症(急性腎盂腎炎)が疑われる場合には、日本の診療ガイドラインに基づき全身状態を慎重に評価し、入院治療が必要と判断した際には、速やかに入院設備のある高次医療機関へご紹介しています。

さらに、尿路感染症を繰り返すお子さんでは、感染を治療するだけではなく、

  • 便秘はないか
  • 排尿を我慢する習慣はないか
  • 尿路の形に異常はないか

といった再発の原因まで確認し、お子さんの将来の腎臓の健康を考えた診療を大切にしています。

こんなときは早めに受診しましょう

次のような症状がある場合は、できるだけ早く小児科を受診してください。

  • 38.5℃以上の高熱が続いている
  • 咳や鼻水がほとんどないのに高熱がある
  • 原因が分からない発熱が2日以上続く
  • 水分が飲めない
  • 嘔吐を繰り返す
  • 元気がなく、ぐったりしている
  • 排尿時に痛がる
  • 血尿が出た
  • 腰や背中を痛がる
  • 生後3か月未満で38℃以上の発熱がある

特に乳幼児では、「高熱だけ」が尿路感染症の唯一のサインであることも少なくありません。

「風邪ではなさそう」と感じたら、早めに小児科へご相談ください。

保護者の方へ

尿路感染症は、乳幼児では症状が分かりにくく、「熱だけ」のために見逃されやすい病気です。

しかし、早い段階で尿検査を行い、適切な治療を開始することで、多くのお子さんは後遺症なく元気に回復します。

一方で、診断や治療が遅れると、まれに腎臓に傷(腎瘢痕)が残ることもあるため、原因不明の高熱では尿路感染症も考えることが大切です。

「熱が続いているけれど原因が分からない」「風邪ではない気がする」と感じたときは、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。

子どもの尿路感染症と診断されたら

「抗菌薬を飲めばすぐ治るの?」

「腎盂腎炎と言われたけれど入院になるの?」

「また繰り返してしまわない?」

「将来、腎臓に影響は残らない?」

尿路感染症と診断されると、多くの保護者の方がこのような疑問や不安を抱えます。

子どもの尿路感染症は、適切な治療を早期に開始すれば、多くのお子さんが後遺症なく回復します。一方で、発熱を伴う尿路感染症(上部尿路感染症)は、腎臓まで細菌が感染しているため、早めの治療がとても重要です。

前編でご紹介したように、乳幼児では「高熱だけ」が症状となることも多く、早期診断が大切になります。

今回は、治療や入院が必要になる場合、ご家庭でできるケアについて詳しくご説明します。

子どもの尿路感染症の治療

尿路感染症は細菌による感染症です。

そのため治療の中心は**抗菌薬(抗生物質)**になります。

診察や尿検査から尿路感染症が疑われた場合には、まず尿培養検査を提出し、その後できるだけ早く抗菌薬による治療を開始します。

多くのお子さんでは、治療開始から24〜48時間ほどで熱が下がり始め、全身状態も改善してきます。

しかし、熱が下がったからといって安心してはいけません。

症状が改善しても体内には細菌が残っていることがあります。

自己判断で薬を中止すると再発したり、細菌が薬に効きにくくなったりすることがあるため、処方された抗菌薬は最後まで飲み切ることが大切です。

入院が必要になることはある?

保護者の方から最も多い質問の一つが、

「尿路感染症は入院になりますか?」

というものです。

答えは、

「年齢や重症度によって異なります。」

です。

発熱を伴う上部尿路感染症では入院を検討します

尿路感染症のうち、腎臓まで細菌が感染した**急性腎盂腎炎(上部尿路感染症)**では、点滴による抗菌薬治療が必要になることがあります。

日本小児感染症学会では、

乳幼児の発熱性尿路感染症(急性腎盂腎炎)は、菌血症や敗血症を合併する可能性があるため、原則として入院のうえ静脈内抗菌薬で治療することが推奨されています。

特に乳児では、見た目よりも急速に状態が悪化することがあるため、慎重な経過観察が必要です。

次のような場合には入院治療が必要になることがあります

  • 生後3か月未満で発熱がある
  • 発熱を伴う乳幼児の上部尿路感染症(急性腎盂腎炎)
  • 40℃前後の高熱が続いている
  • 水分が飲めず脱水になっている
  • 嘔吐が続き内服薬が飲めない
  • 元気がなく、ぐったりしている
  • 敗血症など重い細菌感染が疑われる
  • 尿路の先天的な異常や基礎疾患がある
  • 外来治療で改善がみられない

一方で、年長児で全身状態が良く、水分や内服薬が十分に摂れる場合には、外来で治療できることもあります。

つまり、「尿路感染症だから必ず入院」ではなく、お子さんの年齢や状態を総合的に判断して治療方針を決定します。

治療後も検査が必要なことがあります

熱が下がって元気になっても、それで終わりではありません。

特に乳幼児の発熱性尿路感染症では、

  • 尿路に先天的な異常がないか
  • 膀胱尿管逆流症(VUR)がないか

を確認することが重要です。

そのため、

  • 腎・膀胱超音波検査
  • 必要に応じて排尿時膀胱尿道造影検査(VCUG)

などを行うことがあります。

これらの検査は、再発予防や将来の腎臓を守るためにとても大切です。

家庭でできるケア

尿路感染症では、抗菌薬による治療が最も重要ですが、ご家庭での過ごし方も回復を助けます。

水分をしっかりとる

十分な水分をとることで尿の量が増え、細菌を尿と一緒に体の外へ排出しやすくなります。

ただし、一度にたくさん飲ませようとすると吐いてしまうことがあります。

少量ずつ、こまめに飲ませるようにしましょう。

母乳やミルクを飲んでいる赤ちゃんは、普段どおり授乳を続けてください。

無理に食べさせなくても大丈夫

発熱中は食欲が落ちることがあります。

食事よりも水分を十分に摂ることが大切です。

熱が下がるにつれて自然と食欲も戻ってくることがほとんどです。

安静に過ごしましょう

熱がある間は無理をせず、自宅でゆっくり休みましょう。

熱が下がっても、抗菌薬を飲み始めてすぐは体力が十分に戻っていないことがあります。

元気が戻るまでは激しい運動は控えましょう。

解熱薬は必要なときだけ

熱が高くても、水分が飲めて眠れている場合は、必ずしも解熱薬を使う必要はありません。

眠れないほどつらそうな場合や、水分が飲めないほどぐったりしている場合には、医師から処方された解熱薬を使用してください。

尿路感染症は繰り返すことがある?

残念ながら、尿路感染症は再発することがあります。

特に乳幼児では、一度治っても数か月〜数年以内に再発するお子さんも少なくありません。

繰り返す場合には、単なる偶然ではなく、背景に原因が隠れていることがあります。

再発しやすい原因

次のようなお子さんでは、尿路感染症を繰り返しやすくなります。

  • 便秘
  • 排尿を我慢する習慣
  • 水分摂取が少ない
  • 膀胱尿管逆流症(VUR)
  • 先天的な尿路の異常
  • 排尿機能の異常(排尿・排便機能障害:BBD)

最近では、便秘や排尿習慣の乱れ(BBD)が再発の大きな原因になることが分かってきています。

そのため、尿路感染症を繰り返すお子さんでは、感染だけでなく生活習慣まで含めて診療することが大切です。

その方が医学的な正確性が高くなります。以下のように修正すると、日本小児感染症学会、日本小児腎臓病学会、日本小児泌尿器科学会の考え方により忠実な内容になります。

再発を防ぐためにできること

子どもの尿路感染症は、一度治っても再発することがあります。

特に乳幼児では、発熱を伴う尿路感染症(急性腎盂腎炎)を繰り返すことで、まれに腎臓に傷(腎瘢痕)が残ることがあるため、再発予防が大切です。

ご家庭では、次のことを意識しましょう。

水分を十分にとる

十分な水分をとることで尿の量が増え、細菌が尿と一緒に排出されやすくなります。

暑い季節や運動後はもちろん、普段からこまめな水分補給を心がけましょう。

排尿を我慢しない

おしっこを長時間我慢すると、膀胱の中で細菌が増えやすくなります。

遊びや勉強に夢中になると排尿を我慢してしまうお子さんも少なくありません。

トイレに行きたいときは我慢せず、日頃から**2〜3時間ごとを目安に排尿する習慣(定時排尿)**をつけることが再発予防につながります。

便秘を治療する

近年では、便秘は尿路感染症を繰り返す重要な原因の一つと考えられています。

便がたまることで膀胱が圧迫され、尿が残りやすくなるほか、排尿機能にも影響を与えることがあります。

便秘が続く場合は、「体質だから」と様子を見るのではなく、小児科で相談し、適切に治療することをおすすめします。

尿路感染症を繰り返す場合は原因を調べる

尿路感染症を何度も繰り返す場合には、

  • 膀胱尿管逆流症(VUR)
  • 尿路の先天的な異常
  • 排尿・排便機能障害(BBD)

などが隠れていることがあります。

そのため、腎臓や膀胱の超音波検査や、必要に応じて排尿時膀胱尿道造影検査(VCUG)などを行い、再発の原因がないかを確認することが重要です。

当院で大切にしていること

みなとみらい小児科クリニックでは、尿路感染症を治療するだけでなく、**「なぜ尿路感染症になったのか」「再発を防ぐために何ができるのか」**を保護者の方と一緒に考えることを大切にしています。

特に尿路感染症を繰り返すお子さんでは、便秘や排尿習慣についても丁寧に確認し、必要に応じて腎・膀胱超音波検査や専門医療機関へのご紹介を行っています。

お子さんの将来の腎臓の健康を守るためにも、再発予防まで含めた診療を心がけています。

当院でよくあるご相談(みなとみらい小児科クリニック)

みなとみらい小児科クリニックでは、

「高熱だけだったので風邪だと思っていました。」

という保護者の方からのご相談をよくいただきます。

実際には、乳幼児の尿路感染症では咳や鼻水がほとんどなく、高熱だけが続くことは珍しくありません。

また、

「熱が下がったので抗菌薬をやめてもいいですか?」

というご質問も多くいただきます。

熱が下がっても細菌が完全にいなくなったわけではありません。

途中で薬をやめてしまうと再発することがあるため、処方された薬は最後まで飲み切ることがとても大切です。

当院では診断だけでなく、

  • なぜ尿路感染症になったのか
  • 再発する可能性はないか
  • 追加検査が必要か

まで丁寧にご説明し、お子さん一人ひとりに合わせた診療を行っています。

また、乳幼児の発熱性尿路感染症では、日本の診療ガイドラインに基づき、必要に応じて入院治療が可能な高次医療機関へ迅速にご紹介できる体制を整えています。

よくある質問(FAQ)

Q. 尿路感染症は人にうつりますか?

うつりません。

風邪のように咳やくしゃみで感染する病気ではありません。

Q. お風呂に入っても大丈夫ですか?

熱が下がり元気になれば入浴できます。

発熱中は短時間のシャワー程度にし、体調を優先しましょう。

Q. 保育園や幼稚園にはいつから行けますか?

熱がなくなり、普段どおり食事や水分がとれ、元気に過ごせるようになれば登園できます。

登園許可証が必要かどうかは、園のルールをご確認ください。

Q. 抗菌薬を飲み始めたら翌日には治りますか?

熱は1〜2日で下がることが多いですが、細菌が完全にいなくなるまでには時間がかかります。

症状が良くなっても、処方された薬は最後まで飲み切りましょう。

Q. 一度かかったら腎臓に後遺症が残りますか?

ほとんどのお子さんは後遺症なく回復します。

しかし、診断や治療が遅れると、まれに**腎瘢痕(腎臓に傷跡が残ること)**が生じることがあります。

だからこそ、原因不明の高熱では早めに小児科を受診することが大切です。

横浜市・みなとみらいでお子さんの尿路感染症が心配な方へ

みなとみらい小児科クリニックでは、乳児から学童までのお子さんの尿路感染症の診療を行っています。

高熱だけで風邪症状がない場合には、必要に応じて尿検査・尿培養検査・血液検査を行い、できるだけ早く原因を見つけるよう努めています。

また、再発を繰り返すお子さんでは、

  • 便秘
  • 排尿習慣
  • 尿路の異常

まで含めて評価し、必要に応じて小児腎臓専門医や小児泌尿器科と連携しながら診療を進めています。

「高熱が続く」「風邪症状がないのに熱が下がらない」「尿路感染症かもしれない」と感じたときは、お気軽にご相談ください。

参考資料

本記事は、以下の公的機関・学会・診療ガイドラインを参考に作成しています。

  • 厚生労働省
  • 国立健康危機管理研究機構(JIHS)
  • 日本小児科学会
  • 日本小児感染症学会
  • 日本小児腎臓病学会
  • 日本小児泌尿器科学会
  • 日本小児救急医学会
  • JAID/JSC感染症治療ガイドライン2015

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック

急性中耳炎

子どもの急性中耳炎とは?耳を痛がる・熱が出るときの原因や症状を小児科医がわかりやすく解説【前編】

メタディスクリプション(約120文字)

子どもの急性中耳炎は、風邪のあとに耳の痛みや発熱を起こしやすい病気です。原因や症状、鼓膜の見え方、診断、受診の目安まで、小児急性中耳炎診療ガイドライン2024をもとに小児科医がわかりやすく解説します。

子どもの耳の痛み・発熱でお困りの保護者の方へ

急性中耳炎は、風邪のあとに細菌やウイルスが鼓膜の奥(中耳)で炎症を起こす病気です。

多くのお子さんは適切な治療で改善しますが、強い耳の痛みや高熱、耳だれがある場合は早めの受診が大切です。

乳幼児では「耳が痛い」と言えないことも多く、「夜泣きが急に増えた」「耳を触る」「機嫌が悪い」といった様子がサインになることがあります。

この記事では、小児急性中耳炎診療ガイドライン2024をもとに、原因や症状、診断、鼓膜の見え方についてわかりやすくご説明します。

急性中耳炎とは?

急性中耳炎とは、鼓膜の奥にある「中耳」に炎症が起こり、膿や液体がたまる病気です。

子どもは、大人より耳と鼻をつなぐ「耳管(じかん)」が短く、太く、水平に近いため、風邪をひくと鼻やのどの細菌やウイルスが中耳へ入りやすくなります。

そのため、

  • 生後6か月〜2歳頃
  • 保育園・幼稚園に通い始めた頃
  • 風邪が流行する季節

には特に多くみられます。

3歳までに約7〜8割のお子さんが一度は急性中耳炎を経験するといわれる、とても身近な病気です。

なぜ中耳炎になるの?

急性中耳炎の多くは風邪がきっかけです。

風邪によって鼻やのどに炎症が起こると、耳管が腫れて空気の通りが悪くなります。

すると鼓膜の奥(中耳)に液体がたまり、その中で細菌やウイルスが増殖して炎症が起こります。

主な原因菌は

  • 肺炎球菌
  • インフルエンザ菌(Hibとは異なる型が多い)
  • モラクセラ・カタラーリス

です。

また、

  • RSウイルス
  • ライノウイルス
  • インフルエンザウイルス
  • アデノウイルス

などの風邪ウイルスも発症のきっかけになります。

子どもの急性中耳炎の症状

年齢によって症状が異なります。

赤ちゃん・乳児

  • 急に機嫌が悪くなる
  • 夜泣きが増える
  • 耳を何度も触る
  • 授乳を嫌がる
  • 発熱
  • 元気がない

「風邪かな」と思って受診したら、中耳炎だったということも少なくありません。

幼児・学童

  • 耳が痛い
  • 聞こえにくい
  • 耳がつまった感じ
  • 発熱
  • 鼻水

などがみられます。

鼓膜にたまった膿が外へ出ると、

耳だれ(耳漏)

が出ることがあります。

耳だれが出ると痛みは軽くなることがありますが、鼓膜に穴が開いている可能性があるため受診が必要です。

急性中耳炎では鼓膜はどう見えるの?

急性中耳炎は鼓膜の状態を診察することが最も重要です。

実は、「鼓膜が赤い=中耳炎」ではありません。

泣いたあとや発熱だけでも鼓膜は赤く見えることがあります。

そのため、小児急性中耳炎診療ガイドライン2024では、**鼓膜がどのくらい膨らんでいるか(膨隆)**を最も重要な診断ポイントとしています。

正常な鼓膜

正常な鼓膜は

  • 半透明で光沢がある
  • 鼓膜は平ら
  • 光の反射(光錐)が見える
  • ツチ骨柄がはっきり見える

状態です。

軽症急性中耳炎

初期では

  • 鼓膜が少し赤くなる
  • 軽く膨らむ
  • 少し白っぽく濁る
  • 鼓膜の奥に液体がたまり始める

ことがあります。

重症急性中耳炎

炎症が強くなると

  • 鼓膜全体が真っ赤になる
  • 鼓膜が風船のように大きく膨らむ
  • 白く濁る
  • 光の反射が見えなくなる
  • 鼓膜の奥に膿がたまる

状態になります。

この**「鼓膜のふくらみ(膨隆)」が急性中耳炎で最も重要な所見**です。

鼓膜穿孔

さらに炎症が強くなると、

鼓膜に小さな穴が開き、

  • 黄色い耳だれ
  • 分泌物

が出ることがあります。

耳だれが出ると痛みが軽くなることもありますが、自然に治るから大丈夫というわけではありません。

鼓膜の状態を確認するため受診が必要です。

小児科ではどのように診断するの?

急性中耳炎は症状だけでは診断できません。

診察では耳鏡や鼓膜鏡を使って

  • 鼓膜の膨らみ
  • 赤み
  • 混濁
  • 鼓膜の動き
  • 耳漏の有無
  • 鼓膜穿孔

などを確認します。

必要に応じて鼻やのどの状態も一緒に診察します。

通常、血液検査やレントゲン検査は必要ありません。

「耳を触る=中耳炎」ではありません

診療で最も多い質問の一つです。

耳を触る理由は

  • 眠い
  • 耳あかが気になる
  • 歯が生えてきた

ということも少なくありません。

しかし、

  • 発熱
  • 鼻水
  • 夜中に急に泣く
  • 機嫌が悪い

などを伴う場合は、中耳炎の可能性があります。

自己判断は難しいため、気になる症状があれば受診しましょう。

小児科でよくあるご相談(当院で感じること)

みなとみらい小児科クリニックでは、

「風邪が治りかけたと思ったら夜中に急に耳を痛がって泣き出しました」

というご相談をよくいただきます。

急性中耳炎は風邪の数日後に発症することが珍しくありません。

また、「鼻水だけだから大丈夫」と思っていても診察すると中耳炎になっていることがあります。

逆に耳を痛がっていても、中耳炎ではなく耳あかやのどの炎症が原因だったということもあります。

当院では耳だけではなく、鼻やのどもあわせて診察し、お子さんに最も適した治療をご提案しています。

こんなときは早めに受診しましょう

次のような場合は小児科または耳鼻咽喉科を受診してください。

  • 強い耳の痛みがある
  • 夜眠れないほど痛がる
  • 38.5℃以上の発熱が続く
  • 黄色い耳だれが出た
  • 機嫌が非常に悪い
  • 水分が十分飲めない
  • 何度も中耳炎を繰り返している
  • 生後6か月未満で発熱している

子どもの急性中耳炎の治療とは?抗菌薬・家庭でのケア・登園の目安を小児科医がわかりやすく解説【後編】

メタディスクリプション(約120文字)

子どもの急性中耳炎は抗菌薬が必要な場合と、自然に治る場合があります。治療方法や家庭でできるケア、登園の目安、繰り返さないための予防まで、小児急性中耳炎診療ガイドライン2024をもとにわかりやすく解説します。

子どもの急性中耳炎と診断された保護者の方へ

急性中耳炎と聞くと、「すぐに抗菌薬を飲まないと治らないの?」「耳鼻科へ行った方がいい?」「鼓膜が破れてしまわない?」と不安になる保護者の方は多いと思います。

実は、急性中耳炎はすべてのお子さんに抗菌薬が必要というわけではありません。

現在は「小児急性中耳炎診療ガイドライン2024」に基づき、お子さんの年齢や症状、鼓膜の状態を総合的に判断して治療方針を決めます。

適切な治療を行えば、多くのお子さんは数日から1週間ほどで改善します。

今回は、治療や家庭でのケア、登園の目安について詳しくご紹介します。

急性中耳炎の治療

急性中耳炎の治療は、

  • 痛みを和らげること
  • 炎症を抑えること
  • 合併症を防ぐこと

が目的です。

症状の強さによって治療方法が変わります。

抗菌薬は必ず必要?

答えは「必ずしも必要ではありません」。

急性中耳炎には軽症から重症までさまざまなタイプがあります。

軽症では、体が持つ免疫の力で自然に改善することも多いため、すぐに抗菌薬を使わず経過をみる場合があります。

一方で、

  • 強い耳の痛み
  • 高熱
  • 鼓膜が大きく膨らんでいる
  • 両耳の中耳炎
  • 生後6〜24か月の重症例
  • 耳だれを伴う場合

などでは抗菌薬が勧められます。

必要以上に抗菌薬を使用すると、薬が効きにくい耐性菌が増える原因にもなるため、本当に必要なお子さんに適切に使用することが大切です。

よく使われるお薬

急性中耳炎では、

抗菌薬

細菌による中耳炎が疑われる場合に使用します。

症状や重症度、最近の抗菌薬使用歴などを考慮して薬を選択します。

痛み止め・解熱剤

耳の痛みはとても強いことがあります。

アセトアミノフェンなどを使用すると、痛みや発熱が和らぎ、お子さんも眠りやすくなります。

痛みを我慢させる必要はありません。

鼻の治療

中耳炎は鼻の炎症と深く関係しています。

鼻水を吸引したり、鼻をかみやすくしたりすることで耳管の通りが改善し、回復を助けることがあります。

鼓膜切開は必要?

「鼓膜を切る」と聞くと心配になりますが、すべてのお子さんに必要な治療ではありません。

次のような場合には耳鼻咽喉科で鼓膜切開が検討されます。

  • 強い痛みが続く
  • 鼓膜の膨らみが非常に強い
  • 抗菌薬でも改善しない
  • 合併症が心配される

鼓膜切開を行うことで膿が外へ出て痛みが急に楽になることがあります。

鼓膜は通常、時間とともに自然に閉じることがほとんどです。

家庭でできるケア

急性中耳炎では、ご家庭でのケアもとても大切です。

水分をしっかりとる

発熱があると脱水になりやすくなります。

一度にたくさん飲ませるのではなく、少量ずつこまめに飲ませましょう。

鼻水をためない

鼻水が多いと耳管が詰まりやすくなります。

小さいお子さんは鼻吸い器を利用するのもおすすめです。

無理に耳を触らない

耳掃除や綿棒を耳の奥まで入れることは避けましょう。

鼓膜を傷つける原因になることがあります。

十分な休養

睡眠をしっかりとり、体力を回復させることが治療につながります。

お風呂に入ってもいい?

熱がなく元気であれば、短時間の入浴は基本的に可能です。

ただし、

  • 高熱がある
  • 強い痛みがある
  • 耳だれが出ている

場合は症状が落ち着くまで控えた方が安心です。

耳だれがある場合は医師の指示に従ってください。

飛行機に乗っても大丈夫?

急性中耳炎のときは、飛行機で気圧が変化すると耳の痛みが強くなることがあります。

旅行の予定がある場合は、事前に医師へ相談することをおすすめします。

登園・登校の目安

急性中耳炎そのものには、法律で決められた出席停止期間はありません。

登園・登校の目安は、

  • 熱が下がっている
  • 耳の痛みが落ち着いている
  • 普段どおり食事ができる
  • 元気に過ごせる

ことです。

中耳炎は風邪に続いて起こることが多いため、風邪症状が強い間は無理をせず自宅で休養しましょう。

園によって基準が異なる場合がありますので、登園前に確認すると安心です。

中耳炎を繰り返さないために

急性中耳炎は一度治っても繰り返すことがあります。

予防のためには、

  • 鼻水を長引かせない
  • 風邪をひいたら早めに鼻のケアをする
  • 手洗いを習慣にする
  • 禁煙・受動喫煙を避ける
  • 肺炎球菌ワクチンやHibワクチンなど定期予防接種を受ける

ことが大切です。

特に乳幼児では、予防接種によって重症化を防げることがわかっています。

小児科でよくあるご相談(当院で感じること)

みなとみらい小児科クリニックでは、

「前回も中耳炎だったので、今回もすぐ抗菌薬が必要ですか?」

というご相談をよくいただきます。

実際には、同じように見える症状でも、鼓膜の状態や重症度によって治療方針は異なります。

また、「鼻水だけだから様子を見よう」と考えていたところ、中耳炎を繰り返してしまうお子さんも少なくありません。

当院では耳だけでなく、鼻やのどの状態も含めて診察し、お子さんに合った治療をご提案しています。

必要に応じて耳鼻咽喉科とも連携しながら診療を行っていますので、ご安心ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 急性中耳炎はうつりますか?

中耳炎そのものはうつりません。

ただし、原因となる風邪のウイルスや細菌は周囲へうつることがあります。

Q. 耳だれが出たら治ったということですか?

いいえ。

耳だれは鼓膜が破れて膿が出ている可能性があります。

痛みが軽くなっても受診してください。

Q. 耳掃除をした方が早く治りますか?

耳の奥を掃除する必要はありません。

綿棒で奥まで触ると悪化することがあります。

Q. 中耳炎は何回も繰り返しますか?

乳幼児では耳管が未熟なため、何度か繰り返すことがあります。

成長とともに耳管の働きが良くなり、多くは回数が減っていきます。

Q. 鼻水だけでも受診した方がよいですか?

鼻水が長く続く場合や、機嫌が悪い、夜泣きが増えた、耳を触るなどの様子がある場合は、中耳炎を合併していることがあります。

気になる症状があればご相談ください。

横浜市・みなとみらいでお子さんの急性中耳炎でお困りの方へ

みなとみらい小児科クリニックでは、急性中耳炎をはじめ、お子さんの耳・鼻・のどの症状を幅広く診療しています。

「耳を痛がる」「夜泣きが急に増えた」「鼻水がなかなか治らない」「何度も中耳炎を繰り返している」など、ご心配なことがありましたらお気軽にご相談ください。

お子さん一人ひとりの症状や年齢に合わせて、小児急性中耳炎診療ガイドライン2024に基づいた適切な診療と、保護者の方にもわかりやすい説明を心がけています。

参考資料

本記事は、以下の公的機関・診療ガイドライン・学会の情報を参考に作成しています。

診療ガイドライン

  • 小児急性中耳炎診療ガイドライン2024
    (日本耳科学会・日本小児耳鼻咽喉科学会・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)

 ※急性中耳炎の定義、診断基準、鼓膜所見(膨隆・発赤・混濁・耳漏・鼓膜穿孔)、重症度分類、抗菌薬の適応、治療方針を参照。

行政機関

  • 厚生労働省
    「感染症対策・予防接種に関する情報」

 ※肺炎球菌ワクチン・Hibワクチンなど予防接種の情報を参照。

  • 国立健康危機管理研究機構(JIHS)感染症情報
    (旧 国立感染症研究所)

 ※急性中耳炎の原因となる呼吸器感染症に関する情報を参照。

小児関連学会

  • 日本小児科学会

 ※小児の急性中耳炎診療、小児感染症、保護者向け情報を参照。

  • 日本小児感染症学会

 ※急性中耳炎の原因菌・感染症診療に関する情報を参照。

  • 日本外来小児科学会

 ※外来診療における急性中耳炎の考え方を参照。

  • 日本小児科医会

 ※保護者向け感染症情報を参照。

耳鼻咽喉科関連学会

  • 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

 ※急性中耳炎の一般向け解説および耳の構造に関する情報を参照。

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック

子どものおむつかぶれとは?原因・症状・家庭でできるケア・受診の目安を小児科医がわかりやすく解説

子どものおむつかぶれとは?原因・症状・家庭でできるケア・受診の目安を小児科医がわかりやすく解説

赤ちゃんのおむつかぶれは、多くの保護者が経験する皮膚トラブルです。原因や症状、家庭でできるケア、受診の目安まで、小児科医が保護者の方にわかりやすく解説します。

おむつかぶれでお困りの保護者の方へ

おむつかぶれは、おしっこやうんち、蒸れや摩擦などの刺激によって起こる皮膚炎です。軽症であればご家庭で改善することも多いですが、赤みが強い、ジュクジュクしている、なかなか治らない場合は、小児科の受診がおすすめです。適切なスキンケアと治療で、多くのお子さんは早く良くなります。

「おしりが赤い…」そんなときはおむつかぶれかもしれません

「おむつ替えのたびに泣いてしまう」
「赤くなっていて痛そう」
「市販薬を塗ってもよくならない」
「カンジダって言われたけど何が違うの?」

赤ちゃんのお肌は大人よりも薄く、とてもデリケートです。

そのため、おむつの中の少しの刺激でも皮膚が傷つき、おむつかぶれを起こしてしまいます。

実は、小児科外来でも非常によく相談を受ける皮膚トラブルのひとつです。

しかし、一見おむつかぶれに見えても、

  • カンジダ皮膚炎
  • とびひ(伝染性膿痂疹)
  • アトピー性皮膚炎
  • 脂漏性皮膚炎
  • 接触皮膚炎

など、別の病気が隠れていることもあります。

「いつものおむつかぶれ」と思い込まず、治りが悪い場合は一度小児科で診てもらうことをおすすめします。

おむつかぶれとは?

おむつかぶれは正式には**「おむつ皮膚炎(Diaper dermatitis)」**と呼ばれます。

おむつが当たる部分の皮膚に炎症が起こる病気で、乳児では非常によくみられます。

特に

  • 新生児期
  • 生後2〜12か月
  • 下痢をしている時
  • 抗菌薬を飲んでいる時

などは発症しやすくなります。

命に関わる病気ではありませんが、痛みやかゆみのため機嫌が悪くなったり、おむつ替えを嫌がったりすることがあります。

早めにケアを始めることで悪化を防ぐことができます。

おむつかぶれの原因

おむつかぶれは、一つの原因ではなく、いくつかの刺激が重なって起こります。

① おしっこ・うんちによる刺激

最も大きな原因です。

尿や便には皮膚を刺激する成分が含まれています。

長時間皮膚についていると皮膚のバリア機能が壊れ、炎症が起こります。

特に下痢便は刺激が強く、おむつかぶれが急に悪化することがあります。

② 蒸れ

おむつの中は温かく湿度も高いため、皮膚がふやけやすくなります。

ふやけた皮膚は傷つきやすく、少しの刺激でも炎症を起こします。

夏場や発熱時は特に悪化しやすくなります。

③ 摩擦

おむつの擦れや、おしり拭きで何度も強くこすることも原因になります。

汚れを落とそうとしてゴシゴシ拭くと、さらに皮膚を傷つけてしまいます。

④ 皮膚のバリア機能が未熟

赤ちゃんの皮膚は大人の約半分ほどの厚さしかありません。

そのため刺激を受けやすく、炎症が起こりやすい特徴があります。

⑤ カンジダというカビ

おむつかぶれが長引くと、カンジダという真菌(カビ)が増えてしまうことがあります。

この場合は通常のおむつかぶれとは治療が異なります。

おむつかぶれの症状

症状は軽いものから重いものまでさまざまです。

よく見られる症状は

  • おしりが赤くなる
  • 肛門の周りが赤い
  • 太ももの付け根が赤い
  • 皮膚がカサカサする
  • ヒリヒリ痛む
  • おむつ替えで泣く
  • 入浴時にしみる
  • 湿ってジュクジュクする
  • 皮膚がむける
  • 出血する

などがあります。

軽症なら赤みだけですが、悪化すると皮膚がただれ、細菌やカンジダが感染しやすくなります。

カンジダ皮膚炎との違い

保護者の方が最も混乱しやすい病気の一つです。

通常のおむつかぶれでは、

  • おむつが当たる部分
  • 出っ張っている部分

が赤くなることが多いです。

一方、カンジダ皮膚炎では

  • 足の付け根のしわ
  • おしりのしわ

まで赤くなります。

さらに

  • 小さな赤いブツブツ(衛星病変)
  • 赤みが強い
  • なかなか治らない

という特徴があります。

抗真菌薬が必要になることもあるため、小児科で診断を受けることが大切です。

おむつかぶれはうつる?

通常のおむつかぶれはうつりません。

皮膚が刺激で炎症を起こしている状態なので、感染症ではありません。

ただし、

  • とびひ
  • カンジダ
  • 細菌感染

などを伴っている場合は注意が必要です。

診断によって治療方法が変わります。

小児科ではどのように診断するの?

多くの場合は診察だけで診断できます。

診察では

  • 赤みの場所
  • 赤みの広がり
  • 湿っているか
  • しわまで赤いか
  • ブツブツがあるか
  • 出血していないか
  • 発熱がないか

などを確認します。

通常は血液検査などは必要ありません。

ただし、カンジダや細菌感染が疑われる場合には、症状に応じて追加の検査や治療を検討することがあります。

当院でよくあるご相談

みなとみらい小児科クリニックでも、おむつかぶれは毎日のようにご相談をいただく症状です。

特に多いのは、

  • 「市販薬を塗っても治らない」
  • 「下痢をしてから急に悪くなった」
  • 「毎日洗っているのに赤い」
  • 「ステロイドを塗るのが心配」
  • 「カンジダと言われたけれど普通のおむつかぶれと何が違うの?」

といったご相談です。

実際には、おむつかぶれと思って受診されたお子さんの中に、カンジダ皮膚炎やとびひ、湿疹など別の皮膚疾患が見つかることも少なくありません。

そのため、「何日も良くならない」「いつもと違う」と感じた場合には、早めに小児科を受診することをおすすめしています。

家庭でできるおむつかぶれのケア

おむつかぶれは、皮膚への刺激を減らし、皮膚をしっかり守ることが改善への近道です。

① おむつはこまめに交換しましょう

最も大切なのは、おしっこやうんちが皮膚についたままにならないことです。

特に下痢をしているときは刺激が強いため、できるだけ早めに交換しましょう。

夜間も無理のない範囲で確認し、便をしたときは早めに替えてあげることが大切です。

② 強くこすらない

おしり拭きで何度もゴシゴシ拭くと、皮膚がさらに傷ついてしまいます。

おすすめは

  • やさしく押さえるように拭く
  • 汚れがひどいときはぬるま湯で洗い流す
  • 柔らかいガーゼやコットンを使う

という方法です。

洗った後は、タオルでこするのではなく、軽く押さえて水分を取りましょう。

③ おしりをしっかり乾かす

皮膚が湿ったままだと、おむつの中で蒸れやすくなります。

おむつをつける前に数分間乾かしたり、自然乾燥させたりすると皮膚への負担が減ります。

ドライヤーの温風はやけどの危険があるため使用しないようにしましょう。

④ 保湿・保護剤を使う

おむつかぶれでは、皮膚を刺激から守ることも重要です。

白色ワセリンや亜鉛華軟膏などの保護剤を薄くではなく、皮膚を覆うように適量塗ることで、おしっこやうんちから皮膚を守ることができます。

毎回完全に拭き取る必要はなく、汚れた部分だけをやさしく落とし、不足した分を塗り足すイメージで十分です。

市販薬は使っても大丈夫?

軽いおむつかぶれであれば、ワセリンなどの保護剤で改善することも少なくありません。

しかし、

  • 赤みがどんどん広がる
  • ジュクジュクしている
  • 出血している
  • 数日たっても改善しない
  • 下痢が続いている
  • カンジダが疑われる

場合は、市販薬だけで様子を見るよりも小児科を受診することをおすすめします。

ステロイド外用薬は炎症を抑える効果がありますが、カンジダ皮膚炎では悪化することがあるため、自己判断で使用するのは避けましょう。

小児科ではどのような治療をするの?

症状に合わせて治療を行います。

軽症の場合

  • スキンケアの見直し
  • おむつ交換方法の指導
  • 保護剤(ワセリン・亜鉛華軟膏など)

で改善することが多くあります。

炎症が強い場合

赤みや痛みが強い場合には、短期間だけ弱いステロイド外用薬を使用することがあります。

適切な強さ・期間で使用すれば、安全性は高く、炎症を早く改善することで皮膚へのダメージを減らすことができます。

カンジダ皮膚炎の場合

真菌(カビ)に対する抗真菌薬を使用します。

通常のおむつかぶれとは治療が異なるため、正しい診断が重要です。

細菌感染を起こしている場合

皮膚が黄色いかさぶたになったり、膿が出たりしている場合には、とびひなどの細菌感染を合併していることがあります。

この場合には抗菌薬による治療が必要になることがあります。

こんなときは小児科を受診しましょう

次のような場合は、一度小児科で診てもらうことをおすすめします。

  • 赤みがどんどん広がる
  • 強く痛がる
  • ジュクジュクしている
  • 出血している
  • 水ぶくれがある
  • 黄色いかさぶたや膿がある
  • 足の付け根のしわまで赤くなっている
  • 小さな赤いブツブツが増えている
  • 発熱を伴う
  • 下痢が続いている
  • 数日ケアをしても改善しない
  • 何度も繰り返す

早めに受診することで、お子さんの痛みを軽くし、悪化を防げることが少なくありません。

登園・登所はできる?

おむつかぶれだけであれば、登園・登所を控える必要はありません。

元気があり、発熱などほかの症状がなければ通常どおり通園できることがほとんどです。

ただし、

  • 下痢や嘔吐など感染性胃腸炎が原因の場合
  • とびひを合併している場合
  • 発熱など全身症状がある場合

は、おむつかぶれではなく原因となる病気に応じた登園基準を確認する必要があります。

当院でよくあるご相談

みなとみらい小児科クリニックでは、おむつかぶれの診療を日常的に行っています。

診療の中でよく感じるのは、「もっと早く受診すればよかった」とお話しされる保護者の方が少なくないことです。

おむつかぶれは、「少し赤いだけだから」と様子を見ているうちに悪化し、おしりを洗うだけでも痛がる状態になってしまうことがあります。

また、「おむつかぶれだと思っていたらカンジダ皮膚炎だった」「市販薬を続けても良くならず、実はとびひを合併していた」というケースも珍しくありません。

診察では、お子さんの皮膚の状態だけでなく、おむつ交換の回数や洗い方、使用している保湿剤や軟膏なども確認し、ご家庭で続けやすいケア方法をご提案しています。

よくある質問(FAQ)

Q. おむつかぶれはうつりますか?

通常のおむつかぶれはうつりません。ただし、とびひや感染症を伴っている場合は注意が必要です。

Q. お風呂に入っても大丈夫ですか?

はい。ぬるめのお湯でやさしく洗い、石けんは必要以上に使わず、入浴後はしっかり乾かして保護剤を塗りましょう。

Q. ワセリンは毎回塗ったほうがいいですか?

皮膚を刺激から守るため、おむつ交換ごとに保護剤を塗ることが効果的です。毎回きれいに拭き取る必要はありません。

Q. ステロイドは赤ちゃんにも使えますか?

医師の指示のもとで、適切な種類・量・期間を守って使用すれば、安全に使用できるお薬です。自己判断で長期間使用することは避けましょう。

Q. おむつを替えているのに何度も繰り返します。

下痢やカンジダ皮膚炎、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎など、別の原因が隠れていることがあります。繰り返す場合は一度小児科で相談しましょう。

横浜市・みなとみらい周辺でお子さんのおむつかぶれにお困りの方へ

みなとみらい小児科クリニックでは、おむつかぶれをはじめ、お子さんのさまざまな皮膚トラブルの診療を行っています。

「おむつかぶれがなかなか治らない」
「カンジダかどうか心配」
「市販薬で様子を見てよいの?」
「ステロイドを使っても大丈夫?」

など、不安なことがありましたら、お気軽にご相談ください。

お子さん一人ひとりの症状に合わせて、適切なスキンケアや治療方法をご提案し、保護者の方にもわかりやすくご説明いたします。

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック

とびひ(伝染性膿痂疹)

子どものとびひ(伝染性膿痂疹)とは?原因・症状・受診の目安を小児科医がわかりやすく解説

子どものとびひは、かき壊した皮膚から細菌が入り、水ぶくれやかさぶたが広がる皮膚感染症です。原因や症状、家庭でできるケア、小児科を受診する目安まで、小児科医がわかりやすく解説します。

子どものとびひでお困りの保護者の方へ

とびひは、皮膚についた細菌が傷口から入り込み、水ぶくれやかさぶたが広がる皮膚の感染症です。早めに治療を始めれば多くは数日から1〜2週間ほどで改善しますが、かき壊しによって全身に広がることもあるため、できるだけ早めの受診がおすすめです。

「虫刺されをかいていたら急に広がった…」

「黄色いかさぶたがどんどん増えてきた…」

「兄弟にうつる?」

「プールには入ってもいいの?」

このようなご相談は、夏になると小児科で非常に多く寄せられます。

とびひは正式には**「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」**と呼ばれ、小さなお子さんによくみられる皮膚の細菌感染症です。

名前のとおり、昔は「火事の飛び火のように広がる」ことから「とびひ」と呼ばれるようになりました。

しかし、正しく治療すればほとんどのお子さんは良くなります。

この記事では、とびひの原因や症状、受診の目安について、小児科医の立場からわかりやすくご説明します。

とびひとは?

とびひは、皮膚に細菌が感染して起こる病気です。

子どもの皮膚は大人より薄く、虫刺されや湿疹、あせも、鼻の下のただれなどをかき壊しやすいため、そこから細菌が入り込んで感染します。

原因となる細菌は主に次の2種類です。

  • 黄色ブドウ球菌
  • A群溶血性レンサ球菌(溶連菌)

これらは健康な人の皮膚や鼻の中にも存在することがある細菌ですが、皮膚のバリア機能が壊れることで感染を起こします。

特に夏は汗をかきやすく、虫刺されも増えるため、とびひが多くみられる季節です。

なぜ子どもはとびひになりやすいの?

保護者の方から

「うちの子だけ何度もなるのですが…」

と相談されることがあります。

実は、とびひは珍しい病気ではありません。

子どもがかかりやすい理由には次のような特徴があります。

① 皮膚が薄く傷つきやすい

子どもの皮膚は大人より未熟で、少し掻いただけでも傷ができます。

そこから細菌が侵入します。

② かゆみを我慢できない

虫刺され

あせも

湿疹

アトピー性皮膚炎

などがあると、どうしても掻いてしまいます。

掻くことで細菌が周囲へ広がり、新しい場所にも感染してしまいます。

③ 汗をかきやすい

汗で皮膚がふやけると、細菌が増えやすくなります。

そのため、夏場はとびひが特に増える季節です。

とびひの症状

とびひには大きく2つのタイプがあります。

水ぶくれができるタイプ(水疱性膿痂疹)

乳幼児に最も多いタイプです。

最初は小さな赤みができ、

その後

  • 水ぶくれ
  • 水疱が破れる
  • ジュクジュクする
  • 黄色いかさぶたになる

という経過をたどります。

水ぶくれの中には細菌が多く含まれているため、触った手で他の場所を掻くと、新しい発疹が次々に増えていきます。

かさぶたが厚くなるタイプ(痂皮性膿痂疹)

こちらは年長児にやや多いタイプです。

  • 赤く腫れる
  • 厚い黄色〜茶色のかさぶた
  • 強い痛み
  • 発熱

などを伴うことがあります。

原因として溶連菌が関係することもあります。

とびひはどこにできる?

とびひは全身どこにでもできますが、特によくみられる場所があります。

  • 顔(口や鼻の周り)
  • あご
  • 肘や膝
  • おしり

鼻水で鼻の下がただれているお子さんや、虫刺されを掻いた場所から始まることが非常に多くみられます。

保護者の方からよくあるご相談

診療中によく聞かれる質問をご紹介します。

「虫刺されだと思っていました」

最初は虫刺されと区別がつきにくいことがあります。

しかし、

  • 水ぶくれができる
  • ジュクジュクしてくる
  • 黄色いかさぶたになる
  • 周囲へどんどん広がる

このような変化があれば、とびひの可能性があります。

「市販薬を塗ったら広がりました」

かゆみ止めだけでは細菌感染は治りません。

抗菌薬による治療が必要になることがあります。

症状が広がる前に受診することをおすすめします。

「兄弟にも広がりそうで心配です」

とびひ自体は空気感染する病気ではありません。

しかし、

  • 手で触る
  • タオルを共用する
  • 爪で掻く

ことで細菌が広がることがあります。

家族みんなで手洗いを心がけ、タオルや衣類は共用しないようにしましょう。

小児科で実際によくあるケース

当院では「虫刺されだと思っていた」「あせもだと思って様子を見ていた」という理由で受診され、とびひと診断されるお子さんが少なくありません。

特にアトピー性皮膚炎や湿疹があるお子さんでは、皮膚のバリア機能が低下しているため、とびひを繰り返しやすい傾向があります。

一方で、とびひと思って受診されたものの、実際にはヘルペス感染症や湿疹、接触皮膚炎など別の病気であることもあります。

見た目だけでは判断が難しいこともあるため、自己判断で長く様子を見るよりも、早めに小児科や皮膚科で診察を受けることが大切です。

とびひはどのように診断するの?

多くの場合は、発疹の見た目や広がり方、経過を確認することで診断できます。

通常は特別な検査は必要ありません。

ただし、

  • 何度も繰り返す
  • 症状が非常に強い
  • 治療しても改善しない
  • 他の病気との区別が必要

といった場合には、細菌培養検査などを行うことがあります。

家庭でできるケア

ご家庭では次のことを心がけましょう。

  • 石けんでやさしく洗い、皮膚を清潔に保つ
  • 爪を短く切る
  • できるだけ掻かないようにする
  • 汗をかいたら着替える
  • タオルや衣類は家族で共用しない
  • 水ぶくれは自分でつぶさない

皮膚を清潔に保つことは大切ですが、ゴシゴシこする必要はありません。やさしく洗い、清潔なタオルで水分を押さえるように拭き取りましょう。

こんなときは早めに小児科を受診してください

次のような場合は、早めの受診をおすすめします。

  • 水ぶくれや黄色いかさぶたが増えてきた
  • ジュクジュクした発疹が広がっている
  • 痛みや腫れが強い
  • 発熱を伴う
  • 顔やまぶたの近くにできている
  • 市販薬を使っても改善しない
  • アトピー性皮膚炎があり悪化している
  • 生後間もない赤ちゃんに発疹がある

早期に適切な治療を始めることで、症状の広がりや家族への感染リスクを抑えやすくなります。

とびひの治療

とびひは細菌による感染症であるため、症状の程度に応じて抗菌薬(抗生物質)を使って治療します。

治療の基本は、

  • 皮膚を清潔に保つ
  • 必要に応じて抗菌薬を使用する
  • 掻き壊さないようにする

この3つです。

多くのお子さんは適切な治療を始めることで数日以内に広がりが止まり、1〜2週間ほどで改善します。

塗り薬だけで治ることもあります

発疹が少なく、範囲が限られている場合は、抗菌薬の塗り薬だけで改善することがあります。

まず患部を石けんでやさしく洗い、十分に乾かした後に処方された塗り薬を使用します。

自己判断で市販のかゆみ止めやステロイド外用薬だけを使うと、細菌感染が改善せず悪化することもあります。自己判断ではなく、医師の診察を受けて適切な治療を受けることが大切です。

飲み薬が必要になることもあります

次のような場合には、抗菌薬の飲み薬を併用することがあります。

  • 発疹が全身に広がっている
  • 発熱を伴う
  • 赤みや腫れが強い
  • 痛みが強い
  • 塗り薬だけでは改善しない

症状が改善してきても、医師から指示された期間は最後まで飲み切ることが大切です。

途中でやめると細菌が残り、再発することがあります。

ガーゼで覆ったほうがいい?

「ガーゼを貼った方がいいですか?」

これは診療中によくいただく質問です。

ジュクジュクしている部分や、お子さんが無意識に掻いてしまう場所では、ガーゼで軽く覆うことで細菌の広がりを防ぎやすくなります。

ただし、強く密閉すると蒸れて悪化することがあります。

ガーゼは毎日交換し、皮膚を清潔に保つことが大切です。

プールに入っても大丈夫?

保護者の方から最も多くいただく質問の一つが、「とびひになったらプールに入れますか?」というものです。

とびひは、学校保健安全法でプールを一律に禁止する病気ではありません。

また、現在ではプールの水そのものによって感染が広がる可能性は低いと考えられています。

一方で、水ぶくれやジュクジュクした病変には細菌が含まれているため、患部への直接の接触や、タオル・ビート板などの共用によって感染が広がる可能性があります。

そのため、プールへの参加は、皮膚の状態や病変の範囲、施設(保育園・幼稚園・学校・スイミングスクール)のルールなどを踏まえ、主治医と相談しながら個別に判断することが大切です。

症状が改善し、新しい発疹がみられず、患部を適切に保護できる状態であれば、プールを再開できることもあります。

判断に迷う場合は、通園・通学先のルールを確認するとともに、受診時にお気軽にご相談ください。

保育園・幼稚園・学校はいつから行ける?

とびひは学校保健安全法による出席停止の対象ではありません。

適切な治療を開始し、患部をガーゼなどで覆うことができ、全身状態が良ければ登園・登校できる場合が多いとされています。

ただし、

  • 発疹が広範囲にある
  • ジュクジュクした病変が多く覆うことが難しい
  • 発熱など全身症状がある

場合には、症状が落ち着くまでお休みをおすすめすることがあります。

施設によって対応が異なる場合がありますので、園や学校のルールも確認しましょう。

とびひを予防するには?

完全に予防することは難しい病気ですが、日頃のスキンケアで発症リスクを減らすことができます。

虫刺されを早めに治療する

虫刺されを掻き壊すことが、とびひのきっかけになることは少なくありません。

かゆみが強い場合は早めに治療しましょう。

爪を短く切る

長い爪は皮膚を傷つけやすく、細菌を広げる原因になります。

汗をかいたら着替える

汗をそのままにすると皮膚がふやけ、細菌が増えやすくなります。

夏場はシャワーや着替えを上手に取り入れましょう。

アトピー性皮膚炎や湿疹をしっかり治療する

皮膚のバリア機能を整えることは、とびひの予防にもつながります。

湿疹を「少しだから」と放置せず、早めに治療することが大切です。

小児科医から保護者の方へ

診療をしていると、

「もう少し様子を見ようと思っていました。」

という保護者の方が多くいらっしゃいます。

もちろん、すべての発疹ですぐに受診が必要というわけではありません。

しかし、とびひは早い段階で治療を始めることで広がりを防ぎやすく、ご本人だけでなく兄弟や周囲のお子さんへの感染予防にもつながります。

当院では、とびひと思って受診されたお子さんが、実際には虫刺されやあせも、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、ヘルペス感染症など別の病気だったケースも少なくありません。

皮膚の病気は見た目が似ていることが多いため、「とびひかもしれない」と思ったら、自己判断せずお気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

Q. とびひはうつりますか?

はい。患部に触れた手やタオルなどを介してうつることがあります。

空気感染はしませんが、手洗いやタオルの共用を避けることが大切です。

Q. お風呂に入っても大丈夫ですか?

基本的には入浴できます。

石けんでやさしく洗い、患部を清潔に保つことが治療にもつながります。

家族で入浴する場合は、最後に入るようにすると安心です。

Q. 市販薬だけで治りますか?

軽い虫刺されであれば市販薬が役立つこともありますが、とびひは細菌感染です。

抗菌薬が必要になることも多いため、自己判断で治療を続けず、小児科や皮膚科を受診しましょう。

Q. とびひでもプールには入れますか?

とびひは、学校保健安全法でプールを一律に禁止する病気ではありません。

プールの水を介して感染が広がる可能性は低いと考えられていますが、水ぶくれやジュクジュクした病変には細菌が含まれているため、患部への接触やタオルなどを介して感染する可能性があります。

プールへの参加は、病変の状態や施設のルールを踏まえ、主治医と相談して判断することが望ましいとされています。不安な場合は、診察時にお気軽にご相談ください。

Q. 兄弟にうつらないようにするには?

  • 手洗いをしっかり行う
  • タオルや衣類を共用しない
  • 爪を短くする
  • 発疹を掻かないようにする

この4つが大切です。

横浜市・みなとみらいでお子さんのとびひでお困りの方へ

とびひは早めに治療を始めることで、症状の悪化や周囲への感染を防ぎやすい病気です。

みなとみらい小児科クリニックでは、お子さんの皮膚の状態を丁寧に診察し、とびひだけでなく、虫刺されやあせも、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎など、見た目が似ている皮膚疾患との鑑別も行っています。

また、ご家庭でのスキンケアや塗り薬の使い方、兄弟への感染予防、登園・登校やプール参加の目安についても、一人ひとりの症状に合わせてわかりやすくご説明しています。

「とびひかもしれない」「なかなか治らない」「繰り返してしまう」など、ご心配なことがありましたら、お気軽にご相談ください。

まとめ

とびひは、子どもによくみられる細菌による皮膚感染症です。

早めに適切な治療を始めることで、多くは1〜2週間ほどで改善します。

虫刺されや湿疹、あせもなどを掻き壊さないようにすることや、毎日のスキンケアで皮膚のバリア機能を保つことが予防につながります。

また、プールや登園・登校については一律の基準ではなく、症状や施設のルールを踏まえて個別に判断することが大切です。

症状が広がっている場合や、ジュクジュクした発疹、黄色いかさぶた、水ぶくれがみられる場合には、早めに小児科を受診しましょう。

※参考資料のリストはそのままで問題ありません。今回の修正内容は、日本皮膚科学会、日本小児皮膚科学会、学校保健安全法および学校感染症関連資料の考え方と整合した内容になっています。

RSウイルス(RSV)は、乳幼児にとても多い呼吸器の感染症です。2歳までにほとんどのお子さんが一度は感染するといわれています。

多くは風邪のような症状で自然に良くなりますが、生後6か月未満の赤ちゃんでは細気管支炎や肺炎を起こし、入院が必要になることもあります。特に小さな赤ちゃんでは、呼吸の様子をよく観察することが大切です。

参考資料

本記事は、以下の公的機関・学会および診療ガイドラインを参考に作成しています。

行政機関

  • 厚生労働省「感染症に関する情報」
  • 厚生労働省「学校において予防すべき感染症」
  • 文部科学省「学校において予防すべき感染症の解説」
  • 国立健康危機管理研究機構(JIHS)感染症情報(旧 国立感染症研究所)

小児・感染症関連学会

  • 日本小児科学会
  • 日本小児感染症学会
  • 日本外来小児科学会
  • 日本小児科医会

皮膚科関連学会

  • 日本皮膚科学会「伝染性膿痂疹(とびひ)」
  • 日本皮膚科学会『皮膚感染症診療ガイドライン』
  • 日本小児皮膚科学会
  • 日本臨床皮膚科医会

診療ガイドライン・専門書

  • 『皮膚感染症診療ガイドライン』(日本皮膚科学会)
  • 『今日の治療指針』
  • 『ネルソン小児科学(Nelson Textbook of Pediatrics)』
  • UpToDate「Impetigo」
  • DermNet NZ「Impetigo」

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック

突発性発疹

子どもの突発性発疹とは?高熱のあとに発疹が出る病気を小児科医がわかりやすく解説【前編】

メタディスクリプション(約120文字)

子どもの突発性発疹は、生後6か月〜2歳頃に多いウイルス感染症です。突然の高熱と、熱が下がった後に現れる発疹が特徴です。原因や症状、皮膚所見、診断について、小児科医が保護者の方にわかりやすく解説します。

子どもの突然の高熱でお困りの保護者の方へ

「39〜40℃の熱が急に出た…」
「熱は高いのに意外と元気で大丈夫?」
「熱が下がったら赤い発疹が出てきた」
「薬のアレルギーではないか心配」

このような症状がある場合、突発性発疹かもしれません。

突発性発疹は、生後6か月〜2歳頃のお子さんによくみられるウイルス感染症です。高熱が3〜5日続き、その後に発疹が現れることが最大の特徴で、多くのお子さんは後遺症なく自然に回復します。

一方で、高熱の原因には川崎病や尿路感染症など治療が必要な病気が隠れていることもあり、高熱によって熱性けいれんを起こすこともあります。

この記事では、突発性発疹の原因や症状、特徴的な皮膚所見、診断についてわかりやすくご説明します。

突発性発疹とは?

突発性発疹(Roseola infantum)は、**ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)またはヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)**による感染症です。

多くのお子さんが2歳までに一度は感染するといわれており、生まれて初めて感染することで発症します。

生後6か月頃までは、お母さんから受け継いだ免疫の影響で感染しにくいとされていますが、その後は徐々に感染しやすくなります。

原因

原因はHHV-6またはHHV-7への初感染です。

感染した人の唾液などを介して感染すると考えられており、家族からうつることも少なくありません。

保育園や幼稚園で感染することもありますが、多くのお子さんが乳幼児期に自然に免疫を獲得します。

主な症状

突発性発疹では、次のような経過をたどることが多くあります。

① 突然の高熱

38.5〜40℃前後の高熱が突然出ます。

熱は3〜5日ほど続きますが、高熱のわりに比較的元気なお子さんも多く、「熱は高いけれど遊ぼうとする」ということも珍しくありません。

一方で、

  • 食欲が落ちる
  • 水分をあまり飲まない
  • 機嫌が悪くなる

といった症状がみられることもあります。

② 熱が下がると発疹が出る

突発性発疹で最も特徴的なのは、

「高熱が下がったあとに発疹が出る」

という経過です。

この特徴が、麻疹や風疹など他の発疹性疾患との大きな違いになります。

③ 不機嫌になることが多い

熱が下がって安心した頃に、

「急に機嫌が悪くなった」
「ずっと抱っこを求める」

というお子さんも少なくありません。

これは突発性発疹でよくみられる症状で、多くは数日で改善します。

突発性発疹の皮膚所見の特徴

突発性発疹の発疹には、小児科医が診断の参考にする特徴があります。

① 高熱が下がってから出現する

最も特徴的なのは、

「3〜5日続いた高熱が下がる頃に発疹が出現する」

という経過です。

熱が下がってから発疹が現れることが、麻疹や風疹など他の発疹性疾患との大きな違いです。

② 体幹から始まる

発疹はまず

  • お腹
  • 背中

などの体幹に現れます。

その後、

  • 太もも

へ広がることがあります。

手のひらや足の裏に出ることはまれです。

③ 淡いピンク色の発疹

発疹は

淡いピンク色〜薄い赤色

で、強い赤みはありません。

④ 細かい紅斑・丘疹

発疹は医学的には

「紅斑」あるいは「紅色丘疹」

と呼ばれます。

特徴は

  • 2〜5mm程度
  • 丸いものが多い
  • 境界がやや不明瞭
  • 少し盛り上がることがある

ことです。

⑤ 発疹がつながって見えることも

発疹が密集すると、一部が融合して見えることがあります。

ただし、麻疹のように強く融合することは少なく、全体として淡い印象です。

⑥ 水ぶくれや膿はできない

突発性発疹では

  • 水ぶくれ
  • かさぶた

は通常みられません。

⑦ かゆみはほとんどない

多くのお子さんは発疹をかゆがらず、掻き壊すこともほとんどありません。

⑧ 数日で自然に消える

発疹は通常1〜3日ほどで自然に薄くなり、跡を残さず消えていきます。

他の発疹との違い

病気発疹が出る時期発疹の特徴突発性発疹解熱後体幹から始まる淡い紅斑・丘疹麻疹高熱が続く中顔から始まり全身へ広がり、濃い赤色で融合しやすい風疹発熱とほぼ同時顔から始まる細かい淡紅色発疹手足口病発熱と同時〜翌日手足・口に水ぶくれができる水痘発熱と同時赤い発疹が水ぶくれになり、かさぶたへ変化する

診断

突発性発疹は、

「発熱 → 解熱 → 発疹」

という特徴的な経過と診察所見から診断します。

発疹そのものだけで診断するのではなく、高熱の経過が非常に重要です。

通常は血液検査やウイルス検査は必要ありません。

ただし、

  • 高熱が5日以上続く
  • 発疹の特徴が典型的ではない
  • 元気が極端にない
  • 川崎病や尿路感染症などが疑われる

場合には、血液検査や尿検査、画像検査などを追加することがあります。

突発性発疹の治療

特効薬はありません

突発性発疹はウイルス感染症のため、原因となるウイルスを治す特別な薬はありません。

そのため治療は、

「お子さんが楽に過ごせるよう症状を和らげながら自然に治るのを待つ」

ことが基本になります。

ほとんどのお子さんは1週間ほどで元気になります。

解熱剤は使ってもいい?

保護者の方から最も多い質問の一つです。

高熱があっても、

  • 水分が飲める
  • 比較的元気がある
  • 眠れている

のであれば、必ずしも解熱剤を使う必要はありません。

一方、

  • 熱で眠れない
  • とてもつらそう
  • 水分が飲めない
  • 泣き続けている

ような場合には、小児科で処方されたアセトアミノフェンを使用することがあります。

解熱剤は病気を早く治す薬ではなく、お子さんを少しでも楽にするためのお薬です。

家庭でできるケア

① 水分補給を最優先にしましょう

発熱すると汗をかき、水分が失われます。

脱水を防ぐため、

  • 母乳
  • ミルク
  • 麦茶
  • 経口補水液

などを少量ずつ、こまめに飲ませましょう。

一度にたくさん飲ませようとすると吐いてしまうことがあるため、スプーンや少量ずつの哺乳がおすすめです。

② 食事は無理をしなくて大丈夫

熱がある間は食欲が落ちることがよくあります。

無理に食べさせる必要はありません。

食べられそうなら、

  • おかゆ
  • うどん
  • バナナ
  • ヨーグルト
  • ゼリー

など消化のよいものから始めましょう。

数日食事量が少なくても、水分が十分に摂れていれば大きな問題になることはほとんどありません。

③ お風呂は入っていい?

「発疹が出たらお風呂はダメですか?」という質問もよくいただきます。

熱が高い間は無理をせず、体を拭くだけでも構いません。

熱が下がり、

  • 元気がある
  • 水分が飲める

ようであれば、短時間の入浴は問題ありません。

発疹があることだけを理由に入浴を控える必要はありません。

④ 発疹に薬は必要?

突発性発疹の発疹は、

  • かゆみが少ない
  • 数日で自然に消える

ため、多くの場合は塗り薬も必要ありません。

ただし、

  • 強いかゆみ
  • 水ぶくれ
  • ジュクジュクする

ような場合は、別の病気が隠れている可能性もあるため受診しましょう。

突発性発疹と熱性けいれん

突発性発疹は、

熱性けいれんの原因として最も多い病気の一つ

です。

高熱が急激に上がる時期に起こることが多く、多くは5分以内で自然に止まり、後遺症を残しません。

けいれんが起きたら、

  • あわてず横向きに寝かせる
  • 衣服をゆるめる
  • 口の中に物を入れない
  • けいれんの時間を確認する

ことが大切です。

突発性発疹と急性脳症

突発性発疹はほとんどが自然に治る病気ですが、

非常にまれに急性脳症を合併することがあります。

急性脳症とは、感染症をきっかけに脳の働きが急激に低下する重い病気です。

原因となるHHV-6は、乳幼児急性脳症の原因ウイルスの一つとして知られています。

ただし、突発性発疹のお子さんの大部分は急性脳症になることなく回復しますので、必要以上に心配する必要はありません。

熱性けいれんとの違い

熱性けいれんでは、

  • 数分以内に止まる
  • その後意識が戻る

ことがほとんどです。

一方、急性脳症では、

  • けいれんが5分以上続く
  • 何度も繰り返す
  • 意識が戻らない
  • 呼びかけても反応しない
  • ぼんやりして目が合わない

などの症状がみられます。

このような場合には、救急受診が必要です。

登園の目安

突発性発疹は、学校保健安全法で出席停止が定められている病気ではありません。

一般的には、

  • 熱が下がっている
  • 水分や食事がとれる
  • 普段どおり遊べる

ようになれば登園できます。

発疹が残っていても、全身状態が良ければ登園可能です。

ただし、保育園や幼稚園によっては独自の基準があるため、事前に確認すると安心です。

こんなときは小児科を受診しましょう

次のような症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。

  • 高熱が5日以上続く
  • 水分が飲めない
  • おしっこが少ない
  • 呼吸が苦しそう
  • 強い機嫌の悪さが続く
  • 発疹が紫色になる
  • 水ぶくれや強い痛みがある
  • 発疹が1週間以上続く

すぐに救急受診が必要な症状

以下の症状がある場合は、119番または救急外来を受診してください。

  • 生後3か月未満で38℃以上の発熱
  • けいれんが5分以上続く
  • けいれんを繰り返す
  • 意識が戻らない
  • 呼びかけへの反応が悪い
  • 水分がまったく飲めない
  • 呼吸が苦しそう
  • 顔色が悪い
  • ぐったりしている

小児科医から保護者の方へ

みなとみらい小児科クリニックでは、毎年多くの突発性発疹のお子さんを診療しています。

保護者の方からは、

「熱が下がったのに発疹が出て悪化したのでは?」
「薬の副作用ではありませんか?」
「熱は下がったのに機嫌が悪くて心配です。」

というご相談をよくいただきます。

しかし、熱が下がってから発疹が出ることや、一時的に機嫌が悪くなることは、突発性発疹では典型的な経過です。

一方で、高熱が続く病気の中には、川崎病や尿路感染症、肺炎など早期治療が必要な病気もあります。

私たちは、お子さんの診察だけでなく、「今は様子を見てよいのか」「すぐ受診すべきか」という保護者の方の不安にも寄り添うことを大切にしています。

「普段と様子が違う」「受診するか迷う」という時は、どうぞ遠慮なくご相談ください。

横浜市・みなとみらいでお子さんの発熱や発疹でお困りの方へ

みなとみらい小児科クリニックでは、突発性発疹をはじめ、発熱や発疹を伴う感染症の診療を行っています。

お子さん一人ひとりの症状に合わせて丁寧に診察し、ご家庭で安心して過ごせるようサポートいたします。高熱や発疹でご心配なことがありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。

今回の記事の内容(定義、原因、症状、診断、治療、受診の目安、登園の目安、急性脳症など)は、以下の公的機関・学会・標準的教科書の内容に基づいて作成しています。

参考文献・参考資料

行政機関

  • 厚生労働省
    • 保育所における感染症対策ガイドライン(2023年改訂版)
    • 子どもの感染症に関する情報
  • 国立健康危機管理研究機構(JIHS:旧 国立感染症研究所)
    • 突発性発しん(Roseola infantum)
    • IASR(感染症発生動向調査週報)HHV-6・HHV-7感染症に関する資料

学会

  • 日本小児科学会
    • 小児感染症に関する診療情報
    • 保護者向け感染症情報
  • 日本小児感染症学会
    • 小児感染症診療に関する資料
    • 小児ウイルス感染症に関する情報
  • 日本小児救急医学会
    • 熱性けいれん・発熱児の診療に関する資料
  • 日本小児神経学会
    • 熱性けいれん診療ガイドライン
    • 急性脳症診療に関する提言・診療情報
  • 日本小児科医会
    • 保護者向け感染症情報
    • 発熱時の対応について
  • 日本外来小児科学会
    • 小児感染症診療・保護者向け啓発資料

診療ガイドライン

  • 熱性けいれん診療ガイドライン 2023
    (日本小児神経学会 監修)
  • 小児感染症診療ガイドライン
    (日本小児感染症学会 関連資料)

教科書・専門書

  • Nelson Textbook of Pediatrics, 22nd Edition
    Elsevier
  • Red Book: 2024–2027 Report of the Committee on Infectious Diseases
    American Academy of Pediatrics
  • Feigin and Cherry’s Textbook of Pediatric Infectious Diseases
    Elsevier

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック

虫刺され

子どもの虫刺されとは?原因・症状・治療・受診の目安を小児科医がわかりやすく解説

子どもの虫刺されは、夏になると多くの保護者が悩む皮膚トラブルです。原因や症状、自宅でできるケア、受診の目安、虫よけの選び方まで、小児科医がわかりやすく解説します。

子どもの虫刺されでお困りの保護者の方へ

「蚊に刺されたところがパンパンに腫れてしまった…」

「何日もかゆがって眠れない…」

「掻きすぎてジュクジュクしてきた…」

「市販薬で様子を見ても大丈夫?」

夏になると、このようなご相談を受ける機会がとても増えます。

子どもの虫刺されは、多くの場合は数日で自然によくなる軽い皮膚の炎症です。

しかし、強いかゆみで掻き壊してしまうと「とびひ(伝染性膿痂疹)」などの細菌感染を起こし、治療が長引くことがあります。

また、一見虫刺されのように見えても、蜂窩織炎(ほうかしきえん)や皮膚感染症、アレルギー反応など別の病気が隠れていることもあります。

そのため、

  • 強く腫れる
  • 赤みがどんどん広がる
  • 膿が出る
  • 発熱を伴う

このような場合は、小児科で診察を受けることをおすすめします。

この記事では、小児科診療で実際によく相談される虫刺されについて、保護者の方にもわかりやすく解説します。

子どもの虫刺されとは?

虫刺されとは、蚊やダニ、ブヨ、ノミなどに刺されたり咬まれたりすることで起こる皮膚の炎症です。

虫が皮膚に注入する唾液や毒に対して、体の免疫が反応することで赤みやかゆみが起こります。

子どもは大人より皮膚が薄く、免疫反応も強く出やすいため、

  • 大きく腫れる
  • 赤くなる
  • 水ぶくれになる

ことも珍しくありません。

特に乳幼児では、蚊に刺されただけでも数cm以上腫れることがあり、保護者の方が驚いて受診されることも多くあります。

なぜ子どもは虫刺されがひどくなりやすいの?

子どもの虫刺されが目立ちやすい理由には、いくつかあります。

①皮膚が薄い

皮膚のバリア機能が未熟なため、炎症が強く出やすくなります。

②免疫反応が強い

虫の唾液に対して敏感に反応するため、大人よりも赤く腫れやすくなります。

③かゆみを我慢できない

子どもは無意識に掻いてしまいます。

特に寝ている間は気付かないうちに掻き壊してしまうことも少なくありません。

④夏は汗をかきやすい

汗で皮膚が刺激されると、さらにかゆみが強くなります。

夏に子どもを刺しやすい虫

症状

最も多い症状は

  • 赤い発疹
  • かゆみ
  • 軽い腫れ

です。

多くは数日で改善します。

しかし、以下のような症状が出ることもあります。

強く腫れる

子どもでは数cm以上腫れることがあります。

顔やまぶたでは特に目立ちます。

水ぶくれ

皮膚の反応が強いと水疱になることがあります。

熱感

触ると熱を持っていることがあります。

痛み

ブヨやハチでは痛みが強いことがあります。

掻き壊し

最も注意が必要なのが掻き壊しです。

掻き壊し(かきこわし)とは?

かゆみが強いと、子どもは何度も掻いてしまいます。

すると、

皮膚が傷つき

細菌が入り込み

炎症が悪化します。

これを掻き壊しといいます。

さらに黄色ブドウ球菌や溶連菌などが感染すると、

  • とびひ
  • 蜂窩織炎
  • 化膿

へ進行することがあります。

そのため、

「虫刺されそのもの」よりも、「掻き壊し」を防ぐことが治療ではとても大切です。

子どもの虫刺されでよくある保護者の心配

診療で実際によくいただく質問があります。

「こんなに腫れて大丈夫?」

蚊でも大きく腫れることは珍しくありません。

数日以内に改善してくれば心配ないことがほとんどです。

「毎年ひどく腫れる」

虫刺されに対する体質で強く反応するお子さんもいます。

早めに塗り薬を開始することで悪化を防げる場合があります。

「かゆくて眠れません」

睡眠不足になるほどのかゆみでは、飲み薬や炎症を抑える塗り薬が必要になることがあります。

「ジュクジュクしています」

細菌感染を起こしている可能性があります。

早めの受診をおすすめします。

小児科ではどんな診察をするの?

ほとんどの場合は診察だけで診断できます。

診察では

  • 発疹の場所
  • 腫れ方
  • 大きさ
  • 水ぶくれの有無
  • 熱感
  • 膿の有無
  • とびひになっていないか

などを確認します。

必要に応じて、

  • 細菌感染
  • アレルギー反応
  • 他の皮膚疾患

との区別を行います。

実は虫刺されではないこともあります

小児科では、「虫刺されだと思っていたら別の病気だった」というケースも少なくありません。

例えば、

  • とびひ
  • あせも
  • アトピー性皮膚炎
  • 接触皮膚炎
  • 蕁麻疹
  • 手足口病
  • 水痘
  • 毛虫皮膚炎

などが虫刺されに似て見えることがあります。

当院でも「虫刺されが治らない」と受診されたお子さんの中に、実際にはアトピー性皮膚炎やとびひ、汗疹などが見つかることがあります。

特に何日も治らない場合や、同じ場所を何度も繰り返す場合は、一度診察を受けることをおすすめします。

横浜市・みなとみらいで子どもの虫刺されにお困りなら

夏は、公園や保育園、幼稚園、キャンプや海水浴など、外で遊ぶ機会が増えるため、虫刺されで受診されるお子さんが多くなります。

一方で、「虫刺されだと思っていたら、とびひだった」「虫刺されではなく湿疹やアトピー性皮膚炎だった」というケースも少なくありません。

みなとみらい小児科クリニックでは、虫刺されの診療はもちろん、掻き壊しによる皮膚感染症、とびひ、湿疹、アレルギー性皮膚炎なども含めて総合的に診察しています。

お子さん一人ひとりの皮膚の状態に合わせて、かゆみを抑える治療だけでなく、ご家庭でのスキンケアや掻き壊しを防ぐ方法まで丁寧にご説明しています。

「ただの虫刺されかな?」と迷うような場合でも、お気軽にご相談ください。

子どもの虫刺されの治療

虫刺されの多くは数日から1週間程度で自然に改善します。

しかし、かゆみが強かったり、掻き壊してしまった場合には治療が必要になることがあります。

小児科では、お子さんの症状に合わせて次のような治療を行います。

炎症を抑える塗り薬

赤みや腫れ、かゆみが強い場合には、炎症を抑える塗り薬(ステロイド外用薬)を使用します。

「ステロイド」と聞くと心配される保護者の方もいらっしゃいますが、小児科では皮膚の状態や年齢に合わせて適切な強さのお薬を選び、必要な期間だけ使用します。

短期間、正しく使用することで、かゆみを早く抑え、掻き壊しを防ぐ効果が期待できます。

かゆみを抑える飲み薬

夜も眠れないほどかゆみが強い場合や、広い範囲に虫刺されがある場合には、抗ヒスタミン薬などの飲み薬を併用することがあります。

かゆみが軽減すると、お子さんが掻く回数も減り、治りが早くなることがあります。

細菌感染を起こした場合

掻き壊した部分に細菌が入り込むと、

  • とびひ(伝染性膿痂疹)
  • 蜂窩織炎(ほうかしきえん)

などになることがあります。

この場合は、

  • 抗菌薬の塗り薬
  • 抗菌薬の飲み薬

が必要になることがあります。

家庭でできるケア

虫刺されを悪化させないためには、ご家庭でのケアもとても大切です。

冷やす

刺された直後は、冷たいタオルや保冷剤(タオルで包む)で5~10分ほど冷やすと、

  • かゆみ
  • 腫れ
  • 熱感

が和らぐことがあります。

爪を短く切る

掻き壊しを防ぐためには、爪を短く整えておくことが大切です。

寝ている間に無意識に掻いてしまうお子さんも多いため、こまめに爪を切りましょう。

清潔を保つ

汗や汚れが付いたままだと、かゆみが強くなることがあります。

汗をかいた後はシャワーで流したり、濡れたタオルで優しく拭いたりしましょう。

保湿を続ける

皮膚が乾燥すると、かゆみが強くなります。

普段から保湿剤で皮膚のバリア機能を保つことも、虫刺されの悪化予防につながります。

市販薬は使っても大丈夫?

軽い虫刺されであれば、市販薬で改善することもあります。

かゆみ止めや抗ヒスタミン成分、弱いステロイドを含む塗り薬が販売されています。

ただし、

  • 何日も治らない
  • 赤みが広がる
  • 膿が出ている
  • 水ぶくれが大きい
  • 強く腫れている

場合は、市販薬だけで様子を見るのではなく、小児科を受診しましょう。

また、自己判断で何種類もの塗り薬を重ねて使用することはおすすめできません。

虫よけは必要?

夏の虫刺されは、予防が何より大切です。

虫よけ剤を上手に使うことで、多くの虫刺されを防ぐことができます。

子どもの虫よけ剤の選び方

現在、日本で広く使用されている虫よけ成分は主に2種類です。成分特徴DEET(ディート)効果が高く、多くの虫に有効です。年齢に応じた使用回数や濃度を守って使用します。イカリジン年齢による使用回数の制限がなく、刺激が少ないため、小さなお子さんにも使いやすい成分です。

近年は、小さなお子さんにはイカリジン配合製品を選ばれるご家庭も増えています。

使用する際は、製品の説明書に従い、年齢や使用方法を守ることが大切です。

虫よけ剤の上手な使い方

虫よけ剤だけでは100%虫刺されを防ぐことはできません。

次のような工夫も効果的です。

  • 長袖・長ズボンを着る
  • 白や薄い色の服を選ぶ
  • 草むらに長時間入らない
  • 水たまりの近くでは注意する
  • 外遊びの前に虫よけを塗る
  • 汗をかいたら必要に応じて塗り直す

帽子をかぶることも、頭や顔への虫刺され予防に役立ちます。

こんなときは小児科を受診してください

次のような症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。

  • 腫れがどんどん広がる
  • 強い痛みがある
  • 膿が出ている
  • 発熱を伴う
  • 顔やまぶたが大きく腫れている
  • 水ぶくれが増えている
  • 数日たっても改善しない
  • 何度も同じような症状を繰り返す

また、ハチに刺されたあとに、

  • 息苦しい
  • 声がかれる
  • 全身にじんましんが出る
  • 顔色が悪い
  • 意識がぼんやりする

などの症状がある場合は、アナフィラキシーの可能性があります。

この場合は迷わず救急車を呼び、速やかに救急医療機関を受診してください。

小児科医から保護者の方へ

虫刺されは、「そのうち治るだろう」と様子を見られることが多い病気です。

しかし実際には、虫刺されそのものよりも、掻き壊しによる細菌感染で受診されるお子さんが非常に多くいらっしゃいます。

当院でも、「虫刺されだと思っていたら、とびひだった」「湿疹やアトピー性皮膚炎が隠れていた」というケースは少なくありません。

特に、

  • かゆみが強い
  • 夜眠れない
  • 掻き壊してしまう

という場合は、早めに炎症を抑えることで悪化を防げることが少なくありません。

「まだ病院に行くほどではないかな」と迷われる段階でも、お気軽にご相談ください。

横浜市・みなとみらいで子どもの虫刺れにお困りなら

みなとみらい小児科クリニックでは、子どもの虫刺されをはじめ、

  • とびひ
  • あせも
  • 湿疹
  • アトピー性皮膚炎
  • 蕁麻疹
  • 接触皮膚炎

など、さまざまな皮膚トラブルの診療を行っています。

虫刺されは、適切な治療を早めに始めることで、かゆみや腫れを軽減し、掻き壊しや細菌感染を防げることがあります。

お子さんの皮膚の状態を丁寧に診察し、ご家庭でのスキンケアや虫よけの方法も含めてわかりやすくご説明いたします。

横浜市・みなとみらい周辺で、お子さんの虫刺されや皮膚トラブルでお困りの際は、お気軽にみなとみらい小児科クリニックへご相談ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 虫刺されはうつりますか?

虫刺され自体はうつりません。

ただし、掻き壊して「とびひ」になると、細菌が他の部位や兄弟姉妹に広がることがあります。

Q. プールに入っても大丈夫ですか?

軽い虫刺されだけであれば、基本的にはプールに入ることができます。

ただし、掻き壊して出血している場合や、とびひを伴う場合は治るまで控えましょう。

Q. お風呂には入ってもいいですか?

入浴は問題ありません。

皮膚を清潔に保つことは、細菌感染の予防にもつながります。

熱いお湯はかゆみが強くなることがあるため、ぬるめのお湯がおすすめです。

Q. ステロイドの塗り薬は使っても大丈夫ですか?

適切な強さ・量・期間で使用すれば、安全性が高く、炎症やかゆみを早く改善できます。

自己判断で長期間使用せず、医師の指示に従って使用しましょう。

Q. 虫よけは毎日使っても大丈夫ですか?

年齢や製品の使用方法を守れば、毎日の外遊びや通園時にも使用できます。

特に虫が多い季節には、虫刺され予防として有効です。

参考資料

本記事は、以下の公的機関・学会・診療ガイドラインなどを参考に作成しています。

行政機関

  • 厚生労働省
  • 国立健康危機管理研究機構(JIHS:旧 国立感染症研究所)

学会・関連団体

  • 日本小児科学会
  • 日本皮膚科学会
  • 日本小児皮膚科学会
  • 日本小児アレルギー学会
  • 日本小児感染症学会
  • 日本小児救急医学会
  • 日本外来小児科学会

診療ガイドライン・参考資料

日本小児科学会 保護者向け啓発資料

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024

日本皮膚科学会「虫刺症診療に関する資料」

日本環境感染学会 感染対策に関する資料

厚生労働省「蚊媒介感染症に関するQ&A」

  • 子どもの虫刺されの治療
  • 家庭でできるケア
  • 市販薬は使ってよい?
  • 虫よけ剤(DEET・イカリジン)の選び方と使い方
  • 虫に刺されにくくする予防法
  • 小児科を受診する目安
  • よくある質問(FAQ)
  • 関連記事(スキンケア・とびひ・あせも・保湿剤・ステロイド)

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

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