
HPVワクチンとは?副反応は大丈夫?女の子・男の子は受けるべき?小児科医がわかりやすく解説
HPVワクチンは子宮頸がんだけでなく、男女のHPV関連疾患を予防できるワクチンです。接種する年齢や効果、副反応、安全性について、厚生労働省や日本小児科学会などの信頼できる情報をもとに、小児科医がわかりやすく解説します。
子どものHPVワクチンで迷っている保護者の方へ
HPVワクチンは、子宮頸がんをはじめとするHPV(ヒトパピローマウイルス)関連疾患を予防するワクチンです。現在は、女の子だけでなく男の子にも接種が推奨されています。副反応が心配で迷われる方も多いと思いますが、国内外で有効性と安全性を評価する多くの研究が行われています。不安な点は、正しい情報をもとに医師と相談しながら判断することが大切です。
「副反応が心配…」
「昔ニュースになっていたけれど、本当に安全なの?」
「子どもに受けさせた方がいいの?」
「男の子も受ける必要があるの?」
診療でも、このようなご相談を数多くいただきます。
HPVワクチンは、お子さんが将来かかる可能性のあるがんや病気を予防するためのワクチンです。一方で、過去の報道などをきっかけに不安を感じ、接種を迷われている保護者の方も少なくありません。
この記事では、厚生労働省、日本小児科学会などの信頼できる資料をもとに、HPVワクチンの基礎知識や効果、副反応、安全性について、小児科医の立場からわかりやすく解説します。
HPVワクチンとは?
HPVワクチンは、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を予防するワクチンです。
HPVは非常にありふれたウイルスで、生涯のうち約80%の人が一度は感染すると考えられています。
感染しても多くの場合は自然に排除されますが、一部では感染が長期間続き、数年から数十年かけてがんなどの病気を引き起こすことがあります。
現在日本で主に使用されている**9価HPVワクチン(シルガード®9)**は、将来のHPV関連疾患を予防することを目的としています。
HPVが関係する病気
HPVは女性だけの病気ではありません。男女ともにさまざまな病気との関連が知られています。
女の子では
- 子宮頸がん
- 子宮頸部前がん病変(高度異形成)
- 外陰がん
- 腟がん
男の子では
- 中咽頭がん
- 肛門がん
- 陰茎がん
男女ともに
- 尖圭コンジローマ
このように、HPVワクチンは将来のがんやHPV関連疾患を予防するためのワクチンです。
なぜ子どものうちに接種するの?
「まだ子どもなのに、こんなに早く接種する必要があるの?」
これは保護者の方から最も多くいただく質問の一つです。
HPVワクチンは、HPVに感染する前に接種することで最も高い予防効果が期待できます。
そのため、日本だけでなく世界各国でも、小学生から中学生の時期に接種することが推奨されています。
「早すぎる」のではなく、最も効果が期待できるタイミングに接種するという考え方です。
女の子も男の子も接種できます
2026年現在、9価HPVワクチン(シルガード®9)は9歳以上の男女が接種できます。項目女の子男の子接種できる年齢9歳以上9歳以上定期接種小学6年生〜高校1年生相当全国一律の定期接種ではありません※推奨される接種時期中学1年生頃11〜12歳頃(HPV感染前)接種回数(15歳未満で開始)2回2回接種回数(15歳以上で開始)3回3回期待できる主な予防効果子宮頸がん、前がん病変、外陰がん、腟がんなど中咽頭がん、肛門がん、陰茎がん、尖圭コンジローマなど日本小児科学会の考え方接種を推奨接種を推奨
※男の子への公費助成は自治体によって異なります。助成制度の有無や対象年齢は、お住まいの自治体へご確認ください。
保護者の方に知っていただきたいポイント
- 男女とも9歳以上から接種できます。
- 15歳未満で接種を開始した場合は、男女とも2回接種で完了します。
- HPVに感染する前に接種することで、最も高い予防効果が期待できます。
- 日本小児科学会は、女の子だけでなく男の子へのHPVワクチン接種も推奨しています。
男の子も接種するメリットがあります
以前は「HPVワクチンは女の子が受けるもの」というイメージが一般的でした。
しかし現在では、男の子自身もHPVによる病気を予防できることがわかっています。
また、男女ともに接種が広がることで、社会全体のHPV感染を減らすことにもつながると期待されています。
近年は「息子にも受けさせた方がいいですか?」というご相談も増えており、日本小児科学会も男女への接種を推奨しています。
HPVワクチンで予防できる病気
現在、日本で主に使用されている**9価HPVワクチン(シルガード®9)**は、9種類のHPV型に対する免疫をつくるワクチンです。
これらのHPV型は、子宮頸がんをはじめとする多くのHPV関連疾患の原因となります。
ワクチンを接種することで、次のような病気の発症リスクを減らせることが期待されています。
女の子では
- 子宮頸がん
- 子宮頸部前がん病変(高度異形成)
- 外陰がん
- 腟がん
男の子では
- 中咽頭がん
- 肛門がん
- 陰茎がん
男女ともに
- 尖圭コンジローマ
HPVワクチンは、将来のがんを予防することを目的とした数少ないワクチンの一つです。
HPVワクチンの効果
HPVワクチンは感染を予防するワクチンです。
そのため、すでに感染しているHPVを治療したり、病気を治したりする効果はありません。
一方で、HPVに感染する前に接種すると、高い予防効果が期待できます。
国内外で行われた大規模な研究では、HPVワクチンの普及により、
- HPV感染
- 子宮頸部前がん病変
- 子宮頸がん
が大きく減少したことが報告されています。
9価HPVワクチンは、子宮頸がんの原因となるHPV型の約80~90%をカバーするとされており、将来のがん予防に大きく貢献すると期待されています。
ただし、すべての子宮頸がんを予防できるわけではありません。
そのため、将来はワクチンを接種していても子宮頸がん検診を受けることが大切です。
副反応は大丈夫?
HPVワクチンについて、保護者の方が最も心配されるのが副反応です。
まず知っていただきたいのは、HPVワクチンに限らず、すべてのワクチンには副反応が起こる可能性があります。
ただし、その多くは一時的で自然に改善します。
比較的よくみられる副反応
- 接種した腕の痛み
- 腫れ
- 赤み
- 腕の動かしにくさ
- 頭痛
- 倦怠感(だるさ)
- 軽い発熱
- 筋肉痛
これらは通常、数日以内に軽快することがほとんどです。
接種後に気分が悪くなることがあります
HPVワクチンでは、接種時の緊張や痛みによって迷走神経反射が起こることがあります。
これはHPVワクチン特有のものではなく、採血や他の予防接種でもみられる反応です。
症状としては、
- めまい
- 顔面蒼白
- 冷や汗
- 吐き気
- 一時的な失神
などがあります。
そのため、接種後は15~30分程度院内で座って安静にし、体調を確認してから帰宅することが勧められています。
過去に報道された「多様な症状」について
HPVワクチンについて調べると、過去の報道を見て不安になる保護者の方も多いと思います。
2013年(平成25年)、HPVワクチン接種後に
- 全身の痛み
- 手足の動かしにくさ
- 強い疲労感
- 学校生活への支障
などの症状を訴える方が報道され、大きな社会的関心を集めました。
その後、日本だけでなく世界各国で、多くの研究や大規模な調査が行われました。
現在までの研究では、
HPVワクチンを接種した人だけで、このような症状が増えることを示す科学的根拠は確認されていません。
この結果を踏まえ、厚生労働省、日本小児科学会、世界保健機関(WHO)などは、HPVワクチンの有効性と安全性を評価し、接種を推奨しています。
一方で、接種後に体調の変化を感じる方がおられることも事実です。
そのため現在は、接種後に気になる症状が続く場合には、専門の協力医療機関で診察や相談を受けられる体制が整えられています。
大切なのは、「症状があるのに我慢する」のでも、「ワクチンが原因と決めつける」のでもなく、症状が続く場合には医療機関へ相談することです。
HPVワクチンは何歳で受けるの?
**HPVワクチンは、HPVに感染する前に接種することで最も高い予防効果が期待できます。**そのため、対象年齢になったら早めに接種を検討することが大切です。
現在、日本で主に使用されている**9価HPVワクチン(シルガード®9)**は、9歳以上の男女が接種できます。
女の子
女の子は
小学6年生〜高校1年生相当
が定期接種の対象です。
標準的な接種時期は中学1年生とされています。
男の子
男の子も9歳以上から接種できます。
日本小児科学会は、男の子についてもHPVワクチン接種を推奨しています。
現在は全国一律の定期接種ではありませんが、自治体によっては公費助成を実施している地域もあります。
接種回数とスケジュール
接種回数は男女共通で、接種を開始する年齢によって異なります。接種開始年齢接種回数標準的なスケジュール15歳未満2回1回目、6〜12か月後に2回目15歳以上3回1回目、2か月後、6か月後
15歳未満では免疫応答が高いため、2回接種で十分な予防効果が期待できます。
途中で接種間隔が空いてしまった場合でも、最初からやり直す必要はありません。医師と相談しながら残りの接種を進めることができます。
接種当日の注意点
安心して接種を受けるために、当日は次の点を心がけましょう。
- 十分な睡眠をとる
- 朝食や昼食をしっかり食べる
- 水分を十分にとる
- 肩を出しやすい服装で来院する
接種後は15〜30分程度院内で安静にし、体調を確認してから帰宅します。
当日は、
- 激しい運動
- 長時間の立ち仕事
- 脱水
は避けると安心です。
入浴は体調に問題がなければ可能です。
副反応が出たときはどうする?
接種後によくみられる
- 腕の痛み
- 腫れ
- 赤み
- 軽い発熱
- 頭痛
などは、多くの場合、数日以内に自然に改善します。
腕が痛いときは無理に動かさず、必要に応じて冷やすことで楽になることがあります。
症状が強い場合には、市販の解熱鎮痛薬を使用できることもありますが、使用方法については医師や薬剤師にご相談ください。
すぐに受診が必要な症状
まれですが、接種後に次のような症状がある場合は速やかに医療機関を受診してください。
- 呼吸が苦しい
- 全身にじんましんが出た
- 顔や唇が大きく腫れた
- 意識がもうろうとしている
- 繰り返し失神する
これらは重いアレルギー反応(アナフィラキシー)などの可能性があります。
また、
- 強い頭痛が続く
- 痛みや体調不良が長く続く
- 学校生活や日常生活に支障がある
場合も、自己判断せず接種を受けた医療機関へ相談しましょう。
こんなときは小児科へ相談しましょう
HPVワクチンについては、
「受けるかどうか迷っている」
という段階でも、小児科へ相談することをおすすめします。
例えば、
- 接種するメリット・デメリットを知りたい
- 男の子も接種した方がよいのか相談したい
- 接種するタイミングが分からない
- 他のワクチンとの同時接種について知りたい
- 接種後に腕の痛みが強い
- 接種後の体調変化が気になる
このような場合は、お気軽にご相談ください。
当院でよくあるご相談【みなとみらい小児科クリニック】
HPVワクチンの診療では、次のようなご相談をよくいただきます。
- 「SNSでいろいろな情報を見て不安になりました。」
- 「昔のニュースが気になっています。」
- 「男の子にも受けさせた方がいいのでしょうか?」
- 「接種を忘れてしまいました。」
- 「途中まで受けたのですが続きはどうすればいいですか?」
実際には、不安の原因が「情報が多すぎて何を信じればよいか分からない」というケースも少なくありません。
当院では、お子さんの年齢や健康状態、ご家族の考え方を大切にしながら、厚生労働省や日本小児科学会などの最新の知見をもとにご説明しています。
ワクチンは「受けること」が目的ではなく、十分に理解し、納得したうえで接種することが大切だと考えています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 男の子も受けた方がいいですか?
はい。日本小児科学会では、男の子へのHPVワクチン接種も推奨しています。
男の子自身が中咽頭がんや肛門がん、陰茎がん、尖圭コンジローマなどを予防できることが期待されています。
Q2. 接種すると子宮頸がんは100%予防できますか?
いいえ。
多くの原因となるHPV型を予防できますが、すべての子宮頸がんを防げるわけではありません。
そのため、将来は子宮頸がん検診も大切です。
Q3. 他のワクチンと同時接種できますか?
はい。
医師が問題ないと判断した場合は、他の予防接種との同時接種も可能です。
Q4. 接種後は学校を休んだ方がいいですか?
通常は普段どおり登校できます。
ただし、腕の痛みや体調不良がある場合は無理をせず休養しましょう。
Q5. 接種を途中で忘れてしまいました。
接種間隔が空いてしまっても、原則として最初からやり直す必要はありません。
残りの回数については医療機関へご相談ください。
Q6. 副反応が心配で決められません。
そのように感じる保護者の方は少なくありません。
現在は国内外で多くの研究が行われ、厚生労働省、日本小児科学会、世界保健機関(WHO)などはHPVワクチンの有効性と安全性を評価し、接種を推奨しています。
一方で、不安や疑問がある場合は、一人で悩まず医療機関で相談し、納得したうえで判断することが大切です。
横浜市・みなとみらいでHPVワクチンをご検討の方へ
「副反応が心配で接種を迷っている」
「子どもに受けさせた方がいいのか相談したい」
「男の子にも必要なのか知りたい」
このようなお悩みをお持ちの保護者の方は少なくありません。
みなとみらい小児科クリニックでは、HPVワクチンの接種だけでなく、接種前のご相談にも丁寧に対応しています。
メリットだけでなく、副反応や注意点についても科学的根拠に基づいてわかりやすくご説明し、ご家族が安心して判断できるようお手伝いします。
お子さんの将来の健康を守るために、気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
参考資料
- 厚生労働省「HPVワクチン(ヒトパピローマウイルス感染症予防接種)」
- 厚生労働省「HPVワクチンに関するQ&A」
- 日本小児科学会「HPVワクチンに関する提言」
- 日本小児科学会「知っておきたいわくちん情報」
- 日本産科婦人科学会「HPVワクチンに関する見解」
- 日本婦人科腫瘍学会「子宮頸がん予防に関する情報」
- 国立健康危機管理研究機構(旧 国立感染症研究所)「ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症」
- 世界保健機関(WHO)HPV Position Paper
この内容は、2026年時点で公表されている信頼性の高い医学的根拠に基づいて作成しています。今後、新たな知見や制度改正により内容が更新される可能性があります。
お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。
みなとみらい小児科クリニック










































