
子どもの経口補水液(ORS)とは?いつ飲ませる?飲ませ方・スポーツドリンクとの違い・受診の目安を小児科医がわかりやすく解説
子どもの嘔吐・下痢・発熱・熱中症のときに役立つ経口補水液(ORS)について、小児科医がわかりやすく解説します。飲ませるタイミングや正しい飲ませ方、スポーツドリンクとの違い、脱水症のサイン、小児科を受診する目安まで詳しくご紹介します。
子どもの経口補水液(ORS)とは?
まず結論|嘔吐や下痢のときは「少しずつ・こまめに」経口補水液を飲ませることが大切です
お子さんが嘔吐や下痢をすると、「何を飲ませればいいの?」「スポーツドリンクでも大丈夫?」と不安になる保護者の方は少なくありません。
経口補水液(ORS)は、軽度から中等度の脱水症を改善するために最も推奨されている飲み物です。 胃腸炎や熱中症などで体から水分や塩分が失われたとき、水だけでは十分に補えないことがあります。経口補水液は、水分・塩分・糖分が体に効率よく吸収されるように作られており、世界保健機関(WHO)や厚生労働省、日本小児科学会などでも推奨されています。
一方で、水分がまったく飲めない、ぐったりしている、おしっこの回数が著しく減っているなどの症状がある場合は、脱水が進んでいる可能性があります。早めに小児科を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
経口補水液(ORS)とは?
経口補水液(Oral Rehydration Solution:ORS)は、脱水症の治療や予防を目的として作られた飲み物です。
私たちの腸には、ブドウ糖とナトリウム(塩分)を一緒に吸収すると、水分も効率よく吸収される仕組みがあります。経口補水液はこの働きを利用して作られており、水やお茶よりも効率よく体内へ水分を補給できます。
世界中で使用されている安全性の高い補水方法であり、子どもの急性胃腸炎や熱中症による脱水症の治療として広く推奨されています。
どんなときに経口補水液を飲ませればよい?
経口補水液は、次のような場面で役立ちます。
- 嘔吐を繰り返している
- 下痢が続いている
- 発熱で水分不足が心配
- 熱中症が疑われる
- 汗を大量にかいた
- 軽度から中等度の脱水症
一方、元気があり、食事や水分が普段どおり摂れている場合には、水や麦茶でも十分なことがあります。
「体調が悪いから必ず経口補水液を飲まなければならない」というわけではなく、お子さんの症状や脱水の程度に応じて選ぶことが大切です。
子どもの脱水症とは?
子どもは体重に占める水分の割合が多く、大人よりも脱水症になりやすい特徴があります。
特に乳幼児では、嘔吐や下痢が半日ほど続いただけでも脱水が進むことがあり、早めの対応が重要です。
次のような症状がみられる場合は、脱水症を疑います。
- 口の中や唇が乾いている
- おしっこの回数が減っている
- 涙が少ない
- 元気がない
- 顔色が悪い
- 赤ちゃんのおむつが長時間ぬれない
- 水分を欲しがる
さらに、
- 水分がまったく飲めない
- 呼びかけへの反応が悪い
- ぐったりしている
- 意識がはっきりしない
場合には、点滴などの治療が必要になることがあります。
経口補水液の飲ませ方
嘔吐しているときは、一度にたくさん飲ませると吐いてしまうことがあります。
「少しずつ・こまめに」が成功のポイントです。
おすすめの方法は、
- スプーン1杯(約5mL)
- 5〜10mLずつ
- 5分ごとに飲ませる
ことです。
吐かなければ少しずつ量を増やしていきます。
もし吐いてしまった場合は、5〜10分ほど休んでから再開すると飲めることが少なくありません。
この方法は、小児急性胃腸炎診療ガイドラインでも推奨されている方法です。
スポーツドリンクとの違い
「スポーツドリンクでも代わりになりますか?」という質問をよくいただきます。
スポーツドリンクは運動時の水分補給を目的として作られており、糖分が多く、塩分は経口補水液より少なくなっています。
一方、経口補水液は脱水症の改善を目的として作られており、水分・塩分・糖分のバランスが最も吸収されやすいよう調整されています。
そのため、嘔吐や下痢による脱水症では、スポーツドリンクより経口補水液が推奨されています。
小児科でよくあるご相談
当院では、
「経口補水液を嫌がって飲んでくれません。」
「スポーツドリンクしか飲めません。」
「どれくらい飲ませればいいのか分かりません。」
というご相談を多くいただきます。
実際には、一度にたくさん飲ませようとすると嫌がるお子さんでも、スプーン1杯程度から少しずつ始めることで飲めるようになることが少なくありません。
また、「胃腸炎だと思って受診したら、中耳炎や尿路感染症、肺炎など別の病気が原因だった」というケースもあります。
脱水症の評価だけでなく、症状の原因を正しく診断することも、小児科の大切な役割です。
こんなときは小児科を受診しましょう
次のような場合は、早めの受診をおすすめします。
- 生後3か月未満の発熱
- 水分がほとんど飲めない
- 嘔吐を繰り返している
- 半日以上おしっこが出ない
- 血便がある
- 強い腹痛がある
- 呼吸が苦しそう
- 意識がぼんやりしている
- ぐったりしている
保護者の方が「いつもと様子が違う」と感じることも、受診を考える大切なサインです。
横浜市・みなとみらいでお子さんの胃腸炎や熱中症でお困りの方へ
みなとみらい小児科クリニックでは、お子さんの急性胃腸炎や熱中症、脱水症の診療を行っています。
お子さんの年齢や症状に応じて脱水の程度を丁寧に評価し、ご家庭での水分補給の方法や経口補水液の飲ませ方までわかりやすくご説明しています。
必要に応じて点滴や追加の検査を行い、お子さん一人ひとりに合わせた診療を心がけています。
横浜市西区、みなとみらい周辺で、お子さんの嘔吐や下痢、発熱、熱中症などでお困りの際は、お気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 経口補水液はいつから飲ませればよいですか?
嘔吐や下痢が始まり、水分不足が心配になった時点で、少量ずつ始めることをおすすめします。
Q. スポーツドリンクでも代用できますか?
スポーツドリンクは運動時の水分補給には適していますが、脱水症の改善には経口補水液が推奨されます。
Q. 経口補水液を嫌がる場合はどうすればよいですか?
スプーンや小さなコップを使い、5mL程度を数分ごとに少しずつ飲ませると飲めることがあります。冷やすことで飲みやすくなるお子さんもいます。
Q. 開封後はどのくらい保存できますか?
開封後は冷蔵庫で保存し、24時間以内を目安に使い切りましょう。
参考文献・参考資料
本記事は、以下の公的機関および学会が公表している情報や診療ガイドラインを参考に作成しています。
- 厚生労働省 熱中症予防のための情報・資料
- 厚生労働省 健康情報(脱水・熱中症)
- こども家庭庁 子どもの健康に関する情報
- 日本小児科学会 一般の皆さまへ(保護者向け情報)
- 日本小児感染症学会 感染症診療に関する情報
- 日本小児救急医学会 小児救急診療に関する提言
- 日本小児栄養消化器肝臓学会 小児急性胃腸炎診療ガイドライン
- 日本外来小児科学会 外来診療に関する資料
- 日本小児体液研究会 経口補水療法(ORT)に関する資料
- 国立感染症研究所 感染症情報
- World Health Organization(WHO)”Oral Rehydration Salts: Production of the New ORS”
- World Health Organization(WHO)The Treatment of Diarrhoea – A Manual for Physicians and Other Senior Health Workers
- Centers for Disease Control and Prevention(CDC)Oral Rehydration Therapy
- 熱中症診療ガイドライン2024
監修
みなとみらい小児科クリニック
本記事は、国内外の診療ガイドラインや公的機関の情報をもとに、日常の小児科診療での経験も踏まえて作成しています。今後も新しい知見に応じて内容を見直し、保護者の皆さまへ信頼できる医療情報をお届けできるよう努めています。
お子さんの体調が心配なときは、いつでもお気軽にご相談ください。
みなとみらい小児科クリニック













































