
赤ちゃんの運動発達が気になる方へ|首すわり・寝返り・おすわり・はいはい・歩き始めを小児科医がわかりやすく解説
赤ちゃんの首すわりや寝返り、おすわり、はいはい、歩き始めが遅いと心配ではありませんか。運動発達の順序や月齢ごとの目安、個人差、受診のタイミングについて、小児科医が保護者の方へわかりやすく解説します。
横浜市・みなとみらいで赤ちゃんの発達が気になるお父さん・お母さんへ
「首すわりがまだですが大丈夫でしょうか?」
「寝返りをしないのは遅いのでしょうか?」
「はいはいをしないまま立とうとしています。」
「歩き始めが遅いように感じます。」
赤ちゃんの運動発達について、このようなご相談は小児科でも非常に多くあります。
結論からお伝えすると、運動発達には大きな個人差があります。月齢が多少前後するだけであれば心配のないことも少なくありません。一方で、発達の経過によっては詳しい診察や経過観察が必要になる場合もあります。
この記事では、厚生労働省、日本小児科学会、日本小児神経学会、日本新生児成育医学会などの考え方をもとに、
- 運動発達とは何か
- 発達の順序
- 月齢ごとの目安
- 個人差について
- 小児科へ相談するタイミングの考え方
をわかりやすくご紹介します。
運動発達とは?
運動発達とは、赤ちゃんが体を思うように動かせるようになっていく成長の過程です。
脳や神経、筋肉、骨、視覚、平衡感覚などが少しずつ発達し、それぞれが協調して働くことで、
- 首を支える
- 寝返りをする
- 座る
- はいはいをする
- 歩く
といった動きができるようになります。
運動発達は筋力だけで決まるものではなく、赤ちゃん自身が体を動かしながら経験を積み重ねていくことも大切な要素です。
運動発達には「順番」があります
赤ちゃんの発達には個人差がありますが、多くのお子さんでは一定の順序で運動機能が発達していきます。
一般的には、
① 首がすわる
↓
② 寝返り
↓
③ うつ伏せで上半身を支える
↓
④ 寝返り返り
↓
⑤ おすわり
↓
⑥ ずりばい
↓
⑦ はいはい
↓
⑧ つかまり立ち
↓
⑨ 伝い歩き
↓
⑩ 一人歩き
という流れで発達していきます。
重要なのは、
「何か月でできたか」だけではなく、「発達が順序よく進んでいるか」
という点です。
月齢には幅があるため、周囲のお子さんと比べるだけで発達の遅れとは判断できません。
発達には大きな個人差があります
育児書やインターネットでは、
「〇か月で首がすわる」
「〇か月で歩き始める」
という目安が紹介されています。
しかし、これはあくまでも平均的な時期です。
赤ちゃんによって、
- 生まれた時の体格
- 性格
- 興味の持ち方
- 活動量
- 早産だったかどうか
などが異なるため、発達のスピードにも幅があります。
兄弟やお友達と比べて不安になる保護者の方は少なくありませんが、比較するよりも、お子さん自身が少しずつ成長しているかどうかを見守ることが大切です。
月齢ごとの運動発達の目安
生後1〜2か月頃
この時期は手足を活発に動かすようになり、うつ伏せでは短時間だけ頭を持ち上げられるようになります。
首はまだ十分には安定していません。
生後3〜4か月頃
多くの赤ちゃんで首がしっかりしてきます。
また、
- あやすと笑う
- 手を口へ持っていく
- おもちゃに興味を示す
などの様子も見られるようになります。
生後4〜6か月頃
寝返りを始める赤ちゃんが増えてきます。
また、
- うつ伏せで胸を持ち上げる
- 両手でおもちゃを持つ
- 足をつかむ
など、体の動きも豊かになります。
寝返りを始める時期には幅があり、早いお子さんもいれば、ゆっくりなお子さんもいます。
生後6〜8か月頃
体幹が安定し、おすわりができるようになる赤ちゃんが増えてきます。
また、
- 寝返り返り
- ずりばい
など、自分で移動しようとする様子が見られるようになります。
生後8〜10か月頃
はいはいを始めるお子さんが多い時期です。
はいはいは、手足を使って移動する全身運動の一つで、多くの赤ちゃんに見られる発達の過程です。
一方で、はいはいをあまりしないまま立ち上がったり歩き始めたりするお子さんもおり、それだけで異常とは言えません。
生後9〜12か月頃
家具などにつかまって立ち上がる「つかまり立ち」や、「伝い歩き」が見られるようになります。
興味のあるものへ自分から移動しようとする姿も増えてきます。
1歳〜1歳6か月頃
多くのお子さんが一人歩きを始めます。
最初は数歩歩いて座ってしまったり、転びやすかったりすることが普通です。
歩ける距離は少しずつ長くなり、活動範囲も広がっていきます。
早産のお子さんは「修正月齢」で考えます
予定日より早く生まれた赤ちゃんでは、発達を評価する際に修正月齢を用います。
修正月齢とは、本来の出産予定日を基準にした月齢のことです。
例えば、予定日より2か月早く生まれたお子さんでは、生後8か月であっても修正月齢は6か月となります。
そのため、同じ生後月齢のお子さんと単純に比較することはできません。
早産のお子さんでは、乳幼児健診や小児科で修正月齢を考慮しながら発達を確認していきます。
「できる・できない」だけではなく、動き方も大切です
運動発達では、「歩ける」「座れる」といった結果だけではなく、動き方も大切なポイントです。
例えば、
- 左右の手足を同じように使えているか
- 動きに大きな左右差がないか
- 筋肉が極端に硬くないか、または柔らかすぎないか
- 少しずつ新しい動きが増えているか
などを総合的に見ていきます。
「できること」が増えていても、左右差や筋緊張などが気になる場合には、一度小児科で相談すると安心です。
「うちの子だけ遅いのでは?」と心配なお父さん・お母さんへ
「歩き始めが遅い気がします。」
「はいはいをあまりしません。」
「様子を見ていて大丈夫でしょうか?」
赤ちゃんの運動発達について、このようなご相談は毎日のようにあります。
結論からお伝えすると、発達がゆっくりだからといって、必ず病気があるわけではありません。多くのお子さんは個人差の範囲で成長しています。しかし、なかには詳しい診察や治療が必要な病気が隠れていることもあるため、気になることがあれば早めに小児科へ相談することが大切です。
今回は、運動発達がゆっくりになる原因や、ご家庭で見守るポイント、受診の目安について解説します。
運動発達がゆっくりになる原因
運動発達がゆっくりな理由は一つではありません。
① 個人差
最も多いのは個人差です。
赤ちゃんには、
- 性格
- 興味の持ち方
- 活動量
- 生まれつきの体格
などの違いがあります。
慎重なお子さんは、新しい動きを始めるまで時間がかかることもあります。
一方で、一度始めると短期間で大きく成長することも珍しくありません。
② 早産・低出生体重児
予定日より早く生まれた赤ちゃんでは、修正月齢で発達を評価します。
そのため、生後月齢だけで他のお子さんと比較すると、実際より遅れているように見えることがあります。
早産のお子さんでは、小児科や乳幼児健診で継続的に発達を確認していくことが大切です。
③ 神経や筋肉の病気
頻度は高くありませんが、
- 脳性麻痺
- 筋疾患
- 神経疾患
などが運動発達に影響することがあります。
特に、
- 手足の左右差が大きい
- 筋肉が極端に硬い、または柔らかい
- 発達が途中で止まったように見える
場合には、詳しい診察が必要になります。
④ 骨や関節の病気
股関節の病気や骨・関節の異常があると、
立つことや歩くことに影響する場合があります。
乳幼児健診では、このような病気も確認しています。
⑤ その他の病気
まれですが、
- 染色体疾患
- 代謝疾患
- 内分泌疾患
などが発達に影響することがあります。
日本では新生児マススクリーニングなどにより、早期発見・早期治療が行われています。
ご家庭で大切にしたいこと
赤ちゃんの運動発達は、毎日の生活の中で少しずつ育まれていきます。
特別な訓練を行う必要はありません。
安全な場所で自由に体を動かす時間を作る
赤ちゃんが寝返りをしたり、向きを変えたり、移動したりできるよう、安全な場所で自由に過ごせる時間を作りましょう。
自分で体を動かす経験を積み重ねることは、成長の過程で大切です。
起きている時間に「うつ伏せ遊び」を取り入れる
首がすわる前からでも、保護者が見守っている起きている時間に短時間のうつ伏せ遊び(タミータイム)を行うことは、首や肩、体幹を使う機会になります。
最初は数分から始め、赤ちゃんの機嫌を見ながら少しずつ時間を延ばしましょう。
眠るときは必ず仰向け寝とし、うつ伏せ寝は避けてください。
たくさん話しかけ、一緒に遊ぶ
赤ちゃんは遊びや親子のふれあいを通して、さまざまな経験を積み重ねていきます。
笑顔で話しかけたり、一緒に遊んだりする時間は、安心して成長するための大切な時間になります。
十分な睡眠と栄養を心がける
赤ちゃんの成長には、
- 十分な睡眠
- 年齢に応じた栄養
- 規則正しい生活
も大切です。
体調を整えることは、健やかな発達を支える基盤となります。
発達を急がせる必要はありません
「歩く練習をした方がいいですか?」
という質問をよくいただきます。
現在のところ、
特別な練習を行うことで、健康な赤ちゃんの運動発達が早くなることを示す十分な科学的根拠はありません。
多くの赤ちゃんは、日常生活や遊びの中で自然にさまざまな動きを経験しながら発達していきます。
お子さんのペースを大切に見守ることが重要です。
乳幼児健診は発達を確認する大切な機会です
乳幼児健診では、
- 首すわり
- おすわり
- はいはい
- 歩行
- 筋肉の緊張
- 左右差
- 視線や反応
などを総合的に確認しています。
健診で「様子を見ましょう」と言われた場合でも、その後気になることがあれば遠慮なく小児科へ相談してください。
健診と日常生活で見える様子は異なることもあります。
こんな時は小児科へ相談しましょう
次のような場合には、一度小児科で相談することをおすすめします。
- 生後4か月頃になっても首がほとんどすわらない
- 生後7〜8か月頃になっても寝返りの様子がみられない
- 生後10か月頃になっても一人で座れない
- 1歳頃になってもつかまり立ちをしない
- 1歳6か月頃になっても歩き始めない
- 手足の動きに左右差がある
- 筋肉が極端に硬い、または柔らかい
- 一度できていた動きができなくなった
- お父さん・お母さんが「何か気になる」と感じる
発達の相談は、「早すぎる相談」になることはほとんどありません。
気になる時点で相談することが、お子さんにもご家族にも安心につながります。
よくある質問(FAQ)
Q. はいはいをしないまま歩いても大丈夫ですか?
A. はい。はいはいをあまりしないまま歩き始めるお子さんもいます。
一方で、運動発達全体の様子や左右差などを確認した方が安心な場合もありますので、気になるときは小児科へご相談ください。
Q. 発達を早くする方法はありますか?
A. 特別な方法で発達を早めることができるという十分な科学的根拠はありません。
毎日の生活の中で安全に体を動かし、十分な睡眠や栄養をとりながら、お子さんのペースを大切に見守ることが基本です。
Q. 周りの子と比べてしまいます。
A. 比べてしまうのは自然なことです。
しかし、発達には大きな個人差があります。
月齢だけではなく、お子さん自身が少しずつ新しい動きを獲得しているかを見ていくことが大切です。
Q. 健診で「様子を見ましょう」と言われました。本当に大丈夫でしょうか?
A. 多くの場合は、成長を見守りながら確認していくための判断です。
ただし、ご家庭で気になることが続く場合には、健診を待たずに小児科へ相談して構いません。
当院でよくあるご相談
みなとみらい小児科クリニックでは、
- 「SNSを見ると、うちの子だけ遅いように感じます。」
- 「育児書どおりに発達していません。」
- 「健診では様子を見ると言われましたが不安です。」
- 「保育園から相談を勧められました。」
といったご相談を多くいただきます。
診察では、現在できることだけで判断するのではなく、
- 妊娠・出産の経過
- 発達の流れ
- 全身の診察
- 神経学的な診察
- 乳幼児健診の結果
などを総合的に評価します。
必要に応じて、小児神経専門医やリハビリテーション、療育機関などとも連携し、お子さんに適した診療につなげています。
横浜市・みなとみらいで赤ちゃんの運動発達が気になる方へ
みなとみらい小児科クリニックでは、
- 首すわり
- 寝返り
- おすわり
- はいはい
- つかまり立ち
- 歩き始め
- 発達の左右差
- 発達全般のお悩み
について診療・ご相談を行っています。
「相談するほどではないかもしれない」と感じる内容でも、お話を伺い、必要に応じて診察や経過観察、専門医療機関へのご紹介を行っています。
お父さん・お母さんへ
赤ちゃんは、一人ひとり違うペースで成長していきます。
「〇か月だからできなければいけない」と考えるよりも、お子さん自身が少しずつできることを増やしているかを見守ることが大切です。
一方で、発達の遅れが病気のサインである場合もあります。
「少し気になる」「念のため相談してみたい」と思ったときが、小児科へ相談するよいタイミングです。
みなとみらい小児科クリニックでは、お子さんの発達をお父さん・お母さんと一緒に見守りながら、必要に応じて専門医療機関とも連携し、安心して成長を支えられるよう診療を行っています。
参考文献・参考資料
- 厚生労働省
- 母子健康手帳
- 健やか親子21(乳幼児突然死症候群(SIDS)対策)
- 乳幼児健康診査に関する資料
- 日本小児科学会
- 子どもの健康に関する提言
- 乳幼児突然死症候群(SIDS)予防に関する情報
- タミータイム(うつ伏せ遊び)に関する情報
- 日本小児神経学会
- 小児神経疾患・運動発達に関する診療情報
- 日本新生児成育医学会
- 早産児の発達評価(修正月齢)の考え方
- American Academy of Pediatrics(AAP)
- Back to Sleep, Tummy Time, and Safe Sleep
- Developmental Surveillance and Screening
- Motor Delays: Early Identification and Evaluation
お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。
みなとみらい小児科クリニック


















































