マイコプラズマ肺炎とは?症状・治療・登園の目安を小児科医がわかりやすく解説

お知らせ
2026.06.29

マイコプラズマ肺炎とは?症状・治療・登園の目安を小児科医がわかりやすく解説

マイコプラズマ肺炎は、長引くせきが特徴の呼吸器感染症です

マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマという細菌によって起こる感染症です。

発熱やだるさなどで始まり、数日後からせきが目立つようになります。せきは時間とともに強くなり、熱が下がった後も数週間続くことがあります。

幼児から若い世代に多く、特に学童期のお子さんによくみられます。ただし、乳幼児や大人が感染することもあります。

多くは適切な診断と治療によって回復します。一方で、強い肺炎や肺以外の合併症を起こすこともあるため、症状の経過を注意してみることが大切です。

マイコプラズマ肺炎とは?

マイコプラズマ肺炎とは、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)という細菌の感染によって起こる肺炎です。

肺炎とは、肺の中で空気の交換を行う部分に炎症が起きた状態です。

肺炎マイコプラズマに感染しても、必ず肺炎になるわけではありません。気管支炎などの比較的軽い呼吸器感染症で済むこともあります。

しかし、一部のお子さんでは肺炎を起こし、発熱や強いせきが長く続きます。

マイコプラズマ肺炎の基本情報

項目内容原因肺炎マイコプラズマという細菌主な感染経路飛沫感染・接触感染潜伏期間通常2~3週間多い年齢幼児、学童期、青年期主な症状発熱、だるさ、頭痛、長引くせき特徴熱が下がった後もせきが続くことがある

原因は肺炎マイコプラズマという細菌です

マイコプラズマ肺炎の原因は、肺炎マイコプラズマという細菌です。

一般的な細菌よりも小さく、増殖する速度が遅いという特徴があります。

ウイルスではなく細菌の一種ですが、一般的な細菌とは異なる性質を持っています。そのため、治療ではマイコプラズマに効果のある抗菌薬を選ぶ必要があります。

具体的な抗菌薬の種類や治療の考え方については、診察時にお子さんの年齢や症状を確認したうえで判断します。

せきやくしゃみのしぶきから感染します

マイコプラズマ肺炎の主な感染経路は、飛沫感染と接触感染です。

飛沫感染

感染した人がせきやくしゃみ、会話をしたときに出るしぶきを吸い込むことで感染します。

接触感染

ウイルスや細菌が付いた手で口や鼻などに触れることによって感染する場合があります。

学校、保育園、幼稚園、家庭など、同じ人と長い時間を過ごす場所で感染が広がることがあります。

インフルエンザのように短期間で急速に広がるとは限りません。家族や同じクラスの中で、時間をかけて少しずつ患者が増えることもあります。

潜伏期間は通常2~3週間です

潜伏期間とは、感染してから症状が現れるまでの期間です。

マイコプラズマ肺炎の潜伏期間は、通常2~3週間です。

一般的な風邪よりも潜伏期間が長いため、症状が出た時点では、いつ、どこで感染したのか分からないことも少なくありません。

学校や家庭でマイコプラズマ肺炎と診断された人がいた場合、すぐに症状がなくても、2~3週間後に発熱やせきが現れる可能性があります。

初めは発熱やだるさなどで始まります

初期には、次のような症状がみられます。

  • 発熱
  • 全身のだるさ
  • 頭痛
  • のどの痛み
  • 食欲の低下

症状の始まり方には個人差があります。

急に高い熱が出る場合もあれば、微熱や軽いだるさから始まる場合もあります。幼児では鼻水を伴うことがありますが、鼻水はマイコプラズマ肺炎に特有の症状ではありません。

初期には一般的な風邪と区別しにくいことがあります。

特徴的な症状は、徐々に強くなるせきです

マイコプラズマ肺炎では、初めの症状が現れてから数日後にせきが始まり、徐々に強くなることがあります。

初めは、たんの少ない乾いたせきが多くみられます。その後、年長のお子さんでは、たんが絡むようなせきに変化することもあります。

熱が下がって元気が戻ってきても、せきだけが残る場合があります。せきは解熱後も3~4週間ほど続くことがあります

ただし、長引くせきの原因はマイコプラズマ肺炎だけではありません。

  • ウイルス感染後のせき
  • 百日せき
  • 気管支喘息
  • 副鼻腔炎
  • その他の肺炎や気管支炎

などでも、せきが長く続くことがあります。

せきの期間だけで病名を決めることはできません。

小さなお子さんでは症状が典型的でないことがあります

乳幼児では、学童期のお子さんとは症状の現れ方が異なることがあります。

  • 鼻水
  • ゼーゼーする呼吸
  • 食欲の低下
  • 不機嫌
  • 嘔吐や下痢

などがみられる場合があります。

また、自分で「胸が痛い」「息苦しい」と伝えることが難しいため、呼吸の様子や水分摂取量、機嫌などを確認することが大切です。

肺炎でも比較的元気に見えることがあります

マイコプラズマ肺炎では、肺炎を起こしていても比較的元気に見えるお子さんがいます。

「食事は少し取れている」「遊ぶ時間もある」という状態でも、せきや発熱が続き、検査によって肺炎が確認される場合があります。

一方で、すべてのお子さんが軽症で済むわけではありません。

  • 呼吸が苦しくなる
  • 胸に水がたまる
  • 強い肺炎になる
  • 皮膚や粘膜に症状が出る
  • 神経、心臓、血液などに合併症が起こる

といった経過をたどることもあります。

元気そうに見えるかどうかだけではなく、発熱やせきの経過、呼吸状態を総合的にみる必要があります。

マイコプラズマ肺炎は症状と診察をもとに総合的に診断します

マイコプラズマ肺炎は、検査だけで診断できる病気ではありません。

発熱やせきの経過、周囲での流行状況、診察で確認した呼吸の状態などを総合的に判断します。

「長引くせき=マイコプラズマ肺炎」とは限らず、ウイルス感染症、百日せき、気管支喘息などでも似た症状がみられることがあります。

そのため、お子さん一人ひとりの症状に合わせて診断を進めることが大切です。

必要に応じて検査を行います

診察の結果、マイコプラズマ肺炎が疑われる場合には、必要に応じて検査を行います。

主な検査には次のようなものがあります。検査内容抗原検査のどのぬぐい液から調べる検査遺伝子検査(PCRなど)マイコプラズマの遺伝子を調べる検査血液検査炎症の程度や抗体を確認する検査胸部エックス線検査肺炎の広がりを確認する検査

検査には、それぞれ得意な時期や限界があります。

そのため、検査結果だけではなく、診察や症状の経過を合わせて診断します。

抗菌薬による治療が必要かどうかを判断します

マイコプラズマに感染しても、すべてのお子さんが抗菌薬を必要とするわけではありません。

症状の程度や肺炎の有無、全身状態などを総合的に判断し、抗菌薬による治療が必要と判断した場合に治療を開始します。

また、発熱やせきによるつらい症状を和らげるために、

  • 十分な休養
  • 水分補給
  • 解熱剤などによる対症療法

も大切な治療になります。

第一選択はマクロライド系抗菌薬です

小児のマイコプラズマ肺炎では、通常、マクロライド系抗菌薬が第一選択になります。

代表的な薬には、

  • アジスロマイシン
  • クラリスロマイシン

などがあります。

一方で、近年は**マクロライド系抗菌薬が効きにくい「耐性菌」**も増えています。

抗菌薬を開始しても発熱が続いたり、症状が改善しない場合には再診が必要です。

診断や症状を再評価し、必要がある場合には、お子さんの年齢や副作用を十分に考慮したうえで、別の種類の抗菌薬を検討します。

自己判断で薬を中止したり、家に残っている抗菌薬を使用したりしないようにしましょう。

家庭では十分な休養と水分補給が大切です

マイコプラズマ肺炎では、無理をせず体を休めることが回復につながります。

水分は少量ずつこまめに

発熱があると、水分不足になりやすくなります。

一度にたくさん飲めない場合は、少量ずつこまめに飲ませましょう。

乳児では母乳やミルクも大切な水分補給になります。

食事は食べられる範囲で大丈夫です

食欲がないときは無理に食べさせる必要はありません。

食べられるようになったら、

  • おかゆ
  • うどん
  • スープ
  • ゼリー
  • ヨーグルト

など、食べやすいものから少しずつ始めましょう。

受診をおすすめする症状

次のような症状がある場合は、小児科を受診しましょう。

  • 発熱が続く
  • せきが強くなってきた
  • 夜も眠れないほどせき込む
  • 食事や水分が十分に取れない
  • 元気がない
  • 学校や家庭でマイコプラズマ肺炎が流行している

早めに診察を受けることで、必要な検査や治療につなげることができます。

救急受診を考えた方がよい症状

次のような場合は、時間外でも医療機関へ相談してください。

  • 呼吸が苦しそう
  • 呼吸が速い
  • 唇や顔色が悪い
  • 水分がほとんど取れない
  • ぐったりしている
  • 呼びかけへの反応が悪い
  • けいれんを起こした

このような症状は、肺炎が重症化している可能性があります。

登園・登校の目安

マイコプラズマ肺炎には、一律の出席停止期間は定められていません。

登園・登校の目安は、

  • 熱が下がっている
  • 激しいせきが治まっている
  • 呼吸が苦しくない
  • 食事や水分が取れる
  • 普段どおりに活動できる

ことです。

園や学校によって対応が異なる場合がありますので、それぞれの決まりも確認しましょう。

予防するためにできること

現在、マイコプラズマ肺炎を予防するワクチンはありません。

感染を広げないためには、

  • 石けんによる手洗い
  • せきエチケット
  • 部屋の換気

が大切です。

せきが続いている間は、人との距離に配慮し、体調に合わせて無理をしないようにしましょう。

よくある質問

Q.兄弟にうつりますか?

はい。

家庭内で感染することがあります。

手洗い、せきエチケット、換気を心がけましょう。

Q.せきはいつまで続きますか?

個人差がありますが、熱が下がった後も3〜4週間程度せきが続くことがあります。

せきが悪化する場合や再び発熱した場合は受診してください。

Q.お風呂に入っても大丈夫ですか?

熱がなく、元気があれば短時間の入浴は可能です。

ぐったりしているときや呼吸が苦しいときは控えましょう。

Q.一度かかったらもう感染しませんか?

一度感染しても、再び感染することがあります。

長引くせきや発熱がある場合は、以前に感染したことがあっても受診をおすすめします。

横浜市・みなとみらいで長引くせきが心配なお子さんへ

横浜市西区みなとみらいに位置するみなとみらい小児科クリニックは、新高島駅から徒歩8分、みなとみらい駅から徒歩10分の場所にあります。

当院では、マイコプラズマ肺炎をはじめとする小児の呼吸器感染症の診療を行っています。

「熱は下がったけれど、せきだけが続いている」「肺炎ではないか心配」「学校で流行している」といった場合も、お気軽にご相談ください。

お子さんの症状や経過を丁寧に確認し、一人ひとりに適した診療をご提案します。

参考資料

  • 厚生労働省「マイコプラズマ肺炎」
  • 国立健康危機管理研究機構(JIHS)感染症情報提供サイト
  • 日本小児科学会
  • 日本小児感染症学会「小児呼吸器感染症診療ガイドライン」

公開日:2026年6月29日
更新日:2026年7月26日
監修者:みなとみらい小児科クリニック院長

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック