子どものアデノウイルス感染症とは?症状・治療・登園の目安を小児科医がわかりやすく解説

お知らせ
2026.06.29

高熱が何日も続くときは、アデノウイルス感染症のことがあります

アデノウイルス感染症は、発熱やのどの痛み、咳、鼻水、嘔吐、下痢など、さまざまな症状を起こすウイルス感染症です。

「40℃近い熱が続いているけれど大丈夫?」
「アデノウイルスとプール熱は同じ病気?」
「抗生物質を飲まなくても治るの?」
「保育園はいつから行ける?」

このような不安を感じるお父さん、お母さんは少なくありません。

アデノウイルス感染症のすべてが、いわゆる「プール熱」や「流行り目」ではありません。この記事では、咽頭結膜熱や流行性角結膜炎以外の、一般的なアデノウイルス感染症についてわかりやすく解説します。

アデノウイルス感染症とは?

アデノウイルス感染症とは、アデノウイルスによって起こる感染症です。

アデノウイルスには多くの型があり、感染する型や部位によって症状が異なります。

主に次のような場所に感染します。

  • のどや鼻
  • 気管支や肺
  • 胃や腸
  • 膀胱などの尿路

そのため、発熱や咽頭炎だけでなく、気管支炎、肺炎、胃腸炎、結膜炎、出血性膀胱炎など、さまざまな病気を起こすことがあります。

アデノウイルスは夏だけの感染症ではなく、一年を通してみられます。また、一度感染してもすべての型に対する免疫ができるわけではないため、異なる型に繰り返し感染することがあります。

プール熱・流行り目との違い

アデノウイルスによって起こる代表的な病気には、次のものがあります。

咽頭結膜熱(プール熱)

発熱、のどの炎症、目の充血などが主な症状です。

プールを介して感染することがあるため「プール熱」と呼ばれてきましたが、実際にはプール以外でも、飛沫や手指、タオルなどを介して感染します。

流行性角結膜炎(流行り目)

目の強い充血、目やに、まぶたの腫れ、異物感などを起こす感染症です。

感染力が強く、角膜まで炎症が及ぶと、まれに視力へ影響することもあります。

一方、小児科外来でみられるアデノウイルス感染症には、目の症状を伴わず、高熱やのどの痛み、咳だけがみられるケースもあります。

「アデノウイルスが陽性だった」というだけで、必ずしも咽頭結膜熱や流行性角結膜炎に該当するわけではありません。

アデノウイルスはどのようにうつるの?

主な感染経路は、飛沫感染、接触感染、糞口感染です。

飛沫感染

感染した人の咳やくしゃみ、会話によって飛び散ったしぶきを吸い込むことで感染します。

接触感染

ウイルスが付いたおもちゃ、ドアノブ、手すり、タオルなどに触れ、その手で口や鼻、目を触ることで感染します。

糞口感染

アデノウイルスは便にも排出されます。おむつ交換後やトイレの後に十分な手洗いをしないと、手を介して感染が広がることがあります。

症状が改善した後も、便から長期間ウイルスが排出されることがあります。そのため、元気になってからも手洗いを続けることが大切です。

子どものアデノウイルス感染症の症状

症状は感染した型や部位によって異なります。

発熱

38〜40℃程度の高熱が出ることがあります。

発熱が3〜5日ほど続き、場合によっては5〜7日程度続くこともあります。熱が長引きやすいため、「なかなか熱が下がらない」と心配されることの多い感染症です。

ただし、すべてのお子さんに高熱が出るわけではありません。

のどの痛み

のどが赤く腫れ、痛みが強くなることがあります。

小さなお子さんでは、

  • 食事を嫌がる
  • 水分を飲みたがらない
  • よだれが増える
  • 機嫌が悪くなる

といった様子がみられることがあります。

赤ちゃんでは、ミルクや母乳の飲みが悪くなることもあります。

咳や鼻水

一般的な風邪のように、咳や鼻水を伴うことがあります。

気管支炎や肺炎を起こすと、咳が強くなったり、呼吸が苦しそうになったりする場合があります。

嘔吐・下痢・腹痛

胃腸に感染する型では、嘔吐、下痢、腹痛などがみられます。

発熱や食欲低下も重なると脱水になりやすいため、水分が取れているか、尿が出ているかを確認することが大切です。

その他の症状

首のリンパ節が腫れたり、高熱に伴って熱性けいれんを起こしたりすることがあります。

多くは自然に改善しますが、まれに肺炎、中耳炎、脱水などを合併することがあります。基礎疾患があるお子さんや免疫機能が低下しているお子さんでは、重症化に注意が必要です。

インフルエンザやRSウイルスとの違い

アデノウイルス感染症は、症状だけでは他の感染症と区別できないことがあります。

インフルエンザでは、急な発熱、強いだるさ、頭痛、筋肉痛などがみられることがあります。

RSウイルス感染症では、咳、鼻水、ゼーゼーとした呼吸などの呼吸器症状が中心です。特に乳児では細気管支炎を起こし、呼吸状態が悪化することがあります。

アデノウイルス感染症では、高熱とのどの炎症が目立つことがありますが、症状には個人差があります。

実際の診療では、症状の経過、診察所見、年齢、周囲の流行状況などを総合して判断します。

アデノウイルス感染症の検査と診断

小児科では、次のような点を確認します。

  • 発熱が始まった時期
  • 熱が何日続いているか
  • のどや目の状態
  • 咳や鼻水の程度
  • 水分摂取量と尿の回数
  • 呼吸状態
  • お子さんの元気や反応

必要と判断した場合には、アデノウイルス抗原を調べる迅速検査を行うことがあります。

ただし、迅速検査が陰性でも、発症時期や検体の採取状況などによっては感染を完全に否定できません。反対に、検査でアデノウイルスが検出されても、現在の症状のすべてがアデノウイルスによるものとは限りません。

検査結果だけではなく、お子さんの症状や診察所見、経過を合わせて判断することが重要です。

また、発熱が長引く場合には、川崎病、尿路感染症、肺炎、その他の細菌感染症などが隠れていないかを確認する必要があります。

アデノウイルス感染症の治療

一般的なアデノウイルス感染症に対して、ウイルスを直接排除する特効薬はありません。

治療の中心は、発熱やのどの痛みなどを和らげながら、自然に回復するのを待つ対症療法です。

解熱剤の使い方

高熱やのどの痛みで眠れない、水分を飲めない、つらそうにしている場合には、アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬を使用することがあります。

解熱剤は、熱を必ず平熱まで下げるための薬ではありません。お子さんのつらさを和らげ、水分や睡眠を取りやすくするために使用します。

熱が高くても、水分が取れていて、比較的機嫌が良く、眠れている場合には、必ずしも解熱剤を使用する必要はありません。

抗生物質は必要?

アデノウイルスはウイルスなので、抗生物質は基本的に効果がありません。

ただし、急性中耳炎や細菌性肺炎など、細菌感染症を合併している場合には、抗生物質が必要になることがあります。

家庭でできるケア

水分を少しずつ与えましょう

発熱が続くと、汗や呼吸によって水分が失われ、脱水になりやすくなります。

発熱だけであれば、水、麦茶、母乳、ミルクなど、普段飲み慣れているもので構いません。

嘔吐や下痢がある場合や脱水が心配な場合には、経口補水液が役立ちます。一度にたくさん飲ませず、少量ずつこまめに与えましょう。

食事は無理をしなくて大丈夫です

食欲がないときは、無理に食べさせる必要はありません。まずは水分補給を優先しましょう。

食べられそうであれば、おかゆ、うどん、スープ、ゼリーなど、食べやすいものから始めます。

体調が戻ってきたら、少しずつ普段の食事に戻しましょう。

十分に休ませましょう

熱がある間は外出や激しい運動を避け、自宅でゆっくり休ませてください。

室温や衣服は、お子さんが暑がったり寒がったりしないように調整しましょう。

家庭内感染を防ぐために

アデノウイルスは感染力が強く、家庭内や保育施設で広がることがあります。

感染予防のため、次のことを心掛けましょう。

  • 石けんと流水で丁寧に手を洗う
  • タオルやコップを共用しない
  • 咳やくしゃみをするときは口と鼻を覆う
  • おむつ交換後は特にしっかり手を洗う
  • 目やにや鼻水を拭いた後にも手を洗う

アデノウイルスはアルコール消毒が効きにくいことがあるため、石けんと流水による手洗いが重要です。

こんなときは小児科を受診してください

次のような場合は、小児科を受診しましょう。

  • 水分が十分に取れない
  • 尿の回数や量が減っている
  • ぐったりしている
  • 呼びかけへの反応が普段より悪い
  • 咳が強く、眠れない
  • 呼吸が苦しそう
  • 熱が5日以上続いている
  • 一度下がった熱が再び高くなった
  • 時間の経過とともに症状が悪化している

次のような場合は、診療時間外でも速やかな受診を検討してください。

  • 生後3か月未満で38℃以上の発熱がある
  • 水分をほとんど、または全く飲めない
  • 半日程度、尿が出ていない
  • 唇や顔色が悪い
  • 意識がぼんやりしている
  • けいれんを起こした
  • 肩で息をするなど、明らかに呼吸が苦しそう

登園・登校の目安

咽頭結膜熱や流行性角結膜炎とは異なり、一般的なアデノウイルス感染症については、学校保健安全法に基づく一律の出席停止期間は定められていません。

登園・登校を再開する目安は、次の状態がそろっていることです。

  • 熱が下がっている
  • 全身状態が良い
  • 普段どおり水分や食事が取れる
  • 集団生活に無理なく参加できる

ただし、咽頭結膜熱と診断された場合は、発熱、咽頭炎、結膜炎などの主な症状がなくなった後、2日を経過するまで出席停止となります。

流行性角結膜炎と診断された場合も、感染のおそれがなくなったと医師が判断するまで出席停止となります。

園や学校によって独自の登園・登校基準や必要書類が定められている場合もあるため、施設のルールを確認してください。

よくある質問

アデノウイルスには何度も感染しますか?

はい。アデノウイルスには多くの型があるため、一度感染しても、別の型に再び感染することがあります。

熱だけでもアデノウイルス感染症の可能性はありますか?

発症初期は、発熱だけで始まることがあります。その後、のどの痛み、咳、鼻水、目の充血、下痢などが現れる場合があります。

ただし、発熱だけでは原因を特定できません。高熱が続く場合や全身状態が悪い場合は、小児科を受診してください。

熱が下がっても家族にうつりますか?

症状が改善した後も、便などからウイルスが排出されることがあります。

症状が治った後も、トイレやおむつ交換の後は、石けんと流水による手洗いを続けましょう。

お風呂に入っても大丈夫ですか?

元気があり、水分が取れていれば、短時間の入浴やシャワーは可能です。

高熱でぐったりしている場合や入浴によって疲れそうな場合は、無理をせず、温かいタオルで体を拭く程度にしましょう。

保育園は何日休めばよいですか?

一般的なアデノウイルス感染症では、「発症後何日間休む」という一律の決まりはありません。

熱が下がり、食事や水分が取れ、集団生活に無理なく参加できる状態になってから登園を検討します。

ただし、咽頭結膜熱や流行性角結膜炎と診断された場合は、定められた出席停止期間があります。

横浜市・みなとみらいでアデノウイルス感染症が心配な方へ

高熱が何日も続くと、「本当にアデノウイルスだけなのか」「このまま自宅で様子を見ていてよいのか」と心配になると思います。

横浜市西区みなとみらいに位置するみなとみらい小児科クリニックは、新高島駅から徒歩8分、みなとみらい駅から徒歩10分の場所にあります。

当院では、アデノウイルス感染症をはじめ、インフルエンザ、RSウイルス感染症、ヒトメタニューモウイルス感染症、溶連菌感染症、マイコプラズマ感染症、胃腸炎など、お子さんの感染症を幅広く診療しています。

診察では、熱の高さだけでなく、水分が取れているか、尿が出ているか、呼吸状態や反応はどうかなど、お子さんの全身状態と症状の経過を丁寧に確認します。

アデノウイルス感染症と思われる場合でも、発熱が長引くときには、川崎病や肺炎、尿路感染症など、ほかの病気との見極めが必要になることがあります。

「いつもと様子が違う」「高熱が続いて心配」と感じたときは、一人で悩まずご相談ください。

参考資料

文部科学省「学校において予防すべき感染症の解説」

厚生労働省「咽頭結膜熱」

厚生労働省「保育所における感染症対策ガイドライン」

日本小児科学会「咽頭結膜熱」

日本小児科学会「流行性角結膜炎」

国立感染症研究所「アデノウイルス感染対策」

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック