
りんご病(伝染性紅斑)とは?症状・原因・治療・登園の目安を小児科医がわかりやすく解説
りんご病(伝染性紅斑)とは
りんご病は、正式には伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)と呼ばれるウイルス感染症です。原因はヒトパルボウイルスB19で、主に幼児から小学生のお子さんにみられます。
最も特徴的な症状は、両頬がりんごのように赤くなる発疹です。その後、腕や脚、体にレース状の発疹が現れることがあり、多くのお子さんは自然に回復します。
一方で、妊婦さんや一部の基礎疾患がある方では注意が必要になることがあります。また、感染しやすい時期と発疹が現れる時期が異なることも、この病気の大きな特徴です。
当院でも、
- 「ほっぺが急に赤くなりました」
- 「りんご病でしょうか?」
- 「兄弟にうつりますか?」
- 「妊娠中の家族がいて心配です」
などのご相談をよくいただきます。
この記事では、りんご病の原因や症状、感染経路、注意が必要なケースについて、医学的根拠に基づいてわかりやすく解説します。
りんご病(伝染性紅斑)の概要
項目内容正式名称伝染性紅斑(りんご病)原因ヒトパルボウイルスB19主な年齢幼児〜小学生潜伏期間通常4〜14日(平均約14日、長い場合21〜28日)感染経路主に飛沫感染(接触感染も起こると考えられています)主な症状頬の赤い発疹、手足や体のレース状発疹ワクチン現在、日本で使用できるワクチンはありません
原因
ヒトパルボウイルスB19への感染が原因です
りんご病は、ヒトパルボウイルスB19というウイルスへの感染によって起こります。
このウイルスは世界中に広く存在し、日本でも数年ごとに流行がみられます。特に保育園や幼稚園、小学校など、お子さん同士が近い距離で生活する環境では感染が広がりやすく、兄弟姉妹や保護者へ感染することもあります。
また、感染しても**約20〜30%の人は症状が現れない(不顕性感染・無症候性感染)**とされており、症状がないまま周囲へ感染が広がることがあります。
感染経路
主に飛沫感染によって広がります
りんご病は、感染した人の咳やくしゃみなどによる飛沫感染が主な感染経路です。
また、接触感染によって広がる可能性もあると考えられています。
家庭内では兄弟姉妹や保護者、祖父母などへ感染することがあります。
感染力が強いのは発疹が現れる前です
りんご病では、頬が赤くなる前の時期に最も感染力が強いことが知られています。
この時期には、
- 微熱
- 鼻水
- 軽い咳
- のどの痛み
- 倦怠感
など、かぜによく似た症状だけの場合も多く、りんご病とは気付かれないことも少なくありません。
特徴的な発疹が現れる頃には、多くの場合で感染力は低下しています。
潜伏期間
感染してから症状が現れるまで通常4〜14日です
感染すると、**通常4〜14日(平均約14日)**で初期症状が現れます。
長い場合には21〜28日程度かかることもあります。
初めは軽いかぜ症状だけのことも多く、その後に特徴的な発疹が現れて診断されることが一般的です。
症状
軽いかぜ症状のあとに特徴的な発疹が現れます
りんご病では、感染してすぐに頬が赤くなるわけではありません。
多くの場合は、初めに軽いかぜのような症状がみられ、その数日後に発疹が現れます。
一方で、症状が全く現れないまま経過したり、発疹だけが現れたりすることもあります。
症状の現れ方には個人差があります。
初期にはかぜに似た症状がみられます
発疹の前には、
- 微熱
- 鼻水
- 軽い咳
- のどの痛み
- 倦怠感
- 頭痛
などがみられることがあります。
これらは比較的軽く、数日で改善することがほとんどです。
そのため、「ただのかぜだと思っていたら、その後に頬が赤くなった」という経過は、りんご病ではよくみられます。
両頬が赤くなる発疹が特徴です
りんご病で最も特徴的なのが、両頬に現れる鮮やかな赤い発疹です。
この発疹には、
- 左右対称に現れる
- 境界が比較的はっきりしている
- 頬全体が赤く見える
- 口の周囲は白く見えることが多い
という特徴があります。
頬の赤みは数日で落ち着き、その後、腕や脚、体へ発疹が広がることがあります。
手足や体にはレース状の発疹が現れます
頬の発疹に続いて、
- 腕
- 太もも
- おなか
- 背中
などに、網目模様のような発疹が現れることがあります。
この特徴的な発疹は「レース状発疹」と呼ばれ、りんご病を診断する重要な特徴の一つです。
大人では関節の痛みがみられることがあります
子どもでは軽症で終わることが多い一方、大人では症状が異なることがあります。
特に成人女性では、
- 手首
- 指
- 膝
- 足首
などに関節の痛みや腫れが現れることがあります。
多くは数週間以内に改善しますが、まれに数か月続くこともあります。
妊婦さんは注意が必要です
妊娠20週頃までの感染では胎児へ影響することがあります
お子さんでは軽症で終わることがほとんどですが、妊娠中に初めてヒトパルボウイルスB19へ感染すると、胎盤を通して胎児へ感染することがあります。
特に妊娠20週頃までの感染では、
- 胎児貧血
- 胎児水腫
などが起こることがあり、慎重な経過観察が必要になる場合があります。
ただし、感染した妊婦さんすべてに胎児への影響が起こるわけではありません。
妊娠中に、お子さんや職場などでりんご病に接触した可能性がある場合は、早めに産婦人科へ相談しましょう。
基礎疾患がある方では注意が必要です
一部の病気では重症化することがあります
ヒトパルボウイルスB19は、一時的に赤血球を作る働きを抑える性質があります。
健康なお子さんでは問題になることはほとんどありませんが、
- 遺伝性球状赤血球症
- 鎌状赤血球症
- サラセミア
- その他の慢性的な溶血性貧血
などがある方では、無形成発作を起こし、急激に貧血が進むことがあります。
また、免疫不全がある方では、ウイルスが体内に長く残り、慢性的な貧血の原因となることがあります。
そのため、このような基礎疾患があるお子さんでは、通常より慎重な診療や経過観察が必要です。
診断
りんご病は特徴的な症状や経過から診断します
りんご病(伝染性紅斑)は、特徴的な発疹やこれまでの症状の経過をもとに診断することが多い病気です。
診察では、次のような点を確認します。
- 発熱やかぜ症状があったか
- 発疹が現れた時期
- 保育園や学校で流行しているか
- 家族内に同じような症状の人がいるか
- 妊婦さんとの接触歴
- 基礎疾患の有無
典型的な経過であれば、血液検査を行わずに診断できることがほとんどです。
一方で、次のような場合には、必要に応じて血液検査やPCR検査を行うことがあります。
- 妊婦さんへの感染が疑われる場合
- 重度の貧血が疑われる場合
- 溶血性貧血などの基礎疾患がある場合
- 免疫不全がある場合
治療
特効薬はなく、症状を和らげる治療が基本です
りんご病には、ヒトパルボウイルスB19を直接治療する薬はありません。
そのため、**症状を和らげながら自然に回復するのを待つ「対症療法」**が基本となります。
健康なお子さんでは、多くの場合、特別な治療を行わなくても回復します。
発熱や痛みがある場合
発熱や関節痛などがある場合は、必要に応じて解熱鎮痛薬を使用します。
小児では一般的にアセトアミノフェンが使用されます。
薬は年齢や体重に応じて適切な量を使用することが大切です。
かゆみがある場合
発疹によるかゆみが強い場合には、必要に応じてかゆみを抑える塗り薬や飲み薬を使用することがあります。
家庭でできるケア
水分補給と十分な休養を心がけましょう
多くのお子さんは自宅で安静に過ごすことで自然に回復します。
家庭では次のことを心がけましょう。
- 水分をこまめに飲む
- 十分な睡眠を取る
- 食欲に合わせて食事を取る
- 無理な運動を控える
元気があり、水分が十分に取れていれば、過度に心配する必要はありません。
発疹はしばらく残ることがあります
頬の赤みは数日で改善することが多いですが、体や手足の発疹は1〜3週間程度残ることがあります。
発疹が続いていても、全身状態が良好であれば心配のないことがほとんどです。
小児科を受診する目安
次のような場合は受診しましょう
次のような場合には、小児科への受診をおすすめします。
- 高熱が続く
- 元気がない
- 水分が十分に取れない
- 関節の痛みが強い
- 発疹以外の症状が強い
- 基礎疾患がある
- 妊婦さんと接触した
- りんご病かどうか判断できない
救急受診を考える症状
次のような症状がある場合は早めに受診してください
- 呼吸が苦しそう
- 顔色が非常に悪い
- ぐったりして反応が悪い
- 水分が全く飲めない
- 半日以上尿が出ない
- 強い息切れや動悸がある
- けいれん
これらの症状がある場合は、りんご病以外の病気や重い合併症の可能性もあるため、速やかに医療機関を受診しましょう。
登園・登校の目安
全身状態が良好であれば登園・登校できます
りんご病(伝染性紅斑)は、学校保健安全法で出席停止の対象となる感染症には含まれていません。
そのため、
- 元気に過ごせる
- 普段どおり食事や水分が取れる
など、全身状態が良好であれば登園・登校が可能です。
発疹だけが残っていることを理由に休む必要はありません。
ただし、保育園や幼稚園、学校によって対応が異なる場合があるため、それぞれの施設の方針も確認しましょう。
予防
基本的な感染対策が大切です
現在、日本でりんご病を予防するワクチンはありません。
また、感染力が最も強い時期は発疹が現れる前であるため、発症した人を隔離して流行を防ぐことは難しい感染症です。
日頃から、
- 石けんによる手洗い
- 咳エチケット
- 十分な睡眠
- バランスの良い食事
など、基本的な感染対策を続けることが大切です。
よくある質問
Q. 兄弟も保育園や学校を休ませたほうがいいですか?
A. 症状がなければ休む必要はありません。
体調に変化がなければ通常どおり登園・登校できます。
Q. 一度かかるとまた感染しますか?
A. 多くの場合、一度感染すると長期間免疫が得られます。
そのため、再びりんご病になることはまれです。
Q. お風呂に入っても大丈夫ですか?
A. 元気で熱がなければ入浴できます。
体調に合わせて無理のない範囲で入浴しましょう。
Q. 食事で気を付けることはありますか?
A. 特別な食事制限はありません。
食欲があれば普段どおりの食事で問題ありません。
食欲が低下している場合は、水分補給を優先し、食べられるものを少しずつ摂りましょう。
Q. 妊娠中の家族がいる場合はどうすればよいですか?
A. 感染の可能性がある場合は、早めに産婦人科へ相談しましょう。
妊娠中は胎児へ影響することがあるため、症状の有無にかかわらず相談することが勧められます。
横浜市西区・みなとみらいでりんご病が心配なお子さんへ
横浜市西区みなとみらいに位置するみなとみらい小児科クリニックは、新高島駅から徒歩約8分、みなとみらい駅から徒歩約10分の場所にあります。
当院では、りんご病(伝染性紅斑)をはじめ、
- 発熱
- 発疹
- 咳・鼻水
- のどの痛み
- 手足口病
- ヘルパンギーナ
- 溶連菌感染症
- 水痘(みずぼうそう)
- 麻しん(はしか)
- 風しん
など、お子さんによくみられる感染症の診療を行っています。
「頬が急に赤くなった」「りんご病かどうか判断できない」「妊娠中の家族がいて心配」など、不安なことがありましたらお気軽にご相談ください。
また、当院ホームページでは、お子さんによくみられる病気や症状について、小児科医が医学的根拠に基づいてわかりやすく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
参考資料
- 厚生労働省「伝染性紅斑(りんご病)」
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「感染症情報提供サイト:伝染性紅斑(ヒトパルボウイルスB19感染症)」
- 日本小児科学会「予防接種・感染症に関する提言・資料」
- 日本小児感染症学会「小児感染症診療に関する資料」
- 文部科学省「学校保健安全法施行規則(学校において予防すべき感染症)」
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「パルボウイルスB19感染症」
- Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Parvovirus B19 and Fifth Disease
- World Health Organization (WHO). Parvovirus B19 infection information
公開日:2026年6月30日
更新日:2026年7月27日
監修:みなとみらい小児科クリニック 院長
お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。
みなとみらい小児科クリニック


































