
急な高熱…それはインフルエンザかもしれません
インフルエンザは、乳幼児から学童まで幅広い年代にみられるウイルス感染症です。急な38〜40℃の高熱や強い全身のだるさが特徴で、多くのお子さんは1週間程度で回復します。
一方で、水分が飲めない、ぐったりしている、呼吸が苦しいなどの症状がある場合は、早めの受診が必要です。また、抗インフルエンザ薬は、発症から48時間以内に開始すると、発熱期間を短縮し、症状を軽くする効果が期待されています。
お子さんが突然高い熱を出すと、
- 普通の風邪と何が違うの?
- すぐ病院へ行った方がいい?
- 検査はいつ受ければいいの?
- 薬は飲んだ方がいいの?
と心配になる保護者の方も多いでしょう。
インフルエンザは毎年冬に流行し、保育園や幼稚園、学校などで集団感染を起こしやすい感染症です。早めに適切な診断と治療を受けることで、お子さんが少しでも楽に過ごせるようサポートできる場合があります。
この記事では、インフルエンザの原因や症状、感染経路、潜伏期間、検査、治療について、厚生労働省や日本小児科学会などの最新の情報をもとに、小児科医の視点からわかりやすく解説します。
インフルエンザとは?
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって起こる感染症です。
一般的な風邪では、鼻水やのどの痛みなどの症状が中心ですが、インフルエンザでは次のような全身症状が強く現れることが特徴です。
- 38〜40℃の高熱
- 強い全身のだるさ
- 頭痛
- 筋肉痛
- 関節痛
多くのお子さんは5〜7日程度で回復しますが、咳やだるさが1〜2週間ほど続くこともあります。
また、乳幼児では熱性けいれん、まれにインフルエンザ脳症や肺炎などの重い合併症を起こすことがあるため、注意が必要です。
一般的な風邪との違い
項目インフルエンザ一般的な風邪発熱急に38〜40℃の高熱微熱〜38℃程度全身のだるさ強い軽いことが多い筋肉痛・関節痛よくみられる少ない鼻水・のどの痛み後から出ることもある初期から多い経過約5〜7日数日〜1週間程度
子どものインフルエンザの症状
インフルエンザでは、高熱だけでなく全身の症状が強く現れることが特徴です。
代表的な症状は次のとおりです。
- 38〜40℃の高熱
- 強い寒気
- 全身のだるさ
- 頭痛
- 筋肉痛・関節痛
- 咳
- 鼻水
- のどの痛み
- 食欲低下
乳幼児では、
- 機嫌が悪い
- 抱っこばかり求める
- ミルクや水分を飲みたがらない
- 眠ってばかりいる
といった症状が目立つこともあります。
注意したい合併症
ほとんどのお子さんは自然に回復しますが、次のような合併症を起こすことがあります。
- 熱性けいれん
- 急性中耳炎
- 肺炎
- 気管支炎
- インフルエンザ脳症(まれ)
特に、
- 呼びかけへの反応が悪い
- けいれんを起こした
- 意味の分からないことを話す
- 呼吸が苦しそう
などの症状がある場合は、早急に医療機関を受診してください。
原因
インフルエンザは、主にA型とB型のインフルエンザウイルスによって起こります。
インフルエンザウイルスは毎年少しずつ性質が変化し、さらに免疫も時間の経過とともに弱くなるため、一度かかったことがあっても翌年以降に再び感染することがあります。
感染経路
インフルエンザは主に飛沫感染と接触感染によって広がります。
- 飛沫感染:感染した人のせきやくしゃみを吸い込んで感染します。
- 接触感染:ウイルスが付着したドアノブや手すり、おもちゃなどを触った手で、口・鼻・目を触ることで感染します。
また、症状が出る前日頃から周囲へ感染させることがあるため、家族内や園・学校で広がりやすい感染症です。
潜伏期間
インフルエンザの潜伏期間は**1〜4日(平均2日程度)**です。
家族や保育園・幼稚園・学校でインフルエンザの方がいる場合は、数日後に発熱することがあります。
検査
診断では、
- 発熱からの時間
- 症状
- ご家族の感染状況
- 地域での流行状況
を確認したうえで、必要に応じて迅速抗原検査を行います。
現在は、一部の高感度迅速検査では発熱後約8時間頃から検査可能とされています。
一方で、発熱直後は体内のウイルス量が少ないため、どの検査でも陰性となることがあります。
そのため、**検査が陰性でもインフルエンザを完全に否定できるわけではありません。**必要に応じて再検査や経過観察を行うことがあります。
当院では検査のタイミングも大切にしています
みなとみらい小児科クリニックでは、
- 発熱から何時間経過しているか
- お子さんの症状
- ご家族の感染状況
- 地域での流行状況
を総合的に判断し、適切なタイミングで検査をご提案しています。
「今検査した方がいいのかな?」と迷われる場合も、お気軽にご相談ください。
治療
インフルエンザ治療の基本は、
- 十分な水分補給
- 安静
- 必要に応じた解熱薬
です。
さらに、必要に応じて抗インフルエンザ薬を使用します。
発症から48時間以内に治療を開始すると、発熱期間を短縮し、症状を軽くする効果が期待されています。また、小児では急性中耳炎など一部の合併症を減らす可能性が報告されています。
年齢や症状に応じて、次のようなお薬を使い分けます。
- オセルタミビル
- バロキサビル
- ザナミビル
- ラニナミビル
家庭でできるケア
インフルエンザでは、高熱や食欲低下によって脱水になりやすくなります。まずは十分な水分補給を心がけましょう。
一度にたくさん飲めない場合は、少量ずつこまめに飲ませることが大切です。
おすすめの飲み物
- 水
- 麦茶
- 母乳・ミルク(乳児)
- 経口補水液(食事や水分が十分にとれない場合)
食欲がない時は無理に食べさせる必要はありません。食べられるようになってきたら、おかゆやうどん、スープ、ゼリーなど消化の良いものから少しずつ始めましょう。
十分な睡眠と休養も、回復を早めるために大切です。
解熱剤について
高熱でつらそうな場合は、医師から処方されたアセトアミノフェンを使用することが一般的です。
解熱剤は熱によるつらさを和らげる薬であり、インフルエンザそのものを治す薬ではありません。
市販薬の中には小さなお子さんには適さない成分が含まれているものもあります。自己判断で使用する前に、医師や薬剤師へ相談しましょう。
小児科を受診する目安
インフルエンザでは、**抗インフルエンザ薬を発症から48時間以内に開始すると、発熱期間を短縮し、症状を軽くする効果が期待されています。**そのため、高熱や全身症状が強い場合は早めの受診をおすすめします。
また、一部の高感度迅速検査では発熱後約8時間頃から検査可能とされていますが、発熱直後は陰性となることもあります。そのため、検査のタイミングは症状や経過をみながら医師が判断します。
次のような場合は、小児科を受診しましょう。
- 38℃以上の発熱がある
- 強いだるさがある
- 水分や食事が十分にとれない
- 咳が強く眠れない
- 家族や保育園・幼稚園・学校でインフルエンザが流行している
救急受診の目安
インフルエンザでは、まれに重症化することがあります。
次のような症状がある場合は、夜間や休日でも早めに医療機関を受診してください。
- 呼吸が苦しそう
- 顔色が悪い
- 水分がほとんど飲めない
- 半日以上おしっこが出ない
- ぐったりして呼びかけへの反応が悪い
- けいれんを起こした
- 意味の分からないことを話す、ぼんやりしている
- 生後3か月未満のお子さんが発熱した
判断に迷う場合も、医療機関へ相談することをおすすめします。
登園・登校の目安
インフルエンザは感染力が非常に強いため、学校保健安全法で出席停止期間が定められています。項目内容登園・登校の目安発症後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで
熱が下がった後もしばらくは感染力が残ることがあるため、決められた出席停止期間を守ることが大切です。
また、
- 食事が普段どおり食べられる
- 元気に遊べる
状態になってから登園・登校しましょう。
なお、保育園や幼稚園、学校によって独自の基準が設けられている場合がありますので、各施設へ確認してください。
予防方法
インフルエンザを完全に防ぐことは難しいものの、予防接種や基本的な感染対策によって重症化を予防する効果が期待されています。
特に、
- 乳幼児
- 喘息などの基礎疾患があるお子さん
- 心臓病や腎臓病など慢性疾患のあるお子さん
では、毎年のワクチン接種が勧められています。
日頃から次のような感染対策を心がけましょう。
- 毎年インフルエンザワクチンを接種する
- 外出後は石けんで手を洗う
- 咳エチケットを守る
- 十分な睡眠をとる
- バランスの良い食事を心がける
- 定期的に室内を換気する
異常行動について
インフルエンザでは、抗インフルエンザ薬を服用したかどうかにかかわらず、発熱後に突然走り出す、興奮する、意味の分からないことを話すなどの異常行動が報告されています。
頻度は高くありませんが、特に発熱後2日間程度は、
- お子さんを一人にしない
- ベランダや窓を施錠する
- 転落につながる環境を避ける
など、安全に過ごせるよう保護者の方が見守ることが大切です。
よくある質問
Q. 熱が出てすぐ検査できますか?
A. 一部の高感度迅速検査では発熱後約8時間頃から検査できる場合があります。ただし、発熱直後は陰性となることもあるため、症状や経過をみながら適切な検査時期を判断します。
Q. 抗インフルエンザ薬は必ず飲んだ方がいいですか?
A. 年齢や症状、基礎疾患などを考慮して医師が判断します。発症から48時間以内に開始すると、発熱期間を短縮する効果が期待されています。
Q. ワクチンを接種していても感染しますか?
A. 感染することはありますが、発症や重症化のリスクを減らす効果が期待されています。
Q. 兄弟は保育園や学校へ行けますか?
A. 症状がなければ通常どおり登園・登校できます。ただし、施設によって対応が異なる場合がありますので、各施設へ確認してください。
Q. お風呂に入ってもいいですか?
A. 高熱がなく元気があれば短時間の入浴は可能です。入浴後は十分に水分補給を行い、疲れない程度にしましょう。
Q. 食事が食べられない時はどうすればいいですか?
A. 無理に食べさせる必要はありません。まずは水分補給を優先し、食欲が戻ってきたら消化の良いものから少しずつ食べ始めましょう。
横浜市・みなとみらいでお子さんのインフルエンザが心配な方へ
横浜市西区みなとみらいに位置するみなとみらい小児科クリニックは、新高島駅から徒歩8分、みなとみらい駅から徒歩10分の場所にあります。
当院では、インフルエンザをはじめ、お子さんの発熱や咳、鼻水などの急性疾患を幅広く診療しています。
診察では、お子さん一人ひとりの症状や発熱からの経過、ご家族の感染状況、地域での流行状況を総合的に判断し、適切なタイミングで検査・治療をご提案しています。
「インフルエンザかもしれない」「検査を受けるタイミングが分からない」「抗インフルエンザ薬が必要か相談したい」といった場合も、お気軽にご相談ください。
また、当院ホームページのブログでは、
- 発熱
- 熱性けいれん
- 経口補水液の使い方
- 咳
- 嘔吐・下痢
- 予防接種
など、お子さんによくみられる症状や病気についても詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
インフルエンザは、急な高熱や強い全身症状が特徴の感染症です。多くのお子さんは自然に回復しますが、乳幼児では熱性けいれんや肺炎、まれにインフルエンザ脳症などの重い合併症を起こすことがあります。
十分な水分補給と休養を心がけ、必要に応じて適切な治療を受けることが大切です。また、ぐったりしている、呼吸が苦しい、水分が飲めないなどの症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
お子さんの体調が心配な時は、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。
参考資料
- 厚生労働省
- 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト(旧 国立感染症研究所)
- 日本小児科学会
- 日本小児感染症学会
- 日本感染症学会
- 日本小児呼吸器学会
- 日本小児救急医学会
- 日本外来小児科学会
- PMDA(医薬品医療機器総合機構)
- WHO(世界保健機関)
- CDC(米国疾病予防管理センター)
公開日:2026年7月3日
更新日:2026年7月26日
監修:みなとみらい小児科クリニック 院長
お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。
みなとみらい小児科クリニック


































