子どものインフルエンザワクチンとは?接種時期・副反応・フルミストを小児科医がわかりやすく解説

予防接種
2026.07.21

子どものインフルエンザワクチンとは?接種時期・副反応・フルミストを小児科医がわかりやすく解説

インフルエンザワクチンを検討されている保護者の皆さまへ

秋から冬にかけて流行するインフルエンザ。

「インフルエンザワクチンは毎年受けた方がいいの?」
「注射しかないの?」
「鼻から接種するフルミスト®ってどんなワクチン?」
「ワクチンを受けてもインフルエンザにかかるの?」

このような疑問をお持ちの保護者の方も多いのではないでしょうか。

インフルエンザは「ただの風邪」と思われることがありますが、小さなお子さんでは肺炎やインフルエンザ脳症などの重い合併症を起こし、入院が必要になったり、まれに命に関わったりすることがあります。

現在、日本では従来から使用されている注射による不活化インフルエンザワクチンに加えて、**鼻に噴霧して接種する経鼻弱毒生インフルエンザワクチン「フルミスト®」**も使用されています。

どちらのワクチンもインフルエンザへの感染を100%防ぐものではありませんが、発症や重症化を予防することを目的として接種されます。

インフルエンザとは?

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって起こる感染症です。

咳やくしゃみなどによる飛沫や、ウイルスが付着した手指などを介して感染が広がります。

一般的なかぜと似た症状もありますが、

  • 発熱
  • 強いだるさ
  • 頭痛
  • 筋肉痛・関節痛
  • 咳
  • のどの痛み
  • 鼻水

などがみられます。

突然高い熱が出ることもありますが、小さなお子さんでは必ずしも典型的な症状がそろうとは限りません。

多くのお子さんは数日から1週間程度で回復しますが、乳幼児や基礎疾患のあるお子さんでは重症化することがあります。

また、保育園や幼稚園、学校などの集団生活では感染が広がりやすく、兄弟や保護者など家族内で感染することも少なくありません。

子どもはインフルエンザの重症化に注意が必要です

子どもはインフルエンザにかかりやすく、年齢や健康状態によっては重症化することがあります。

特に5歳未満のお子さん、なかでも2歳未満の乳幼児では注意が必要です。

また、

  • 気管支喘息などの呼吸器疾患
  • 心疾患
  • 腎疾患
  • 糖尿病などの代謝性疾患
  • 神経・筋疾患
  • 免疫機能が低下する病気や治療

などがあるお子さんでは、インフルエンザによる合併症や重症化のリスクが高くなることがあります。

そのため、インフルエンザワクチンは、子どもの重症化を防ぐための大切な予防手段の一つです。

インフルエンザワクチンを接種する目的

インフルエンザワクチンを接種しても、インフルエンザへの感染や発症を完全に防ぐことはできません。

それでもワクチンが推奨されるのは、発症や重症化を予防する効果が期待できるためです。

ワクチン接種によって、

  • インフルエンザの発症を予防する
  • 重症化するリスクを減らす
  • 入院するリスクを減らす
  • 重い合併症のリスクを減らす

ことが期待されています。

特に小さなお子さんや基礎疾患のあるお子さんでは、重症化を防ぐという点でワクチン接種の意義があります。

インフルエンザで起こることがある合併症

多くのお子さんはインフルエンザにかかっても回復しますが、なかには合併症を起こすことがあります。

インフルエンザ脳症

子どものインフルエンザで特に注意したい重い合併症の一つです。

発熱に伴って、

  • けいれん
  • 呼びかけへの反応が悪い
  • 意識がもうろうとする
  • 異常な言動や行動がみられる
  • ぐったりしている

などの症状がみられることがあります。

インフルエンザ脳症は乳幼児を中心にみられ、後遺症が残ったり、命に関わったりすることもあります。

意識の状態がおかしい、けいれんが続くなど、いつもと明らかに様子が違う場合には速やかな受診が必要です。

肺炎

インフルエンザに伴って肺炎を起こすことがあります。

インフルエンザウイルスそのものによる肺炎だけでなく、細菌による二次感染が関係する場合もあります。

  • 呼吸が速い
  • 息苦しそう
  • 顔色が悪い
  • 水分が十分に取れない
  • ぐったりしている

などの症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。

熱性けいれん

乳幼児では、インフルエンザによる発熱に伴って熱性けいれんを起こすことがあります。

多くは短時間で自然に治まりますが、初めてけいれんを起こした場合や、けいれんが5分以上続く場合などには、速やかな対応が必要です。

中耳炎

インフルエンザなどの呼吸器感染症に伴って中耳炎を起こすことがあります。

耳を痛がる、機嫌が悪い、耳だれが出るなどの症状がみられる場合は、小児科や耳鼻咽喉科へ相談しましょう。

気管支炎・喘息発作

インフルエンザをきっかけに気管支炎を起こしたり、喘息のあるお子さんでは喘息発作が悪化したりすることがあります。

ゼーゼーする、呼吸が苦しそう、咳が強くて眠れないなどの症状がある場合には受診してください。

子どものインフルエンザワクチンには2種類あります

現在、日本で子どもに使用できるインフルエンザワクチンには、大きく分けて注射による不活化ワクチンと**鼻から接種するフルミスト®**があります。

注射するインフルエンザワクチン(不活化ワクチン)

従来から広く使用されているインフルエンザワクチンです。

生後6か月から接種可能で、長年使用されてきた実績があり、有効性や安全性に関する多くの知見が蓄積されています。

フルミスト®(経鼻弱毒生インフルエンザワクチン)

フルミスト®は、鼻にワクチンを噴霧して接種するインフルエンザワクチンです。

2歳以上19歳未満が対象です。

生きたインフルエンザウイルスの病原性を弱めた「弱毒生ワクチン」で、鼻の粘膜で免疫を誘導します。

注射を使用しないため、注射が苦手なお子さんにとっても選択肢の一つとなります。

日本小児科学会では、対象となるお子さんについて、不活化ワクチンと経鼻弱毒生インフルエンザワクチンのいずれも推奨しています。

ただし、フルミスト®は生ワクチンのため、健康状態や基礎疾患、治療内容によっては接種できない場合があります。

注射ワクチンとフルミスト®の違い

インフルエンザワクチンはなぜ毎年接種するの?

「去年ワクチンを接種したから、今年は受けなくても大丈夫ですか?」という質問をいただくことがあります。

インフルエンザワクチンは、基本的に毎年の接種が推奨されています。

その理由は大きく2つあります。

流行するインフルエンザウイルスが変化するため

インフルエンザウイルスは少しずつ変化しながら流行します。

そのため、そのシーズンに流行すると予測されるウイルスを考慮して、ワクチンの組成が毎年決められています。

ワクチンによる免疫が時間とともに低下するため

インフルエンザワクチンの接種によって得られた免疫は、時間の経過とともに低下していきます。

そのため、前年にワクチンを接種したお子さんでも、そのシーズンの流行に備えて毎年接種することが推奨されています。

前年にインフルエンザにかかった場合でも、別の型や亜型が流行する可能性があるため、その年のワクチン接種を検討することが大切です。

インフルエンザワクチンはいつ接種する?

インフルエンザワクチンは、流行が本格化する前に余裕をもって接種することが大切です。

ワクチンを接種してすぐに十分な免疫が得られるわけではないため、流行状況やお子さんの接種回数を考えながらスケジュールを立てます。

特に13歳未満のお子さんが注射のインフルエンザワクチンを受ける場合は2回接種となるため、2回目まで考えて早めに予定を立てておきましょう。

インフルエンザの流行時期は年によって異なるため、その年の地域の流行状況も確認しながら接種時期を検討することが大切です。

注射ワクチンは何回接種する?

注射による不活化インフルエンザワクチンは、年齢によって接種回数が異なります。

13歳未満のお子さんでは2回接種するため、流行時期から逆算して1回目の接種時期を考えておくとよいでしょう。

フルミスト®は1シーズン1回です

フルミスト®は、2歳以上19歳未満を対象とした経鼻弱毒生インフルエンザワクチンです。

左右の鼻にワクチンを噴霧して接種し、1シーズン1回で接種が完了します。

注射を使用しないため、注射が苦手なお子さんにとっても選択肢の一つになります。

一方、フルミスト®は、生きたインフルエンザウイルスの病原性を弱めて作られた弱毒生ワクチンです。そのため、すべての方が接種できるわけではありません。

フルミスト®を接種できない、または注意が必要な場合

次のような場合には、フルミスト®を接種できない、または注射による不活化インフルエンザワクチンが適していることがあります。

  • 2歳未満
  • 明らかな発熱がある、または重い急性疾患にかかっている
  • 免疫機能が低下する病気がある
  • 免疫を抑える治療を受けている
  • 妊娠している
  • ワクチンの成分によって重いアレルギー反応を起こしたことがある
  • 喘息などの基礎疾患がある

特に、免疫機能が著しく低下している方や免疫を抑える治療を受けている方、妊娠している方などでは、フルミスト®を接種できない場合があります。

また、喘息などの基礎疾患があるお子さんでは、注射による不活化インフルエンザワクチンが適している場合があります。

持病がある場合や定期的に薬を使用している場合、「フルミスト®を接種できるか分からない」という場合には、接種前に医師へご相談ください。

注射ワクチンとフルミスト®はどちらを選べばいい?

「注射とフルミスト®では、どちらがいいですか?」という質問をいただくことがあります。

健康な2歳以上19歳未満のお子さんでは、注射による不活化ワクチンとフルミスト®のどちらも選択肢になります。

どちらを選ぶかは、

  • 年齢
  • 基礎疾患
  • 喘息の有無や状態
  • 使用している薬
  • これまでの予防接種歴
  • 注射に対する不安
  • ご本人やご家族の希望

などを考慮して決めます。

特に喘息や基礎疾患があるお子さん、定期的に薬を使用しているお子さんでは、接種前に医師と相談して適したワクチンを選びましょう。

他のワクチンと同時接種できますか?

インフルエンザワクチンは、医師が必要と判断した場合には、他のワクチンと同時に接種することができます。

例えば、

  • MR(麻しん・風しん)ワクチン
  • 水痘ワクチン
  • おたふくかぜワクチン
  • 日本脳炎ワクチン
  • HPVワクチン

などと接種時期が重なることがあります。

複数の予防接種を予定している場合は、母子健康手帳などでこれまでの接種歴を確認しながらスケジュールを立てましょう。

注射ワクチンの主な副反応

注射によるインフルエンザワクチンでは、接種した場所に、

  • 痛み
  • 赤み
  • 腫れ

などがみられることがあります。

また、

  • 発熱
  • 頭痛
  • だるさ

などの全身症状がみられることもあります。

多くは一時的で、数日程度で改善します。

フルミスト®の主な副反応

フルミスト®では、

  • 鼻水
  • 鼻づまり
  • 咳
  • のどの痛み
  • 頭痛
  • 発熱
  • 食欲低下
  • だるさ

などがみられることがあります。

特に、鼻水や鼻づまりなど、鼻やのどの症状がみられることがあります。

多くは一時的ですが、症状が強い場合や長く続く場合には医療機関へご相談ください。

接種後に注意したい症状

インフルエンザワクチンでは、非常にまれですが、アナフィラキシーなどの重いアレルギー反応が起こることがあります。

接種後に、

  • 呼吸が苦しそう
  • 顔や唇が腫れる
  • 全身にじんましんが広がる
  • 繰り返し吐く
  • ぐったりして反応が悪い
  • けいれんが続く

などの症状がみられた場合には、速やかに医療機関を受診してください。

インフルエンザワクチンについてよくある質問

Q. 卵アレルギーがあっても接種できますか?

A. 卵アレルギーがあるという理由だけで、一律にインフルエンザワクチンを接種できないわけではありません。

ただし、これまでに重いアレルギー反応を起こしたことがある場合や、ワクチン接種について心配がある場合は、事前に医師へご相談ください。

Q. 喘息があります。フルミスト®を接種できますか?

A. 喘息があるから必ずフルミスト®を接種できないというわけではありません。

ただし、喘息の状態によっては、注射による不活化インフルエンザワクチンが適している場合があります。

現在の症状や治療内容を確認したうえで、適したワクチンを選択します。

Q. かぜをひいていても接種できますか?

A. 軽い鼻水や咳だけで全身状態が良好であれば、接種できる場合があります。

一方、明らかな発熱がある場合や、体調が悪い場合には接種を延期することがあります。

当日の症状や診察所見を確認して判断します。

Q. 接種した日にお風呂へ入れますか?

A. 体調が良ければ入浴できます。

接種した場所を強くこすることは避け、接種当日は激しい運動を控えて体調の変化に注意しましょう。

Q. インフルエンザにかかった後でもワクチンは必要ですか?

A. 接種を検討できます。

インフルエンザには複数の型や亜型があり、一度感染しても、そのシーズン中に別のインフルエンザウイルスに感染する可能性があります。

体調が十分に回復してから、その後の流行状況などを考慮して接種を検討します。

Q. 1回目と2回目の間隔があいてしまったらどうすればいいですか?

A. 予定していた間隔より長くあいてしまった場合でも、自己判断で接種を中止せずご相談ください。

年齢やこれまでの接種状況を確認し、その後の接種スケジュールをご案内します。

Q. フルミスト®は注射より効果が高いですか?

A. 現時点では、小児においてフルミスト®と注射による不活化ワクチンのどちらか一方が、インフルエンザの予防効果で明らかに優れているとはされていません。

お子さんの年齢や健康状態、基礎疾患、ご本人やご家族の希望などを考慮して選択します。

みなとみらい小児科クリニックの2026年度インフルエンザ予防接種

みなとみらい小児科クリニックでは、2026年度のインフルエンザワクチン接種を9月29日から開始します。

予約は8月28日から受け付けています。

当院では、

  • 注射による不活化インフルエンザワクチン
  • 鼻から接種するフルミスト®

の両方に対応しています。

注射ワクチンは生後6か月から、フルミスト®は2歳以上19歳未満が対象です。

接種前には、お子さんの年齢や体調、基礎疾患、喘息の有無、使用している薬などを確認し、それぞれのお子さんに適したワクチンをご案内します。

「注射とフルミスト®のどちらを選べばいい?」「喘息があるけれど接種できる?」「兄弟で同じ日に受けたい」など、分からないことがありましたらお気軽にご相談ください。

インフルエンザワクチンの予約は、Webから24時間受け付けています。

また、お子さんの接種に合わせて、保護者の方の自費インフルエンザワクチン接種にも対応しています。

横浜市西区みなとみらいをはじめ、中区・神奈川区などからもインフルエンザ予防接種で受診いただけます。

関連記事

子どものインフルエンザとは?症状・治療・登園の目安を小児科医がわかりやすく解説

子どものインフルエンザ・予防接種Q&A30選|ワクチン・フルミスト・検査・登園の疑問を小児科医が解説

子どもの発熱|原因・受診の目安・家庭での対処を小児科医が解説

参考文献・参考資料

  • 厚生労働省「インフルエンザ」
  • 厚生労働省「インフルエンザワクチン(季節性)」
  • 日本小児科学会「インフルエンザ治療・予防指針」
  • 日本小児科学会「経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの使用に関する考え方」
  • 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「フルミスト®点鼻液 電子添文」
  • 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「インフルエンザ」

公開日:2026年7月21日
更新日:2026年8月30日
監修:みなとみらい小児科クリニック 院長

みなとみらい小児科クリニックへのアクセス

みなとみらい小児科クリニックは、横浜市西区みなとみらい6丁目の「プライムコーストみなとみらい」2階にあります。

横浜市西区・みなとみらいを中心に、西区各地域のほか、中区・神奈川区など周辺地域からも受診いただけます。

電車でお越しの方

みなとみらい線をご利用の場合、

  • 新高島駅から徒歩約8分
  • みなとみらい駅から徒歩約10分

です。

ベビーカーをご利用の方や、小さなお子さんを連れての受診にも便利な立地です。

お車でお越しの方

お車でお越しの方は、プライムコーストみなとみらいの大型立体駐車場をご利用いただけます。

駐車場は2時間まで無料です。

発熱などでお子さんを長時間歩かせることが難しい場合や、乳幼児・ご兄弟を連れて受診される場合にも、お車でお越しいただけます。

所在地

みなとみらい小児科クリニック
〒220-0012
神奈川県横浜市西区みなとみらい6-3-4
プライムコーストみなとみらい2階

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック