子どものRSウイルスの症状は?秋の咳とゼーゼーを見分ける視点

子供の感染症
2026.09.18

子どものRSウイルスの症状は?秋の咳とゼーゼーを見分ける視点

涼しくなってきた頃にお子さんの鼻水と咳が続くと、RSウイルスではないかと気になる保護者の方は多いのではないでしょうか。秋はRSウイルスが流行する季節だと聞いたことがあるかもしれません。

ところが、RSウイルスの流行する時期は、この10年ほどで大きく動いています。秋という季節をどう捉えるかによって、目の前の咳の見方も変わってくるでしょう。ここでは秋のRSウイルスの位置づけを整理したうえで、子どもに現れる症状の経過と、秋に増える別の咳との見分け方をお伝えします。

秋のRSウイルスは流行のピークを過ぎた時期

秋は、RSウイルスの流行が山を越えて下り坂に向かう時期にあたります。厚生労働省のRSウイルス感染症に関するQ&Aでは、近年は夏から増加して秋にピークがみられていること、そして2021年以降は春から初夏にかけて増加し、夏にピークがみられていることが示されています。かつて言われていた「晩秋から冬にかけて流行する病気」という説明は、いまの実態とは合わなくなりました。

ただし、ピークを過ぎたことと、かからなくなることは別の話です。流行の裾野は秋にも続いており、保育園や幼稚園に通うお子さんが感染する機会は残っています。生後6か月以内の赤ちゃんにとっては、流行期であるかどうかにかかわらず注意すべき感染症だといえるでしょう。

いま実際にどのくらい報告されているかは、国立健康危機管理研究機構の感染症発生動向調査週報で週ごとに公表されています。地域差もあるため、住んでいる地域の流行状況を確認しておくと、受診の判断がしやすくなります。

子どものRSウイルスの症状は3日目前後で分かれる

RSウイルスの症状は、鼻水と咳から始まり、発症して3日目前後で軽快に向かうか悪化するかが分かれます。潜伏期間は2〜8日、典型的には4〜6日です。その後に発熱や鼻汁といった症状が数日続きます。

初めて感染した乳幼児の約7割は鼻汁などの上気道炎症状だけで数日のうちに軽快し、約3割では咳が悪化して喘鳴や呼吸困難が現れるとされています。つまり、多くのお子さんは普通の風邪として経過していきますが、3人に1人ほどは呼吸の症状へ進むと考えておくとよいでしょう。

分かれ目になりやすいのが、鼻水が出始めてから2日目から4日目あたりです。この時期に咳が湿った音に変わる、息を吐くときにゼーゼーやヒューヒューという音が混じる、ミルクや食事の途中で息継ぎが増えるといった変化が出てきたら、上気道から下気道へ炎症が広がりつつある合図と受け止めてください。

生後6か月以内の赤ちゃんでは、細気管支炎や肺炎へ進むことがあります。月齢が低いお子さんほど、咳の強さよりも哺乳の様子と呼吸の速さを手がかりにしたほうが、変化を早くつかめます。

秋はRSウイルス以外の咳も増える

秋の咳をRSウイルスだけで説明すると、見立てを誤ります。この季節は、似た症状を出す別の感染症が同時に動いているためです。

ヒトメタニューモウイルスは、RSウイルスとよく似た喘鳴や咳を起こします。マイコプラズマ肺炎は、乾いた咳が長く続き、熱が下がってからも咳だけが残る点が特徴になります。犬の吠え声のような「ケンケン」という咳であれば、クループ症候群を考えます。

見分ける手がかりは、咳の音と、症状が出そろうまでの速さです。RSウイルスは鼻水が先に立ち、数日かけて咳と喘鳴が加わっていきます。マイコプラズマは発熱と咳が同時に始まり、経過が長引きやすいでしょう。クループは夜間に急に声がかれ、吸うときに音が出ます。

とはいえ、家庭でウイルスを特定する必要はありません。呼吸が苦しそうかどうか、水分がとれているかどうかという2点で受診の判断はできます。原因の切り分けは診察と検査で行いますので、迷った段階でご相談ください。

家庭で見る呼吸の3つのサイン

呼吸が苦しいかどうかは、咳の回数ではなく胸とお腹の動きで見ます。眠っているときや静かにしているときに、上半身の衣服を上げて観察してみてください。

1つ目は陥没呼吸です。息を吸うたびに、鎖骨の上、肋骨と肋骨の間、みぞおちのあたりがへこむ動きが見られたら、それだけ強い力で息を吸っている証拠になります。2つ目は鼻翼呼吸で、小鼻が呼吸に合わせてひくひくと開く動きを指します。3つ目は呼吸数です。静かにしている状態で1分間の呼吸を数え、生後2か月未満で毎分60回、生後2か月から1歳未満で毎分50回、1歳から就学前で毎分40回を超える状態が続くようなら、呼吸に負担がかかっていると考えましょう。

あわせて見ておきたいのが、哺乳や食事の途中で息が上がって中断してしまうかどうかです。呼吸に力を使っている子どもは、飲む動きと息継ぎを両立できなくなります。飲む量が普段の半分ほどまで落ちているときは、呼吸の状態も一緒に確かめてください。

唇や爪の色が青白い、呼びかけへの反応が鈍い、生後3か月未満で呼吸が止まる時間があるといった状態は、その場で医療機関へ連絡すべき段階です。夜間であれば救急を選んでかまいません。

秋に喘鳴が長引きやすい2つの条件

秋は、RSウイルスから回復した後も咳と喘鳴が残りやすい季節です。背景には、この時期特有の2つの条件があります。

1つは朝晩の気温差です。気道は冷たく乾いた空気に触れると刺激を受けやすく、感染で荒れた粘膜が回復しきらないうちに、その刺激が加わります。日中は暖かく夜間に冷え込む秋は、この条件が毎日繰り返されます。

もう1つはダニのアレルゲンです。夏に増えたダニが秋に死んで、その死骸やフンが室内のほこりに混じり、秋はアレルゲンの量が増える時期にあたります。もともとアレルギー体質のお子さんでは、感染をきっかけに始まった喘鳴が、ダニの刺激で長引くことがあるでしょう。

咳が3週間を超えて続く場合や、感染のたびにゼーゼーを繰り返す場合は、感染症だけでは説明できない要因が隠れているかもしれません。

受診の目安と、迷ったときの相談先

次の状態が1つでも当てはまるときは、家庭での様子見をやめて受診してください。息を吸うときに胸やみぞおちがへこむ、ゼーゼーが続いて眠れない、水分やミルクが普段の半分もとれない、生後3か月未満で発熱や咳がある、顔色が悪くぐったりしている、といった状態が該当します。

判断に迷う段階でも、相談していただいてかまいません。RSウイルスかどうかを家庭で見極める必要はなく、呼吸と水分という2点で医療機関につながっていただければ十分です。

夜間や休日で受診を迷うときは、こども医療でんわ相談(#8000)に電話すると、小児科医師や看護師から家庭での対応や受診の必要性について助言を受けられます。厚生労働省が実施している事業で、全国どこからでも同じ番号につながります。

よくある質問(FAQ)

RSウイルスは一度かかれば二度はかからない?

一度かかっても、また感染します。免疫が十分に残らないため、生涯にわたって再感染を繰り返す病気です。ただし2回目以降は鼻風邪程度で済むことが多く、初めての感染がいちばん重くなりやすいと考えてください。

RSウイルスの検査は受けたほうがよい?

検査の結果によって治療が変わるわけではないため、全員に必要な検査ではありません。当院では、月齢や呼吸の状態、家庭内に小さな赤ちゃんがいるかどうかなどを踏まえて、検査を行うかを判断しています。

秋にRSウイルスと言われたけれど、流行期ではないのでは?

秋にも感染は起こります。近年のピークは夏に移りましたが、流行がゼロになる時期はありません。診断は流行状況ではなく、症状と診察所見にもとづいて行われます。

保育園はいつから行ける?

RSウイルス感染症には、法律で決められた出席停止の期間がありません。咳や喘鳴が落ち着き、食事と睡眠が普段どおりに戻っていることが目安になります。園によって規定が異なりますので、通っている園にも確認しましょう。

咳がひどいときは咳止めを飲ませてよい?

自己判断で市販の咳止めを使うことはおすすめできません。RSウイルスの咳は、気道にたまった分泌物を出すための反応でもあり、無理に抑えると痰が排出されにくくなる場合があります。年齢に合った薬を医師と相談して選んでください。

家族にうつさないためにできることは?

手洗いと、おもちゃやドアノブなど手が触れる場所の清掃が基本になります。RSウイルスは飛沫だけでなく接触でも広がるためです。家庭内に生後6か月以内の赤ちゃんがいる場合は、上のお子さんが鼻水を出している間、赤ちゃんとの距離をとる工夫も役立つでしょう。

秋の咳が気になるときはみなとみらい小児科クリニックへ

秋の咳は、原因を1つに決めつけないことが大切になります。RSウイルスの流行がピークを過ぎていても、似た症状を出す感染症とアレルギーの条件が重なる季節だからです。

みなとみらい小児科クリニックでは、院内でウイルスの迅速診断と血液検査を行い、その場で経過と合わせて判断しています。呼吸器の症状があるお子さんのために感染隔離室を備えており、待合室を分けた診察が可能です。また、朝7時から診療する「おはよう外来」を実施しています。登園前の時間帯に診ておきたいというご希望にも対応できる体制です。

入院や専門的な検査が必要と判断した場合は、けいゆう病院をはじめとする連携先の病院へご紹介します。夜のゼーゼーが心配で眠れない、咳がいつまで続くのか分からないといった段階でも、遠慮なくお声がけください。