赤ちゃんの頭のゆがみとは?斜頭症・短頭症の原因を小児科医がわかりやすく解説

頭のかたち外来
2026.08.08

赤ちゃんの頭のゆがみとは?斜頭症・短頭症の原因・受診の目安を小児科医がわかりやすく解説

赤ちゃんの頭のゆがみの多くは、向き癖などによって頭の同じ部分に圧力がかかることで生じる「位置的頭蓋変形」です。

軽い変形は、成長して頭を動かす機会が増えることなどに伴って目立ちにくくなる場合があります。一方、変形が強い、首を反対側へ向けにくい、特徴的な頭の形がある場合には、月齢にかかわらず医療機関へご相談ください。

また、頭の形が気になる場合でも、安全のため睡眠時は仰向け寝を基本とします。

赤ちゃんの頭の形について、向き癖・ゆがみ・ヘルメット治療まで全体を知りたい方は、総合記事もあわせてご覧ください。

赤ちゃんの頭の形が気になる方へ|向きぐせ・ゆがみ・ヘルメット治療について

赤ちゃんの頭のゆがみとは?

赤ちゃんの頭蓋骨はいくつかの骨からできており、その骨と骨の間には「頭蓋縫合」と呼ばれる部分があります。

乳児期は脳と頭が大きく成長する時期で、頭蓋骨にも柔軟性があります。

そのため、胎内での姿勢や出生後の向き癖などによって頭の同じ部分に圧力がかかり続けると、頭の形に左右差や平らな部分が生じることがあります。

このような頭の変形を「位置的頭蓋変形」と呼びます。

位置的頭蓋変形は、頭蓋縫合そのものが通常より早く癒合する「頭蓋縫合早期癒合症」とは異なる状態です。

赤ちゃんの頭のゆがみにはどのような種類がありますか?

位置的頭蓋変形で多くみられるのは「斜頭症」と「短頭症」です。

また、特に早産児などでは、頭が前後方向に細長く見える位置的な長頭傾向がみられることがあります。

斜頭症とは?

斜頭症は、後頭部の左右どちらか一方が平らになり、頭の形が左右非対称になる状態です。

赤ちゃんに強い向き癖があり、いつも同じ方向を向いている場合などにみられることがあります。

変形の程度によっては、後頭部だけではなく、おでこの形や耳の位置にも左右差がみられることがあります。

短頭症とは?

短頭症は、後頭部の左右どちらかではなく、後頭部全体が平らになった状態です。

頭を横から見ると後頭部が平坦に見え、頭の前後方向が短く、横幅が広く見えることがあります。

一般に「絶壁」と表現される頭の形の中には、このような短頭傾向が含まれている場合があります。

長頭症・長頭傾向とは?

長頭症は、頭が前後方向に長く、横幅が狭く見える頭の形です。

特に早産児では、出生後の姿勢などの影響もあり、位置的な長頭傾向がみられることがあります。

一方、頭が前後方向に細長くなる形は、矢状縫合が早く癒合する頭蓋縫合早期癒合症の「舟状頭」でもみられます。

位置的な長頭傾向と頭蓋縫合早期癒合症では対応が異なるため、特徴的な頭の形がある場合には医療機関での評価が必要です。

なぜ赤ちゃんの頭のゆがみが起こるの?

赤ちゃんの頭の形は、一つの原因だけで決まるわけではありません。

胎内での姿勢や出生後の向き癖、首の動きなど複数の要因が関係し、頭の同じ部分に圧力がかかり続けることで形が変化することがあります。

関連する要因として、

  • 向き癖
  • 仰向けで過ごす時間
  • 子宮内での姿勢
  • 多胎妊娠など、胎内で姿勢が制限されやすい状況
  • 早産
  • 筋性斜頸や首の動きの左右差

などがあります。

向き癖

赤ちゃんがいつも同じ方向ばかり向いていると、後頭部の同じ場所が寝具などに接する時間が長くなります。

その結果、片側の後頭部が平らになり、斜頭症につながることがあります。

向き癖そのものは珍しいことではありませんが、反対側へほとんど顔を向けない場合や、首を動かしにくそうにしている場合には、首の状態も確認することが大切です。

仰向け寝

赤ちゃんは安全な睡眠のため、睡眠中は仰向けに寝かせることが推奨されています。

仰向けで過ごす時間が長いことは、後頭部に圧力がかかる一因となり、短頭症や斜頭症と関連する場合があります。

しかし、頭の形が気になるからといって、睡眠中にうつ伏せ寝や横向き寝にすることはおすすめできません。

乳幼児突然死症候群(SIDS)などのリスクを減らすためにも、睡眠時は仰向け寝を基本とすることが大切です。

頭の形への対応は、安全な睡眠環境を保ったうえで、赤ちゃんが起きている時間の姿勢を工夫して行います。

子宮内での姿勢・多胎妊娠

赤ちゃんの頭の形には、生まれた後だけでなく、お母さんのお腹の中での姿勢が影響する場合もあります。

胎内で頭の一部分に圧力がかかっていた場合や、多胎妊娠など胎内で姿勢が制限されやすい状況では、出生時から頭の形に左右差がみられることがあります。

早産

早産で生まれた赤ちゃんは、正期産で生まれた赤ちゃんよりも頭蓋骨が柔らかい時期に出生します。

また、NICUなどで一定の姿勢をとる時間が長くなることもあり、頭の形が変化しやすい場合があります。

早産児では、斜頭症や短頭症だけでなく、頭が前後方向に長くなる長頭傾向がみられることもあります。

筋性斜頸・首の動きの左右差

首の筋肉の状態などによって、赤ちゃんが顔を向けやすい方向と向けにくい方向がある場合があります。

いつも同じ方向を向いている状態が続くと、頭の同じ場所に圧力がかかりやすくなります。

そのため、頭の形を評価するときには、頭だけを見るのではなく、首を左右に動かせるか、強い向き癖がないかなども確認することが重要です。

首の動きに明らかな制限がある場合には、必要に応じて専門的な評価や理学療法などを検討することがあります。

頭のゆがみは発達に影響しますか?

「頭の形が悪いと、脳や発達に影響するのではないか」と心配される保護者の方も少なくありません。

位置的頭蓋変形と発達との関連については、これまで複数の研究が報告されています。

頭のゆがみがあるお子さんでは、運動発達などの遅れがみられる割合が高いとする報告があります。

一方で、「頭のゆがみそのものが発達の遅れを直接引き起こしている」という因果関係が確立しているわけではありません。

向き癖や首の動き、もともとの運動発達の特徴などが、頭の形と発達の両方に関係している可能性もあります。

そのため、

  • 首の動き
  • 向き癖
  • 寝返りなどの運動発達
  • 赤ちゃん全体の発育

などをあわせて確認することが大切です。

ご家庭でできること

位置的頭蓋変形では、赤ちゃんが起きている時間に、頭の同じ場所へ圧力が集中し続けないよう姿勢を工夫することがあります。

ただし、こうした工夫によって必ず頭の形が改善するわけではありません。

赤ちゃんの月齢、頭の形の程度、首の動きなどをみながら対応することが大切です。

タミータイム

赤ちゃんが起きていて、大人が見守っている状態で、うつ伏せになって遊ぶ時間を「タミータイム」と呼びます。

タミータイムでは後頭部が床や寝具から離れるため、後頭部に圧力がかかる時間を減らすことができます。

また、首や肩、体幹などを使う機会にもなります。

必ず赤ちゃんが起きていて、大人がそばで見守っている状態で行ってください。

睡眠中にうつ伏せ寝を行うものではありません。

日中の姿勢を工夫する

赤ちゃんがいつも同じ方向ばかり向いている場合には、抱っこなど日中の姿勢を工夫し、頭の同じ場所に圧力が集中し続けないようにすることがあります。

赤ちゃんが自然に左右どちらの方向も見る機会をつくることを意識します。

抱っこや授乳のときの姿勢を工夫する

抱っこや授乳などの日常生活の中でも、いつも同じ方向ばかり向いている場合には、赤ちゃんの様子をみながら姿勢を工夫することがあります。

授乳する向きを変えれば頭の形が必ず改善するというものではなく、一方向への偏りを減らすための工夫の一つです。

おもちゃや声かけの方向を工夫する

赤ちゃんがいつも右ばかり向いている場合には、左側から声をかけたり、おもちゃを見せたりして、反対方向を見る機会をつくることがあります。

無理に首を動かす必要はありません。

反対方向へ首を動かしにくい場合や、強い抵抗がある場合には、医療機関へご相談ください。

このような場合は受診をご検討ください

頭の形には個人差があり、軽い位置的頭蓋変形は成長とともに目立ちにくくなる場合があります。

一方、次のような場合には、一度医療機関で頭の形を評価してもらうことをおすすめします。

  • 後頭部の左右差が目立つ
  • 後頭部全体が平らになっている
  • おでこや耳の位置にも左右差がある
  • 向き癖が強い
  • 首を反対側へ向けにくい
  • 頭の変形が強い
  • 頭の形が徐々に目立ってきている
  • 月齢が進んでも明らかな左右差や平らな部分が残っている
  • 発達についても気になることがある

特に、変形が強い場合、特徴的な頭の形がある場合、首の動きに左右差がある場合には、生後4〜6か月まで待つ必要はありません。

月齢にかかわらず、気になった段階でご相談ください。

また、生後4〜6か月頃になっても明らかな左右差や後頭部の平らな部分が目立つ場合には、その後の対応について一度評価を受けることも検討します。

位置的頭蓋変形と頭蓋縫合早期癒合症の違い

赤ちゃんの頭の形が変化する原因には、位置的頭蓋変形だけではなく、「頭蓋縫合早期癒合症」と呼ばれる病気があります。

頭蓋縫合早期癒合症は、一つまたは複数の頭蓋縫合が通常より早く癒合することで、頭蓋骨の成長方向が制限され、特徴的な頭の形になる病気です。

頭蓋縫合早期癒合症は、位置的頭蓋変形とは治療方針が異なります。

多くの位置的頭蓋変形では問診・診察・頭部計測などをもとに評価しますが、頭の形が特徴的な場合や、位置的な変形だけでは説明しにくい場合には、専門的な評価や画像検査などが必要になることがあります。

ヘルメット治療が必要になることはありますか?

位置的頭蓋変形があるからといって、すべてのお子さんにヘルメット治療が必要になるわけではありません。

軽症の場合には、赤ちゃんの成長や頭の形の変化をみながら、日中の姿勢の工夫などを行い経過をみることがあります。

首の動きに制限がある場合には、必要に応じて理学療法などを含む対応を検討します。

一方、変形の程度が強い場合や、姿勢の工夫などを行っても改善が乏しい場合には、月齢、頭の成長、頭の形の程度、首の動き、これまでの経過などを総合的に評価したうえで、ヘルメット治療を検討することがあります。

「中等度以上だから必ずヘルメット治療」というわけではありません。

お子さん一人ひとりの状態を確認し、ご家族と相談しながら治療方針を考えることが大切です。

ヘルメット治療の適応、開始時期、治療方法、期待できる効果について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

赤ちゃんのヘルメット治療とは?適応・開始時期・効果を小児科医がわかりやすく解説

横浜市・みなとみらいで赤ちゃんの頭の形が気になる方へ

みなとみらい小児科クリニックでは、横浜市西区・みなとみらいで、赤ちゃんの頭の形について診療しています。

当院では、「頭の形が気になる=ヘルメット治療」とは考えていません。

診察では、

  • 頭の形
  • 向き癖
  • 首の動き
  • 運動発達
  • 身長・体重
  • 頭囲
  • 頭の前後・左右・斜め方向の長さ

などを確認し、赤ちゃん全体の状態を評価します。

必要に応じて3D撮影を行い、頭の形を立体的に評価します。

「少し絶壁のように見える」
「左右差がある気がする」
「向き癖が強い」
「自然に良くなるのか分からない」
「一度きちんと頭の形を測ってほしい」

という段階でもご相談いただけます。

軽症の場合には、お子さんの状態に応じた姿勢の工夫などをご説明し、成長をみながら経過を確認します。

一方、頭の変形の程度や月齢、頭の成長、首の動き、これまでの経過などからヘルメット治療が適している可能性がある場合には、ご家族と十分に相談しながら今後の対応を検討します。

当院で実際にどのような診察・頭部計測・3D撮影を行い、ヘルメット治療までどのように進むのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

赤ちゃんの頭のかたち外来とは?診療の流れ・3D撮影・費用を小児科医がわかりやすく解説

赤ちゃんの頭の形について全体を知りたい方へ

この記事では、赤ちゃんの頭のゆがみ、斜頭症・短頭症・長頭傾向、原因、家庭での対応、受診の目安を中心に解説しました。

向き癖、頭のゆがみ、ヘルメット治療、当院の頭のかたち外来など、赤ちゃんの頭の形について全体を確認したい方は、総合記事をご覧ください。

赤ちゃんの頭の形が気になる方へ|向きぐせ・ゆがみ・ヘルメット治療について

参考資料

  • こども家庭庁「乳幼児突然死症候群(SIDS)について/赤ちゃんの安全な睡眠に関する情報」
  • 形成外科診療ガイドライン2021年版「頭蓋(骨)縫合早期癒合症診療ガイドライン」
  • 日本小児科学会雑誌「乳児の頭の形に対する診断の現状」(2026年)
  • American Academy of Pediatrics:Identifying the Misshapen Head: Craniosynostosis and Related Disorders
  • American Academy of Pediatrics:Sleep-Related Infant Deaths: Updated 2022 Recommendations for Reducing Infant Deaths in the Sleep Environment
  • Congress of Neurological Surgeons:Evidence-Based Guidelines for the Treatment of Pediatric Positional Plagiocephaly
  • Martiniuk ALC, et al. Plagiocephaly and Developmental Delay: A Systematic Review

※本記事は一般的な医学情報を提供するものです。実際の診断や治療方針は、赤ちゃんの月齢、頭の形、首の動き、発達、これまでの経過などによって異なります。

公開日: 2026年8月8日
更新日: 2026年10月1日
監修者: みなとみらい小児科クリニック院長

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