
赤ちゃんの頭のゆがみとは?斜頭症・短頭症の原因を小児科医がわかりやすく解説
赤ちゃんの頭を見て、
- 「後頭部が平らに見える」
- 「左右で形が違う気がする」
- 「いつも同じ方向ばかり向いている」
と気になったことはありませんか。
赤ちゃんの頭のゆがみは、多くの場合「位置的頭蓋変形(変形性頭蓋)」と呼ばれる状態です。頭蓋骨そのものの病気ではなく、やわらかい頭蓋骨に外から力が加わることで生じます。
軽度であれば成長とともに改善することも少なくありません。一方で、変形が強い場合や首の動きに左右差がある場合、出生時から特徴的な頭の形がみられる場合などは、早めに医療機関で評価を受けることが大切です。
横浜市西区みなとみらいにあるみなとみらい小児科クリニックでは、頭のかたち外来を開設しています。
西区・中区・南区・神奈川区を中心に、赤ちゃんの頭の形について多くのご相談をいただいています。
当院では、頭の形だけではなく、向き癖や首の動き、発達の様子なども含めて小児科医が総合的に診察し、一人ひとりのお子さんに合った対応をご提案しています。
頭のゆがみについて最初に知っておきたいこと
まず大切なのは、「頭のゆがみ=すぐにヘルメット治療が必要」というわけではないことです。
位置的頭蓋変形の多くは病気ではなく、赤ちゃんの頭蓋骨がやわらかい時期に、同じ場所へ圧力が加わることで生じます。
当院でも、
- 軽症であれば経過観察
- ご家庭でできる向き癖への対応
- 必要に応じてヘルメット治療
というように、お子さんの月齢や頭の形に応じて治療方針をご提案しています。
まずは現在の頭の形を正しく評価することが大切です。
頭のゆがみとは?
赤ちゃんの頭蓋骨は、大人のように一枚の硬い骨ではありません。
複数の骨が組み合わさり、その間を「頭蓋縫合」と呼ばれるつなぎ目がつないでいます。
この頭蓋縫合が開いていることで、脳の成長に合わせて頭蓋骨も大きくなることができます。
乳児期は脳が急速に成長するため、頭蓋骨も非常にやわらかく、外からの圧力によって形が変化しやすい時期です。
頭蓋縫合に異常がなく、姿勢や向き癖などによって生じる頭の変形を「位置的頭蓋変形(変形性頭蓋)」と呼びます。
頭のゆがみにはどのような種類がありますか?
位置的頭蓋変形で多くみられるのは、
- 斜頭症
- 短頭症
の2つです。
このほか、特に早産児では長頭症がみられることがあります。

斜頭症とは?
斜頭症は、赤ちゃんの頭のゆがみの中で最も多くみられるタイプです。
後頭部の片側が平らになることで頭全体に左右差が生じます。
変形が強くなると、
- おでこの左右差
- 耳の位置の左右差
- 顔の左右差
などが目立つことがあります。
向き癖が続くことで同じ部分へ圧力がかかり、徐々に変形が進行することがあります。
短頭症とは?
短頭症は、後頭部全体が平らになり、頭を横から見ると前後方向が短く見える状態です。
仰向けで寝る時間が長い乳児では比較的よくみられます。
しかし、安全な仰向け寝は乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防のために推奨されている睡眠姿勢です。
そのため、頭の形が気になるからといって睡眠中にうつ伏せ寝や横向き寝を行うことは勧められません。
睡眠中は仰向け寝を続けながら、起きている時間の姿勢を工夫することが重要です。
長頭症とは?
長頭症は、頭が前後方向に長く、左右方向に細く見える状態です。
特に早産児では、NICUで一定の姿勢で過ごす時間が長くなることなどから、位置的な長頭症がみられることがあります。
一方で、矢状縫合早期癒合症では、頭が前後方向に長くなる「舟状頭」と呼ばれる特徴的な頭の形になります。
位置的な長頭症と頭蓋縫合早期癒合症では原因も治療方法も異なるため、頭の形だけで自己判断することはできません。
なぜ赤ちゃんの頭のゆがみが起こるのでしょうか?
位置的頭蓋変形は、一つの原因だけで起こるものではありません。
赤ちゃんの姿勢や向き癖、首の動き、胎内での環境など、いくつかの要因が重なって起こると考えられています。
主な原因として、
- 向き癖
- 仰向けで寝る時間が長いこと
- 子宮内での姿勢
- 多胎妊娠
- 早産
- 筋性斜頸
- 首の動きの左右差
などがあります。
向き癖
赤ちゃんがいつも同じ方向を向いていると、同じ後頭部に圧力が加わり続けるため、左右差が生じやすくなります。
向き癖は位置的頭蓋変形の最も多い原因の一つです。
仰向け寝
現在、日本小児科学会やAmerican Academy of Pediatrics(AAP)では、乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防のため、1歳頃までは仰向け寝が推奨されています。
一方で、仰向け寝が普及したことにより、位置的頭蓋変形は以前より多くみられるようになりました。
そのため、
- 睡眠中は仰向け寝を続ける
- 起きている時間には姿勢を工夫する
という両方が大切になります。
子宮内での姿勢
妊娠中の子宮内で頭が一定方向から圧迫されることで、生まれた時点から頭の左右差がみられることがあります。
双子や三つ子などの多胎妊娠では、子宮内で動けるスペースが限られるため、位置的頭蓋変形の一因となることがあります。
早産
早産で生まれた赤ちゃんは、頭蓋骨がさらにやわらかく、NICUで一定の姿勢で過ごす時間も長くなるため、位置的頭蓋変形が生じやすいことが知られています。
筋性斜頸・首の動きの左右差
首の筋肉が硬く、一方向へ首を向けにくい「筋性斜頸」があると、赤ちゃんは自然に向きやすい方向ばかりを見るようになります。
その結果、同じ後頭部へ圧力がかかり続け、斜頭症につながることがあります。
そのため、頭の形を評価するときには、首の動きも一緒に確認することが重要です。
(後半では「頭のゆがみは発達に影響する?」「自宅でできること」「受診の目安」「頭蓋縫合早期癒合症との違い」「横浜市で頭の形が気になる方へ」「参考文献」を掲載します。)
頭のゆがみは発達に影響しますか?
保護者の方から最も多くいただくご質問の一つが、「頭のゆがみは発達に影響しますか?」というものです。
現在の医学的知見では、位置的頭蓋変形そのものが発達の遅れを直接引き起こすと断定できる十分な根拠はありません。
一方で、位置的頭蓋変形のあるお子さんでは、運動発達や言語発達などに遅れがみられる割合が高いと報告した研究もあります。
ただし、これは「関連」が示されているものであり、「頭のゆがみが発達の遅れの原因である」と証明されたわけではありません。
例えば、
- もともと運動発達がゆっくりで同じ姿勢で過ごす時間が長かった
- 首の動きに左右差があり向き癖が強かった
といったことが、頭のゆがみと発達の両方に関係している可能性も考えられています。
そのため、頭の形が気になる場合には、頭の形だけを見るのではなく、
- 首の動き
- 向き癖
- 寝返りなどの運動発達
- 全身の発達
などもあわせて確認することが大切です。
みなとみらい小児科クリニックでは、小児科医が頭の形だけでなく、お子さんの成長や発達も含めて総合的に診察しています。
ご家庭でできること
軽度の位置的頭蓋変形では、成長とともに自然に改善することがあります。
また、起きている時間の過ごし方を工夫することで、後頭部にかかる圧力を減らし、頭の形の改善を期待できる場合があります。
タミータイムを取り入れる
赤ちゃんが起きていて、大人が見守っている時間にうつ伏せで過ごす「タミータイム」を取り入れましょう。
後頭部への圧力を減らすだけでなく、首や肩、体幹の発達を促すことにもつながります。
最初は短い時間から始め、赤ちゃんの様子を見ながら少しずつ時間を延ばしていきましょう。
抱っこの向きを左右交互にする
抱っこをするときは、いつも同じ腕だけではなく左右を交互に使うことで、赤ちゃんが向く方向を自然に変えることができます。
授乳の向きを工夫する
授乳の際も左右交互に授乳することで、一方向ばかりを見る時間を減らすことができます。
おもちゃや声かけの方向を工夫する
赤ちゃんが右ばかり向く場合は左側から、左ばかり向く場合は右側から声をかけたり、おもちゃを見せたりすることで、反対方向を向く機会を増やすことができます。
睡眠中は仰向け寝を続けましょう
頭の形が気になるからといって、睡眠中にうつ伏せ寝や横向き寝にすることはおすすめできません。
乳幼児突然死症候群(SIDS)を予防するため、日本小児科学会やAmerican Academy of Pediatrics(AAP)では、1歳頃までは仰向け寝を推奨しています。
頭の形が気になる場合も、安全な睡眠姿勢である仰向け寝を続けながら、起きている時間の姿勢を工夫することが大切です。
このような場合は頭のかたち外来へご相談ください
次のような場合には、一度医療機関で頭の形を評価することをおすすめします。
- 後頭部の左右差が目立つ
- 後頭部全体が平らに見える
- おでこや耳の位置にも左右差がある
- いつも同じ方向ばかり向いている
- 首を反対側へ向けにくい
- 出生時から特徴的な頭の形がある
- 頭囲の増え方が気になる
- 発達についても気になることがある
- 生後4〜6か月頃になっても改善が乏しい
「生後4〜6か月まで待たなければ受診できない」ということではありません。
左右差が強い場合や首の動きが気になる場合、出生時から特徴的な変形がみられる場合には、月齢にかかわらず早めにご相談ください。
「ヘルメット治療が必要か知りたい」という場合だけでなく、「頭の形が正常範囲かどうか確認したい」という段階での受診もおすすめしています。
頭蓋縫合早期癒合症との違い
赤ちゃんの頭の形を評価するうえで最も大切なのが、位置的頭蓋変形と頭蓋縫合早期癒合症を区別することです。
頭蓋縫合早期癒合症とは、本来は開いているはずの頭蓋縫合が通常より早い時期に癒合してしまう病気です。
その結果、頭蓋骨の成長が制限され、特徴的な頭の形になることがあります。
位置的頭蓋変形とは原因も治療方法も異なるため、適切な診断が重要です。

多くの位置的頭蓋変形は診察によって判断できますが、頭蓋縫合早期癒合症が疑われる場合には、画像検査や専門施設での評価が必要になることがあります。
みなとみらい小児科クリニックでは、頭の形を丁寧に評価し、必要に応じて適切な検査や専門医療機関へのご紹介を行っています。
横浜市で赤ちゃんの頭の形が気になる方へ
みなとみらい小児科クリニックは、横浜市西区みなとみらいにある小児科クリニックです。
頭のかたち外来には、横浜市西区・中区・南区・神奈川区を中心に、多くの赤ちゃんとご家族にご来院いただいています。
赤ちゃんの頭の形には個人差があり、少し平らだからといって、すべてのお子さんに治療が必要になるわけではありません。
軽症であれば、ご家庭でのケアや経過観察をおすすめすることもあります。
一方で、左右差が強い場合や月齢が進んでも改善が乏しい場合には、早めに評価を受けることで、その後の治療選択を考えやすくなります。
当院では、初診は保険診療で行っています。
問診、全身の診察、頭部計測を行い、必要に応じて3D撮影による詳しい評価を行います。
「頭の形が気になるけれど、受診した方がよいか迷っている」という方も、お気軽にご相談ください。
参考文献
Martiniuk ALC, et al. Plagiocephaly and Developmental Delay: A Systematic Review. J Dev Behav Pediatr. 2017.
日本頭蓋顎顔面外科学会「形成外科診療ガイドライン2021 頭蓋(骨)縫合早期癒合症診療ガイドライン」
日本小児科学会「乳幼児突然死症候群(SIDS)に関する提言」
厚生労働省「乳幼児突然死症候群(SIDS)について」
American Academy of Pediatrics. Identifying the Misshapen Head: Craniosynostosis and Related Disorders. Pediatrics. 2020.
Congress of Neurological Surgeons. Guidelines for the Management of Patients With Positional Plagiocephaly(Imaging、Repositioning、Helmet Therapy)
公開日: 2026年8月8日
更新日: 2026年8月8日
監修者: みなとみらい小児科クリニック院長
お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。
みなとみらい小児科クリニック


































