
赤ちゃんのヘルメット治療とは?適応・開始時期・効果を小児科医がわかりやすく解説
赤ちゃんの頭の形が気になり、「ヘルメット治療をした方がよいのでしょうか?」と悩まれる保護者の方は少なくありません。
ヘルメット治療は、赤ちゃんの頭の成長する力を利用しながら、頭の形をより整った方向へ導く治療です。
一方で、頭の形が気になるすべてのお子さんに必要な治療ではありません。
軽症では経過観察やご家庭での向き癖への対応で改善することもあり、ヘルメット治療を行うかどうかは、お子さんの月齢や頭の形、これまでの経過などを総合的に評価して判断します。
横浜市西区みなとみらいにあるみなとみらい小児科クリニックでは、西区・中区・南区・神奈川区を中心に、赤ちゃんの頭の形について多くのご相談をいただいています。
当院では、小児科医による診察、頭部計測、必要に応じた3D撮影を行い、ご家族と十分に相談したうえで治療方針をご提案しています。
ヘルメット治療について最初に知っておきたいこと
ヘルメット治療は、
- 頭を強く押して形を変える治療ではありません。
- 赤ちゃん自身の頭の成長を利用する治療です。
- すべてのお子さんに必要な治療ではありません。
- 月齢や変形の程度によって適応を判断します。
- 軽症では経過観察となることも少なくありません。
まずは頭の形を正しく評価し、そのお子さんにとってヘルメット治療が本当に必要かどうかを判断することが大切です。
ヘルメット治療とは?
ヘルメット治療(頭蓋形状矯正療法)は、位置的頭蓋変形に対して専用のヘルメットを装着し、頭の成長を利用して形を整えていく治療です。
赤ちゃんの頭蓋骨は生後しばらくの間は柔らかく、脳の成長に合わせて急速に大きくなります。
ヘルメットは、この成長を利用して、
- 成長してほしい部分には適度な空間を設ける
- 突出している部分には適切に接触する
ことで、頭の形がより整った方向へ成長するようサポートします。
頭を圧迫して形を変える治療ではなく、頭の自然な成長を利用することが大きな特徴です。
どのような場合にヘルメット治療を検討しますか?
ヘルメット治療は、頭の形が少し気になるだけで行う治療ではありません。
一般的には、次のような場合に検討されます。
- 中等度以上の位置的斜頭症
- 中等度以上の短頭症
- 保存的な対応でも改善が十分ではない場合
- 月齢や頭の成長を考慮し、治療による改善が期待できる場合
ただし、「中等度以上だから必ずヘルメット治療」というわけではありません。
実際には、
- 月齢
- 頭の成長速度
- 頭の形の程度
- 向き癖
- 首の動き
- ご家庭でのケアによる改善
- ご家族の希望
などを総合的に考慮して判断します。
みなとみらい小児科クリニックでも、お子さん一人ひとりの状況に応じて、ご家族と相談しながら治療方針を決定しています。
軽症でもヘルメット治療は必要ですか?
軽度の位置的頭蓋変形では、ヘルメット治療を行わず経過観察となることが少なくありません。
赤ちゃんは寝返りやお座り、はいはいができるようになるにつれて、後頭部にかかる圧力が少なくなります。
そのため、
- 成長に伴って改善する場合
- 向き癖への対応で改善する場合
があります。
当院でも軽症と判断した場合には、
- タミータイム
- 向き癖への対応
- 抱っこや授乳姿勢の工夫
- 定期的な経過観察
などをご説明し、ご家庭でのケアを中心に経過をみています。
ヘルメット治療はいつから始めるのがよいですか?
ヘルメット治療では、開始時期も重要な要素の一つです。
乳児期は頭の成長が最も活発であるため、比較的早い時期に開始した方が改善しやすい傾向があります。
一般的には、生後3〜6か月頃はヘルメット治療を検討することが多い時期です。
ただし、「生後3〜6か月が最適」と一律に決まっているわけではありません。
実際には、
- 月齢
- 頭の形
- 頭の成長
- 保存的治療への反応
などを総合的に評価して開始時期を判断します。
また、生後6〜7か月を過ぎても、頭の成長が十分に残っていれば治療を開始できる場合があります。
一方で、月齢が進むにつれて頭の成長速度は徐々に緩やかになるため、
- 治療期間が長くなる
- 改善の程度に個人差が大きくなる
傾向があります。
そのため、「まだ様子を見よう」と迷い続けるよりも、一度専門的な評価を受けて現在の状態を確認しておくことをおすすめします。
ヘルメット治療にはどの程度の効果がありますか?
ヘルメット治療では、斜頭症や短頭症などの位置的頭蓋変形の改善が期待できます。
海外の診療ガイドラインでは、保存的な対応を行っても改善が十分ではない中等度から重度の位置的斜頭症に対して、ヘルメット治療を検討することが推奨されています。
特に、
- 比較的早い月齢で開始した場合
- 頭の成長が十分に残っている場合
- 推奨された装着時間を維持できた場合
には、より大きな改善が期待できると報告されています。
一方で、ヘルメット治療を行えば必ず完全に左右対称になるわけではありません。
改善の程度は、
- 治療開始時の月齢
- 変形の程度
- 頭の成長
- 装着状況
などによって異なります。
また、研究によっては自然経過との差が明確ではなかったという報告もあり、現在も世界的に研究が続けられている分野です。
そのため、ヘルメット治療は「すべてのお子さんに必要な治療」ではなく、お子さんごとの状況に応じて適応を判断することが重要です。
ヘルメット治療はどのくらい続けますか?
ヘルメット治療の期間は、お子さん一人ひとりで異なります。
治療期間は、
- 治療開始時の月齢
- 頭の形の程度
- 頭の成長速度
- 装着状況
などによって変わります。
一般的には数か月程度治療を行うことが多く、頭の成長に合わせながら定期的にヘルメットの適合状態を確認していきます。
比較的早い月齢で治療を開始した場合は、より短い期間で改善が得られることがあります。
一方、月齢が進んでから開始した場合には、頭の成長速度が緩やかになるため、治療期間が長くなることがあります。
みなとみらい小児科クリニックでは、定期的な3D撮影によって頭の形の変化を確認しながら、お子さんに合わせた治療期間をご提案しています。
1日にどのくらい装着しますか?
ヘルメット治療では、1日の大部分の時間ヘルメットを装着することが基本となります。
ただし、具体的な装着時間は使用するヘルメットによって異なります。
当院で採用しているBerry社 Baby Band 3では、メーカーは1日23時間程度の装着を推奨しています。
入浴やヘルメットのお手入れの時間には取り外します。
治療開始直後は、お子さんがヘルメットに慣れるよう、段階的に装着時間を延ばしながら開始します。
詳しい装着方法については、ヘルメットフィッティング時にご説明します。
ヘルメットを着けると痛くありませんか?
ヘルメット治療は、頭を強く押して形を変える治療ではありません。
適切に調整されたヘルメットであれば、強い痛みを伴う治療ではありません。
しかし、長時間装着するため、
- 頭皮が赤くなる
- 汗をかきやすくなる
- あせもができる
- 蒸れやすくなる
などの皮膚トラブルがみられることがあります。
そのため、ご家庭では毎日頭皮の状態を確認していただき、定期診察でも皮膚の状態を詳しく確認しています。
赤みが長時間続く場合や傷、水ぶくれなどがみられる場合には、自己判断で装着を続けず、早めにご相談ください。
夏でもヘルメット治療はできますか?
夏でもヘルメット治療は可能です。
ただし、赤ちゃんは汗をかきやすいため、
- エアコンで室温を調整する
- 汗をこまめに拭く
- 頭皮を清潔に保つ
- ヘルメットを毎日お手入れする
ことが大切です。
当院でも、夏場は皮膚症状に特に注意しながら診察を行っています。
保育園へ通うことはできますか?
ヘルメット治療をしながら保育園へ通園しているお子さんは多くいらっしゃいます。
ただし、保育園によって対応が異なる場合があるため、事前に園へ相談しておくことをおすすめします。
保育園には、
- ヘルメット治療を行っていること
- 基本的な装着方法
- 外す必要がある場合
- 皮膚トラブルが起きた際の対応
などをお伝えしておくと安心です。
ヘルメット治療を始める前に大切なこと
ヘルメット治療を開始する前には、その頭の変形が位置的頭蓋変形であることを確認することが重要です。
特に鑑別が必要なのが、頭蓋縫合早期癒合症です。
頭蓋縫合早期癒合症は、頭蓋骨のつなぎ目である頭蓋縫合が通常より早く癒合してしまう病気で、位置的頭蓋変形とは原因も治療方法も異なります。
一般的には、典型的な位置的頭蓋変形は診察のみで診断できる場合が多く、すべてのお子さんに画像検査が必要というわけではありません。
しかし、診察だけでは判断が難しい場合や、頭蓋縫合早期癒合症が疑われる場合には、画像検査や専門施設での評価が必要になります。
みなとみらい小児科クリニックでは、ヘルメット治療をご希望されるすべてのお子さんに、当院の診療方針として提携しているけいゆう病院で頭部レントゲン撮影をお願いしています。
診察と頭部レントゲン画像を確認し、頭蓋縫合早期癒合症を疑う所見がないことを確認したうえで、ヘルメット治療を開始しています。
よくある質問
Q. 頭の形が少し気になるだけでも相談できますか?
もちろんです。
「ヘルメット治療が必要かどうか知りたい」「まずは頭の形を評価してほしい」という段階でもお気軽にご相談ください。
Q. 軽症でもヘルメット治療は必要ですか?
軽症では、ご家庭でのケアや経過観察で改善することも少なくありません。
頭の形や月齢などを総合的に評価したうえで判断します。
Q. 生後6〜7か月を過ぎても治療できますか?
頭の成長が残っていれば治療できる場合があります。
ただし、開始時期が遅くなるほど改善の程度や治療期間には個人差が大きくなります。
Q. ヘルメットを着けると痛くありませんか?
適切に調整されたヘルメットでは、強い痛みを伴うことは通常ありません。
一方で、赤みやあせもなどの皮膚トラブルが起こることがあるため、毎日皮膚の状態を確認することが大切です。
Q. 夏でも治療できますか?
はい。
室温管理や頭皮のケアを行いながら治療を継続できます。
Q. 保育園へ通えますか?
多くのお子さんがヘルメットを装着しながら通園しています。
園によって対応が異なるため、事前に相談しておくと安心です。
Q. ヘルメット治療で必ず頭の形は治りますか?
ヘルメット治療によって改善が期待できますが、完全に左右対称になることを保証するものではありません。
治療開始時の月齢や変形の程度、頭の成長、装着状況などによって改善の程度には個人差があります。
Q. ヘルメット治療には保険が使えますか?
ヘルメット治療は自由診療です。
みなとみらい小児科クリニックでのBaby Band 3によるヘルメット治療費は385,000円(税込)です。
なお、頭のかたち外来の初診は保険診療で行っています。
横浜市でヘルメット治療をご検討の方へ
みなとみらい小児科クリニックは、横浜市西区みなとみらいにある小児科クリニックです。
頭のかたち外来には、横浜市西区・中区・南区・神奈川区を中心に、多くのお子さんにご来院いただいています。
赤ちゃんの頭の形が気になっても、必ずヘルメット治療が必要になるわけではありません。
まずは現在の頭の形を正しく評価し、
- 経過観察でよいのか
- ご家庭でのケアが中心になるのか
- ヘルメット治療を検討した方がよいのか
を判断することが大切です。
当院では、小児科医による診察、頭部計測、必要に応じた3D撮影を行い、ご家族と相談しながら治療方針をご提案しています。
ヘルメット治療についてさらに詳しく知りたい方は、第3部「みなとみらい小児科クリニックの頭のかたち外来」で、診療の流れやBaby Band 3による治療、定期フォローについて詳しくご紹介しています。
参考文献
厚生労働省「医療広告ガイドライン」
日本頭蓋顎顔面外科学会「形成外科診療ガイドライン2021 頭蓋(骨)縫合早期癒合症診療ガイドライン」
American Academy of Pediatrics. Identifying the Misshapen Head: Craniosynostosis and Related Disorders. Pediatrics. 2020.
Congress of Neurological Surgeons. Guidelines for the Management of Patients With Positional Plagiocephaly(Helmet Therapy, Imaging, Repositioning, Physical Therapy)
van Wijk RM, et al. Helmet therapy in infants with positional skull deformation: randomised controlled trial. BMJ. 2014;348:g2741.
Seruya M, et al. Helmet treatment of deformational plagiocephaly: Relationship between age at initiation and rate of correction. Plast Reconstr Surg. 2013.
株式会社Berry「Baby Band 3」製品情報・治療ガイド
公開日: 2026年8月9日
更新日: 2026年8月9日
監修者: みなとみらい小児科クリニック院長
お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。
みなとみらい小児科クリニック


































