
赤ちゃんのヘルメット治療とは?適応・開始時期・効果を小児科医がわかりやすく解説
赤ちゃんの頭の形が気になり、「ヘルメット治療をした方がよいの?」「いつ頃から始めればよいの?」と悩まれる保護者の方は少なくありません。
ヘルメット治療は、赤ちゃん自身の頭の成長を利用しながら、頭の形をより整った方向へ導く治療です。
ただし、頭の形が気になるすべてのお子さんに必要な治療ではありません。
軽症の場合には、向き癖への対応や姿勢の工夫を行いながら、成長に伴う頭の形の変化をみていくことがあります。一方、中等度以上の斜頭症や短頭症などでは、月齢、頭の形の程度、首の動き、これまでの経過などを確認したうえでヘルメット治療を検討することがあります。
赤ちゃんの頭の形について、向き癖・ゆがみ・ヘルメット治療まで全体を知りたい方は、総合記事もあわせてご覧ください。
赤ちゃんの頭の形が気になる方へ|向きぐせ・ゆがみ・ヘルメット治療について
ヘルメット治療とは?
ヘルメット治療は「頭蓋形状矯正療法」とも呼ばれます。
赤ちゃん一人ひとりの頭の形に合わせて専用のヘルメットを作製し、赤ちゃん自身の頭の成長を利用しながら、頭の形をよりバランスのよい方向へ導いていきます。
ヘルメットの内側には、成長してほしい部分に空間を設け、突出している部分を適切に支える構造があります。
頭を強く押して形を変える治療ではありません。
どのような場合にヘルメット治療を検討しますか?
ヘルメット治療は、主に中等度以上の斜頭症や短頭症などの位置的頭蓋変形で検討されます。
ただし、「中等度以上だから必ずヘルメット治療」というわけではありません。
実際には、
- 頭の形の変形の程度
- 月齢
- 頭の成長
- 向き癖
- 首の動き
- 筋性斜頸などの有無
- 姿勢の工夫などを行ったあとの経過
- ご家族の希望
などを総合的に確認して判断します。
軽症の場合には、ご家庭での姿勢の工夫や成長に伴って頭の形が目立ちにくくなる場合があり、経過観察となることもあります。
赤ちゃんの頭のゆがみの原因や斜頭症・短頭症、受診の目安について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
赤ちゃんの頭のゆがみとは?斜頭症・短頭症の原因を小児科医がわかりやすく解説
軽症の場合もヘルメット治療が必要ですか?
軽症では、すぐにヘルメット治療を行うのではなく、向き癖への対応や、赤ちゃんが起きていて大人が見守っている状態でのタミータイム、抱っこなどの姿勢を工夫しながら頭の形の変化をみていくことがあります。
赤ちゃんが成長し、首を動かしたり寝返りをしたりするようになると、頭の同じ部分に圧力がかかる時間が減り、頭の形が目立ちにくくなることがあります。
ただし、改善の程度には個人差があります。
睡眠中は頭の形を整える目的でうつ伏せ寝や横向き寝にせず、乳幼児突然死症候群(SIDS)予防のため仰向け寝を基本とします。
ヘルメット治療を始める前に確認すること
赤ちゃんの頭の変形には、向き癖などによって起こる位置的頭蓋変形だけでなく、頭蓋縫合が通常より早く癒合する「頭蓋縫合早期癒合症」が含まれることがあります。
頭蓋縫合早期癒合症は、位置的頭蓋変形とは治療方法が異なります。
そのため、ヘルメット治療を検討する前には、頭の形を診察し、位置的頭蓋変形である可能性が高いか、頭蓋縫合早期癒合症を疑う所見がないかを確認することが重要です。
多くの位置的頭蓋変形では、問診、診察、頭部計測などをもとに評価します。
一方、頭の形が特徴的な場合や、診察だけでは判断が難しい場合には、専門医への紹介や画像検査など、さらに詳しい評価が必要になることがあります。
ヘルメット治療はいつから始めるのがよいですか?
乳児期は頭の成長が活発な時期です。
観察研究では、より早い時期にヘルメット治療を開始した方が、頭の形が改善しやすく、治療期間も短くなる傾向が報告されています。
当院では、生後3〜6か月頃をヘルメット治療開始の目安の一つとしていますが、これはすべてのお子さんに共通する絶対的な開始時期ではありません。
実際の開始時期は、
- 月齢
- 頭の変形の程度
- 頭の成長
- 向き癖や首の動き
- これまでの経過
などを総合的に評価して判断します。
生後6〜7か月以降でも、頭の成長や変形の程度によっては治療を開始できる場合があります。
ただし、月齢が進んでから開始した場合には、頭の成長速度が緩やかになることなどから、改善速度がゆっくりになったり、治療期間が長くなったりする傾向があります。
頭の形が気になる場合には、「ヘルメット治療をする」と決めてから受診する必要はありません。
まず現在の頭の形を評価し、経過観察がよいのか、ヘルメット治療を検討するのかを相談することが大切です。
ヘルメット治療でどの程度改善しますか?
ヘルメット治療では、特に中等度〜重度の位置的頭蓋変形で、頭の形の改善が期待されます。
観察研究では、より早い時期に治療を開始した方が改善しやすい傾向が報告されています。
一方、ヘルメット治療を行えば、必ず完全に左右対称な頭の形になるわけではありません。
また、ヘルメット治療と姿勢の工夫などの保存的な対応を比較した研究では、短期的な頭の形の改善を支持する報告がある一方、研究対象や評価方法にはばらつきがあり、長期的にどの程度の差が残るかについては十分に確立していない部分もあります。
改善の程度は、
- 治療開始時の月齢
- 頭の変形の程度
- 頭の成長
- ヘルメットの装着状況
- 治療期間
などによって異なります。
そのため、現在の頭の形や月齢、これまでの経過を確認し、ご家族と治療の必要性や期待できる変化について相談しながら治療方針を決めることが大切です。
ヘルメット治療はどのくらい続けますか?
治療期間は、お子さん一人ひとりで異なります。
当院で使用しているBaby Bandでは、治療期間の目安として2〜6か月程度が案内されています。
ただし、実際の治療期間は、
- 治療開始時の月齢
- 頭の変形の程度
- 頭の成長速度
- ヘルメットの適合状態
- 装着状況
などによって異なります。
治療中は、頭の形の変化、頭の成長、ヘルメットの適合状態などを定期的に確認しながら進めます。
ヘルメットは1日どのくらい装着しますか?
みなとみらい小児科クリニックでは、Berry社の頭蓋形状矯正ヘルメット「Baby Band 3」を使用しています。
Baby Band 3では、メーカーが1日23時間を目標とした装着を案内しています。
入浴やヘルメットのお手入れなどの時間を除き、できるだけ長い時間装着します。
ただし、治療開始初日からすぐに長時間装着するわけではありません。
お子さんの様子や皮膚の状態を確認しながら、数日かけて徐々に装着時間を延ばしていきます。
ヘルメット治療中の皮膚トラブルとお手入れ
ヘルメットを長時間装着するため、
- 頭皮の赤み
- 発汗
- あせも
- 蒸れ
- 皮膚のかぶれ
などがみられることがあります。
適切に装着・調整されたヘルメットでも、赤ちゃんが痛がる場合や、強い赤みが長く残る場合、傷や水疱などがみられる場合には、ヘルメットの適合状態を確認する必要があります。
ご家庭では、
- 毎日頭皮の状態を確認する
- 頭皮を清潔に保つ
- ヘルメットを清潔にする
- 汗や蒸れに注意する
ことが大切です。
皮膚症状が強い場合には、自己判断でヘルメットを削ったり調整したりせず、医療機関へご相談ください。
夏場のヘルメット治療について
夏場にもヘルメット治療は行われますが、気温や湿度が高い時期には汗や蒸れが起こりやすくなります。
特に、頭皮やヘルメットを清潔に保ち、室温を調整しながら、赤みやあせもなどの皮膚症状がないか確認することが大切です。
赤みが強い、傷や水疱がある、赤ちゃんが痛がるなどの場合には、医療機関へご相談ください。
保育園に通いながら治療できますか?
園の方針やお子さんの状態によっては、保育園などへ通いながらヘルメット治療を継続できます。
園によってヘルメット装着中の安全管理や対応が異なる場合があります。
治療を開始する際には、事前に園の先生へ治療内容を伝え、装着中の対応について相談しておくことをおすすめします。
よくある質問
Q. 生後6〜7か月を過ぎてもヘルメット治療はできますか?
生後6〜7か月以降でも、頭の成長や変形の程度によっては治療を開始できる場合があります。
ただし、月齢が進むほど改善速度が緩やかになったり、治療期間が長くなったりする傾向があるため、頭の形が気になる場合には早めに評価を受けることをおすすめします。
Q. ヘルメットを着けたまま寝るのですか?
Baby Band 3では1日23時間を目標とした装着が案内されているため、治療に慣れた後は睡眠中も装着します。
ただし、治療開始時はお子さんの様子や皮膚の状態を確認しながら、段階的に装着時間を延ばしていきます。
Q. ヘルメットを嫌がりませんか?
治療開始直後は、赤ちゃんがヘルメットに慣れるまで時間がかかる場合があります。
お子さんの様子や皮膚の状態を確認しながら、徐々に装着時間を延ばしていきます。
Q. ヘルメット治療をしないと頭の形はどうなりますか?
位置的頭蓋変形は、成長や姿勢の変化に伴って自然に目立ちにくくなる場合があります。
一方、変形の程度や月齢などによっては、左右差や後頭部の平らさが残ることもあります。
ヘルメット治療と保存的な対応の長期的な差については、まだ十分に確立していない部分もあります。
そのため、現在の頭の形、月齢、これまでの変化などを確認し、一人ひとりに合わせて治療の必要性を検討することが大切です。
Q. ヘルメット治療は保険適用ですか?
ヘルメット治療は自由診療です。
みなとみらい小児科クリニックでは、Berry社 Baby Band 3によるヘルメット治療費は385,000円(税込)です。
なお、頭のかたち外来の初診は保険診療です。
横浜市・みなとみらいで赤ちゃんのヘルメット治療をご検討の方へ
みなとみらい小児科クリニックでは、小児科医が赤ちゃんの頭の形だけでなく、向き癖、首の動き、発達、頭の成長、これまでの経過などを確認し、頭部計測や必要に応じた3D撮影を行っています。
「後頭部が平らに見える」「左右差が気になる」「向き癖が強い」「ヘルメット治療が必要なのか知りたい」といった段階でもご相談いただけます。
頭の形の問題=ヘルメット治療ではありません。
まず現在の頭の形を評価し、経過観察がよいのか、ヘルメット治療を検討するのかをご家族と一緒に考えていきます。
当院での診察から3D撮影、検査、ヘルメット作製、治療開始後のフォローまでの流れについては、こちらの記事をご覧ください。
赤ちゃんの頭のかたち外来とは?診療の流れ・3D撮影・費用を小児科医がわかりやすく解説
赤ちゃんの頭の形について全体を知りたい方へ
この記事では、ヘルメット治療の適応、開始時期、期待できる効果、装着時間、治療期間、皮膚トラブルや日常生活について詳しく解説しました。
向き癖、頭のゆがみ、ヘルメット治療、頭のかたち外来など、赤ちゃんの頭の形について全体を確認したい方は、総合記事をご覧ください。
赤ちゃんの頭の形が気になる方へ|向きぐせ・ゆがみ・ヘルメット治療について
参考資料
- Dias MS, et al. Identifying the Misshapen Head: Craniosynostosis and Related Disorders. Pediatrics. 2020.
- American Academy of Pediatrics:Identifying the Misshapen Head: Craniosynostosis and Related Disorders
- Congress of Neurological Surgeons:Evidence-Based Guidelines for the Treatment of Pediatric Positional Plagiocephaly: The Role of Cranial Molding Orthosis(Helmet)Therapy
- Congress of Neurological Surgeons:Evidence-Based Guidelines for the Treatment of Pediatric Positional Plagiocephaly: The Role of Repositioning
- Congress of Neurological Surgeons:Evidence-Based Guidelines for the Treatment of Pediatric Positional Plagiocephaly: The Role of Imaging
- 位置的頭蓋変形に対するヘルメット治療の有効性・開始時期に関する査読済みsystematic review・meta-analysis
- 株式会社Berry「Baby Band 3」製品情報
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、実際の治療適応、開始時期、治療期間、期待できる改善の程度は、お子さんの月齢、頭の形、成長、診察結果などによって異なります。
公開日: 2026年8月9日
更新日: 2026年10月1日
監修者: みなとみらい小児科クリニック院長
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みなとみらい小児科クリニックは、横浜市西区みなとみらい6丁目の「プライムコーストみなとみらい」2階にあります。
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みなとみらい線をご利用の場合、
- 新高島駅から徒歩約8分
- みなとみらい駅から徒歩約10分
です。
ベビーカーをご利用の方や、小さなお子さんを連れての受診にも便利な立地です。
お車でお越しの方
お車でお越しの方は、プライムコーストみなとみらいの大型立体駐車場をご利用いただけます。
駐車場は2時間まで無料です。
発熱などでお子さんを長時間歩かせることが難しい場合や、乳幼児・ご兄弟を連れて受診される場合にも、お車でお越しいただけます。
所在地
みなとみらい小児科クリニック
〒220-0012
神奈川県横浜市西区みなとみらい6-3-4
プライムコーストみなとみらい2階
お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。
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