BCGワクチンとは?接種時期・副反応・接種後の経過を小児科医がわかりやすく解説

お知らせ
2026.07.18

BCGワクチンとは?赤ちゃんを重症結核から守る大切な予防接種

赤ちゃんが生まれると、生後2か月頃からさまざまな予防接種が始まります。

「BCGは何を予防するワクチン?」「結核は昔の病気ではないの?」「接種した跡が残ると聞いて心配」と感じるお母さん、お父さんも多いのではないでしょうか。

BCGワクチンは、乳児が結核に感染したときに起こりやすい、結核性髄膜炎や粟粒結核などの重症結核を予防するための定期予防接種です。

日本では結核患者数は以前より減少していますが、現在も発生が続いており、決して過去の病気ではありません。この記事では、BCGワクチンの役割、接種時期、接種後の経過、副反応などについて分かりやすく解説します。

BCGワクチンとは?

BCGワクチンは、弱毒化したウシ型結核菌を利用した生ワクチンです。

専用の器具を使い、上腕にスタンプを押すように接種します。BCGワクチンは、結核菌への感染そのものを完全に防ぐワクチンではありません。

一方で、乳児が結核に感染した際に起こりやすい、結核性髄膜炎や粟粒結核などの重症化を予防する効果が期待されています。

日本では、接種できない事情がある場合を除き、1歳未満のお子さんを対象とした定期予防接種として行われています。

結核とはどのような病気?

結核は、結核菌によって起こる感染症です。

感染性の肺結核患者の咳などによって、空気中に漂った結核菌を吸い込むことで感染します。一般的な風邪のような飛沫感染ではなく、空気感染する病気です。

大人では肺結核が多くみられますが、赤ちゃんは免疫機能が未熟なため、感染すると結核菌が全身へ広がりやすく、重症化することがあります。

特に注意が必要なのが、結核性髄膜炎と粟粒結核です。

結核性髄膜炎

結核菌が、脳や脊髄を包む髄膜に感染する病気です。

初期には、発熱、機嫌の悪さ、哺乳不良、嘔吐など、はっきりしない症状で始まることがあります。進行すると、けいれんや意識障害を起こし、命に関わることがあります。

治療を行っても、神経学的な後遺症が残る場合があります。

粟粒結核

結核菌が血液に乗って全身へ広がる病気です。

肺だけではなく、脳、肝臓、腎臓など、さまざまな臓器に感染し、重い状態になることがあります。

BCGワクチンは、このような乳児期の重症結核を予防することを主な目的としています。

なぜ乳児期に接種するのでしょうか?

赤ちゃんは免疫機能が未熟で、結核に感染した場合に重症化しやすいことが知られています。

そのため、乳児期の早い段階で免疫をつけておくことが大切です。

BCGワクチンの標準的な接種時期は、生後5か月から8か月未満です。定期接種として受けられる期間は、1歳になる前までです。

体調不良などで予定どおりに接種できないこともありますが、1歳未満であれば定期接種として受けられます。

接種が遅れるほど、重症結核から十分に守られない期間が長くなるため、できるだけ標準的な時期に接種しましょう。

他のワクチンと同時接種できますか?

BCGワクチンは、他のワクチンと同じ日に、別の部位へ接種する同時接種が可能です。

例えば、次のようなワクチンと同じ日に接種することがあります。

  • 5種混合ワクチン
  • 小児用肺炎球菌ワクチン
  • B型肝炎ワクチン
  • ロタウイルスワクチン

同時接種によって、必要なワクチンを適切な時期に遅れず受けやすくなり、通院回数や接種忘れを減らすことにもつながります。

接種の組み合わせは、お子さんの月齢、これまでの接種歴、当日の体調などを確認したうえで判断します。

接種後はどのような経過になりますか?

BCGワクチンでは、接種した部分に特徴的な反応がみられます。

一般的には、接種後10日頃から針の跡に一致して赤い点が現れます。その後、3〜4週間頃から赤みや腫れが強くなり、小さな膿疱ができることがあります。

反応は5〜6週間頃に最も目立つことがあり、その後はかさぶたになって、数か月かけて自然に落ち着いていきます。

この赤み、膿疱、かさぶたは、多くのお子さんにみられる通常の接種後反応です。治った後に小さな接種痕が残ることもありますが、異常ではありません。

コッホ現象とは?

BCG接種後1週間から10日以内、特に多くは3日以内に、通常より早く強い赤み、腫れ、化膿などが現れることがあります。

これをコッホ現象といいます。

コッホ現象は、すでに結核菌に感染している場合にみられることがあります。ただし、非結核性抗酸菌への感染などによって起こることもあり、コッホ現象だけで結核感染が確定するわけではありません。

接種後すぐに強い反応が現れた場合は、自己判断で様子を見続けず、接種した医療機関やかかりつけの小児科へ相談してください。

通常の接種後反応と副反応

接種部位の赤み、小さな膿疱、かさぶたなどは、多くのお子さんにみられる通常の接種後反応です。

一方で、まれに次のような副反応がみられることがあります。

  • 接種部位の大きな潰瘍
  • わきの下などのリンパ節の強い腫れ
  • 骨炎・骨髄炎
  • 播種性BCG感染症
  • アナフィラキシー

重い免疫不全があるお子さんでは、生ワクチンであるBCGを接種できないことがあります。

接種前には、医師がお子さんの体調、これまでの病気、治療内容などを確認し、接種できる状態かどうかを判断します。

接種後のお手入れ

BCG接種後は、特別なお手入れは必要ありません。

  • 入浴は当日から可能です。
  • 接種部位は強くこすらないようにしましょう。
  • 消毒は必要ありません。
  • ガーゼや絆創膏を貼る必要はありません。
  • 軟膏やクリームは自己判断で塗らないでください。
  • 膿疱をつぶしたり、かさぶたをはがしたりしないでください。

接種部位を清潔に保ち、自然に治るのを待ちましょう。

こんなときは小児科へ相談しましょう

次のような場合は、接種した医療機関やかかりつけの小児科へ相談してください。

  • 接種後すぐに強い赤みや腫れが現れた
  • 接種部位の腫れや潰瘍が大きくなってきた
  • 膿が多く、なかなか改善しない
  • わきの下などのリンパ節が大きく腫れてきた
  • 高熱が続く
  • ぐったりしている、哺乳量が減っているなど体調が悪い

高熱や元気のなさは、BCGに特有の反応とは限りません。別の感染症などが重なっている可能性もあるため、普段と様子が違う場合は早めに相談しましょう。

よくある質問

接種した跡は残りますか?

多くのお子さんで小さな接種痕が残ります。BCGワクチンでは一般的な経過であり、接種痕の大きさだけで免疫の強さを判断することはできません。

接種部位から膿が出ています。大丈夫ですか?

接種後数週間してから小さな膿疱ができることは、通常の接種後反応です。

無理につぶしたり、消毒したりせず、自然に治るのを待ちましょう。腫れが急に大きくなる、潰瘍が広がる、膿が多いなどの場合は小児科へ相談してください。

接種当日にお風呂へ入れますか?

入浴は可能です。接種部位は優しく洗い、強くこすらないようにしましょう。

横浜市西区・みなとみらいでBCGワクチンをご希望の方へ

横浜市西区みなとみらいに位置する、みなとみらい小児科クリニックは、新高島駅から徒歩8分、みなとみらい駅から徒歩10分の場所にあります。

当院では、生後2か月から始まる定期予防接種を行っています。BCGワクチンについても、接種前に小児科医が問診と診察を行い、お子さんの体調や接種歴を確認し、安全面に十分配慮して接種しています。

「接種時期が分からない」「他のワクチンとの同時接種を相談したい」「接種後の赤みや膿が心配」など、不安なことがありましたらお気軽にご相談ください。

参考資料

世界保健機関(WHO)「BCG vaccines: WHO position paper」

厚生労働省「BCGワクチン」

厚生労働省「結核とBCGワクチンに関するQ&A」

国立健康危機管理研究機構「結核」

日本小児科学会「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール」

日本結核・非結核性抗酸菌症学会

日本BCG製造株式会社「BCGワクチンに関する資料」

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック