赤ちゃんの頭の形が左右非対称だったり、後頭部が平らだったりすると、「このまま放っておいて大丈夫なのか」「将来に影響が出るのではないか」と不安になる保護者は多いものです。インターネットで調べると、「放置すると危険」という記事と「自然に治るから心配ない」という記事の両方が出てきて、どちらを信じればよいか分からなくなってしまうのではないでしょうか。
実は、この二つの情報はどちらも一面では正しく、どちらも不完全です。頭の形には、放置しても問題ないケースと、早めの対応を考えたほうがよいケースがあり、その見極めこそが本当に大切です。横浜・みなとみらいで小児医療に携わる立場から、不安を煽るのでも軽視するのでもなく、二つの分かれ道をどう見極めるかをお伝えします。
「放置して大丈夫」と「放置は危険」が混在する理由

なぜネット上で正反対の情報が飛び交うのでしょうか。その答えは、頭の形のゆがみには程度の差があり、ひとくくりに語れないからです。
赤ちゃんの頭の形のゆがみは、多くが「向き癖」によるものです。いつも同じ方向を向いて寝ることで、その面の後頭部が平らになっていきます。こうしたゆがみは、医学的には位置的頭蓋変形と呼ばれ、軽度であれば成長とともに自然に目立たなくなることが多いものです。寝返りやおすわりで頭にかかる圧が分散され、改善していきます。
一方で、ゆがみが中等度以上になると、自然には十分に改善せず、そのまま残ってしまうこともあります。つまり、「自然に治る」も「放置は危険」も、どちらもゆがみの程度によって正しかったり正しくなかったりするのです。大切なのは、自分の子どものゆがみがどの程度なのかを正しく把握することです。
放置しても問題が少ないケース
まず、過度に心配しなくてよいケースから整理します。すべての頭の形のゆがみが治療を必要とするわけではありません。
向き癖による軽度のゆがみであれば、脳の発達に影響することはなく、基本的に治療は必要ないとされています。赤ちゃんが成長して自分で寝返りを打つようになり、起きている時間が増えてくると、頭にかかる圧力が一点に集中しなくなるのです。頭が大きくなる過程で、相対的にゆがみが目立たなくなっていくことも期待できます。
とくに生後2か月ごろまでの頭蓋骨がやわらかい時期は、寝る向きを工夫したり、後述するタミータイムを取り入れたりすることで、ある程度の改善が見込めます。この段階で軽度であれば、家庭でのケアを続けながら経過を見るという選択は十分に合理的です。周囲から「気にしすぎ」と言われて不安になることもあるかもしれませんが、軽度のゆがみに限れば、その言葉もあながち間違いではありません。
見逃してはいけない「病的なゆがみ」のサイン

ここからが、この記事で最もお伝えしたい大切なポイントです。頭の形のゆがみの中には、向き癖とは異なる、病気が原因のものが隠れていることがあります。
頭蓋骨は、いくつかの骨が縫い目のようにつながって構成されています。この縫い目が通常より早く閉じてしまう「頭蓋骨縫合早期癒合症」という病気があり、これが原因でゆがみが生じている場合は、向き癖によるものとは対応がまったく異なります。この病気は脳の発達に影響を及ぼすことがあり、程度によっては手術が必要になることもあるため、見逃すわけにはいきません。
頻度としては向き癖による位置的頭蓋変形のほうが圧倒的に多く、病的なゆがみはまれです。ただ、まれだからこそ、知らずに見過ごされやすいという側面もあります。向き癖による位置的頭蓋変形と、病気による頭蓋変形を、見た目だけで保護者が見分けるのは困難です。だからこそ、頭の形が気になったときに最も重要なのは、「放置するか治療するか」を自分で決めることではなく、まず専門家に診てもらって、病気が隠れていないかを確認することです。ここを押さえておけば、過度に怖がる必要も、逆に油断する必要もなくなります。気になる症状があるか迷うときは、別記事もあわせて参考にしてください。
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対応できる時期には限りがあるという事実
放置を考えるうえで、もう一つ知っておきたいのが時間の制約です。頭の形への対応には、向き不向きの時期があります。
赤ちゃんの頭蓋骨はやわらかく形が変わりやすい状態ですが、生後6か月を過ぎると徐々にかたくなり、1歳ごろにはほぼ定まるとされています。つまり、家庭でのケアや、必要に応じたヘルメット治療といった対応が効果を発揮しやすいのは、頭がやわらかい早い時期に限られます。
ここで難しいのは、「自然に治るかもしれないから様子を見たい」という気持ちと、「対応に適した時期は限られている」という事実が、ときに相反することです。様子を見ているうちに頭が固まり、対応の選択肢が狭まってしまうこともあるでしょう。だからこそ、たとえ最終的に経過観察を選ぶとしても、早い段階で一度プロの評価を受けておくことが、後悔しないための鍵になります。評価を受けたうえで様子を見るのと、何も確認せずに放置するのは、まったく意味が違います。
家庭でできる予防と日々のケア

経過を見る場合も、対応を考える場合も、家庭でできるケアがあります。特別な道具は必要なく、日々のちょっとした工夫でゆがみの進行を抑えられます。
基本となるのが体位変換です。いつも同じ向きで寝かせず、寝る向きや抱っこ、授乳の向きをこまめに変えることで、頭の一点に圧力が集中するのを防げます。赤ちゃんが興味を持つ方向に光や音、おもちゃを配置して、自然と向きが変わるよう促す工夫も役立ちます。
もう一つ取り入れたいのが、タミータイムと呼ばれるうつぶせ遊びです。起きている間に、保護者が見守るなかで短時間うつぶせの姿勢をとらせると、後頭部への圧力が分散され、首や背中の筋肉の発達にもつながります。ただし、うつぶせ寝は乳幼児突然死症候群のリスクがあるため、必ず赤ちゃんから目を離さず、起きている時間に限って行ってください。これらのケアは軽度のゆがみに有効ですが、ゆがみが強い場合や病的なものが疑われる場合は、家庭のケアだけに頼らず医療機関に相談することが欠かせません。
みなとみらい小児科クリニックにご相談ください
横浜市西区みなとみらいに位置するみなとみらい小児科クリニックは、新高島駅から徒歩8分、みなとみらい駅から徒歩10分の場所にあります。小児科一般の診療に加え、乳幼児健診や各種予防接種、お子さんの成長・発達に関するご相談に幅広く対応しています。
赤ちゃんの頭の形が気になる場合も、まずはお気軽にご相談ください。頭の形のゆがみが向き癖によるものか、それとも病気が隠れていないかを含めて状態を確認し、家庭でのケアで経過を見て十分かどうか、あるいは頭のかたち外来を持つ専門医療機関への紹介が望ましいかを、お子さんの状況に合わせてご案内します。放置するか対応するかを一人で抱え込んで決める必要はありません。
「頭の形が左右で違う気がする」「後頭部が平らで心配」「様子を見ていいのか判断がつかない」といったご相談を歓迎しています。早めに評価を受けておくことで、安心して経過を見守れるようになるはずです。お子さんの成長に寄り添いながら、長くお付き合いできる関係づくりを大切にしています。


































