
子どもの腸重積とは?突然の激しい腹痛・繰り返す嘔吐は要注意|原因・症状・治療・受診の目安を小児科医がわかりやすく解説
子どもの腸重積は、突然の激しい腹痛や嘔吐を起こす緊急性の高い病気です。原因や症状、ロタウイルスワクチンとの関係、診断・治療、受診の目安まで、小児科医が保護者の方へわかりやすく解説します。
突然お腹を痛がって激しく泣く…そんな時は腸重積かもしれません
「急に激しく泣き始めた」
「泣き止んだと思ったら、また泣き出す」
「何度も吐いている」
「顔色が悪く、ぐったりしている」
このような症状がある場合は、腸重積(ちょうじゅうせき)という病気が隠れていることがあります。
腸重積は、できるだけ早く診断・治療することが大切な病気です。早期に治療できれば、多くのお子さんは手術をせずに治療できます。一方で、治療が遅れると腸への血流が悪くなり、手術が必要になることもあります。
突然繰り返す激しい腹痛や嘔吐がある場合は、夜間や休日であっても早めに小児科や救急外来を受診しましょう。
腸重積とは?
腸重積とは、腸の一部が、その先の腸の中へ入り込んでしまう病気です。
入り込んだ腸は抜けなくなり、
- 腸が詰まる
- 腸への血流が悪くなる
- 腸がむくむ
- 放置すると腸が壊死する
ことがあります。
小児救急では、早期診断・早期治療が重要な病気として知られています。
どんな子どもに多いの?
腸重積は乳幼児に比較的多くみられる病気です。
特に多いのは、生後6か月〜2歳頃で、最も多いのは生後7〜12か月頃です。
男の子にやや多く、3歳以降では少なくなりますが、年長児でも発症することがあります。
原因は?
乳幼児の約90%は、はっきりした原因がわからない「特発性腸重積」です。
風邪や胃腸炎などのウイルス感染後に腸のリンパ組織(パイエル板)が腫れ、それをきっかけに発症すると考えられています。
一方、年長児では、
- メッケル憩室
- 腸のポリープ
- 腸重複症
- 悪性リンパ腫
などが原因となることもあります。
ロタウイルスワクチンとの関係
「ロタウイルスワクチンを受けると腸重積になると聞いて心配です。」
という質問を受けることがあります。
ロタウイルスワクチンの副反応として、ごくまれに腸重積が起こることが報告されています。特に接種後1〜7日程度は注意が必要です。
しかし、その頻度は非常に低く、ロタウイルス胃腸炎による重い脱水や入院を防ぐ効果の方が大きいことが確認されており、日本では定期予防接種として推奨されています。
接種後に
- 激しく泣いて落ち着くことを繰り返す
- 嘔吐を繰り返す
- 血便が出る
- 顔色が悪い
などの症状があれば、「ロタウイルスワクチンを接種した」ことを医師へ伝えて受診してください。
腸重積の症状
最も特徴的なのは、激しく泣いて、落ち着いて、また泣くという腹痛を繰り返すことです。
赤ちゃんでは、
- 足をお腹へ引き寄せる
- 抱っこしても泣き止まない
- 苦しそうな表情をする
ことがあります。
そのほかにも、
- 嘔吐
- 顔色が悪い
- 冷や汗をかく
- 元気がない
- ぐったりする
などの症状がみられます。
病気が進行すると、血液・粘液・腸液が混ざった「いちごジャム状血便」が出ることがあります。
ただし、血便は初めから出るわけではありません。
血便が出るまで様子を見るのではなく、腹痛や嘔吐だけでも受診することが大切です。
小児科ではどのように診断するの?
まず、症状の経過を詳しく確認します。
問診で確認する内容
- いつから痛がっているか
- 泣き方
- 嘔吐の回数
- 血便の有無
- 最近の風邪や胃腸炎
- ロタウイルスワクチン接種歴
診察・検査
診察では、お腹の張りや圧痛、脱水の有無などを調べます。
診断には腹部超音波(エコー)検査が最も重要です。
エコーでは、腸が重なったターゲットサイン(ドーナツサイン)を確認できます。
必要に応じて腹部レントゲンや血液検査も行います。
腸重積はどれくらい急ぐ病気?
「朝まで様子を見てもいいですか?」
という質問をよくいただきます。
腸重積では、時間がたつほど
- 腸がむくむ
- 血流が悪くなる
- 腸が壊死する
- 腸に穴が開く(腸穿孔)
- 腹膜炎になる
危険があります。
一般的には発症から24時間以内であれば、高圧浣腸で整復できる可能性が高いとされています。
ただし、24時間を過ぎても治療できることはありますし、逆に数時間で重症化することもあります。
そのため、「朝まで待とう」「一度泣き止んだから様子を見よう」という自己判断はおすすめできません。
腸重積の治療
多くのお子さんは高圧浣腸で治療します。
高圧浣腸とは
肛門からチューブを入れ、
- 空気
- 生理食塩水
- 造影剤
などで腸を元の位置へ戻します。
早期であれば、多くのお子さんが手術を受けずに改善します。
手術が必要になる場合
次のような場合には手術が必要になります。
- 高圧浣腸で戻らない
- 腸穿孔
- 腸壊死
- 腹膜炎
- メッケル憩室やポリープなどの原因疾患がある場合
再発することはある?
あります。
腸重積は、一度治療しても再発することがあります。
再発は整復後24〜48時間以内に起こることもありますが、数週間から数か月後に起こることもあります。
退院後も
- 激しく泣く
- 繰り返し吐く
- 同じような腹痛
があれば早めに受診してください。
保護者の方が勘違いしやすいポイント
当院でも、
「泣き止んだから治ったと思いました。」
というご相談をよく受けます。
腸重積では、一時的に痛みが治まる時間があります。
しかし、病気が治ったわけではありません。
また、
- 胃腸炎だと思っていた
- 便秘だと思っていた
というケースの中に、腸重積が隠れていることもあります。
周期的な腹痛や繰り返す嘔吐がある場合は、早めに小児科を受診しましょう。
こんな時はすぐに受診しましょう
次の症状があれば、夜間や休日でも早めの受診が必要です。
- 激しく泣いて落ち着くことを繰り返す
- 嘔吐を繰り返す
- 緑色(胆汁性)の嘔吐
- 顔色が悪い
- ぐったりしている
- お腹が張っている
- 血便(いちごジャム状の便)
- 水分が飲めない
横浜市・みなとみらいでお子さんの腹痛や嘔吐が心配な方へ
横浜市西区みなとみらいに位置するみなとみらい小児科クリニックは、新高島駅から徒歩8分、みなとみらい駅から徒歩10分の場所にあります。
当院では、お子さんの腹痛や嘔吐、血便などの症状を診療しています。
腸重積は、早期発見・早期治療によって多くのお子さんが手術をせずに改善できる病気です。
当院では、診察や腹部超音波検査などを行い、腸重積が疑われる場合には速やかに高次医療機関と連携し、適切な治療につなげています。
診療では、「胃腸炎だと思っていた」「便秘だと思っていた」というご相談の中に、腸重積など緊急性の高い病気が見つかることも少なくありません。
「いつもの腹痛と違う」「急に激しく泣く」「何度も吐く」「顔色が悪い」など、気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。
また、当院ホームページのブログでは、お子さんによくみられる病気や症状について、小児科医が保護者の方にもわかりやすく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 腸重積は自然に治りますか?
自然に治ることもありますが、多くは医療機関での治療が必要です。症状があれば早めに受診しましょう。
Q. 一度治れば再発しませんか?
再発することがあります。同じ症状があれば再度受診してください。
Q. ロタウイルスワクチンを受けると必ず腸重積になりますか?
いいえ。副反応としてごくまれに発症することがありますが、その頻度は非常に低く、ワクチンによる利益がリスクを大きく上回るため、日本では定期接種として推奨されています。
Q. 一度泣き止んだから様子を見ても大丈夫ですか?
おすすめできません。腸重積では痛みが一時的に治まることがありますが、病気が改善したわけではありません。繰り返し痛がる場合は早めに受診してください。
この記事で参考にした資料
UpToDate「Intussusception in children」
厚生労働省
日本小児科学会
日本小児救急医学会
日本小児栄養消化器肝臓学会
国立健康危機管理研究機構(JIHS)
MSDマニュアル プロフェッショナル版
Nelson Textbook of Pediatrics
お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。
みなとみらい小児科クリニック


































