
不活化ポリオワクチンの追加接種とは?対象年齢・必要性・副反応を小児科医がわかりやすく解説
小学校入学前にポリオへの免疫を高める予防接種
不活化ポリオワクチンの就学前追加接種は、乳幼児期の予防接種で得たポリオへの免疫を高めるために行う任意接種です。
日本小児科学会は、乳幼児期に受けた4回目の接種から6か月以上あけて、5歳以上7歳未満に不活化ポリオワクチンを1回追加接種することを推奨しています。項目内容推奨年齢5歳以上7歳未満接種回数1回接種間隔乳幼児期の4回目から6か月以上接種区分任意接種費用原則として自己負担同時接種三種混合、MRなどと同時接種可能主な副反応接種部位の赤み、腫れ、痛み、発熱など
任意接種は「必要性が低い予防接種」という意味ではありません。お子さんの接種歴や年齢、今後の生活環境などを確認しながら検討しましょう。
不活化ポリオワクチンとは?
不活化ポリオワクチンは、感染性をなくしたポリオウイルスを使用して作られたワクチンです。英語では「Inactivated Poliovirus Vaccine」と呼ばれ、IPVと表記されます。
現在、日本では主に次のワクチンにポリオの成分が含まれています。
- 5種混合ワクチン
- 4種混合ワクチン
- 単独の不活化ポリオワクチン
2024年4月以降に定期接種を開始したお子さんは、原則として5種混合ワクチンを使用します。
就学前の追加接種には、一般的に単独の不活化ポリオワクチンを使用します。不活化ワクチンには感染性のあるウイルスが含まれていないため、接種によってポリオを発症することはありません。
ポリオとはどのような病気?
ポリオは、ポリオウイルスによって起こる感染症で、正式には「急性灰白髄炎」と呼ばれます。
主に感染者の便などに含まれるウイルスが、手や食べ物などを介して口から入り、腸管で増殖することで感染します。
感染しても多くの場合は症状がありません。症状が出ても、発熱、のどの痛み、吐き気、頭痛など、風邪や胃腸炎に似た軽い症状で回復することがあります。
しかし、ごく一部ではウイルスが中枢神経に達し、手足に力が入らなくなる弛緩性麻痺を起こします。麻痺が後遺症として残る場合や、呼吸に必要な筋肉が麻痺して人工呼吸器による治療が必要になる場合もあります。
現在、ポリオウイルスそのものを体内から排除する特別な治療薬はありません。そのため、ワクチンによる予防が重要です。
日本で追加接種を検討する理由
日本では、野生株ポリオウイルスによる国内感染は長年報告されていません。
一方、ポリオは世界から完全になくなった病気ではなく、現在も一部の国や地域で野生株ポリオウイルスやワクチン由来ポリオウイルスによる感染が報告されています。
海外との人の行き来があるため、日本へウイルスが持ち込まれる可能性を完全には否定できません。
日本でポリオがほとんどみられなくなった背景には、多くの人が予防接種を受け、社会全体で高い免疫を維持してきたことがあります。病気が少なくなった現在も、必要な予防接種を受けることが大切です。
なぜ就学前に追加接種するの?
乳幼児期にポリオを含むワクチンを4回接種することで、ポリオに対する基礎的な免疫をつけることができます。
ただし、ワクチン接種後の抗体価は、時間の経過とともに低下することがあります。
日本小児科学会は、ポリオへの免疫を維持するため、乳幼児期の4回目から6か月以上あけて、5歳以上7歳未満に1回追加接種することを推奨しています。
追加接種は、乳幼児期の接種を最初からやり直すものではありません。これまでの接種でつくられた免疫を再び刺激し、抗体価を高めることを目的としています。
接種スケジュール
乳幼児期の定期接種
乳幼児期は、5種混合ワクチンなどを使用して、ポリオを含むワクチンを合計4回接種します。
初回接種は、生後2か月から開始し、20日以上、標準的には20~56日の間隔をあけて3回接種します。
追加接種は、初回3回の接種終了後、6か月以上、標準的には6~18か月の間隔をあけて1回接種します。
就学前の追加接種
日本小児科学会が推奨する就学前追加接種の条件は次のとおりです。
- 5歳以上7歳未満
- 乳幼児期の4回目から6か月以上あける
- 不活化ポリオワクチンを1回接種する
- 任意接種のため原則として自己負担
年長児の時期には、MRワクチン第2期、おたふくかぜワクチン、三種混合ワクチンなども検討します。母子健康手帳を確認し、未接種のワクチンがないか小児科で相談しましょう。
三種混合ワクチンも一緒に受けるの?
日本小児科学会は、就学前に三種混合ワクチンと不活化ポリオワクチンの任意接種を推奨しています。
三種混合ワクチンは、百日せき、ジフテリア、破傷風を予防し、不活化ポリオワクチンはポリオを予防します。
乳幼児期に得られた百日せきへの免疫も、時間の経過とともに低下することがあります。年長児や学童が百日せきに感染し、まだ予防接種が十分に進んでいない乳児へ感染させる可能性もあります。
両方のワクチンを接種することで、就学前に4つの病気への免疫を高めることが期待できます。
他のワクチンと同時接種できますか?
不活化ポリオワクチンは、医師が必要と判断した場合、他のワクチンと同時に接種できます。
同時接種が検討される主なワクチンは次のとおりです。
- 三種混合ワクチン
- MRワクチン
- おたふくかぜワクチン
- 日本脳炎ワクチン
- インフルエンザワクチン
同時接種によって、必要な予防接種を適切な時期に受けやすくなり、通院回数を減らすこともできます。
接種する組み合わせは、お子さんの年齢、接種歴、当日の体調などを確認したうえで医師が判断します。
不活化ポリオワクチンの副反応
比較的みられやすい副反応には、次のようなものがあります。
- 注射した部分の赤み
- 腫れ
- 痛み
- しこり
- 発熱
- 不機嫌
- だるさ
多くは軽い反応で、数日以内に自然に改善します。
注射した部分は強くこすったり、もんだりしないようにしましょう。入浴は通常どおり可能ですが、接種当日は激しい運動を避け、体調を観察してください。
接種後に注意したい症状
頻度は非常に低いものの、アナフィラキシーなどの重いアレルギー反応が起こる可能性があります。
次のような症状がみられた場合は、速やかに医療機関へ連絡または受診してください。
- 呼吸が苦しそう
- 顔や唇が腫れている
- 全身にじんましんが出ている
- 顔色が悪い
- 意識がぼんやりしている
- ぐったりして反応が弱い
- けいれんを起こした
- 高熱や強い腫れが続いている
接種後は医療機関の指示に従って一定時間待機し、帰宅後もお子さんの様子を見守りましょう。
よくある質問
任意接種なら受けなくてもよいですか?
任意接種は、国の定期接種の対象外で、原則として自己負担となる接種です。「医学的な必要性がない」という意味ではありません。
日本小児科学会は、就学前の追加接種を推奨しています。接種するか迷う場合は、母子健康手帳を持参して小児科へご相談ください。
乳幼児期に4回接種していても必要ですか?
乳幼児期の4回接種は、ポリオに対する基礎的な免疫をつけるために重要です。
就学前の追加接種は、これまでの接種をやり直すものではなく、低下することがある抗体価を高めるための接種です。
推奨年齢を過ぎてしまいました
年齢、過去の接種歴、海外渡航の予定などによって対応が異なります。母子健康手帳を持参して小児科へご相談ください。
軽い鼻水や咳があっても接種できますか?
軽い症状だけで、発熱がなく元気で全身状態がよければ接種できる場合があります。接種当日に医師が診察し、安全に接種できるか判断します。
横浜市西区・中区・神奈川区で追加接種をご希望の方へ
横浜市西区みなとみらいにある、みなとみらい小児科クリニックは、新高島駅から徒歩約8分、みなとみらい駅から徒歩約10分の場所にあります。横浜駅からも徒歩圏内で、建物内の立体駐車場も利用できます。
当院では、生後2か月から始まる定期予防接種に加え、年長児の不活化ポリオワクチンや三種混合ワクチンなどの任意接種にも対応しています。
接種前には、小児科医が問診と診察を行い、お子さんの体調や母子健康手帳の接種記録を確認します。
次のようなご相談も可能です。
- 就学前に必要なワクチンをまとめて確認したい
- 三種混合ワクチンと同時接種したい
- 推奨される接種時期を過ぎてしまった
- 過去の接種回数が分からない
- 副反応について詳しく聞きたい
横浜市西区・中区・神奈川区、みなとみらい周辺で不活化ポリオワクチンの追加接種をご検討の方は、母子健康手帳をご用意のうえ、WEBからご予約ください。
参考資料
- 厚生労働省
- 日本小児科学会
- 国立健康危機管理研究機構
- 世界保健機関(WHO)
公開日:2026年721日
最終更新日:2026年7月29日
監修:みなとみらい小児科クリニック院長
お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。
みなとみらい小児科クリニック


































