日本脳炎ワクチン

お知らせ
2026.07.19

日本脳炎ワクチンとは?

子どもの脳を重い感染症から守る大切な予防接種【前編】

保護者の皆さまへ

お子さんの予防接種が進む中で、

「日本脳炎って今でもある病気なの?」
「患者さんが少ないのに、本当にワクチンは必要?」
「副反応が心配…」

このような疑問や不安を感じる保護者の方は少なくありません。

日本脳炎は、患者数こそ多くないものの、一度発症すると命に関わったり、重い後遺症が残ったりすることがある感染症です。

現在でも日本脳炎ウイルスは国内に存在しており、厚生労働省や日本小児科学会では、子どもたちを守るために日本脳炎ワクチンの定期接種を推奨しています。

この記事では、厚生労働省、日本小児科学会、国立健康危機管理研究機構(JIHS)などの信頼できる資料をもとに、日本脳炎ワクチンについて分かりやすく解説します。

日本脳炎とは?

日本脳炎は、日本脳炎ウイルスによって起こる感染症です。

ウイルスを持つコガタアカイエカという蚊に刺されることで感染します。

人から人へ直接感染することはありません。

日本脳炎ウイルスは、主にブタや野鳥の間で循環しており、蚊がそれらの動物を吸血した後に人を刺すことで感染が成立します。

日本では主に**夏から秋(7〜10月頃)**に感染の機会が多く、日本脳炎ウイルスは現在も国内に存在しています。

なぜ日本脳炎ワクチンが必要なのでしょうか?

「最近、日本脳炎の患者さんを聞かないから、受けなくても大丈夫では?」

そのように思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、日本脳炎は患者数が少ない一方で、発症すると非常に重い経過をたどることがある病気です。

脳炎を発症すると、

  • 高熱
  • 激しい頭痛
  • 嘔吐
  • 意識障害
  • けいれん

などの症状が現れ、集中治療が必要になることもあります。

また、命に関わることがあり、回復した後も、

  • 手足の麻痺
  • てんかん
  • 知的障害
  • 運動障害
  • 発達への影響

などの神経学的後遺症が残ることがあります。

現在、日本で患者数が少なくなっている背景には、予防接種の普及に加え、生活環境や衛生環境の改善なども関係していると考えられています。

しかし、日本脳炎ウイルスそのものがなくなったわけではありません。

そのため、将来のお子さんを守るためにも、決められた時期にワクチンを接種することが大切です。

日本脳炎ワクチンの目的

日本脳炎ワクチンの目的は、

  • 日本脳炎の発症を防ぐ
  • 重症化を防ぐ
  • 命に関わる脳炎を予防する
  • 重い後遺症を防ぐ

ことです。

決められた回数を接種することで、日本脳炎の発症や重症化を防ぐ高い予防効果が期待されています。

日本脳炎でみられる主な症状

日本脳炎に感染しても、多くの人は症状が現れません。

しかし、ごく一部では脳炎を発症することがあります。

初期には、

  • 発熱
  • 頭痛
  • 嘔吐
  • 倦怠感

など、風邪に似た症状で始まることがあります。

その後、

  • 意識がぼんやりする
  • 呼びかけに反応しにくい
  • けいれん
  • 手足が動かしにくい

などの神経症状が現れることがあります。

重症化すると人工呼吸管理や集中治療が必要になることもあり、後遺症が残る場合もあります。

現在の医療でも、日本脳炎そのものを治す特効薬はなく、治療は症状を和らげるための対症療法が中心となります。

だからこそ、「治療」よりも「予防」が何より重要です。

接種スケジュール

日本脳炎ワクチンは定期予防接種です。

第1期の定期接種対象年齢は、生後6か月から7歳6か月未満です。

ただし、標準的な接種開始年齢は3歳とされています。

第1期(計3回)

初回接種(2回)

  • 1回目:標準的には3歳
  • 2回目:1〜4週間後

追加接種(1回)

初回2回終了後、おおむね1年後に1回接種します。

第2期(1回)

9歳で1回追加接種を行います。

合計4回接種することで、長期間にわたり免疫を維持することが期待されています。

3歳より前でも接種できますか?

はい。

日本脳炎ワクチンは、第1期の定期接種として生後6か月から7歳6か月未満まで接種することができます。

通常は3歳から接種を開始しますが、日本脳炎の流行地域に住んでいる場合や、流行地域への渡航・長期滞在を予定している場合などには、3歳未満から定期接種として接種を開始することも可能です。

なお、接種量は年齢によって異なります。

  • 3歳未満:0.25mL
  • 3歳以上:0.5mL

お子さんにとって最適な接種時期は、年齢や生活環境、渡航予定などによって異なる場合があります。不安なことがあれば、かかりつけの小児科へお気軽にご相談ください。

他のワクチンと同時接種できますか?

はい。

日本脳炎ワクチンは、他の定期予防接種や任意予防接種と同時接種することができます。

例えば、

  • MR(麻しん・風しん)ワクチン
  • 水痘ワクチン
  • おたふくかぜワクチン(任意接種)
  • 5種混合ワクチンの追加接種
  • 3種混合ワクチン
  • 不活化ポリオワクチン

などと同時に接種することが可能です。

同時接種を行うことで、必要なワクチンを適切な時期に受けやすくなり、接種の機会を逃しにくくなるというメリットがあります。

どのワクチンを同時に接種するかは、お子さんの年齢や予防接種歴、当日の体調を確認したうえで医師が判断します。

副反応について

日本脳炎ワクチンは、多くのお子さんが安全に接種しているワクチンです。

接種後によくみられる副反応は、

  • 注射した部位の赤み
  • 腫れ
  • 痛み
  • 硬くなる
  • 発熱
  • 不機嫌
  • 一時的なだるさ

などです。

これらは体が免疫をつくる過程で起こる反応であり、多くは数日以内に自然に改善します。

接種後は激しい運動を避け、普段どおりの生活を送りながら体調の変化を見守りましょう。

まれですが注意が必要な副反応

どのワクチンにも、ごくまれに重い副反応が起こる可能性があります。

日本脳炎ワクチンでも、

  • アナフィラキシー
  • 強いアレルギー反応
  • けいれん
  • 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)

などが報告されていますが、いずれも非常にまれです。

そのため、接種後は院内でしばらく体調を観察します。

帰宅後に、

  • 呼吸が苦しそう
  • 顔色が悪い
  • 強いぐったり感がある
  • 意識がはっきりしない
  • けいれんを起こした

などの症状がみられた場合は、速やかに医療機関を受診してください。

「患者さんが少ないのに、本当に受けた方がいいのでしょうか?」

保護者の方からよくいただくご質問です。

現在、日本脳炎の患者数は多くありません。

しかし、日本脳炎ウイルスは現在も国内に存在しており、日本各地でウイルスを保有したブタが確認されています。

患者数が少なくなっている背景には、予防接種の普及に加え、生活環境や衛生環境の改善などが関係していると考えられています。

一方で、日本脳炎は一度発症すると命に関わることがあり、回復しても重い後遺症が残ることがあります。

そのため、発症してから治療するよりも、ワクチンで予防することが最も重要と考えられています。

よくある質問

Q. 少し風邪気味ですが接種できますか?

軽い鼻水や軽い咳だけで元気があれば、接種できることがあります。

一方、高熱がある場合や全身状態が良くない場合は、接種を延期することがあります。

接種当日に医師が診察し、安全に接種できるかどうかを判断します。

Q. 接種が遅れてしまいました。

「忙しくて接種の時期を過ぎてしまった」というご相談は珍しくありません。

多くの場合は、最初から接種をやり直す必要はなく、途中から接種を再開できます。

年齢やこれまでの接種歴によって接種方法が異なることがありますので、母子健康手帳をご確認のうえ、できるだけ早めに小児科へご相談ください。

Q. 虫よけを使っていればワクチンは不要ですか?

虫よけスプレーや長袖・長ズボンの着用など、蚊に刺されない工夫は日本脳炎の予防として大切です。

しかし、それだけで感染を完全に防ぐことはできません。

ワクチンによる免疫と、日頃からの蚊に刺されにくい対策を組み合わせることが、日本脳炎予防には重要です。

まとめ

日本脳炎ワクチンは、日本脳炎という重い感染症からお子さんを守るための大切な定期予防接種です。

日本脳炎は患者数こそ多くありませんが、一度発症すると命に関わることがあり、重い後遺症が残る可能性があります。

日本脳炎ウイルスは現在も国内に存在しており、発症を防ぐためにはワクチンによる予防が最も有効です。

定期接種の対象は生後6か月から7歳6か月未満で、標準的には3歳から接種を開始します。決められたスケジュールで接種することで、高い予防効果が期待できます。

「接種時期が分からない」「副反応が心配」「接種が遅れてしまった」など、不安や疑問がある場合は、一人で悩まず、かかりつけの小児科へお気軽にご相談ください。

横浜市西区・中区・神奈川区で日本脳炎ワクチン接種をご希望の方へ

みなとみらい小児科クリニックでは、日本脳炎ワクチンをはじめ、生後2か月からの定期予防接種・任意予防接種を積極的に行っています。

接種前には、小児科医がお子さんの体調や予防接種歴を丁寧に確認し、安全に十分配慮したうえで接種を行っています。

「日本脳炎ワクチンは本当に必要?」
「他のワクチンと同時接種できる?」
「接種時期を過ぎてしまった」
「副反応について詳しく知りたい」

このようなご相談にも、一人ひとりのお子さんに合わせて分かりやすくご説明いたします。

当院では予防接種だけでなく、乳幼児健診や育児相談も行っています。お子さんの成長や健康について気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

横浜市西区・中区・神奈川区を中心に、多くのお子さんの予防接種をお手伝いしています。スタッフ一同、お子さんとご家族が安心して予防接種を受けられるよう、心を込めてサポートいたします。

参考資料

  • 厚生労働省「日本脳炎について」
  • 厚生労働省「予防接種情報(日本脳炎ワクチン)」
  • 国立健康危機管理研究機構(JIHS・旧国立感染症研究所)「日本脳炎」
  • 日本小児科学会「予防接種スケジュール」
  • 日本小児科学会「知っておきたいわくちん情報」
  • 日本渡航医学会「海外渡航者のためのワクチンガイドライン」(3歳未満での早期接種が必要となる場合の参考)
  • 予防接種に関するQ&A集(厚生労働省)

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック