ムンプスワクチンとは?接種時期・副反応・2回接種を小児科医がわかりやすく解説

お知らせ
2026.07.19

ムンプスワクチンとは?接種時期・副反応・2回接種を小児科医がわかりやすく解説

お子さんをおたふくかぜと重い合併症から守る大切な予防接種

保護者の皆さまへ

お子さんが1歳を迎える頃になると、MR(麻しん・風しん)ワクチンや水痘ワクチンなど、さまざまな予防接種を受ける時期になります。

その中で、保護者の方から次のようなご相談をいただくことがあります。

「おたふくかぜは、子どもが一度はかかる病気ではないの?」

「任意接種なら、受けなくても大丈夫?」

「ワクチンの副反応が心配です」

「何歳で何回受ければよいのでしょうか?」

このような不安や疑問を感じるのは自然なことです。

おたふくかぜは、耳の下が腫れるだけの軽い病気と思われがちです。しかし、無菌性髄膜炎、難聴、精巣炎、卵巣炎、膵炎などを合併することがあります。

なかでもムンプス難聴は、聴力が十分に回復せず、後遺症として残る場合があるため注意が必要です。

現在、日本ではムンプスワクチンは定期接種ではなく、費用を自己負担する任意接種です。しかし、任意接種であることは「必要性が低い」という意味ではありません。

日本小児科学会では、おたふくかぜの発症と合併症を予防するため、ムンプスワクチンの2回接種を推奨しています。

ムンプスワクチンとは?

ムンプスワクチンは、おたふくかぜを予防するための生ワクチンです。

おたふくかぜは、正式には「流行性耳下腺炎」と呼ばれ、ムンプスウイルスによって起こります。

感染した人の咳やくしゃみ、唾液などに含まれるウイルスが、飛沫や接触によって人から人へ広がります。保育園、幼稚園、学校など、お子さん同士が近い距離で過ごす場所では感染が広がることがあります。

ムンプスワクチンを接種しても、すべての感染を完全に防げるわけではありません。しかし、おたふくかぜの発症を予防し、感染した場合にも重症化や合併症のリスクを減らすことが期待されています。

おたふくかぜとは?

おたふくかぜに感染すると、2~3週間ほどの潜伏期間を経て症状が現れます。

主な症状は、耳の下にある耳下腺や、あごの下にある唾液腺の腫れと痛みです。

次のような症状がみられます。

  • 耳の下や頬の腫れ
  • 唾液腺の痛み
  • 発熱
  • 頭痛
  • だるさ
  • 食べたり飲み込んだりするときの痛み

片側だけが腫れることも、両側が腫れることもあります。一般的には1~2週間ほどで軽快しますが、耳下腺の腫れが目立たないまま感染している場合もあります。

おたふくかぜには、ウイルスそのものを取り除く特別な治療薬はありません。発熱や痛みに対する治療を行いながら、自然に回復するのを待つことが基本です。

そのため、感染する前にワクチンで予防することが大切です。

なぜムンプスワクチンが必要なのでしょうか?

おたふくかぜの多くは自然に回復しますが、一部のお子さんでは重い合併症を起こします。

「自然に感染して免疫をつければよい」と考える方もいるかもしれません。しかし、自然感染では、どのお子さんに合併症が起こるかを事前に予測することはできません。

ワクチンを接種する目的は、おたふくかぜの発症を予防し、その結果として難聴や髄膜炎などの合併症を減らすことです。

特にムンプス難聴は治療が難しく、聴力が十分に戻らないことがあります。幼いお子さんでは、片耳の聴力低下に周囲が気づきにくい場合もあります。

お子さんを予防できる感染症とその合併症から守るため、接種できる年齢になったら早めに検討することが大切です。

おたふくかぜで起こる主な合併症

無菌性髄膜炎

脳や脊髄を包んでいる髄膜に、ウイルスによる炎症が起こる病気です。

次のような症状がみられます。

  • 強い頭痛
  • 繰り返す嘔吐
  • 発熱
  • 首の痛み
  • ぐったりする
  • 機嫌が非常に悪い

多くは回復しますが、状態によっては検査や入院治療が必要になります。

自然におたふくかぜへ感染した場合は、ワクチン接種後と比較して無菌性髄膜炎を起こす頻度が高いことが分かっています。

ムンプス難聴

ムンプスウイルスによって内耳などが障害され、聴力が低下する合併症です。

多くは片耳に起こりますが、両耳に起こる場合もあります。高度から重度の感音難聴となり、聴力が十分に回復しないことがあります。

小さなお子さんでは、自分から「聞こえにくい」と伝えられません。

  • 呼びかけへの反応が変わった
  • 音がする方向を間違える
  • テレビの音を大きくしたがる

などの変化が手がかりになることがあります。

ムンプスワクチンによっておたふくかぜの発症を予防することは、ムンプス難聴を防ぐためにも重要です。

精巣炎

思春期以降の男性では、精巣に炎症が起こることがあります。

  • 精巣の強い痛み
  • 陰のうの腫れ
  • 発熱

などがみられます。

多くの場合、不妊には至りませんが、精巣が小さくなることがあり、両側に強い炎症が起きた場合には、将来の妊孕性へ影響する可能性があります。

卵巣炎

思春期以降の女性では、卵巣に炎症が起こることがあります。

下腹部痛や発熱などがみられます。一般的には回復し、将来の妊孕性への影響は大きくないと考えられています。

膵炎

まれに膵臓に炎症が起こることがあります。

  • 強い上腹部痛
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 発熱

などがみられ、状態によっては入院治療が必要になります。

ムンプスワクチンの接種スケジュール

日本小児科学会では、ムンプスワクチンを合計2回接種することを推奨しています。

1回目

1歳になったら早めに接種します。

MRワクチン第1期や水痘ワクチンなどと同じ時期です。

2回目

小学校入学前の1年間、いわゆる年長児の時期に接種します。

MRワクチン第2期と同じ時期に接種することで、接種忘れを防ぎやすくなります。

1回の接種でも一定の予防効果は期待できますが、1回だけでは十分な免疫が得られない方や、時間の経過とともに免疫が低下する方がいます。

そのため、より確実な予防を目指して2回接種が推奨されています。

接種時期を過ぎてしまった場合でも、年齢やこれまでの接種歴に応じて接種を検討できます。最初から接種をやり直す必要は通常ありませんので、小児科へご相談ください。

他のワクチンと同時接種できますか?

ムンプスワクチンは、医師が必要と判断した場合、ほかのワクチンと同時に接種できます。

1歳頃には、次のワクチンと同時接種することがあります。

  • MRワクチン
  • 水痘ワクチン
  • 小児用肺炎球菌ワクチンの追加接種
  • 5種混合ワクチンの追加接種

同時接種では、それぞれのワクチンを別の注射部位に接種します。

同時接種によって、それぞれのワクチンの効果が弱くなるとは考えられていません。必要な免疫を適切な時期に獲得し、通院回数を減らせるという利点もあります。

接種するワクチンの組み合わせは、お子さんの年齢、体調、接種歴を確認したうえで医師が判断します。

ムンプスワクチンの副反応

接種後には、免疫がつくられる過程で副反応がみられることがあります。

比較的よくみられるものは、次のような症状です。

  • 注射した部分の赤み
  • 腫れ
  • 痛み
  • 発熱
  • 不機嫌
  • 軽い耳下腺の腫れ

多くは一時的なもので、自然に改善します。

生ワクチンのため、発熱や耳下腺の腫れなどは、接種直後ではなく、接種からしばらくたって現れることがあります。

まれですが注意が必要な副反応

頻度は低いものの、次のような副反応が報告されています。

  • アナフィラキシーなどの強いアレルギー反応
  • けいれん
  • 無菌性髄膜炎
  • 脳炎・脳症
  • 血小板減少性紫斑病

特に、ワクチン株による無菌性髄膜炎がまれに報告されています。

ただし、無菌性髄膜炎は、ワクチン接種後よりも自然におたふくかぜへ感染した場合の方が高い頻度で起こります。

ワクチンの副反応だけでなく、接種しない場合に自然感染によって起こり得る合併症も含めて考えることが大切です。

接種後に次のような症状がみられた場合は、速やかに医療機関へご相談ください。

  • 呼吸が苦しそう
  • 顔や唇が腫れている
  • 全身にじんましんが出ている
  • 繰り返し嘔吐する
  • 強い頭痛がある
  • ぐったりして反応が悪い
  • 意識がぼんやりしている
  • けいれんが起きた

任意接種なら受けなくてもよいのでしょうか?

ムンプスワクチンは、現在の日本では任意接種です。

しかし、任意接種は「医学的に重要ではない予防接種」という意味ではありません。国の定期接種制度に含まれているかどうかと、ワクチンの医学的な必要性は別の問題です。

日本小児科学会は、おたふくかぜの発症と合併症を予防するため、1歳と小学校入学前1年間の2回接種を推奨しています。

おたふくかぜには特別な治療薬がなく、感染してからワクチンを接種しても、発症を確実に防ぐことはできません。

そのため、流行や感染が起こる前に接種しておくことが重要です。

よくある質問

おたふくかぜにかかったことがあります。接種は必要ですか?

医療機関でおたふくかぜと確定診断されている場合は、通常、接種は必要ありません。

ただし、耳下腺が腫れる病気は、おたふくかぜ以外にもあります。以前の診断がはっきりしない場合は、接種を検討できます。

過去に感染して免疫がある方が接種しても、一般的には副反応が特別に強くなるとは考えられていません。

軽い風邪症状があります。接種できますか?

軽い鼻水や咳だけで、元気や食欲が保たれていれば接種できることがあります。

一方、明らかな発熱がある場合や、全身状態がよくない場合は延期することがあります。

接種当日に医師が診察し、安全に接種できるかを判断します。

1回目の接種が遅れてしまいました

接種できる年齢であれば、気づいた時点から接種を検討できます。

接種が遅れたからといって、最初からやり直す必要は通常ありません。母子手帳を持参し、小児科へご相談ください。

まとめ

ムンプスワクチンは、おたふくかぜの発症を予防するための生ワクチンです。

おたふくかぜは、多くの場合は自然に回復しますが、次のような合併症を起こすことがあります。

  • 無菌性髄膜炎
  • ムンプス難聴
  • 精巣炎
  • 卵巣炎
  • 膵炎

特にムンプス難聴は、聴力が十分に回復せず、後遺症として残ることがあるため、予防が重要です。

日本では任意接種ですが、日本小児科学会では、1歳と小学校入学前1年間の合計2回接種を推奨しています。

ワクチン接種後にも副反応が起こる可能性はありますが、多くは軽く一時的なものです。自然におたふくかぜへ感染した場合には、より高い頻度で髄膜炎などの合併症が起こります。

接種の必要性、副反応、同時接種について不安がある場合は、一人で悩まず、かかりつけの小児科へご相談ください。

横浜市西区・中区・神奈川区でムンプスワクチン接種をご希望の方へ

みなとみらい小児科クリニックでは、お子さんをおたふくかぜと重い合併症から守るため、ムンプスワクチンの接種を行っています。

接種前には小児科医が丁寧に問診と診察を行い、お子さんの体調や予防接種歴を確認したうえで、安全に配慮して接種します。

「任意接種なので受けるか迷っている」

「いつ接種すればよいか分からない」

「MRワクチンや水痘ワクチンと同時接種したい」

「1回目から期間が空いてしまった」

「副反応が心配」

このようなご相談にも、お子さん一人ひとりの年齢や接種歴に合わせて、分かりやすくご説明します。

当院では、ムンプスワクチンをはじめ、生後2か月からの定期予防接種や各種任意予防接種を行っています。予防接種は完全予約制です。

母子手帳を確認しながら、今後の予防接種スケジュールについてもご案内しますので、お気軽にご相談ください。

横浜市西区・中区・神奈川区、みなとみらい周辺を中心に、多くのお子さんの予防接種をお手伝いしています。お子さんが安心して健やかに成長できるよう、スタッフ一同、丁寧にサポートいたします。

参考資料

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「ムンプス難聴に関する情報」

厚生労働省「予防接種情報」

厚生労働省「予防接種・ワクチン分科会資料」

日本小児科学会「予防接種スケジュール」

日本小児科学会「おたふくかぜワクチンに関する保護者向け資料」

国立健康危機管理研究機構「流行性耳下腺炎」

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック