肺炎球菌ワクチン

お知らせ
2026.07.17

肺炎球菌ワクチンとは?

赤ちゃんを重い細菌感染症から守る大切な予防接種

保護者の皆さまへ

赤ちゃんが生まれると、生後2か月頃から予防接種が始まります。

「こんなに小さいうちから受けても大丈夫?」
「肺炎球菌ワクチンは本当に必要?」
「副反応が心配…」

このような不安を感じるお父さん、お母さんは少なくありません。

しかし、生後数か月は、お母さんから受け継いだ免疫が少しずつ減り、赤ちゃん自身の免疫もまだ十分ではないため、重い感染症にかかりやすい時期です。

その中でも肺炎球菌は、乳幼児に重い細菌感染症を引き起こす代表的な細菌です。肺炎球菌ワクチンは、このような感染症から赤ちゃんを守るために、生後2か月から始まる大切な定期予防接種です。

この記事では、厚生労働省、日本小児科学会、日本小児感染症学会などの信頼できる資料をもとに、肺炎球菌ワクチンについて分かりやすく解説します。

肺炎球菌ワクチンとは?

肺炎球菌ワクチンは、**肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)**による感染症を予防するワクチンです。

肺炎球菌には100種類以上の血清型があり、その中でも乳幼児で重症化しやすい血清型に対する免疫をつけることができます。現在、日本では**20価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV20)**が定期接種として使用されています。

なぜ肺炎球菌ワクチンが必要なのでしょうか?

赤ちゃんは、生まれた直後はお母さんから受け継いだ免疫によってある程度守られています。

しかし、その免疫は生後数か月で徐々に減少し、赤ちゃん自身の免疫はまだ十分に発達していません。

そのため、生後2か月頃から2歳頃までは、肺炎球菌による重い感染症にかかりやすい時期とされています。

肺炎球菌は、乳幼児の鼻やのどによくみられる細菌の一つです。普段は症状がなくても、風邪などをきっかけに菌が体内へ広がり、

  • 肺炎
  • 中耳炎
  • 細菌性髄膜炎
  • 菌血症(敗血症)

などを引き起こすことがあります。

特に、肺炎球菌が血液や髄液(脳や脊髄の周りを流れる液体)など、本来細菌が存在しない場所へ侵入して起こる重い感染症を**「侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)」**といいます。

IPDは乳幼児ほど重症化しやすく、入院治療が必要になったり、後遺症が残ったり、命に関わったりすることがあります。

肺炎球菌ワクチンは、このような重い感染症を予防し、重症化を防ぐために、生後2か月から定期接種として行われています。

肺炎球菌ワクチンで予防できる病気

細菌性髄膜炎

肺炎球菌が脳や脊髄を包む膜(髄膜)に感染する病気です。

高熱やけいれん、意識障害を起こし、回復しても難聴や神経障害などの後遺症が残ることがあります。

菌血症・敗血症

肺炎球菌が血液の中に入り込み、全身へ広がる病気です。

重症になると血圧が低下し、多くの臓器に障害が起こることがあり、集中治療が必要になる場合もあります。

肺炎

肺炎球菌は、小児の細菌性肺炎の代表的な原因菌です。

高熱や咳、呼吸が苦しそう、呼吸が速いなどの症状がみられ、重症の場合には入院が必要になることがあります。

急性中耳炎

肺炎球菌は中耳炎の原因となる細菌の一つです。

耳の痛みや発熱、機嫌が悪くなるなどの症状がみられます。ワクチンは肺炎球菌による中耳炎を減らす効果がありますが、他の細菌やウイルスによる中耳炎まで防ぐことはできません。

肺炎球菌ワクチンの目的

肺炎球菌ワクチンの目的は、

  • 重い肺炎球菌感染症を予防すること
  • 侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)を防ぐこと
  • 細菌性髄膜炎や菌血症(敗血症)の重症化を防ぐこと
  • 入院や後遺症、命に関わる感染症を減らすこと

です。

日本で肺炎球菌ワクチンが定期接種となってから、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)は大きく減少しました。

一方で、ワクチンに含まれない血清型による感染症は現在でもみられるため、引き続き定期接種を受けることが大切です。

接種スケジュール

標準的な接種スケジュールは次のとおりです。

初回接種(3回)

  • 生後2か月
  • 生後3か月
  • 生後4か月

通常は27日以上の間隔をあけて3回接種します。

追加接種(1回)

初回接種終了後、生後12〜15か月頃に1回追加接種を行います。

合計4回接種することで十分な免疫を獲得することが期待できます。

接種開始月齢によって必要な接種回数が異なることがありますので、接種が遅れた場合も早めに小児科へご相談ください。

他のワクチンと同時接種できますか?

はい。

肺炎球菌ワクチンは、

  • 5種混合ワクチン
  • B型肝炎ワクチン
  • ロタウイルスワクチン

など、多くの定期予防接種と同時接種することができます。

同時接種は、赤ちゃんが早い時期に必要な免疫を獲得するため、日本小児科学会でも推奨されています。

副反応について

肺炎球菌ワクチンは、安全性が十分に確認されているワクチンです。

よくみられる副反応は、

  • 注射した部分の赤み
  • 腫れ
  • 痛み
  • 発熱
  • 機嫌が悪くなる
  • 一時的な食欲低下

などです。

これらの多くは数日以内に自然に改善します。

まれですが注意が必要な副反応

非常にまれですが、

  • アナフィラキシー
  • 強いアレルギー反応
  • けいれん

などが起こることがあります。

帰宅後に、

  • 呼吸が苦しい
  • 顔色が悪い
  • 全身にじんましんが出る
  • 意識がぼんやりしている
  • ぐったりしている
  • けいれん

などの症状がみられた場合は、速やかに医療機関を受診してください。

よくある質問

Q. 少し風邪気味ですが接種できますか?

軽い鼻水や咳だけで元気があり、食事や水分がとれている場合は接種できることがあります。

一方、高熱がある場合や全身状態がよくない場合は延期することがあります。接種当日に医師が診察し、安全に接種できるかを判断します。

Q. 接種が遅れてしまいました。

途中からでも接種を再開できる場合がほとんどで、最初からやり直す必要はありません。

月齢によって接種回数が異なりますので、できるだけ早めに小児科へご相談ください。

まとめ

肺炎球菌ワクチンは、

  • 細菌性髄膜炎
  • 菌血症(敗血症)
  • 肺炎
  • 中耳炎

など、乳幼児がかかると重症化することのある肺炎球菌感染症を予防する大切な定期予防接種です。

肺炎球菌ワクチンを接種していても、**すべての肺炎球菌感染症を完全に防げるわけではありません。**しかし、重い感染症や重症化を防ぐ効果が期待されており、日本では定期予防接種として広く推奨されています。

副反応が心配で迷われる方もいらっしゃると思いますが、多くは軽く一時的なものであり、ワクチンによるメリットは非常に大きいことが分かっています。

接種スケジュールや副反応、同時接種など、不安や疑問があれば、一人で悩まずにかかりつけの小児科へご相談ください。

横浜市西区・中区・神奈川区で肺炎球菌ワクチン接種をご希望の方へ

みなとみらい小児科クリニックでは、生後2か月から始まる肺炎球菌ワクチンをはじめ、各種定期予防接種・任意予防接種を積極的に行っています。

接種前には小児科医が丁寧に問診・診察を行い、お子さんの体調や予防接種歴を確認したうえで、安全に配慮して接種を行っています。

「予防接種のスケジュールが分からない」「5種混合ワクチンと同時接種しても大丈夫?」「副反応が心配」「接種が遅れてしまった」など、予防接種に関するご不安やご質問にも、一人ひとりのお子さんに合わせて分かりやすくご説明いたします。

当院では予防接種だけでなく、乳幼児健診や育児相談も行っています。横浜市西区・中区・神奈川区を中心に、多くのお子さんの健やかな成長をサポートしています。予防接種をご検討の際は、どうぞお気軽にご相談ください。

参考資料

  • 厚生労働省「予防接種情報」
  • 厚生労働省「予防接種実施要領」
  • 厚生労働省「予防接種Q&A」
  • 国立健康危機管理研究機構(旧 国立感染症研究所)「肺炎球菌感染症に関する情報」
  • 日本小児科学会「予防接種に関するQ&A」
  • 日本小児科学会「知っておきたいわくちん情報」
  • 日本小児科学会「小児の予防接種スケジュール」
  • 日本小児感染症学会「小児の予防接種ガイドライン」
  • 日本ワクチン学会「ワクチンに関する提言・資料」
  • 日本環境感染学会「肺炎球菌感染症に関する資料」(参考)
  • PCV20(20価肺炎球菌結合型ワクチン)添付文書・インタビューフォーム
  • 予防接種リサーチセンター「予防接種ガイドライン・関連資料」

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

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