突発性発疹

お知らせ
2026.07.05

子どもの突発性発疹とは?高熱のあとに発疹が出る病気を小児科医がわかりやすく解説【前編】

メタディスクリプション(約120文字)

子どもの突発性発疹は、生後6か月〜2歳頃に多いウイルス感染症です。突然の高熱と、熱が下がった後に現れる発疹が特徴です。原因や症状、皮膚所見、診断について、小児科医が保護者の方にわかりやすく解説します。

子どもの突然の高熱でお困りの保護者の方へ

「39〜40℃の熱が急に出た…」
「熱は高いのに意外と元気で大丈夫?」
「熱が下がったら赤い発疹が出てきた」
「薬のアレルギーではないか心配」

このような症状がある場合、突発性発疹かもしれません。

突発性発疹は、生後6か月〜2歳頃のお子さんによくみられるウイルス感染症です。高熱が3〜5日続き、その後に発疹が現れることが最大の特徴で、多くのお子さんは後遺症なく自然に回復します。

一方で、高熱の原因には川崎病や尿路感染症など治療が必要な病気が隠れていることもあり、高熱によって熱性けいれんを起こすこともあります。

この記事では、突発性発疹の原因や症状、特徴的な皮膚所見、診断についてわかりやすくご説明します。

突発性発疹とは?

突発性発疹(Roseola infantum)は、**ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)またはヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)**による感染症です。

多くのお子さんが2歳までに一度は感染するといわれており、生まれて初めて感染することで発症します。

生後6か月頃までは、お母さんから受け継いだ免疫の影響で感染しにくいとされていますが、その後は徐々に感染しやすくなります。

原因

原因はHHV-6またはHHV-7への初感染です。

感染した人の唾液などを介して感染すると考えられており、家族からうつることも少なくありません。

保育園や幼稚園で感染することもありますが、多くのお子さんが乳幼児期に自然に免疫を獲得します。

主な症状

突発性発疹では、次のような経過をたどることが多くあります。

① 突然の高熱

38.5〜40℃前後の高熱が突然出ます。

熱は3〜5日ほど続きますが、高熱のわりに比較的元気なお子さんも多く、「熱は高いけれど遊ぼうとする」ということも珍しくありません。

一方で、

  • 食欲が落ちる
  • 水分をあまり飲まない
  • 機嫌が悪くなる

といった症状がみられることもあります。

② 熱が下がると発疹が出る

突発性発疹で最も特徴的なのは、

「高熱が下がったあとに発疹が出る」

という経過です。

この特徴が、麻疹や風疹など他の発疹性疾患との大きな違いになります。

③ 不機嫌になることが多い

熱が下がって安心した頃に、

「急に機嫌が悪くなった」
「ずっと抱っこを求める」

というお子さんも少なくありません。

これは突発性発疹でよくみられる症状で、多くは数日で改善します。

突発性発疹の皮膚所見の特徴

突発性発疹の発疹には、小児科医が診断の参考にする特徴があります。

① 高熱が下がってから出現する

最も特徴的なのは、

「3〜5日続いた高熱が下がる頃に発疹が出現する」

という経過です。

熱が下がってから発疹が現れることが、麻疹や風疹など他の発疹性疾患との大きな違いです。

② 体幹から始まる

発疹はまず

  • お腹
  • 背中

などの体幹に現れます。

その後、

  • 太もも

へ広がることがあります。

手のひらや足の裏に出ることはまれです。

③ 淡いピンク色の発疹

発疹は

淡いピンク色〜薄い赤色

で、強い赤みはありません。

④ 細かい紅斑・丘疹

発疹は医学的には

「紅斑」あるいは「紅色丘疹」

と呼ばれます。

特徴は

  • 2〜5mm程度
  • 丸いものが多い
  • 境界がやや不明瞭
  • 少し盛り上がることがある

ことです。

⑤ 発疹がつながって見えることも

発疹が密集すると、一部が融合して見えることがあります。

ただし、麻疹のように強く融合することは少なく、全体として淡い印象です。

⑥ 水ぶくれや膿はできない

突発性発疹では

  • 水ぶくれ
  • かさぶた

は通常みられません。

⑦ かゆみはほとんどない

多くのお子さんは発疹をかゆがらず、掻き壊すこともほとんどありません。

⑧ 数日で自然に消える

発疹は通常1〜3日ほどで自然に薄くなり、跡を残さず消えていきます。

他の発疹との違い

病気発疹が出る時期発疹の特徴突発性発疹解熱後体幹から始まる淡い紅斑・丘疹麻疹高熱が続く中顔から始まり全身へ広がり、濃い赤色で融合しやすい風疹発熱とほぼ同時顔から始まる細かい淡紅色発疹手足口病発熱と同時〜翌日手足・口に水ぶくれができる水痘発熱と同時赤い発疹が水ぶくれになり、かさぶたへ変化する

診断

突発性発疹は、

「発熱 → 解熱 → 発疹」

という特徴的な経過と診察所見から診断します。

発疹そのものだけで診断するのではなく、高熱の経過が非常に重要です。

通常は血液検査やウイルス検査は必要ありません。

ただし、

  • 高熱が5日以上続く
  • 発疹の特徴が典型的ではない
  • 元気が極端にない
  • 川崎病や尿路感染症などが疑われる

場合には、血液検査や尿検査、画像検査などを追加することがあります。

突発性発疹の治療

特効薬はありません

突発性発疹はウイルス感染症のため、原因となるウイルスを治す特別な薬はありません。

そのため治療は、

「お子さんが楽に過ごせるよう症状を和らげながら自然に治るのを待つ」

ことが基本になります。

ほとんどのお子さんは1週間ほどで元気になります。

解熱剤は使ってもいい?

保護者の方から最も多い質問の一つです。

高熱があっても、

  • 水分が飲める
  • 比較的元気がある
  • 眠れている

のであれば、必ずしも解熱剤を使う必要はありません。

一方、

  • 熱で眠れない
  • とてもつらそう
  • 水分が飲めない
  • 泣き続けている

ような場合には、小児科で処方されたアセトアミノフェンを使用することがあります。

解熱剤は病気を早く治す薬ではなく、お子さんを少しでも楽にするためのお薬です。

家庭でできるケア

① 水分補給を最優先にしましょう

発熱すると汗をかき、水分が失われます。

脱水を防ぐため、

  • 母乳
  • ミルク
  • 麦茶
  • 経口補水液

などを少量ずつ、こまめに飲ませましょう。

一度にたくさん飲ませようとすると吐いてしまうことがあるため、スプーンや少量ずつの哺乳がおすすめです。

② 食事は無理をしなくて大丈夫

熱がある間は食欲が落ちることがよくあります。

無理に食べさせる必要はありません。

食べられそうなら、

  • おかゆ
  • うどん
  • バナナ
  • ヨーグルト
  • ゼリー

など消化のよいものから始めましょう。

数日食事量が少なくても、水分が十分に摂れていれば大きな問題になることはほとんどありません。

③ お風呂は入っていい?

「発疹が出たらお風呂はダメですか?」という質問もよくいただきます。

熱が高い間は無理をせず、体を拭くだけでも構いません。

熱が下がり、

  • 元気がある
  • 水分が飲める

ようであれば、短時間の入浴は問題ありません。

発疹があることだけを理由に入浴を控える必要はありません。

④ 発疹に薬は必要?

突発性発疹の発疹は、

  • かゆみが少ない
  • 数日で自然に消える

ため、多くの場合は塗り薬も必要ありません。

ただし、

  • 強いかゆみ
  • 水ぶくれ
  • ジュクジュクする

ような場合は、別の病気が隠れている可能性もあるため受診しましょう。

突発性発疹と熱性けいれん

突発性発疹は、

熱性けいれんの原因として最も多い病気の一つ

です。

高熱が急激に上がる時期に起こることが多く、多くは5分以内で自然に止まり、後遺症を残しません。

けいれんが起きたら、

  • あわてず横向きに寝かせる
  • 衣服をゆるめる
  • 口の中に物を入れない
  • けいれんの時間を確認する

ことが大切です。

突発性発疹と急性脳症

突発性発疹はほとんどが自然に治る病気ですが、

非常にまれに急性脳症を合併することがあります。

急性脳症とは、感染症をきっかけに脳の働きが急激に低下する重い病気です。

原因となるHHV-6は、乳幼児急性脳症の原因ウイルスの一つとして知られています。

ただし、突発性発疹のお子さんの大部分は急性脳症になることなく回復しますので、必要以上に心配する必要はありません。

熱性けいれんとの違い

熱性けいれんでは、

  • 数分以内に止まる
  • その後意識が戻る

ことがほとんどです。

一方、急性脳症では、

  • けいれんが5分以上続く
  • 何度も繰り返す
  • 意識が戻らない
  • 呼びかけても反応しない
  • ぼんやりして目が合わない

などの症状がみられます。

このような場合には、救急受診が必要です。

登園の目安

突発性発疹は、学校保健安全法で出席停止が定められている病気ではありません。

一般的には、

  • 熱が下がっている
  • 水分や食事がとれる
  • 普段どおり遊べる

ようになれば登園できます。

発疹が残っていても、全身状態が良ければ登園可能です。

ただし、保育園や幼稚園によっては独自の基準があるため、事前に確認すると安心です。

こんなときは小児科を受診しましょう

次のような症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。

  • 高熱が5日以上続く
  • 水分が飲めない
  • おしっこが少ない
  • 呼吸が苦しそう
  • 強い機嫌の悪さが続く
  • 発疹が紫色になる
  • 水ぶくれや強い痛みがある
  • 発疹が1週間以上続く

すぐに救急受診が必要な症状

以下の症状がある場合は、119番または救急外来を受診してください。

  • 生後3か月未満で38℃以上の発熱
  • けいれんが5分以上続く
  • けいれんを繰り返す
  • 意識が戻らない
  • 呼びかけへの反応が悪い
  • 水分がまったく飲めない
  • 呼吸が苦しそう
  • 顔色が悪い
  • ぐったりしている

小児科医から保護者の方へ

みなとみらい小児科クリニックでは、毎年多くの突発性発疹のお子さんを診療しています。

保護者の方からは、

「熱が下がったのに発疹が出て悪化したのでは?」
「薬の副作用ではありませんか?」
「熱は下がったのに機嫌が悪くて心配です。」

というご相談をよくいただきます。

しかし、熱が下がってから発疹が出ることや、一時的に機嫌が悪くなることは、突発性発疹では典型的な経過です。

一方で、高熱が続く病気の中には、川崎病や尿路感染症、肺炎など早期治療が必要な病気もあります。

私たちは、お子さんの診察だけでなく、「今は様子を見てよいのか」「すぐ受診すべきか」という保護者の方の不安にも寄り添うことを大切にしています。

「普段と様子が違う」「受診するか迷う」という時は、どうぞ遠慮なくご相談ください。

横浜市・みなとみらいでお子さんの発熱や発疹でお困りの方へ

みなとみらい小児科クリニックでは、突発性発疹をはじめ、発熱や発疹を伴う感染症の診療を行っています。

お子さん一人ひとりの症状に合わせて丁寧に診察し、ご家庭で安心して過ごせるようサポートいたします。高熱や発疹でご心配なことがありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。

今回の記事の内容(定義、原因、症状、診断、治療、受診の目安、登園の目安、急性脳症など)は、以下の公的機関・学会・標準的教科書の内容に基づいて作成しています。

参考文献・参考資料

行政機関

  • 厚生労働省
    • 保育所における感染症対策ガイドライン(2023年改訂版)
    • 子どもの感染症に関する情報
  • 国立健康危機管理研究機構(JIHS:旧 国立感染症研究所)
    • 突発性発しん(Roseola infantum)
    • IASR(感染症発生動向調査週報)HHV-6・HHV-7感染症に関する資料

学会

  • 日本小児科学会
    • 小児感染症に関する診療情報
    • 保護者向け感染症情報
  • 日本小児感染症学会
    • 小児感染症診療に関する資料
    • 小児ウイルス感染症に関する情報
  • 日本小児救急医学会
    • 熱性けいれん・発熱児の診療に関する資料
  • 日本小児神経学会
    • 熱性けいれん診療ガイドライン
    • 急性脳症診療に関する提言・診療情報
  • 日本小児科医会
    • 保護者向け感染症情報
    • 発熱時の対応について
  • 日本外来小児科学会
    • 小児感染症診療・保護者向け啓発資料

診療ガイドライン

  • 熱性けいれん診療ガイドライン 2023
    (日本小児神経学会 監修)
  • 小児感染症診療ガイドライン
    (日本小児感染症学会 関連資料)

教科書・専門書

  • Nelson Textbook of Pediatrics, 22nd Edition
    Elsevier
  • Red Book: 2024–2027 Report of the Committee on Infectious Diseases
    American Academy of Pediatrics
  • Feigin and Cherry’s Textbook of Pediatric Infectious Diseases
    Elsevier

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック