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子どもの熱性けいれんとは?初めてでも慌てないために

子どもの熱性けいれんとは?初めてでも慌てないために|原因・症状・受診の目安を小児科医がわかりやすく解説

メタディスクリプション(約120文字)

子どもの熱性けいれんは突然起こるため、多くの保護者が強い不安を感じます。原因や症状、家庭での対応、救急車を呼ぶ目安、診断まで、小児科医が最新の診療ガイドラインに基づいてわかりやすく解説します。

子どもの熱性けいれんでお困りの保護者の方へ

熱性けいれんは、発熱に伴って起こる子どものけいれんです。多くは5分以内に自然に止まり、後遺症を残すことはほとんどありません。まずは慌てず、お子さんの安全を確保することが何よりも大切です。一方で、けいれんが長く続く場合や意識が戻らない場合は、すぐに救急受診が必要です。

お子さんが突然けいれんを起こすと、

  • 「息をしていないように見える…」
  • 「脳に障害が残るのでは?」
  • 「救急車を呼んだ方がいい?」
  • 「また繰り返すの?」
  • 「てんかんとは違うの?」

と、不安になるのは当然です。

実際に、みなとみらい小児科クリニックでも、「初めて熱性けいれんを見て頭が真っ白になった」「次に熱が出るのが怖い」というご相談を数多くいただきます。

しかし、熱性けいれんは乳幼児では比較的よくみられる病気であり、**日本では約10人に1人が経験するといわれています。**正しい知識を知っておくことで、万が一のときにも落ち着いて対応できるようになります。

熱性けいれんとは?

熱性けいれんとは、発熱に伴って起こるけいれん発作です。

主に生後6か月〜5歳頃のお子さんにみられ、特に1〜2歳頃に最も多く発症します。

発熱の原因は、

  • かぜ
  • 突発性発疹
  • インフルエンザ
  • RSウイルス感染症
  • アデノウイルス感染症
  • 新型コロナウイルス感染症

など、さまざまな感染症です。

「40℃近い高熱だから起こる」と思われがちですが、実際には熱が急激に上がるタイミングで起こることが多く、38℃前後でも発症することがあります。

また、熱性けいれんは**脳に細菌やウイルスが感染して起こる病気ではありません。**一方で、髄膜炎や脳炎などでもけいれんが起こることがあるため、初めて熱性けいれんを起こした場合は小児科で診察を受けることが重要です。

なぜ熱性けいれんが起こるの?

原因はまだ完全には解明されていませんが、次のような要因が関係していると考えられています。

  • 乳幼児の脳がまだ発達途中であること
  • 急激な体温上昇
  • 遺伝的な体質

ご両親や兄弟姉妹に熱性けいれんの既往がある場合は、お子さんにも起こりやすいことが知られています。

熱性けいれんではどんな症状が出るの?

熱性けいれんでは、お子さんによって動き方は少し異なりますが、最も多いのは**全身が硬くなり、その後ガクガクと震える「強直間代発作」**です。

よくみられる症状は次のとおりです。

  • 全身がピーンと硬くなる
  • 手足がガクガクと震える
  • 白目をむく
  • 呼びかけに反応しない
  • 顔色や唇が紫色っぽく見える
  • 泡を吹くことがある
  • 尿や便を漏らすことがある
  • けいれん後は眠ったり、ぼんやりしたりする

多くは数分以内に自然に止まります。

一方で、

  • 片方の手足だけが動く
  • 顔の片側だけがピクピクする

といった場合は、典型的な熱性けいれんではない可能性もあるため、詳しい診察が必要です。

単純型熱性けいれんと複雑型熱性けいれん

熱性けいれんは、大きく2つに分けられます。

単純型熱性けいれん

次のすべてに当てはまる場合です。

  • 5分以内に自然に止まる
  • 全身のけいれん
  • 24時間以内に1回だけ
  • 麻痺などの神経症状が残らない

約8〜9割がこのタイプで、予後は非常に良好です。

複雑型熱性けいれん

次のいずれかに当てはまる場合です。

  • 15分以上続く
  • 24時間以内に繰り返す
  • 片側だけのけいれん
  • けいれん後に麻痺などが残る

この場合は、脳炎や髄膜炎、てんかんなど他の病気との鑑別が必要となるため、追加の検査や入院が必要になることがあります。

けいれんが起きたら、まず何をすればいい?

突然のけいれんでは慌ててしまいますが、まずはお子さんの安全を守ることが大切です。

  • けいれんが始まった時間を確認する
  • 横向きに寝かせる
  • 周囲の危険な物を避ける
  • 衣服を少しゆるめる
  • 口の中に物を入れない
  • 無理に体を押さえつけない

また、安全を確保できる状況であれば、スマートフォンで動画を撮影しておくと診断に非常に役立ちます。

病院受診・救急車を呼ぶ目安

**初めて熱性けいれんを起こした場合は、症状が治まっていても必ず小児科を受診しましょう。**発熱の原因や、熱性けいれん以外の病気ではないかを確認することが大切です。

次のような場合は、ためらわず119番してください。

  • けいれんが5分以上続く
  • 24時間以内に繰り返す
  • 意識がなかなか戻らない
  • 呼吸が苦しそう、顔色が悪い
  • 片側だけがけいれんする
  • 発熱がないのにけいれんした
  • 生後6か月未満でけいれんを起こした

小児科ではどのように診断するの?

診察では、

  • 発熱の原因
  • けいれんの時間
  • 動き方
  • 左右差があったか
  • 発作後の様子
  • 家族歴

などを詳しく確認します。

必要に応じて血液検査や尿検査、感染症検査などを行いますが、典型的な単純型熱性けいれんでは、全員にCT・MRI・脳波検査が必要になるわけではありません。

検査は、お子さんの年齢や症状、診察結果をもとに必要性を判断します。

子どもの熱性けいれんとは?治療・再発・登園の目安を小児科医がわかりやすく解説【後編】

メタディスクリプション(約120文字)

子どもの熱性けいれんの治療や再発率、ダイアップ®(ジアゼパム坐剤)の適応、てんかんとの違い、登園の目安、よくある質問まで、最新の診療ガイドラインに基づいて小児科医がわかりやすく解説します。

熱性けいれんは治療が必要?

熱性けいれんは、多くの場合数分以内に自然に止まるため、けいれんそのものに特別な治療が必要ないことがほとんどです。

小児科では、

  • 発熱の原因となっている病気は何か
  • 熱性けいれんで間違いないか
  • 髄膜炎や脳炎など重い病気ではないか

を確認し、その結果に応じて治療を行います。

つまり、熱性けいれんそのものを治すというよりも、「発熱の原因となった病気」を適切に診断・治療することが重要です。

5分以上続く場合は早めの治療が必要です

けいれんが5分以上続く場合は、自然には止まりにくくなることが知られています。

このような場合には、医療機関で

  • ミダゾラム
  • ジアゼパム
  • レベチラセタム
  • ホスフェニトイン

などの抗けいれん薬を使用して発作を止めます。

さらに長時間続く場合には、「けいれん重積状態」として集中治療が必要になることがあります。

そのため、

  • けいれんが5分以上続く
  • 呼吸が苦しそう
  • 意識が戻らない

場合は、迷わず119番しましょう。

ダイアップ®(ジアゼパム坐剤)は使った方がいい?

以前は、熱が出たときにダイアップ®を予防的に使用することが広く行われていました。

しかし現在の**「熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023」**では、

すべてのお子さんへの予防投与は推奨されていません。

ダイアップ®を検討するのは、

  • 長時間の熱性けいれんを繰り返している
  • けいれん重積状態の既往がある
  • 医師が再発時のリスクが高いと判断した

などの場合です。

お子さんごとに適応は異なるため、自己判断で使用するのではなく、主治医と相談することが大切です。

解熱剤で熱性けいれんは予防できる?

「熱が出たらすぐに解熱剤を使えば、けいれんを防げますか?」

これは外来で最も多くいただく質問の一つです。

結論からいうと、

解熱剤で熱性けいれんを予防できることは証明されていません。

解熱剤は、

  • 熱によるつらさを和らげる
  • 水分や食事をとりやすくする

ために使用する薬です。

熱性けいれんを防ぐ目的で使用する薬ではありません。

また熱が出たら必ずけいれんしますか?

熱性けいれんを経験すると、「次に熱が出たら必ずまた起こるのでは」と心配になる保護者の方が多くいらっしゃいます。

しかし、

約3分の2のお子さんは再発しません。

一方で、

**約30~40%**のお子さんでは再発すると報告されています。

再発しやすいとされるのは、

  • 初回発症が1歳未満
  • ご家族に熱性けいれんの既往がある
  • 発熱して間もなく発作が起きた
  • 初回発症年齢が低い

などの場合です。

再発しても、多くは初回と同じような経過をたどります。

将来てんかんになりますか?

これも非常に多いご質問です。

ほとんどのお子さんは、将来てんかんにはなりません。

一般のお子さんがてんかんを発症する割合は約1%ですが、熱性けいれんを経験したお子さんでは約2~7%とやや高くなります。

ただし、95%以上のお子さんはてんかんを発症せず、健康に成長します。

複雑型熱性けいれんや発達の遅れがある場合などは、小児神経専門医による経過観察が必要になることがあります。

お風呂・外遊びはいつから?

熱がある間やぐったりしている間は、入浴や激しい運動は控えましょう。

一方で、

  • 熱が下がっている
  • 元気がある
  • 水分が十分とれる

ようであれば、短時間のシャワーや普段どおりの生活に少しずつ戻して構いません。

無理をせず、お子さんの体調に合わせて過ごしましょう。

登園・登校の目安

熱性けいれん自体には、法律で定められた登園・登校停止期間はありません。

登園できるかどうかは、

発熱の原因となった病気によって決まります。

次のような状態が目安です。

  • 熱が下がっている
  • 元気に遊べる
  • 食事や水分が十分にとれる

さらに、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などでは、それぞれ決められた出席停止期間がありますので、園や学校のルールも確認しましょう。

保護者の方からよくある質問(FAQ)

Q. ワクチンは受けても大丈夫ですか?

体調が回復すれば通常どおり接種できます。

熱性けいれんを経験したことだけを理由に、予防接種を避ける必要はありません。

Q. またけいれんしたら毎回救急車を呼ぶべきですか?

5分以内に止まり、意識も普段どおりに戻れば、慌てる必要はありません。

ただし、

  • 5分以上続く
  • 呼吸が苦しそう
  • 意識が戻らない
  • 何度も繰り返す

場合は救急車を呼びましょう。

Q. 動画は撮った方がいいですか?

安全を確保できる状況であれば、動画は診断に非常に役立ちます。

発作の動きや持続時間を確認できるため、診断や今後の治療方針を決める重要な情報になります。

Q. 普段の生活で気を付けることはありますか?

特別な生活制限は必要ありません。

十分な睡眠や体調管理を心がけ、発熱した際には慌てず様子を観察しましょう。

みなとみらい小児科クリニックの考え

熱性けいれんは、多くの場合は後遺症を残さず自然に回復する病気ですが、お子さんが突然けいれんを起こす様子を目の前で見ることは、保護者の方にとって大きな衝撃です。

みなとみらい小児科クリニックでは、熱性けいれんのお子さんを診療する際、「けいれんが止まったから大丈夫」と判断するだけではなく、発熱の原因となっている病気を正しく診断し、髄膜炎や脳炎など緊急性の高い病気が隠れていないかを丁寧に確認することを大切にしています。

また、診察では病気の説明だけでなく、

  • 発熱時にご家庭で観察していただきたいポイント
  • けいれんが起きたときの正しい対応方法
  • 救急車を呼ぶ目安
  • 再発した場合の受診方法
  • ダイアップ®(ジアゼパム坐剤)が必要なお子さんかどうか

についても、お子さん一人ひとりの状況に合わせてわかりやすくご説明しています。

熱性けいれんは、一度経験すると「また熱が出たらどうしよう」と不安になる保護者の方が少なくありません。私たちは、病気を診断・治療するだけでなく、ご家族が安心してお子さんを見守れるようサポートすることも、小児科の大切な役割だと考えています。

熱性けいれんや発熱について心配なことがありましたら、どうぞお気軽にみなとみらい小児科クリニックへご相談ください。

参考資料

  • 熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023(日本小児神経学会)
  • 小児てんかん重積状態・けいれん重積状態治療ガイドライン2023(日本小児神経学会)
  • 厚生労働省「子どもの救急医療・小児医療に関する情報」
  • こども家庭庁「母子保健・乳幼児の健康に関する情報」
  • 国立健康危機管理研究機構(JIHS、旧 国立感染症研究所)「感染症情報」
  • 日本小児科学会「保護者向け情報・小児救急に関する資料」
  • 日本小児救急医学会「小児救急診療に関する資料」
  • 日本てんかん学会「てんかん診療・熱性けいれんに関する情報」
  • Nelson Textbook of Pediatrics(ネルソン小児科学)
  • 標準小児科学(医学書院)

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック

子どもの尿路感染症とは?高熱だけでも要注意

子どもの尿路感染症とは?高熱だけでも要注意|原因・症状・検査を小児科医がわかりやすく解説

子どもの尿路感染症は、高熱だけで始まることも多く、乳幼児では見逃されやすい細菌感染症です。原因や症状、検査、受診の目安まで、小児科医が保護者の方にもわかりやすく解説します。

子どもの尿路感染症でお困りの保護者の方へ

「40℃近い熱があるのに、咳も鼻水もない…」

「風邪と言われたけれど、なかなか熱が下がらない…」

「尿路感染症ってどんな病気?」

「腎臓に後遺症は残らないの?」

このような不安を感じて受診される保護者の方は少なくありません。

子どもの尿路感染症は、尿の通り道(尿路)に細菌が感染する病気です。特に赤ちゃんや乳幼児では「高熱だけ」が症状となることが多く、風邪との区別が難しいことがあります。しかし、早めに診断して適切な治療を行えば、多くのお子さんは後遺症なく回復します。反対に、診断が遅れると腎臓に炎症が広がり、まれに腎臓へ影響が残ることもあるため、高熱が続くときには尿路感染症も考えることが大切です。

尿路感染症とは?

尿路感染症とは、尿の通り道(尿路)に細菌が入り込み、炎症を起こす病気です。

尿は

  • 腎臓
  • 尿管
  • 膀胱
  • 尿道

を通って体の外へ排出されます。

通常、尿には細菌はいません。しかし、肛門周囲の細菌(多くは大腸菌)が尿道から入り込み、感染を起こすことがあります。

子どもの尿路感染症は大きく2つに分けられます。

上部尿路感染症(急性腎盂腎炎)

細菌が腎臓まで到達し、炎症を起こした状態です。

乳幼児ではこちらのタイプが多く、

  • 38.5~40℃の高熱
  • 元気がない
  • 食欲低下
  • 嘔吐

などがみられます。

日本では、24か月未満の発熱を伴う尿路感染症は、原則として上部尿路感染症(急性腎盂腎炎)として考え、治療を行います。

下部尿路感染症(膀胱炎)

感染が膀胱にとどまっている状態です。

年長児では

  • 排尿時の痛み
  • 頻尿
  • 残尿感
  • 下腹部痛

などが主な症状で、高熱を伴わないことが多くなります。

子どもの尿路感染症の原因

最も多い原因菌は**大腸菌(Escherichia coli)**です。

大腸菌は誰でも腸の中にいる細菌ですが、尿道から膀胱や腎臓へ入り込むことで感染が起こります。

特に乳幼児では、

  • おむつを使用している
  • 尿道が短い
  • 自分で清潔を保てない

ことなどから感染しやすくなります。

また、次のような場合には尿路感染症を繰り返しやすくなります。

  • 便秘
  • 排尿を我慢する習慣
  • 水分摂取が少ない
  • 膀胱尿管逆流症(VUR)
  • 尿路の先天的な異常

特に便秘は見落とされやすい原因の一つです。便がたまることで膀胱が圧迫され、尿が残りやすくなり、細菌が増殖しやすい環境になります。

子どもの尿路感染症の症状

赤ちゃん・乳幼児

乳幼児では、尿路感染症の症状はとても分かりにくいことがあります。

最も多い症状は、

「高熱だけ」

です。

咳や鼻水などの風邪症状がほとんどないため、「原因不明の発熱」として受診されることが少なくありません。

そのほかには、

  • 元気がない
  • ミルクや母乳の飲みが悪い
  • 食欲がない
  • 機嫌が悪い
  • 嘔吐する
  • 顔色が悪い

などがみられます。

赤ちゃんは「おしっこが痛い」と言葉で伝えられないため、症状だけで見分けることは困難です。

幼児・学童

年齢が上がると、自分で症状を伝えられるようになります。

次のような症状がある場合は膀胱炎や尿路感染症を疑います。

  • 排尿すると痛い
  • トイレが近い
  • 尿を我慢できない
  • 下腹部が痛い
  • 腰や背中が痛い
  • 血尿が出る
  • 発熱

高熱と腰痛を伴う場合には、腎臓まで感染が広がっている可能性があります。

「熱だけ」でも尿路感染症のことがあります

小児科では、

「高熱があるのに風邪症状がほとんどない」

というお子さんでは、尿路感染症を必ず考えます。

特に、

  • 生後2か月〜2歳くらい
  • 39℃前後の高熱が続く
  • 咳や鼻水が目立たない
  • インフルエンザやRSウイルスなどの検査が陰性
  • 原因がはっきりしない発熱

このような場合には、尿検査を行うことが重要です。

日本小児感染症学会でも、乳幼児の発熱性尿路感染症は早期診断・早期治療が重要であるとされています。

小児科ではどんな検査をするの?

尿路感染症が疑われた場合には、次のような検査を行います。

尿検査

最も重要な検査です。

尿の中に

  • 白血球
  • 細菌
  • 亜硝酸塩
  • 血液

などがないかを調べます。

乳幼児では、できるだけ細菌の混入を避けるため、年齢に応じた適切な方法で採尿を行います。

尿培養検査

尿路感染症が疑われた場合には、抗菌薬を開始する前に尿培養検査を提出することが重要です。

培養検査では、

  • 本当に細菌感染か
  • 原因となる細菌の種類
  • どの抗菌薬が効くか

を詳しく調べることができます。

結果が判明するまで数日かかりますが、その後の治療方針を決めるうえで非常に重要な検査です。

血液検査

発熱を伴う尿路感染症では、炎症の程度や全身状態を確認するために血液検査を行うことがあります。

特に急性腎盂腎炎が疑われる場合には、CRPや白血球数などを測定し、重症度を評価します。

腎臓・膀胱の超音波検査

乳幼児の発熱性尿路感染症では、尿路の形に異常が隠れていないかを確認するために超音波検査を行うことがあります。

超音波検査では、

  • 水腎症
  • 尿管の拡張
  • 腎臓の大きさ
  • 膀胱の異常

などを調べます。

放射線を使わないため、お子さんにも安心して受けていただける検査です。

さらに詳しい検査が必要になることもあります

尿路感染症を何度も繰り返す場合や、超音波検査で異常が疑われた場合には、専門病院でさらに詳しい検査を行うことがあります。

代表的なのが**排尿時膀胱尿道造影検査(VCUG)**です。

この検査では、**膀胱尿管逆流症(VUR)**という病気がないかを確認します。

VURでは、膀胱の尿が腎臓へ逆流してしまうため、尿路感染症を繰り返しやすくなることがあります。

当院でよくあるご相談(みなとみらい小児科クリニック)

みなとみらい小児科クリニックでは、

「熱だけで風邪症状がないので心配です」

というご相談を非常によくいただきます。

実際に診察をすると、咳や鼻水がほとんどなく、高熱だけが続いているお子さんの中に、尿路感染症が見つかることは決して珍しくありません。

一方で、おむつのお子さんでは尿を採取すること自体が難しく、採尿方法によっては細菌が混入してしまうこともあります。

そのため当院では、

  • 診察所見
  • 尿検査
  • 必要に応じた尿培養検査
  • 血液検査

を総合的に判断し、できるだけ正確な診断を心がけています。

また、乳幼児で発熱性尿路感染症(急性腎盂腎炎)が疑われる場合には、日本の診療ガイドラインに基づき全身状態を慎重に評価し、入院治療が必要と判断した際には、速やかに入院設備のある高次医療機関へご紹介しています。

さらに、尿路感染症を繰り返すお子さんでは、感染を治療するだけではなく、

  • 便秘はないか
  • 排尿を我慢する習慣はないか
  • 尿路の形に異常はないか

といった再発の原因まで確認し、お子さんの将来の腎臓の健康を考えた診療を大切にしています。

こんなときは早めに受診しましょう

次のような症状がある場合は、できるだけ早く小児科を受診してください。

  • 38.5℃以上の高熱が続いている
  • 咳や鼻水がほとんどないのに高熱がある
  • 原因が分からない発熱が2日以上続く
  • 水分が飲めない
  • 嘔吐を繰り返す
  • 元気がなく、ぐったりしている
  • 排尿時に痛がる
  • 血尿が出た
  • 腰や背中を痛がる
  • 生後3か月未満で38℃以上の発熱がある

特に乳幼児では、「高熱だけ」が尿路感染症の唯一のサインであることも少なくありません。

「風邪ではなさそう」と感じたら、早めに小児科へご相談ください。

保護者の方へ

尿路感染症は、乳幼児では症状が分かりにくく、「熱だけ」のために見逃されやすい病気です。

しかし、早い段階で尿検査を行い、適切な治療を開始することで、多くのお子さんは後遺症なく元気に回復します。

一方で、診断や治療が遅れると、まれに腎臓に傷(腎瘢痕)が残ることもあるため、原因不明の高熱では尿路感染症も考えることが大切です。

「熱が続いているけれど原因が分からない」「風邪ではない気がする」と感じたときは、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。

子どもの尿路感染症と診断されたら

「抗菌薬を飲めばすぐ治るの?」

「腎盂腎炎と言われたけれど入院になるの?」

「また繰り返してしまわない?」

「将来、腎臓に影響は残らない?」

尿路感染症と診断されると、多くの保護者の方がこのような疑問や不安を抱えます。

子どもの尿路感染症は、適切な治療を早期に開始すれば、多くのお子さんが後遺症なく回復します。一方で、発熱を伴う尿路感染症(上部尿路感染症)は、腎臓まで細菌が感染しているため、早めの治療がとても重要です。

前編でご紹介したように、乳幼児では「高熱だけ」が症状となることも多く、早期診断が大切になります。

今回は、治療や入院が必要になる場合、ご家庭でできるケアについて詳しくご説明します。

子どもの尿路感染症の治療

尿路感染症は細菌による感染症です。

そのため治療の中心は**抗菌薬(抗生物質)**になります。

診察や尿検査から尿路感染症が疑われた場合には、まず尿培養検査を提出し、その後できるだけ早く抗菌薬による治療を開始します。

多くのお子さんでは、治療開始から24〜48時間ほどで熱が下がり始め、全身状態も改善してきます。

しかし、熱が下がったからといって安心してはいけません。

症状が改善しても体内には細菌が残っていることがあります。

自己判断で薬を中止すると再発したり、細菌が薬に効きにくくなったりすることがあるため、処方された抗菌薬は最後まで飲み切ることが大切です。

入院が必要になることはある?

保護者の方から最も多い質問の一つが、

「尿路感染症は入院になりますか?」

というものです。

答えは、

「年齢や重症度によって異なります。」

です。

発熱を伴う上部尿路感染症では入院を検討します

尿路感染症のうち、腎臓まで細菌が感染した**急性腎盂腎炎(上部尿路感染症)**では、点滴による抗菌薬治療が必要になることがあります。

日本小児感染症学会では、

乳幼児の発熱性尿路感染症(急性腎盂腎炎)は、菌血症や敗血症を合併する可能性があるため、原則として入院のうえ静脈内抗菌薬で治療することが推奨されています。

特に乳児では、見た目よりも急速に状態が悪化することがあるため、慎重な経過観察が必要です。

次のような場合には入院治療が必要になることがあります

  • 生後3か月未満で発熱がある
  • 発熱を伴う乳幼児の上部尿路感染症(急性腎盂腎炎)
  • 40℃前後の高熱が続いている
  • 水分が飲めず脱水になっている
  • 嘔吐が続き内服薬が飲めない
  • 元気がなく、ぐったりしている
  • 敗血症など重い細菌感染が疑われる
  • 尿路の先天的な異常や基礎疾患がある
  • 外来治療で改善がみられない

一方で、年長児で全身状態が良く、水分や内服薬が十分に摂れる場合には、外来で治療できることもあります。

つまり、「尿路感染症だから必ず入院」ではなく、お子さんの年齢や状態を総合的に判断して治療方針を決定します。

治療後も検査が必要なことがあります

熱が下がって元気になっても、それで終わりではありません。

特に乳幼児の発熱性尿路感染症では、

  • 尿路に先天的な異常がないか
  • 膀胱尿管逆流症(VUR)がないか

を確認することが重要です。

そのため、

  • 腎・膀胱超音波検査
  • 必要に応じて排尿時膀胱尿道造影検査(VCUG)

などを行うことがあります。

これらの検査は、再発予防や将来の腎臓を守るためにとても大切です。

家庭でできるケア

尿路感染症では、抗菌薬による治療が最も重要ですが、ご家庭での過ごし方も回復を助けます。

水分をしっかりとる

十分な水分をとることで尿の量が増え、細菌を尿と一緒に体の外へ排出しやすくなります。

ただし、一度にたくさん飲ませようとすると吐いてしまうことがあります。

少量ずつ、こまめに飲ませるようにしましょう。

母乳やミルクを飲んでいる赤ちゃんは、普段どおり授乳を続けてください。

無理に食べさせなくても大丈夫

発熱中は食欲が落ちることがあります。

食事よりも水分を十分に摂ることが大切です。

熱が下がるにつれて自然と食欲も戻ってくることがほとんどです。

安静に過ごしましょう

熱がある間は無理をせず、自宅でゆっくり休みましょう。

熱が下がっても、抗菌薬を飲み始めてすぐは体力が十分に戻っていないことがあります。

元気が戻るまでは激しい運動は控えましょう。

解熱薬は必要なときだけ

熱が高くても、水分が飲めて眠れている場合は、必ずしも解熱薬を使う必要はありません。

眠れないほどつらそうな場合や、水分が飲めないほどぐったりしている場合には、医師から処方された解熱薬を使用してください。

尿路感染症は繰り返すことがある?

残念ながら、尿路感染症は再発することがあります。

特に乳幼児では、一度治っても数か月〜数年以内に再発するお子さんも少なくありません。

繰り返す場合には、単なる偶然ではなく、背景に原因が隠れていることがあります。

再発しやすい原因

次のようなお子さんでは、尿路感染症を繰り返しやすくなります。

  • 便秘
  • 排尿を我慢する習慣
  • 水分摂取が少ない
  • 膀胱尿管逆流症(VUR)
  • 先天的な尿路の異常
  • 排尿機能の異常(排尿・排便機能障害:BBD)

最近では、便秘や排尿習慣の乱れ(BBD)が再発の大きな原因になることが分かってきています。

そのため、尿路感染症を繰り返すお子さんでは、感染だけでなく生活習慣まで含めて診療することが大切です。

その方が医学的な正確性が高くなります。以下のように修正すると、日本小児感染症学会、日本小児腎臓病学会、日本小児泌尿器科学会の考え方により忠実な内容になります。

再発を防ぐためにできること

子どもの尿路感染症は、一度治っても再発することがあります。

特に乳幼児では、発熱を伴う尿路感染症(急性腎盂腎炎)を繰り返すことで、まれに腎臓に傷(腎瘢痕)が残ることがあるため、再発予防が大切です。

ご家庭では、次のことを意識しましょう。

水分を十分にとる

十分な水分をとることで尿の量が増え、細菌が尿と一緒に排出されやすくなります。

暑い季節や運動後はもちろん、普段からこまめな水分補給を心がけましょう。

排尿を我慢しない

おしっこを長時間我慢すると、膀胱の中で細菌が増えやすくなります。

遊びや勉強に夢中になると排尿を我慢してしまうお子さんも少なくありません。

トイレに行きたいときは我慢せず、日頃から**2〜3時間ごとを目安に排尿する習慣(定時排尿)**をつけることが再発予防につながります。

便秘を治療する

近年では、便秘は尿路感染症を繰り返す重要な原因の一つと考えられています。

便がたまることで膀胱が圧迫され、尿が残りやすくなるほか、排尿機能にも影響を与えることがあります。

便秘が続く場合は、「体質だから」と様子を見るのではなく、小児科で相談し、適切に治療することをおすすめします。

尿路感染症を繰り返す場合は原因を調べる

尿路感染症を何度も繰り返す場合には、

  • 膀胱尿管逆流症(VUR)
  • 尿路の先天的な異常
  • 排尿・排便機能障害(BBD)

などが隠れていることがあります。

そのため、腎臓や膀胱の超音波検査や、必要に応じて排尿時膀胱尿道造影検査(VCUG)などを行い、再発の原因がないかを確認することが重要です。

当院で大切にしていること

みなとみらい小児科クリニックでは、尿路感染症を治療するだけでなく、**「なぜ尿路感染症になったのか」「再発を防ぐために何ができるのか」**を保護者の方と一緒に考えることを大切にしています。

特に尿路感染症を繰り返すお子さんでは、便秘や排尿習慣についても丁寧に確認し、必要に応じて腎・膀胱超音波検査や専門医療機関へのご紹介を行っています。

お子さんの将来の腎臓の健康を守るためにも、再発予防まで含めた診療を心がけています。

当院でよくあるご相談(みなとみらい小児科クリニック)

みなとみらい小児科クリニックでは、

「高熱だけだったので風邪だと思っていました。」

という保護者の方からのご相談をよくいただきます。

実際には、乳幼児の尿路感染症では咳や鼻水がほとんどなく、高熱だけが続くことは珍しくありません。

また、

「熱が下がったので抗菌薬をやめてもいいですか?」

というご質問も多くいただきます。

熱が下がっても細菌が完全にいなくなったわけではありません。

途中で薬をやめてしまうと再発することがあるため、処方された薬は最後まで飲み切ることがとても大切です。

当院では診断だけでなく、

  • なぜ尿路感染症になったのか
  • 再発する可能性はないか
  • 追加検査が必要か

まで丁寧にご説明し、お子さん一人ひとりに合わせた診療を行っています。

また、乳幼児の発熱性尿路感染症では、日本の診療ガイドラインに基づき、必要に応じて入院治療が可能な高次医療機関へ迅速にご紹介できる体制を整えています。

よくある質問(FAQ)

Q. 尿路感染症は人にうつりますか?

うつりません。

風邪のように咳やくしゃみで感染する病気ではありません。

Q. お風呂に入っても大丈夫ですか?

熱が下がり元気になれば入浴できます。

発熱中は短時間のシャワー程度にし、体調を優先しましょう。

Q. 保育園や幼稚園にはいつから行けますか?

熱がなくなり、普段どおり食事や水分がとれ、元気に過ごせるようになれば登園できます。

登園許可証が必要かどうかは、園のルールをご確認ください。

Q. 抗菌薬を飲み始めたら翌日には治りますか?

熱は1〜2日で下がることが多いですが、細菌が完全にいなくなるまでには時間がかかります。

症状が良くなっても、処方された薬は最後まで飲み切りましょう。

Q. 一度かかったら腎臓に後遺症が残りますか?

ほとんどのお子さんは後遺症なく回復します。

しかし、診断や治療が遅れると、まれに**腎瘢痕(腎臓に傷跡が残ること)**が生じることがあります。

だからこそ、原因不明の高熱では早めに小児科を受診することが大切です。

横浜市・みなとみらいでお子さんの尿路感染症が心配な方へ

みなとみらい小児科クリニックでは、乳児から学童までのお子さんの尿路感染症の診療を行っています。

高熱だけで風邪症状がない場合には、必要に応じて尿検査・尿培養検査・血液検査を行い、できるだけ早く原因を見つけるよう努めています。

また、再発を繰り返すお子さんでは、

  • 便秘
  • 排尿習慣
  • 尿路の異常

まで含めて評価し、必要に応じて小児腎臓専門医や小児泌尿器科と連携しながら診療を進めています。

「高熱が続く」「風邪症状がないのに熱が下がらない」「尿路感染症かもしれない」と感じたときは、お気軽にご相談ください。

参考資料

本記事は、以下の公的機関・学会・診療ガイドラインを参考に作成しています。

  • 厚生労働省
  • 国立健康危機管理研究機構(JIHS)
  • 日本小児科学会
  • 日本小児感染症学会
  • 日本小児腎臓病学会
  • 日本小児泌尿器科学会
  • 日本小児救急医学会
  • JAID/JSC感染症治療ガイドライン2015

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック

急性中耳炎

子どもの急性中耳炎とは?耳を痛がる・熱が出るときの原因や症状を小児科医がわかりやすく解説【前編】

メタディスクリプション(約120文字)

子どもの急性中耳炎は、風邪のあとに耳の痛みや発熱を起こしやすい病気です。原因や症状、鼓膜の見え方、診断、受診の目安まで、小児急性中耳炎診療ガイドライン2024をもとに小児科医がわかりやすく解説します。

子どもの耳の痛み・発熱でお困りの保護者の方へ

急性中耳炎は、風邪のあとに細菌やウイルスが鼓膜の奥(中耳)で炎症を起こす病気です。

多くのお子さんは適切な治療で改善しますが、強い耳の痛みや高熱、耳だれがある場合は早めの受診が大切です。

乳幼児では「耳が痛い」と言えないことも多く、「夜泣きが急に増えた」「耳を触る」「機嫌が悪い」といった様子がサインになることがあります。

この記事では、小児急性中耳炎診療ガイドライン2024をもとに、原因や症状、診断、鼓膜の見え方についてわかりやすくご説明します。

急性中耳炎とは?

急性中耳炎とは、鼓膜の奥にある「中耳」に炎症が起こり、膿や液体がたまる病気です。

子どもは、大人より耳と鼻をつなぐ「耳管(じかん)」が短く、太く、水平に近いため、風邪をひくと鼻やのどの細菌やウイルスが中耳へ入りやすくなります。

そのため、

  • 生後6か月〜2歳頃
  • 保育園・幼稚園に通い始めた頃
  • 風邪が流行する季節

には特に多くみられます。

3歳までに約7〜8割のお子さんが一度は急性中耳炎を経験するといわれる、とても身近な病気です。

なぜ中耳炎になるの?

急性中耳炎の多くは風邪がきっかけです。

風邪によって鼻やのどに炎症が起こると、耳管が腫れて空気の通りが悪くなります。

すると鼓膜の奥(中耳)に液体がたまり、その中で細菌やウイルスが増殖して炎症が起こります。

主な原因菌は

  • 肺炎球菌
  • インフルエンザ菌(Hibとは異なる型が多い)
  • モラクセラ・カタラーリス

です。

また、

  • RSウイルス
  • ライノウイルス
  • インフルエンザウイルス
  • アデノウイルス

などの風邪ウイルスも発症のきっかけになります。

子どもの急性中耳炎の症状

年齢によって症状が異なります。

赤ちゃん・乳児

  • 急に機嫌が悪くなる
  • 夜泣きが増える
  • 耳を何度も触る
  • 授乳を嫌がる
  • 発熱
  • 元気がない

「風邪かな」と思って受診したら、中耳炎だったということも少なくありません。

幼児・学童

  • 耳が痛い
  • 聞こえにくい
  • 耳がつまった感じ
  • 発熱
  • 鼻水

などがみられます。

鼓膜にたまった膿が外へ出ると、

耳だれ(耳漏)

が出ることがあります。

耳だれが出ると痛みは軽くなることがありますが、鼓膜に穴が開いている可能性があるため受診が必要です。

急性中耳炎では鼓膜はどう見えるの?

急性中耳炎は鼓膜の状態を診察することが最も重要です。

実は、「鼓膜が赤い=中耳炎」ではありません。

泣いたあとや発熱だけでも鼓膜は赤く見えることがあります。

そのため、小児急性中耳炎診療ガイドライン2024では、**鼓膜がどのくらい膨らんでいるか(膨隆)**を最も重要な診断ポイントとしています。

正常な鼓膜

正常な鼓膜は

  • 半透明で光沢がある
  • 鼓膜は平ら
  • 光の反射(光錐)が見える
  • ツチ骨柄がはっきり見える

状態です。

軽症急性中耳炎

初期では

  • 鼓膜が少し赤くなる
  • 軽く膨らむ
  • 少し白っぽく濁る
  • 鼓膜の奥に液体がたまり始める

ことがあります。

重症急性中耳炎

炎症が強くなると

  • 鼓膜全体が真っ赤になる
  • 鼓膜が風船のように大きく膨らむ
  • 白く濁る
  • 光の反射が見えなくなる
  • 鼓膜の奥に膿がたまる

状態になります。

この**「鼓膜のふくらみ(膨隆)」が急性中耳炎で最も重要な所見**です。

鼓膜穿孔

さらに炎症が強くなると、

鼓膜に小さな穴が開き、

  • 黄色い耳だれ
  • 分泌物

が出ることがあります。

耳だれが出ると痛みが軽くなることもありますが、自然に治るから大丈夫というわけではありません。

鼓膜の状態を確認するため受診が必要です。

小児科ではどのように診断するの?

急性中耳炎は症状だけでは診断できません。

診察では耳鏡や鼓膜鏡を使って

  • 鼓膜の膨らみ
  • 赤み
  • 混濁
  • 鼓膜の動き
  • 耳漏の有無
  • 鼓膜穿孔

などを確認します。

必要に応じて鼻やのどの状態も一緒に診察します。

通常、血液検査やレントゲン検査は必要ありません。

「耳を触る=中耳炎」ではありません

診療で最も多い質問の一つです。

耳を触る理由は

  • 眠い
  • 耳あかが気になる
  • 歯が生えてきた

ということも少なくありません。

しかし、

  • 発熱
  • 鼻水
  • 夜中に急に泣く
  • 機嫌が悪い

などを伴う場合は、中耳炎の可能性があります。

自己判断は難しいため、気になる症状があれば受診しましょう。

小児科でよくあるご相談(当院で感じること)

みなとみらい小児科クリニックでは、

「風邪が治りかけたと思ったら夜中に急に耳を痛がって泣き出しました」

というご相談をよくいただきます。

急性中耳炎は風邪の数日後に発症することが珍しくありません。

また、「鼻水だけだから大丈夫」と思っていても診察すると中耳炎になっていることがあります。

逆に耳を痛がっていても、中耳炎ではなく耳あかやのどの炎症が原因だったということもあります。

当院では耳だけではなく、鼻やのどもあわせて診察し、お子さんに最も適した治療をご提案しています。

こんなときは早めに受診しましょう

次のような場合は小児科または耳鼻咽喉科を受診してください。

  • 強い耳の痛みがある
  • 夜眠れないほど痛がる
  • 38.5℃以上の発熱が続く
  • 黄色い耳だれが出た
  • 機嫌が非常に悪い
  • 水分が十分飲めない
  • 何度も中耳炎を繰り返している
  • 生後6か月未満で発熱している

子どもの急性中耳炎の治療とは?抗菌薬・家庭でのケア・登園の目安を小児科医がわかりやすく解説【後編】

メタディスクリプション(約120文字)

子どもの急性中耳炎は抗菌薬が必要な場合と、自然に治る場合があります。治療方法や家庭でできるケア、登園の目安、繰り返さないための予防まで、小児急性中耳炎診療ガイドライン2024をもとにわかりやすく解説します。

子どもの急性中耳炎と診断された保護者の方へ

急性中耳炎と聞くと、「すぐに抗菌薬を飲まないと治らないの?」「耳鼻科へ行った方がいい?」「鼓膜が破れてしまわない?」と不安になる保護者の方は多いと思います。

実は、急性中耳炎はすべてのお子さんに抗菌薬が必要というわけではありません。

現在は「小児急性中耳炎診療ガイドライン2024」に基づき、お子さんの年齢や症状、鼓膜の状態を総合的に判断して治療方針を決めます。

適切な治療を行えば、多くのお子さんは数日から1週間ほどで改善します。

今回は、治療や家庭でのケア、登園の目安について詳しくご紹介します。

急性中耳炎の治療

急性中耳炎の治療は、

  • 痛みを和らげること
  • 炎症を抑えること
  • 合併症を防ぐこと

が目的です。

症状の強さによって治療方法が変わります。

抗菌薬は必ず必要?

答えは「必ずしも必要ではありません」。

急性中耳炎には軽症から重症までさまざまなタイプがあります。

軽症では、体が持つ免疫の力で自然に改善することも多いため、すぐに抗菌薬を使わず経過をみる場合があります。

一方で、

  • 強い耳の痛み
  • 高熱
  • 鼓膜が大きく膨らんでいる
  • 両耳の中耳炎
  • 生後6〜24か月の重症例
  • 耳だれを伴う場合

などでは抗菌薬が勧められます。

必要以上に抗菌薬を使用すると、薬が効きにくい耐性菌が増える原因にもなるため、本当に必要なお子さんに適切に使用することが大切です。

よく使われるお薬

急性中耳炎では、

抗菌薬

細菌による中耳炎が疑われる場合に使用します。

症状や重症度、最近の抗菌薬使用歴などを考慮して薬を選択します。

痛み止め・解熱剤

耳の痛みはとても強いことがあります。

アセトアミノフェンなどを使用すると、痛みや発熱が和らぎ、お子さんも眠りやすくなります。

痛みを我慢させる必要はありません。

鼻の治療

中耳炎は鼻の炎症と深く関係しています。

鼻水を吸引したり、鼻をかみやすくしたりすることで耳管の通りが改善し、回復を助けることがあります。

鼓膜切開は必要?

「鼓膜を切る」と聞くと心配になりますが、すべてのお子さんに必要な治療ではありません。

次のような場合には耳鼻咽喉科で鼓膜切開が検討されます。

  • 強い痛みが続く
  • 鼓膜の膨らみが非常に強い
  • 抗菌薬でも改善しない
  • 合併症が心配される

鼓膜切開を行うことで膿が外へ出て痛みが急に楽になることがあります。

鼓膜は通常、時間とともに自然に閉じることがほとんどです。

家庭でできるケア

急性中耳炎では、ご家庭でのケアもとても大切です。

水分をしっかりとる

発熱があると脱水になりやすくなります。

一度にたくさん飲ませるのではなく、少量ずつこまめに飲ませましょう。

鼻水をためない

鼻水が多いと耳管が詰まりやすくなります。

小さいお子さんは鼻吸い器を利用するのもおすすめです。

無理に耳を触らない

耳掃除や綿棒を耳の奥まで入れることは避けましょう。

鼓膜を傷つける原因になることがあります。

十分な休養

睡眠をしっかりとり、体力を回復させることが治療につながります。

お風呂に入ってもいい?

熱がなく元気であれば、短時間の入浴は基本的に可能です。

ただし、

  • 高熱がある
  • 強い痛みがある
  • 耳だれが出ている

場合は症状が落ち着くまで控えた方が安心です。

耳だれがある場合は医師の指示に従ってください。

飛行機に乗っても大丈夫?

急性中耳炎のときは、飛行機で気圧が変化すると耳の痛みが強くなることがあります。

旅行の予定がある場合は、事前に医師へ相談することをおすすめします。

登園・登校の目安

急性中耳炎そのものには、法律で決められた出席停止期間はありません。

登園・登校の目安は、

  • 熱が下がっている
  • 耳の痛みが落ち着いている
  • 普段どおり食事ができる
  • 元気に過ごせる

ことです。

中耳炎は風邪に続いて起こることが多いため、風邪症状が強い間は無理をせず自宅で休養しましょう。

園によって基準が異なる場合がありますので、登園前に確認すると安心です。

中耳炎を繰り返さないために

急性中耳炎は一度治っても繰り返すことがあります。

予防のためには、

  • 鼻水を長引かせない
  • 風邪をひいたら早めに鼻のケアをする
  • 手洗いを習慣にする
  • 禁煙・受動喫煙を避ける
  • 肺炎球菌ワクチンやHibワクチンなど定期予防接種を受ける

ことが大切です。

特に乳幼児では、予防接種によって重症化を防げることがわかっています。

小児科でよくあるご相談(当院で感じること)

みなとみらい小児科クリニックでは、

「前回も中耳炎だったので、今回もすぐ抗菌薬が必要ですか?」

というご相談をよくいただきます。

実際には、同じように見える症状でも、鼓膜の状態や重症度によって治療方針は異なります。

また、「鼻水だけだから様子を見よう」と考えていたところ、中耳炎を繰り返してしまうお子さんも少なくありません。

当院では耳だけでなく、鼻やのどの状態も含めて診察し、お子さんに合った治療をご提案しています。

必要に応じて耳鼻咽喉科とも連携しながら診療を行っていますので、ご安心ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 急性中耳炎はうつりますか?

中耳炎そのものはうつりません。

ただし、原因となる風邪のウイルスや細菌は周囲へうつることがあります。

Q. 耳だれが出たら治ったということですか?

いいえ。

耳だれは鼓膜が破れて膿が出ている可能性があります。

痛みが軽くなっても受診してください。

Q. 耳掃除をした方が早く治りますか?

耳の奥を掃除する必要はありません。

綿棒で奥まで触ると悪化することがあります。

Q. 中耳炎は何回も繰り返しますか?

乳幼児では耳管が未熟なため、何度か繰り返すことがあります。

成長とともに耳管の働きが良くなり、多くは回数が減っていきます。

Q. 鼻水だけでも受診した方がよいですか?

鼻水が長く続く場合や、機嫌が悪い、夜泣きが増えた、耳を触るなどの様子がある場合は、中耳炎を合併していることがあります。

気になる症状があればご相談ください。

横浜市・みなとみらいでお子さんの急性中耳炎でお困りの方へ

みなとみらい小児科クリニックでは、急性中耳炎をはじめ、お子さんの耳・鼻・のどの症状を幅広く診療しています。

「耳を痛がる」「夜泣きが急に増えた」「鼻水がなかなか治らない」「何度も中耳炎を繰り返している」など、ご心配なことがありましたらお気軽にご相談ください。

お子さん一人ひとりの症状や年齢に合わせて、小児急性中耳炎診療ガイドライン2024に基づいた適切な診療と、保護者の方にもわかりやすい説明を心がけています。

参考資料

本記事は、以下の公的機関・診療ガイドライン・学会の情報を参考に作成しています。

診療ガイドライン

  • 小児急性中耳炎診療ガイドライン2024
    (日本耳科学会・日本小児耳鼻咽喉科学会・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)

 ※急性中耳炎の定義、診断基準、鼓膜所見(膨隆・発赤・混濁・耳漏・鼓膜穿孔)、重症度分類、抗菌薬の適応、治療方針を参照。

行政機関

  • 厚生労働省
    「感染症対策・予防接種に関する情報」

 ※肺炎球菌ワクチン・Hibワクチンなど予防接種の情報を参照。

  • 国立健康危機管理研究機構(JIHS)感染症情報
    (旧 国立感染症研究所)

 ※急性中耳炎の原因となる呼吸器感染症に関する情報を参照。

小児関連学会

  • 日本小児科学会

 ※小児の急性中耳炎診療、小児感染症、保護者向け情報を参照。

  • 日本小児感染症学会

 ※急性中耳炎の原因菌・感染症診療に関する情報を参照。

  • 日本外来小児科学会

 ※外来診療における急性中耳炎の考え方を参照。

  • 日本小児科医会

 ※保護者向け感染症情報を参照。

耳鼻咽喉科関連学会

  • 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

 ※急性中耳炎の一般向け解説および耳の構造に関する情報を参照。

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック

子どもの熱中症が心配?

子どもの熱中症とは?原因・症状・治療・予防・受診の目安を小児科医がわかりやすく解説

子どもの熱中症は、早めに気づいて適切に対応することで重症化を防ぐことができます。本記事では、熱中症の原因や症状、家庭でできる予防法や応急処置、小児科を受診する目安まで、小児科医の視点でわかりやすく解説します。

子どもの熱中症でお困りの保護者の方へ

暑い日にお子さんが「ぐったりしている」「顔が赤い」「水分を飲みたがらない」と、「熱中症ではないか」と心配になりますよね。

**熱中症は、高温多湿の環境で体温調節がうまくできなくなり、体の中に熱がたまることで起こる病気です。**早めに気づいて体を冷やし、水分・塩分を補給することで、多くは改善します。しかし、水分が飲めない、ぐったりしている、意識がぼんやりしている場合は、すぐに医療機関を受診することが大切です。

この記事では、厚生労働省、日本小児科学会、日本救急医学会、日本小児救急医学会、熱中症診療ガイドライン2024などを参考に、保護者の方に知っていただきたい熱中症の知識をわかりやすくまとめました。

熱中症とは?

熱中症とは、暑い環境により体温調節機能がうまく働かなくなり、体に熱がたまってしまうことで起こる病気です。

子どもは大人と比べて

  • 体温が上がりやすい
  • 汗をかく機能が未熟
  • 身長が低く地面からの照り返しを受けやすい
  • 自分で水分補給ができない
  • 「のどが渇いた」とうまく伝えられない

という特徴があり、熱中症になりやすいことが知られています。

特に乳幼児は短時間でも体温が上昇しやすく、保護者が気づいた時には脱水が進んでいることもあります。

熱中症の原因

熱中症は次のような状況で起こりやすくなります。

  • 真夏の屋外で遊ぶ
  • スポーツをする
  • 暑い車内にいる
  • 水分や塩分が不足している
  • 発熱や下痢による脱水
  • 湿度が高く風が少ない
  • エアコンを使用していない室内

近年は気温だけでなく**暑さ指数(WBGT)**を参考にすることが推奨されています。気温が30℃未満でも湿度が高い日は熱中症になることがあります。

初期症状で気をつけたいこと

熱中症は、「少し疲れているだけかな」と思うような症状から始まります。

次のような様子があれば注意しましょう。

  • 普段より元気がない
  • 遊ぶのをやめる
  • 顔が赤い
  • 汗をたくさんかいている
  • 頭痛
  • 吐き気
  • 機嫌が悪い
  • ぼんやりしている

乳幼児では

  • 不機嫌
  • よく泣く
  • 授乳量が減る
  • 食欲がない
  • 水分を飲みたがらない

といった症状だけのこともあります。

「いつもと様子が違う」と感じたら、熱中症を疑うことが大切です。

熱中症の症状

重症度主な症状発熱対応軽症めまい、立ちくらみ、顔が赤い、大量の汗、足がつる平熱〜38℃台涼しい場所で休み、水分補給中等症頭痛、吐き気、嘔吐、ぐったりする、水分が飲めない38〜39℃小児科受診重症意識障害、けいれん、歩けない、呼びかけに反応しない40℃以上になることが多い救急車を要請

熱中症では発熱することがありますが、熱の高さだけで重症度は判断できません。

「意識」「水分が飲めるか」「ぐったりしていないか」が重要です。

熱中症の診断

診察では

  • 暑い環境にいたか
  • 水分摂取量
  • 症状の経過
  • 体温
  • 脈拍
  • 血圧
  • 酸素飽和度

などを確認します。

必要に応じて

  • 血液検査
  • 尿検査

を行い、脱水や電解質異常、腎機能・肝機能への影響を調べます。

熱中症の治療

熱中症診療ガイドライン2024では、早期の冷却と水分・電解質補給が最も重要とされています。

軽症

  • 涼しい場所へ移動
  • 衣服をゆるめる
  • 首・脇・足の付け根を冷やす
  • 経口補水液(ORS)を少量ずつ飲む

中等症

水分が十分飲めない場合は、小児科で点滴治療が必要になることがあります。

重症

意識障害やけいれんがある場合は救急搬送し、積極的な冷却と集中治療を行います。

家庭でできる熱中症対策

熱中症は予防が何より大切です。

ご家庭では

  • のどが渇く前から水分補給
  • 汗をかいたら塩分も補給
  • 暑い時間帯(10〜14時)の外遊びを避ける
  • 帽子をかぶる
  • 通気性の良い服装
  • エアコンを適切に使う
  • 車内に子どもを絶対に残さない

ことを心掛けましょう。

乳幼児では保護者が定期的に水分補給を促すことが重要です。

小児科を受診する目安

次のような症状がある場合は早めに受診してください。

  • 水分が飲めない
  • 嘔吐を繰り返す
  • 頭痛が強い
  • ぐったりしている
  • 38〜39℃の発熱が続く
  • 休んでも改善しない

救急受診が必要な症状

  • 呼びかけへの反応が悪い
  • 意識がぼんやりしている
  • けいれん
  • 歩けない
  • 40℃以上の高体温
  • 呼吸が苦しそう

登園・登校の目安

熱中症そのものに出席停止期間はありません。

十分に回復し、

  • 発熱がない
  • 水分や食事がしっかりとれる
  • 元気に歩ける
  • 普段どおり遊べる

状態であれば登園・登校できます。

ただし、脱水や他の病気が原因の場合は、医師の指示に従ってください。

保護者の方からよくある質問(FAQ)

Q. 熱中症では熱が出ますか?

はい。38〜39℃程度の発熱がみられることがあります。重症では40℃を超えることもあります。

Q. 水だけ飲ませればよいですか?

大量に汗をかいた場合は、水だけでなく塩分も必要です。経口補水液が適しています。

Q. スポーツドリンクでもよいですか?

スポーツドリンクは糖分が多いため、脱水時は経口補水液の方が適しています。

Q. 解熱剤は使った方がよいですか?

熱中症の発熱は感染症とは原因が異なるため、解熱剤だけでは改善しません。まずは体を冷やすことが大切です。

当院でよくあるご相談

当院では、「熱中症かと思って受診したら、実は溶連菌感染症や尿路感染症、肺炎などの感染症だった」というケースや、「発熱で受診したものの、脱水や熱中症が主な原因だった」というケースも少なくありません。

特に乳幼児は自分で症状をうまく伝えられないため、「何となく元気がない」「食欲がない」「顔色が悪い」といった変化だけで受診されることも多くあります。

熱中症と感染症は症状が似ていることもあり、適切な診断には小児科での診察が重要です。

横浜・みなとみらいで子どもの熱中症なら みなとみらい小児科クリニック

みなとみらい小児科クリニックでは、お子さんの熱中症の診療を行っています。

脱水の評価や必要に応じた血液検査・点滴治療を行い、熱中症だけでなく感染症など他の病気も含めて総合的に診察いたします。

「熱中症かもしれない」「病院を受診した方がよいか迷う」というときは、どうぞお気軽にご相談ください。

参考にした主な資料

本記事は

  • 厚生労働省「熱中症予防のための情報・資料」
  • 環境省「熱中症予防情報サイト」
  • 日本救急医学会・日本臨床救急医学会監修『熱中症診療ガイドライン2024
  • 日本小児科学会「こどもの生活環境改善委員会」熱中症に関する提言・啓発資料
  • 日本小児救急医学会 熱中症に関する診療・啓発資料
  • 日本外来小児科学会 熱中症予防に関する資料
  • 日本小児科医会 熱中症予防・学校生活に関する資料
  • 日本小児感染症学会 小児感染症診療に関する情報
  • 日本小児神経学会 熱性けいれん・中枢神経疾患に関する診療情報
  • 日本小児循環器学会 循環管理に関する診療情報
  • 日本小児栄養消化器肝臓学会 小児の水分・栄養管理に関する資料
  • 日本小児腎臓病学会 脱水・電解質異常に関する診療情報
  • 日本新生児成育医学会 乳幼児の体液管理に関する資料
  • 日本小児体液研究会 小児の体液・電解質管理に関する資料
  • 国立健康危機管理研究機構(旧 国立感染症研究所)感染症情報サイト

上記を参考に作成しています。

~大切なお子さんを熱中症から守るために~

暑い日が続くと、「少し元気がないけれど大丈夫かな?」と心配になる保護者の方も多いと思います。子どもは大人より体温調節が未熟なため、熱中症になりやすい特徴があります。しかし、早めに気づいて適切に対応すれば、多くは回復します。正しい知識を身につけ、暑い季節を安全に過ごしましょう。

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック

子どもの経口補水液(ORS)とは?いつ飲ませる?飲ませ方・スポーツドリンクとの違い・受診の目安を小児科医がわかりやすく解説

子どもの経口補水液(ORS)とは?いつ飲ませる?飲ませ方・スポーツドリンクとの違い・受診の目安を小児科医がわかりやすく解説

子どもの嘔吐・下痢・発熱・熱中症のときに役立つ経口補水液(ORS)について、小児科医がわかりやすく解説します。飲ませるタイミングや正しい飲ませ方、スポーツドリンクとの違い、脱水症のサイン、小児科を受診する目安まで詳しくご紹介します。

子どもの経口補水液(ORS)とは?

まず結論|嘔吐や下痢のときは「少しずつ・こまめに」経口補水液を飲ませることが大切です

お子さんが嘔吐や下痢をすると、「何を飲ませればいいの?」「スポーツドリンクでも大丈夫?」と不安になる保護者の方は少なくありません。

経口補水液(ORS)は、軽度から中等度の脱水症を改善するために最も推奨されている飲み物です。 胃腸炎や熱中症などで体から水分や塩分が失われたとき、水だけでは十分に補えないことがあります。経口補水液は、水分・塩分・糖分が体に効率よく吸収されるように作られており、世界保健機関(WHO)や厚生労働省、日本小児科学会などでも推奨されています。

一方で、水分がまったく飲めない、ぐったりしている、おしっこの回数が著しく減っているなどの症状がある場合は、脱水が進んでいる可能性があります。早めに小児科を受診し、適切な治療を受けることが大切です。

経口補水液(ORS)とは?

経口補水液(Oral Rehydration Solution:ORS)は、脱水症の治療や予防を目的として作られた飲み物です。

私たちの腸には、ブドウ糖とナトリウム(塩分)を一緒に吸収すると、水分も効率よく吸収される仕組みがあります。経口補水液はこの働きを利用して作られており、水やお茶よりも効率よく体内へ水分を補給できます。

世界中で使用されている安全性の高い補水方法であり、子どもの急性胃腸炎や熱中症による脱水症の治療として広く推奨されています。

どんなときに経口補水液を飲ませればよい?

経口補水液は、次のような場面で役立ちます。

  • 嘔吐を繰り返している
  • 下痢が続いている
  • 発熱で水分不足が心配
  • 熱中症が疑われる
  • 汗を大量にかいた
  • 軽度から中等度の脱水症

一方、元気があり、食事や水分が普段どおり摂れている場合には、水や麦茶でも十分なことがあります。

「体調が悪いから必ず経口補水液を飲まなければならない」というわけではなく、お子さんの症状や脱水の程度に応じて選ぶことが大切です。

子どもの脱水症とは?

子どもは体重に占める水分の割合が多く、大人よりも脱水症になりやすい特徴があります。

特に乳幼児では、嘔吐や下痢が半日ほど続いただけでも脱水が進むことがあり、早めの対応が重要です。

次のような症状がみられる場合は、脱水症を疑います。

  • 口の中や唇が乾いている
  • おしっこの回数が減っている
  • 涙が少ない
  • 元気がない
  • 顔色が悪い
  • 赤ちゃんのおむつが長時間ぬれない
  • 水分を欲しがる

さらに、

  • 水分がまったく飲めない
  • 呼びかけへの反応が悪い
  • ぐったりしている
  • 意識がはっきりしない

場合には、点滴などの治療が必要になることがあります。

経口補水液の飲ませ方

嘔吐しているときは、一度にたくさん飲ませると吐いてしまうことがあります。

「少しずつ・こまめに」が成功のポイントです。

おすすめの方法は、

  • スプーン1杯(約5mL)
  • 5〜10mLずつ
  • 5分ごとに飲ませる

ことです。

吐かなければ少しずつ量を増やしていきます。

もし吐いてしまった場合は、5〜10分ほど休んでから再開すると飲めることが少なくありません。

この方法は、小児急性胃腸炎診療ガイドラインでも推奨されている方法です。

スポーツドリンクとの違い

「スポーツドリンクでも代わりになりますか?」という質問をよくいただきます。

スポーツドリンクは運動時の水分補給を目的として作られており、糖分が多く、塩分は経口補水液より少なくなっています。

一方、経口補水液は脱水症の改善を目的として作られており、水分・塩分・糖分のバランスが最も吸収されやすいよう調整されています。

そのため、嘔吐や下痢による脱水症では、スポーツドリンクより経口補水液が推奨されています。

小児科でよくあるご相談

当院では、

「経口補水液を嫌がって飲んでくれません。」

「スポーツドリンクしか飲めません。」

「どれくらい飲ませればいいのか分かりません。」

というご相談を多くいただきます。

実際には、一度にたくさん飲ませようとすると嫌がるお子さんでも、スプーン1杯程度から少しずつ始めることで飲めるようになることが少なくありません。

また、「胃腸炎だと思って受診したら、中耳炎や尿路感染症、肺炎など別の病気が原因だった」というケースもあります。

脱水症の評価だけでなく、症状の原因を正しく診断することも、小児科の大切な役割です。

こんなときは小児科を受診しましょう

次のような場合は、早めの受診をおすすめします。

  • 生後3か月未満の発熱
  • 水分がほとんど飲めない
  • 嘔吐を繰り返している
  • 半日以上おしっこが出ない
  • 血便がある
  • 強い腹痛がある
  • 呼吸が苦しそう
  • 意識がぼんやりしている
  • ぐったりしている

保護者の方が「いつもと様子が違う」と感じることも、受診を考える大切なサインです。

横浜市・みなとみらいでお子さんの胃腸炎や熱中症でお困りの方へ

みなとみらい小児科クリニックでは、お子さんの急性胃腸炎や熱中症、脱水症の診療を行っています。

お子さんの年齢や症状に応じて脱水の程度を丁寧に評価し、ご家庭での水分補給の方法や経口補水液の飲ませ方までわかりやすくご説明しています。

必要に応じて点滴や追加の検査を行い、お子さん一人ひとりに合わせた診療を心がけています。

横浜市西区、みなとみらい周辺で、お子さんの嘔吐や下痢、発熱、熱中症などでお困りの際は、お気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 経口補水液はいつから飲ませればよいですか?

嘔吐や下痢が始まり、水分不足が心配になった時点で、少量ずつ始めることをおすすめします。

Q. スポーツドリンクでも代用できますか?

スポーツドリンクは運動時の水分補給には適していますが、脱水症の改善には経口補水液が推奨されます。

Q. 経口補水液を嫌がる場合はどうすればよいですか?

スプーンや小さなコップを使い、5mL程度を数分ごとに少しずつ飲ませると飲めることがあります。冷やすことで飲みやすくなるお子さんもいます。

Q. 開封後はどのくらい保存できますか?

開封後は冷蔵庫で保存し、24時間以内を目安に使い切りましょう。

参考文献・参考資料

本記事は、以下の公的機関および学会が公表している情報や診療ガイドラインを参考に作成しています。

  • 厚生労働省 熱中症予防のための情報・資料
  • 厚生労働省 健康情報(脱水・熱中症)
  • こども家庭庁 子どもの健康に関する情報
  • 日本小児科学会 一般の皆さまへ(保護者向け情報)
  • 日本小児感染症学会 感染症診療に関する情報
  • 日本小児救急医学会 小児救急診療に関する提言
  • 日本小児栄養消化器肝臓学会 小児急性胃腸炎診療ガイドライン
  • 日本外来小児科学会 外来診療に関する資料
  • 日本小児体液研究会 経口補水療法(ORT)に関する資料
  • 国立感染症研究所 感染症情報
  • World Health Organization(WHO)”Oral Rehydration Salts: Production of the New ORS”
  • World Health Organization(WHO)The Treatment of Diarrhoea – A Manual for Physicians and Other Senior Health Workers
  • Centers for Disease Control and Prevention(CDC)Oral Rehydration Therapy
  • 熱中症診療ガイドライン2024

監修

みなとみらい小児科クリニック

本記事は、国内外の診療ガイドラインや公的機関の情報をもとに、日常の小児科診療での経験も踏まえて作成しています。今後も新しい知見に応じて内容を見直し、保護者の皆さまへ信頼できる医療情報をお届けできるよう努めています。

お子さんの体調が心配なときは、いつでもお気軽にご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック

子どもの発熱(生後3か月〜1歳)とは?原因・受診の目安・治療を小児科医がわかりやすく解説

子どもの発熱(生後3か月〜1歳)とは?原因・受診の目安・治療を小児科医がわかりやすく解説


生後3か月〜1歳のお子さんの発熱について、原因や症状、家庭での対応、受診の目安、治療、登園の目安まで小児科医がわかりやすく解説します。横浜市・みなとみらい周辺でお子さんの発熱にお困りの方もぜひ参考にしてください。

赤ちゃんが熱を出したら、まず知っていただきたいこと

お子さんが急に熱を出すと、「すぐに病院へ行くべき?」「熱が高くて大丈夫?」と心配になりますよね。

生後3か月〜1歳の発熱の多くは、かぜなどのウイルス感染が原因で、適切な水分補給と経過観察で良くなることがほとんどです。一方で、尿路感染症や肺炎など早めの診断・治療が必要な病気が隠れていることもあります。熱の高さだけではなく、お子さんの様子を見て受診を判断することが大切です。

生後3か月〜1歳の発熱とは?

一般的に38.0℃以上を発熱といいます。

発熱は病気そのものではなく、体がウイルスや細菌と戦っているサインです。そのため、熱を無理に下げることが目的ではなく、原因となっている病気を見極めることが重要です。

赤ちゃんは体温調節機能が未熟なため、泣いたり厚着をしただけでも体温が高くなることがあります。体温は落ち着いた状態で測定しましょう。

発熱の主な原因

生後3か月〜1歳では、次のような病気がよくみられます。

  • かぜ(ウイルス感染)
  • 突発性発しん
  • RSウイルス感染症
  • インフルエンザ
  • 新型コロナウイルス感染症
  • 手足口病
  • ヘルパンギーナ
  • 中耳炎
  • 尿路感染症
  • 肺炎

特に尿路感染症は、発熱以外の症状がほとんどなく、診察や尿検査ではじめて見つかることも少なくありません。

よくみられる症状

発熱のほかに次のような症状を伴うことがあります。

  • 鼻水
  • のどの痛み
  • 嘔吐・下痢
  • 発疹
  • 食欲低下
  • 機嫌が悪い
  • 眠りがち

一方で、熱だけで他の症状がない場合でも、尿路感染症や細菌感染症が隠れていることがあります。

診断

診察では、

  • 発熱した時期
  • 熱の経過
  • 咳や鼻水の有無
  • 呼吸の状態
  • 水分摂取
  • おしっこの回数
  • 全身状態

などを確認します。

必要に応じて、

  • インフルエンザ・新型コロナウイルスなどの迅速検査
  • 尿検査
  • 血液検査
  • 胸部レントゲン検査

を行い、原因を調べます。

治療

多くのウイルス感染症では、十分な水分補給と安静が基本です。

熱が高くても、水分が飲めて機嫌が比較的良ければ、無理に熱を下げる必要はありません。

一方で、

  • 眠れないほどつらい
  • 水分が飲めない
  • ぐったりしている

場合には、アセトアミノフェンなどの解熱剤を使用します。

細菌感染が疑われる場合には、抗菌薬(抗生物質)による治療が必要になります。

ご家庭でできるケア

発熱時は次のことを心がけましょう。

  • 水分を少しずつこまめに飲ませる
  • 母乳・ミルクは飲めるだけ飲ませる
  • 無理に食事をさせなくても大丈夫
  • 厚着を避け、室温を快適に保つ
  • 十分に休ませる

最も注意したいのは脱水です。

おしっこの回数が減る、口の中が乾く、泣いても涙が少ない場合は脱水の可能性があります。

小児科を受診する目安

次のような場合は早めに受診しましょう。

  • 生後6か月未満で38℃以上の発熱
  • 発熱が2~3日以上続く
  • 水分が十分飲めない
  • おしっこの回数が少ない
  • 呼吸が苦しそう
  • 咳がひどい
  • 何度も吐く
  • 機嫌が悪く、ぐったりしている
  • 顔色が悪い

また、

  • 呼びかけへの反応が悪い
  • けいれんが5分以上続く
  • 唇や顔色が紫色になる
  • 水分が全く飲めない

場合は、速やかに救急受診が必要です。

よくある質問

Q. 熱が高いほど重い病気ですか?
必ずしもそうではありません。熱の高さよりも、機嫌や呼吸、水分摂取の状態が重要です。

Q. 解熱剤はすぐ使った方がいいですか?
熱を下げることが目的ではありません。つらそうで眠れない、水分が飲めないなどの場合に使用します。

Q. お風呂に入ってもいいですか?
熱が高くぐったりしている時は控えましょう。シャワー浴であれば、問題ないと考えます。解熱し元気があれば短時間の入浴は可能です。

当院でよくあるご相談

当院では、「熱はあるけれど鼻水や咳がないので様子を見ていました」というお子さんが受診され、尿路感染症や中耳炎が見つかることがあります。

また、「熱が高いので重い病気では」と心配される保護者の方も多くいらっしゃいますが、診察では熱の高さだけではなく、お子さん全体の様子を丁寧に確認し、必要に応じて検査を行っています。

特に生後3か月〜1歳のお子さんは脱水になりやすく、ご家庭だけで重症度を判断することは簡単ではありません。不安なときは早めの受診をおすすめします。

参考にした主な資料

本記事は、以下の信頼性の高い資料・診療ガイドラインを参考に作成しています。

  • 厚生労働省 乳幼児の健康・感染症対策・子どもの救急に関する資料
  • こども家庭庁 乳幼児の健康・子育て支援に関する資料
  • 日本小児科学会「こどもの救急(ONLINE-QQ)」および感染症・発熱に関する提言・啓発資料
  • 日本小児感染症学会 小児感染症診療に関するガイドライン・提言
  • 日本小児救急医学会 小児救急診療・発熱に関する資料
  • 日本外来小児科学会 発熱児の診療・外来感染症診療に関する資料
  • 日本小児呼吸器学会 RSウイルス感染症・肺炎など小児呼吸器感染症に関する資料
  • 日本小児腎臓病学会 小児尿路感染症診療ガイドライン・腎尿路感染症に関する資料
  • 日本小児神経学会 熱性けいれん・中枢神経感染症に関する診療情報
  • 日本小児循環器学会 発熱時の循環管理に関する資料
  • 日本小児栄養消化器肝臓学会 乳幼児の栄養・水分管理に関する資料
  • 日本小児内分泌学会 乳幼児の発熱を伴う内分泌疾患に関する資料
  • 日本小児血液・がん学会 発熱性疾患・感染症に関する診療情報
  • 日本小児リウマチ学会 川崎病・炎症性疾患に関する資料
  • 日本川崎病学会 川崎病診療ガイドライン・診療情報
  • 日本新生児成育医学会 乳児感染症・新生児医療に関する資料
  • 日本周産期・新生児医学会 新生児・乳児感染症診療に関する資料
  • 日本小児体液研究会 小児の体液・電解質管理に関する資料
  • 国立健康危機管理研究機構(旧 国立感染症研究所)感染症情報サイト(JIHS)

横浜市・みなとみらい周辺でお子さんの発熱にお困りの方へ

みなとみらい小児科クリニックでは、生後3か月〜1歳のお子さんの発熱診療を行っています。

お子さん一人ひとりの症状に合わせて丁寧に診察し、必要に応じて迅速検査、尿検査、血液検査などを行い、適切な治療をご提案しています。

お子さんの体調が心配なときは、いつでもお気軽にご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック

生後3か月未満の赤ちゃんの発熱|38℃以上は受診が必要? 小児科医がわかりやすく解説

生後3か月未満の赤ちゃんの発熱|38℃以上は受診が必要?原因・検査・治療を小児科医がわかりやすく解説

生後3か月未満の赤ちゃんが38℃以上の発熱をした場合は、早めの受診が必要です。原因や症状、病院で行う検査、治療、入院が必要になる場合まで、小児科医が保護者の方にもわかりやすく解説します。

生後3か月未満で38℃以上の熱があったら、できるだけ早く受診しましょう

生後3か月未満の赤ちゃんが38.0℃以上の発熱をした場合は、元気そうに見えても早めの小児科受診が大切です。この時期は免疫機能がまだ十分に発達しておらず、風邪などのウイルス感染だけでなく、尿路感染症や敗血症、髄膜炎などの重い細菌感染症が隠れていることがあります。特に生後28日未満では入院して詳しい検査や治療が必要になることもあるため、「少し様子を見よう」と自己判断せず、できるだけ早く医療機関へ相談しましょう。

「熱はあるけれど元気そう…」それでも受診した方がいいの?

保護者の方からよくいただくご相談に、

「熱はあるけれど機嫌はいいです。」

「母乳やミルクも飲めています。」

「夜まで様子を見ても大丈夫でしょうか?」

というものがあります。

年長のお子さんでは元気さを参考に様子を見ることもありますが、生後3か月未満の赤ちゃんでは事情が異なります。

この時期は、見た目では重い病気かどうかを判断することが難しく、発熱だけが唯一のサインであることも少なくありません。

そのため、日本小児科学会や日本小児感染症学会などでも、生後3か月未満の38℃以上の発熱は慎重に診療することが推奨されています。

「元気だから大丈夫」と安心せず、一度小児科で診察を受けることが赤ちゃんを守ることにつながります。

生後3か月未満の発熱とは?

一般的に38.0℃以上を発熱といいます。

赤ちゃんは体温調節機能が未熟なため、泣いた後や厚着、室温が高いことで体温が少し上がることがあります。しかし、そのような場合でも38℃以上が続くときは感染症などの病気を考える必要があります。

体温を測るときは、できるだけ脇の下を乾かし、電子体温計を正しく挟んで測定しましょう。

家庭で何度か測って38℃以上が確認できた場合は、小児科へ相談してください。

なぜ生後3か月未満の発熱は特別なのでしょうか?

赤ちゃんは、お母さんから受け継いだ免疫に守られている一方、自分自身の免疫機能はまだ十分に成熟していません。

そのため、細菌が体内に入り込むと短時間で重症化してしまうことがあります。

特に注意が必要なのは、

  • 敗血症
  • 細菌性髄膜炎
  • 尿路感染症
  • 肺炎

などです。

これらは早期に診断し、適切な治療を始めることで重症化を防げる可能性があります。

そのため、生後3か月未満の発熱は「様子を見る病気」ではなく、「原因を調べる必要があるサイン」と考えられています。

発熱の原因

最も多いのはウイルス感染

発熱の原因として最も多いのはウイルス感染です。

代表的なものには

  • ライノウイルス(かぜ)
  • RSウイルス
  • ヒトメタニューモウイルス
  • インフルエンザウイルス
  • 新型コロナウイルス

などがあります。

ウイルス感染では咳や鼻水を伴うことが多いですが、熱だけが最初の症状であることもあります。

注意が必要な細菌感染症

生後3か月未満では細菌感染症にも十分注意が必要です。

代表的なものは

  • 尿路感染症
  • 敗血症
  • 細菌性髄膜炎
  • 肺炎

です。

なかでも尿路感染症は乳児の発熱の原因として比較的多く、咳や鼻水がなく、熱だけで受診されることも珍しくありません。

発熱だけだからといって軽い風邪とは限らないため、尿検査を行うことがあります。

症状

発熱以外には次のような症状がみられることがあります。

  • 母乳・ミルクの飲みが悪い
  • 元気がない
  • ぐったりしている
  • 泣き方が弱い
  • 呼吸が速い
  • 呼吸が苦しそう
  • 鼻水
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 顔色が悪い

一方で、重い感染症であっても発熱以外にほとんど症状がないことがあります。

そのため、保護者の方が「いつもより少し様子が違う」と感じることも大切なサインになります。

病院ではどんな検査をするの?

診察では、赤ちゃんの顔色や呼吸、機嫌、水分摂取の様子などを丁寧に確認します。

そのうえで必要に応じて、

  • 血液検査
  • 尿検査
  • 尿培養検査
  • 血液培養検査
  • 鼻やのどの迅速検査
  • 胸部レントゲン検査

などを行います。

また、髄膜炎が疑われる場合には髄液検査を行うことがあります。

検査内容はすべてのお子さんに同じではなく、月齢や診察所見、全身状態を総合的に判断して決定します。

入院になることはありますか?

保護者の方から最も多い質問の一つが、

「元気そうなのに入院になりますか?」

というものです。

特に生後28日未満では、重い細菌感染症を否定できないため、入院して詳しい検査や点滴による抗菌薬治療を行うことが一般的です。

生後1〜3か月では、赤ちゃんの月齢や診察所見、検査結果を総合的に判断し、外来で経過を見る場合と入院が必要になる場合があります。

入院と聞くと驚かれる保護者の方も多いですが、安全を第一に考えた結果であり、赤ちゃんを守るための大切な判断です。

治療

治療は原因によって異なります。

ウイルス感染では十分な水分補給を行いながら自然に回復を待つことが多く、必要に応じて解熱剤などを使用します。

一方、細菌感染症が疑われる場合には、点滴による抗菌薬(抗生物質)の治療が必要になります。

特に新生児期は病気の進行が早いことがあるため、診断がつく前から抗菌薬を開始することもあります。

保護者の方にとっては「検査が多い」「入院になるかもしれない」と不安に感じられるかもしれません。しかし、これらは重い感染症を見逃さず、赤ちゃんを安全に治療するために重要な対応です。

家庭でできるケア

生後3か月未満の赤ちゃんが発熱した場合は、無理に熱を下げることよりも、早めに医療機関を受診することが大切です。

受診までの間は、次のような点に気を付けましょう。

  • 母乳やミルクは欲しがる分だけ少しずつ飲ませる
  • 厚着をさせすぎず、室温を快適に保つ
  • 顔色や呼吸の様子をよく観察する
  • おしっこの回数や量を確認する

熱があるからといって、厚着や毛布でたくさん包む必要はありません。赤ちゃんが快適に過ごせる環境を整えることが大切です。

また、市販の風邪薬や解熱剤を自己判断で使用することはおすすめできません。月齢によって使用できる薬が限られるため、必ず医師の指示に従ってください。

こんな時はすぐに受診してください

生後3か月未満の赤ちゃんでは、38.0℃以上の発熱があれば、できるだけ早く小児科を受診してください。

さらに次のような症状がある場合は、夜間や休日であっても救急受診を検討しましょう。

  • 母乳・ミルクをほとんど飲めない
  • ぐったりしている
  • 呼びかけへの反応が弱い
  • 呼吸が苦しそう、呼吸が速い
  • 顔色が悪い
  • 唇の色が紫色っぽい
  • 繰り返し吐いている
  • けいれんを起こした
  • おしっこが極端に少ない

「受診した方がいいか迷う」という場合も、自己判断せず医療機関へ相談することをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q. 熱があっても機嫌がよければ様子を見てもいいですか?

いいえ。

生後3か月未満では、元気そうに見えても重い細菌感染症が隠れていることがあります。38℃以上の発熱があれば早めの受診をおすすめします。

Q. 母乳やミルクが飲めていれば安心ですか?

飲めていても安心とは言えません。

飲めていることは良いサインですが、細菌感染症では初期には飲めていることもあります。医師による診察を受けましょう。

Q. ワクチン接種後の発熱でも受診した方がよいですか?

ワクチン接種後には発熱することがあります。

しかし、生後3か月未満ではワクチンによる発熱だけとは限りません。不安な場合は接種後であっても小児科へご相談ください。

Q. 解熱剤は使った方がいいですか?

自己判断では使用しないようにしましょう。

生後3か月未満では使用できる薬が限られており、原因が分からないまま解熱剤を使用すると診断の妨げになる場合もあります。

Q. 夜中に熱が出たら朝まで待ってもいいですか?

生後3か月未満で38℃以上の発熱がある場合は、夜間であっても医療機関へ相談することをおすすめします。

夜間救急や小児救急相談窓口(#8000)も活用してください。

参考資料

本記事は以下の資料を参考に作成しています。

  • 厚生労働省
  • 日本小児科学会
  • 日本小児感染症学会
  • 日本新生児成育医学会
  • 日本小児救急医学会
  • 日本外来小児科学会
  • 日本小児アレルギー学会
  • 日本小児呼吸器学会
  • 日本小児神経学会
  • 日本小児循環器学会
  • 日本小児腎臓病学会
  • 日本小児内分泌学会
  • 日本小児血液・がん学会
  • 日本小児栄養消化器肝臓学会
  • 日本小児リウマチ学会
  • 日本川崎病学会
  • 日本小児在宅医学会
  • 日本国際小児保健学会
  • 日本小児心身医学会
  • 日本子ども虐待医学会
  • 日本先天代謝異常学会
  • 日本小児体液研究会
  • 日本マススクリーニング学会
  • 日本小児東洋医学会
  • 国立健康危機管理研究機構 感染症情報サイト(旧 国立感染症研究所)
  • Nelson Textbook of Pediatrics
  • Red Book: Report of the Committee on Infectious Diseases

みなとみらい小児科クリニックでの診療

みなとみらい小児科クリニックでは、生後3か月未満の赤ちゃんの発熱診療を行っています。

当院では、「熱はあるけれど元気そう」「母乳やミルクは飲めているけれど受診した方がよいのか分からない」「夜間に熱が出て心配」といったご相談を多くいただきます。

生後3か月未満の赤ちゃんでは、見た目だけで重い感染症を判断することは困難です。当院では月齢や全身状態を丁寧に診察し、必要に応じて血液検査や尿検査を行っています。また、入院や専門的な治療が必要と判断した場合には、速やかに高次医療機関へご紹介できる体制を整えています。

横浜市西区・みなとみらい周辺で、生後3か月未満のお子さんの発熱でご心配なことがありましたら、お気軽にご相談ください。

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック

慢性の頭痛

子どもの慢性頭痛とは?原因・症状・治療・受診の目安を小児科医がわかりやすく解説

メタディスクリプション(約120文字)
子どもの慢性頭痛は、片頭痛や緊張型頭痛が多く、生活に影響することもあります。原因や症状、必要な検査、治療、受診の目安を小児科医がわかりやすく解説します。横浜・みなとみらいで頭痛にお悩みの方もご相談ください。

子どもの慢性頭痛について

「最近よく頭が痛いと言う」「学校を休むことが増えた」「検査を受けた方がいいの?」と心配になる保護者の方は少なくありません。

子どもの慢性頭痛の多くは命に関わる病気ではなく、適切な診断と治療で改善が期待できます。一方で、まれに脳の病気などが隠れていることもあるため、頭痛が繰り返す場合やいつもと違う症状がある場合は、小児科への相談をおすすめします。

慢性頭痛とは?

慢性頭痛とは、3か月以上にわたり繰り返し起こる頭痛のことをいいます。

子どもの慢性頭痛の多くは、脳に異常がない一次性頭痛で、代表的なものは次の2つです。

  • 片頭痛(へんずつう)
  • 緊張型頭痛

一方で、脳腫瘍や水頭症、髄膜炎など病気が原因となる二次性頭痛もあり、見逃さないことが重要です。

子どもの慢性頭痛の原因

片頭痛

片頭痛は子どもにも多くみられる頭痛です。

原因はまだ完全には分かっていませんが、脳や神経の働きが関係すると考えられています。

きっかけになるもの

  • 睡眠不足
  • 疲れ
  • ストレス
  • 空腹
  • 脱水
  • 天候の変化
  • 月経(思春期以降)

家族に片頭痛があるお子さんも少なくありません。

緊張型頭痛

首や肩の筋肉の緊張やストレスが関係して起こります。

最近では

  • 長時間のスマートフォン
  • タブレット学習
  • ゲーム
  • 猫背など姿勢の悪さ

も原因となることがあります。

症状

片頭痛

  • ズキズキと脈打つように痛む
  • 動くと痛みが強くなる
  • 吐き気や嘔吐を伴うことがある
  • 光や音を嫌がる
  • 数時間で改善することが多い

緊張型頭痛

  • 締め付けられるような痛み
  • 重たい感じが続く
  • 動いてもあまり変わらない
  • 肩こりや首のこりを伴うことが多い

片頭痛と緊張型頭痛の違い

片頭痛緊張型頭痛痛みズキズキ締め付けられる動くと強くなるあまり変わらない特徴吐き気・光や音がつらいことがある肩こりや疲れを伴いやすい

どんな検査をするの?

多くのお子さんでは、詳しい問診と診察だけで診断できます。

医師は

  • 頭痛が始まった時期
  • 頭痛の回数や時間
  • 痛む場所
  • 吐き気や発熱の有無
  • 学校生活への影響
  • 家族歴

などを確認します。

必要に応じて

  • 頭部MRI
  • 頭部CT
  • 血液検査
  • 視力・眼科検査
  • 耳鼻科での評価(副鼻腔炎など)

を行います。

頭痛の診療ガイドライン2021では、典型的な片頭痛や緊張型頭痛では画像検査を必ずしも行う必要はなく、危険な症状(レッドフラッグ)がある場合にMRIなどを検討するとされています。

治療

まずは生活習慣を整えることが最も大切です。

  • 十分な睡眠
  • 朝食を食べる
  • 水分補給
  • 適度な運動
  • スマートフォン・ゲーム時間の見直し

痛みが強い場合は

  • アセトアミノフェン
  • イブプロフェン

などを使用します。

片頭痛では、年齢や症状に応じてトリプタン製剤を使用することがあります。また、頭痛が頻繁な場合は予防薬を検討することもあります。

こんな頭痛は早めに受診しましょう

次のような場合は早めに小児科を受診してください。

  • 初めて経験する強い頭痛
  • 朝方の頭痛や繰り返す嘔吐
  • 発熱や首の硬さがある
  • 意識がぼんやりする
  • 手足が動きにくい
  • けいれんを伴う
  • 頭をぶつけた後の頭痛
  • 頭痛が徐々に悪化している

登園・登校の目安

頭痛が軽く、

  • 元気がある
  • 発熱がない
  • 普段どおり食事や水分がとれる

場合は登園・登校できることが多いでしょう。

一方で、

  • 頭痛が強い
  • 吐き気や嘔吐がある
  • 日常生活に支障がある

場合は無理をせず休養し、受診を検討してください。

小児科でよくあるご相談

当院では、

「学校へ行く前だけ頭が痛くなる」

「ゲームをすると頭痛が悪化する」

「頭痛が続いて脳腫瘍ではないか心配」

というご相談をよくいただきます。

実際には、多くのお子さんが片頭痛や緊張型頭痛ですが、診察では危険な頭痛ではないかを確認したうえで、一人ひとりに合った生活指導や治療をご提案しています。

よくある質問(FAQ)

Q. 子どもの頭痛はよくあることですか?

はい。学童期以降では珍しくありません。多くは片頭痛や緊張型頭痛です。

Q. 毎回MRIが必要ですか?

いいえ。診察で危険なサインがなければ、必ずしもMRIは必要ありません。

Q. 市販の頭痛薬を使ってもいいですか?

使用できる場合もありますが、薬の使い過ぎは頭痛を悪化させることがあります。繰り返す頭痛では自己判断を続けず、小児科へご相談ください。

Q. スマートフォンやゲームは関係しますか?

長時間の使用や睡眠不足は頭痛のきっかけになることがあります。適度な休憩を取り、生活リズムを整えることが大切です。

参考にした主な資料

本記事は、以下の信頼性の高い資料を参考に作成しています。

  • 厚生労働省
  • 日本小児科学会
  • 日本頭痛学会『頭痛の診療ガイドライン2021』
  • 日本神経学会『頭痛の診療ガイドライン2021』
  • 日本小児神経学会
  • 日本小児救急医学会
  • 日本外来小児科学会
  • 日本小児感染症学会
  • 日本小児心身医学会
  • 日本小児科医会
  • 国立成育医療研究センター
  • 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター
  • こどもの救急(日本小児科学会監修)

※本記事は、国内の診療ガイドラインおよび小児神経・小児科領域の推奨をもとに作成しています。

横浜市・みなとみらいでお子さんの頭痛にお困りの方へ

みなとみらい小児科クリニックでは、お子さんの慢性頭痛の診療を行っています。

「頭痛が続いている」「学校を休みがちになった」「脳の病気ではないか心配」といったご相談を多くいただいています。

当院では、まず丁寧な問診と診察を行い、危険な頭痛ではないかを見極めます。その上で、必要に応じて専門医療機関と連携しながら検査を検討し、片頭痛や緊張型頭痛では生活習慣の改善や適切なお薬による治療をご提案しています。

お子さんの頭痛は、学校生活やご家族の日常にも大きな影響を与えることがあります。「このくらいで受診してよいのかな」と迷われる場合も、どうぞお気軽にご相談ください。早めに原因を確認し、お子さんに合った治療を始めることが、症状の改善につながります。

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック

こどもの便秘

子どもの便秘とは?原因・症状・治療・受診の目安を小児科医がわかりやすく解説

子どもの便秘は早めの治療が大切です。便秘の原因や症状、家庭でできるケア、モビコール®などの治療薬、受診の目安まで小児科医がわかりやすく解説します。横浜市・みなとみらい周辺でお子さんの便秘にお困りの方はご相談ください。

子どもの便秘でお困りの保護者の方へ

「何日も便が出ないけれど大丈夫?」
「便をするときに泣いてしまう」
「便秘薬は続けても癖にならない?」
「毎日トイレに座っているのに出ない…」

このようなお悩みで受診されるお子さんは少なくありません。

**子どもの便秘はとてもよくある病気ですが、早めに適切な治療を始めることで改善が期待できます。**一方で、「もう少し様子を見よう」と我慢してしまうと、便がさらに硬くなり、排便時の痛みから便を我慢する悪循環に陥ることがあります。

日本小児栄養消化器肝臓学会・日本小児消化管機能研究会の**「小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン2025」**でも、便秘は早期診断・早期治療が推奨されています。

子どもの便秘とは?

便秘とは、単に「毎日便が出ないこと」ではありません。

次のような状態が続く場合は便秘と考えます。

  • 排便回数が少ない
  • コロコロした硬い便(ブリストル便形状スケール1~3)
  • 排便時に痛がる
  • 強くいきまないと出ない
  • 便が残った感じがある
  • パンツに便が漏れる(便失禁)

子どもの便秘の約90%以上は慢性機能性便秘症で、生まれつきの病気ではなく、生活習慣や排便を我慢することなどが原因です。

子どもの便秘の原因

便秘は一つの原因だけではなく、いくつかの要因が重なって起こります。

  • 排便時に痛かった経験があり便を我慢する
  • 水分不足
  • 食物繊維不足
  • 朝食を食べない
  • トイレを我慢する
  • トイレトレーニング
  • 入園・入学など環境の変化
  • 運動不足

一度便を我慢すると腸の中で便の水分が吸収され、さらに硬くなります。その結果、排便時に痛みが強くなり、また我慢するという悪循環になります。

子どもの便秘の症状

便秘では便が出ないだけではありません。

  • 数日便が出ない
  • コロコロした硬い便
  • 排便時の痛み
  • 肛門から出血する
  • お腹が張る
  • 腹痛を繰り返す
  • 食欲がない
  • 嘔吐
  • パンツに便が付く(便漏れ)

便漏れは下痢ではなく、硬い便の隙間から軟らかい便が漏れていることも少なくありません。

子どもの便秘はどうやって診断する?

診断は問診と診察が中心です。

医師は

  • 排便回数
  • ブリストル便形状スケールによる便の硬さ
  • 排便時の痛み
  • 食生活
  • 排便習慣
  • 便漏れの有無

などを確認します。

必要に応じて腹部レントゲン検査を行い、腸に便がどのくらいたまっているかを確認します。

体重増加不良、新生児期からの便秘、血便などがある場合には、まれな病気が隠れていないか追加検査を行います。

子どもの便秘の治療

最新の診療ガイドラインでは、「便を出す」「便をやわらかく保つ」「排便習慣を整える」の3つが治療の柱です。

① たまった便をしっかり出す

便が大量にたまっている場合は、まず飲み薬や浣腸などで便を出します。

十分に便を出さないまま治療を始めても改善しにくいことがあります。

② 便をやわらかく保つ

現在は**モビコール®(マクロゴール4000)**が、小児便秘治療の第一選択薬として広く使用されています。

モビコール®は2歳以上から使用でき、便の水分を増やして自然な排便を助けます。

症状に応じて酸化マグネシウムラクツロースを組み合わせることもあります。

便秘薬は医師の指示どおり続けることが大切で、「癖になる薬」ではありません。

③ 排便習慣を整える

毎日決まった時間にトイレへ座る習慣をつけましょう。

おすすめは朝食後です。

また、

  • 水分をしっかり飲む
  • 野菜・果物など食物繊維をとる
  • 適度に体を動かす
  • 排便を我慢しない

ことも大切です。

家庭でできる便秘対策

家庭では次のことを意識しましょう。

  • 朝食を食べる
  • 水分を十分にとる
  • 食物繊維を意識する
  • 排便日誌をつける
  • ブリストル便形状スケールで便の状態を確認する
  • 毎日同じ時間にトイレへ座る

焦らず続けることが改善への近道です。

市販薬だけで様子を見ても大丈夫?

一時的な便秘であれば改善することもあります。

しかし、

  • 便秘を何度も繰り返す
  • 排便時に毎回痛がる
  • 便漏れがある
  • 市販薬を使っても改善しない

場合は、小児科で相談することをおすすめします。

小児科でよくあるご相談(当院で実際によくあるケース)

当院では、

「野菜を食べているのに便秘です。」

「毎日出ているので便秘ではないと思っていました。」

「便漏れが続くので下痢だと思っていました。」

というご相談をよくいただきます。

実際には、毎日少量しか出ていない便秘や、便秘による便漏れのお子さんも少なくありません。

また、「便秘薬は癖になるのでは」と心配される保護者の方も多いですが、現在使用されている薬はガイドラインに基づいて適切に使用することで、安全に治療を続けることができます。

こんな時は小児科を受診してください

次のような症状がある場合は受診をおすすめします。

  • 便が1週間近く出ない
  • 排便時に強い痛みや出血がある
  • お腹が大きく張る
  • 嘔吐を繰り返す
  • 強い腹痛がある
  • 便漏れが続く
  • 市販薬でも改善しない
  • 赤ちゃんの頃から便秘が続いている

よくある質問(FAQ)

Q. 毎日便が出ていれば便秘ではありませんか?

いいえ。毎日出ていても少量しか出ず、硬い便が残っている場合は便秘のことがあります。

Q. モビコール®は何歳から使えますか?

日本では2歳以上のお子さんに使用できます。

Q. 便秘薬は癖になりますか?

医師の指示どおり使用する便秘薬は癖になる薬ではありません。症状が落ち着くまで継続することが大切です。

Q. 食事だけで治りますか?

軽い便秘では改善することもありますが、慢性的な便秘では薬による治療が必要になることも少なくありません。

参考資料

本記事は以下の資料を参考に作成しています。

  • 厚生労働省
  • 日本小児科学会
  • 日本小児栄養消化器肝臓学会
  • 日本小児消化管機能研究会「小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン2025」
  • 日本外来小児科学会
  • 日本小児救急医学会
  • 日本小児感染症学会
  • 国立感染症研究所 感染症情報サイト

横浜市・みなとみらいでお子さんの便秘にお困りの方へ

便秘は「体質だから仕方ない」と思われがちですが、適切な治療で改善できる病気です。

みなとみらい小児科クリニックでは、お子さんの便秘の診療を行っています。

お子さん一人ひとりの症状に合わせて、生活習慣の見直しから薬物療法まで、最新の診療ガイドラインに基づいた治療をご提案しています。

「便秘かな?」「毎日出ているけれど硬い便が続く」「便漏れが気になる」など、気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

みなとみらい小児科クリニック

下痢・急性胃腸炎

お子さんの急性胃腸炎について

~あわてず、脱水を防ぐことが一番大切です~

お子さんが急に吐いたり下痢をしたりすると、とても心配になりますよね。急性胃腸炎の多くは数日~1週間ほどで自然に良くなりますが、小さなお子さんでは脱水症に注意が必要です。症状に合わせて水分補給を行い、つらい症状を和らげながら回復を待ちましょう。

急性胃腸炎とは?

急性胃腸炎とは、ウイルスや細菌などが原因で胃や腸に炎症が起こり、嘔吐・下痢・腹痛・発熱などの症状が現れる病気です。

子どもの急性胃腸炎の約7割はウイルスが原因で、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどが代表的です。多くは自然に回復しますが、乳幼児では脱水が進みやすいため注意が必要です。

原因

  • ウイルス(ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなど)
  • 細菌(カンピロバクター、サルモネラなど)
  • まれに寄生虫

感染した人の便や嘔吐物、汚染された手や食べ物を介してうつることがあります。家族内で広がりやすいため、手洗いをしっかり行いましょう。

主な症状

  • 突然の嘔吐
  • 水のような下痢
  • 腹痛
  • 発熱
  • 食欲低下
  • 元気がない

特に注意したいのは脱水症です。

次のような様子があれば、早めに医療機関を受診してください。

  • 水分がほとんど飲めない
  • 半日以上おしっこが出ない
  • ぐったりしている
  • 呼びかけへの反応が悪い
  • 血便や強い腹痛がある

嘔吐したときは

急性胃腸炎では、最初に嘔吐が目立つことがよくあります。無理に飲ませると再び吐いてしまうため、吐いた直後は20~30分ほど胃を休ませ、その後に経口補水液(OS-1®など)をスプーン1杯(5~10mL)ずつ、5分おきに少量ずつ飲ませることが大切です。

嘔吐がおさまれば、少しずつ飲む量を増やしていきましょう。

治療

急性胃腸炎では脱水を防ぐことが最も大切な治療です。

  • 経口補水液による水分補給
  • 年齢に応じた食事を少しずつ再開
  • 必要に応じて整腸剤
  • 脱水が強い場合は点滴治療

制吐剤(吐き気止め)について

嘔吐が続いて水分が飲めない場合には、医師の判断で制吐剤を使用することがあります。 制吐剤によって嘔吐が軽くなると、水分補給がしやすくなり、脱水や点滴が必要になるリスクを減らせる場合があります。すべてのお子さんに必要ではありませんが、症状に応じて有効な治療の一つです。

ロタウイルスワクチンについて

ロタウイルスは乳幼児の重症胃腸炎の代表的な原因です。ロタウイルスワクチンは定期接種となっており、重症化や入院を大きく減らすことが確認されています。

接種は生後早い時期から開始する必要があり、標準的には生後2か月頃(生後8~14週)に初回接種を行います。対象年齢を過ぎると開始できないため、早めの接種がおすすめです。

保護者の方へ

子どもは脱水になりやすく、その程度をご家庭で判断することは難しいため、嘔吐や下痢がみられたら早めに小児科を受診しましょう。医師が脱水の有無を確認し、必要に応じて経口補水の方法やお薬、点滴治療を行います。

お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。

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