子どもの食物アレルギーとは?原因・症状・治療・受診の目安を小児科医が解説

小児アレルギー科
2026.07.12

子どもの食物アレルギーとは?原因・症状・治療・受診の目安を小児科医が解説

食物アレルギーは、特定の食べ物に対する免疫の反応によって、じんましん、嘔吐、咳などが起こる病気です。

乳幼児では鶏卵・牛乳・小麦などが主な原因となります。診断には実際に食べたときの症状や経過が重要で、血液検査だけでは判断できません。

「卵を食べたらじんましんが出た」「離乳食を進めるのが心配」「検査で陽性だったけれど、除去した方がよいの?」など、保護者の方が迷う場面は少なくありません。

食物アレルギーの原因、症状、検査、治療について、正しい診断と安全な食事管理を中心に解説します。

食物アレルギーとは

食物アレルギーとは、食物に対する免疫反応によって、体に不利益な症状が起こる状態です。

症状には個人差があり、軽いじんましんだけの場合もあれば、呼吸困難などを伴う重い反応が起こる場合もあります。

一方、牛乳に含まれる乳糖を十分に分解できず下痢を起こす「乳糖不耐症」などは、食物アレルギーとは異なります。

食後に症状が出たという理由だけで、原因を決めつけないことが大切です。

食物アレルギーの有症率

国内の研究報告をまとめた「食物アレルギーの診療の手引き2023」では、乳児のIgE依存性食物アレルギーの有症率は7.6〜10%とされています。

IgEとは、アレルギー反応に関係する抗体の一つです。

食物アレルギーは乳幼児期に比較的多くみられますが、成長とともに食べられるようになるお子さんもいます。

食物アレルギーの主な原因食品

食物アレルギーの原因食品は、年齢によって異なります。

乳幼児期では、特に次の食品が多くみられます。

  • 鶏卵
  • 牛乳
  • 小麦

そのほか、くるみ・カシューナッツなどの木の実類、ピーナッツ、大豆、魚介類、果物なども原因となります。

鶏卵・牛乳・小麦による食物アレルギーでは、成長とともに症状が改善するお子さんが多くいます。

一方、木の実類やピーナッツなどでは、アレルギーが長く続く場合もあります。

ただし、経過はお子さんによって異なります。

食物アレルギーが起こる仕組み

食物アレルギーの発症には、遺伝的な要因、皮膚の状態、食物への接触など、複数の要因が関係しています。

皮膚のバリア機能と経皮感作

乳児期のアトピー性皮膚炎は、食物アレルギーの重要なリスク因子の一つです。

皮膚には、外から異物が入り込むのを防ぐ「バリア機能」があります。

湿疹によってこの機能が低下すると、環境中にある食物由来の成分が皮膚から入り、免疫がその食物を異物として認識することがあります。

これを「経皮感作(けいひかんさ)」と呼びます。

赤ちゃんの湿疹を放置せず、必要に応じて炎症を抑える塗り薬や保湿剤などで適切に治療することが大切です。

ただし、保湿だけで食物アレルギーを確実に予防できるわけではありません。また、湿疹があるお子さん全員に食物アレルギーがあるわけでもありません。

湿疹の原因や治療については、関連記事「子どものアトピー性皮膚炎」で詳しく解説しています。

離乳食の開始時期

食物アレルギーを予防する目的で、特定の食品の開始時期を必要以上に遅らせることは推奨されていません。

離乳食は、お子さんの発達に合わせて進めることが基本です。

ただし、重い湿疹がある場合や、すでに食物アレルギーが疑われる場合には、食品の開始方法について個別の判断が必要になることがあります。

自己判断で長期間避けるのではなく、小児科やアレルギー専門医へ相談しましょう。

食物アレルギーの主な症状

一般的な即時型食物アレルギーでは、原因食品を食べてから数分〜2時間以内に症状が現れることが多くあります。

皮膚症状がよくみられますが、重いアレルギー反応でも皮膚症状が現れない場合があります。

食後に口の周りが赤くなる場合

食後に口の周りが赤くなっても、必ずしも食物アレルギーとは限りません。

食べ物が皮膚に触れた刺激によって、一時的に赤くなる場合もあります。

一方、じんましんが広がる、唇が腫れる、嘔吐や咳などを伴う場合には、食物アレルギーの可能性があります。

赤ちゃんの湿疹やアトピー性皮膚炎との違いについては、関連記事「赤ちゃんの赤いブツブツは何?乳児湿疹・アトピー・食物アレルギーの違いと受診目安」で解説しています。

食後数時間たってから繰り返し吐く場合

食物アレルギーには、食べてすぐに症状が出るものだけでなく、時間がたってから症状が現れるタイプもあります。

代表的なものが、食物蛋白誘発胃腸炎症候群(FPIES)です。

FPIESでは、原因食品を食べてから通常1〜4時間後に、繰り返し嘔吐することがあります。

FPIESは、一般的なIgE依存性の即時型食物アレルギーとは異なる仕組みで起こります。

典型的なFPIESではじんましんを伴わず、アドレナリンの効果も乏しいとされています。ただし、IgE依存性のアレルギー反応を併せ持つ場合もあります。

繰り返す激しい嘔吐、顔色不良、ぐったりする様子がある場合には、緊急の治療が必要になることがあります。

食物アレルギー以外の嘔吐の原因や受診目安については、関連記事「子どもの嘔吐」で解説しています。

アナフィラキシーとは

アナフィラキシーとは、急速に起こる重い全身性のアレルギー反応です。

呼吸や血液循環に異常が生じ、命に関わる場合があります。

特に注意が必要なのは、次のような症状です。

  • 息苦しい、呼吸が困難
  • 強いゼーゼー、声のかすれ
  • 繰り返す激しい嘔吐
  • 顔色が悪く、ぐったりしている
  • 呼びかけへの反応がおかしい

重い呼吸症状や意識の異常がある場合は、じんましんがなくても、すぐに119番通報してください。

エピペン®を処方されている場合は、医師から指導された緊急時の使用基準に従って速やかに使用します。

食物アレルギーの診断と検査

食物アレルギーの診断では、実際に食べたときの症状や経過を確認することが最も重要です。

問診で確認すること

診察では、主に次の点を確認します。

  • 食べた食品と量
  • 加熱の有無や調理方法
  • 症状が出るまでの時間
  • 症状の種類と程度
  • 同じ食品で症状を繰り返すか
  • 以前に食べられていたか

発疹の写真や、食べた食品の原材料表示なども診断の参考になります。

血液検査(特異的IgE抗体検査)

血液検査は、食品に対する特異的IgE抗体を測定する検査です。

検査が陽性でも、その食品を問題なく食べられる場合があります。反対に、検査値が低くても症状が出る場合があります。

そのため、血液検査だけで食物アレルギーを確定することはできません。

症状や食事歴と関係なく多くの食品を一律に検査すると、不必要な食物除去につながる場合もあります。

皮膚プリックテスト

皮膚に少量のアレルゲンをつけて反応を調べる検査です。

血液検査と同様に、結果だけで食物アレルギーを確定することはできません。

食物経口負荷試験

食物経口負荷試験は、医療機関で原因と疑われる食品を実際に摂取し、症状の有無を確認する検査です。

食物アレルギーの確定診断や、食べられる量の評価に重要な役割があります。

検査中に症状が起こる可能性があるため、適応を慎重に判断し、適切な対応ができる医療機関で行います。

すべてのお子さんに必要な検査ではなく、症状やこれまでの経過に応じて実施を検討します。

食物アレルギーの治療と食事管理

食物アレルギーの治療・管理では、**「正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去」**が基本です。

大切なのは、症状が出る食品を必要な範囲で避けながら、安全に食べられる食品を維持することです。

必要最小限の除去とは

同じ卵アレルギーでも、少量で症状が出るお子さんもいれば、一定量まで食べられるお子さんもいます。

また、加熱方法によって症状の出やすさが異なる場合もあります。

どの程度まで食べられるかは、これまでの症状や検査結果、必要に応じた食物経口負荷試験などをもとに判断します。

自己判断で原因食品を再開したり、摂取量を増やしたりすることは避けましょう。

除去食と栄養管理

鶏卵・牛乳・小麦などを長期間除去する場合には、栄養面への配慮が必要です。

特に牛乳アレルギーでは、カルシウムやたんぱく質の不足に注意します。

乳児の場合、一般的な粉ミルクを自己判断で植物性飲料に置き換えないようにしてください。

除去する食品に応じて代替食品を検討し、母子健康手帳の成長曲線などで体重や身長の増え方も確認します。

食物経口負荷試験後の食事管理

食物経口負荷試験で症状が出なかった場合でも、無制限に食べられると判断できるわけではありません。

検査で確認した量や調理方法をもとに、医師から具体的な食事指導を受けます。

同じ食品でも、加熱条件や加工方法によって症状の出やすさが異なる場合があります。

また、体調不良や食後の運動などが症状に影響することもあります。

少量まで食べられることが確認された場合には、医師が指示した範囲で家庭での摂取を進めることがあります。

日常摂取量まで問題なく食べられることが確認できれば、除去の解除を検討します。

経口免疫療法について

経口免疫療法は、原因食品を医師の管理下で継続的に摂取し、アレルギー反応が起こる量を増やすことなどを目指す治療法です。

食物経口負荷試験が「診断や食べられる量を確認する検査」であるのに対し、経口免疫療法は「反応が起こる量を変化させることなどを目指す治療」です。

ただし、治療中にアナフィラキシーなどの症状が起こる可能性があります。

日本では一般診療として一律に推奨される治療ではなく、専門的な知識と対応体制を備えた施設で慎重に実施されます。

家庭だけで少しずつ食べる量を増やす方法とは異なります。

家庭でできる食物アレルギーへの対応

日常生活では、誤食を防ぎながら、過度な食事制限を避けることが大切です。

  • 食品を購入するたびに原材料表示を確認する
  • 原因食品と除去の必要性を家族で共有する
  • 調理中の食品の混入や食器の取り違えに注意する
  • 食器や調理器具を十分に洗浄する
  • 医師から指示された摂取量や調理方法を守る
  • 症状が出たときの対応を家族で確認する

加工食品とアレルギー表示

容器包装された加工食品には、法令に基づくアレルギー表示制度があります。

2026年4月には、カシューナッツが表示義務の対象となる特定原材料に追加されました。

ただし、2028年3月31日まで経過措置期間が設けられているため、現在は新旧の表示方法が混在する可能性があります。

原因食品が表示されていない場合でも、それだけで含まれていないと判断せず、不明な点は製造元などへ確認しましょう。

また、外食や店頭で調理・販売される食品では、包装された加工食品と同じ表示義務が適用されない場合があります。

食後にアレルギー症状が出たときの対応

食物アレルギーが疑われる症状が出た場合は、まず原因と考えられる食品を食べるのをやめ、安静にしてお子さんの様子を確認してください。

軽い皮膚症状だけでも、その後に症状が強くなることがあります。

顔色、呼吸、意識、嘔吐の有無などを確認し、症状の変化に注意しましょう。

すでに医師から緊急時の対応や薬の使用について指示されている場合は、その指示に従ってください。

エピペン®とアナフィラキシーへの対応

エピペン®は、アナフィラキシーの緊急時に使用するアドレナリン自己注射薬です。

処方されている場合は、強い呼吸器症状、繰り返す激しい嘔吐、ぐったりするなど、事前に説明された緊急時の症状が現れたら速やかに使用し、119番通報してください。

使用後は症状が改善しても、救急車で医療機関を受診する必要があります。

救急車を待つ間は原則として横になり、安静を保ちます。呼吸が苦しい場合や嘔吐している場合には、状態に応じて安全な姿勢をとります。

急に立ち上がらせたり、歩かせたりしないでください。

小児科を受診する目安

食物アレルギーが疑われる場合は、症状の程度によって対応が異なります。

軽い症状でも急速に悪化することがあります。

観察中に症状が広がる、呼吸や顔色に変化がある、元気がなくなる場合には、速やかに対応してください。

過去に重いアレルギー症状があったお子さんは、あらかじめ医師から説明された緊急時の対応を優先します。

保育園・幼稚園・学校生活と登園の目安

食物アレルギー自体は感染症ではないため、症状がなく体調が安定していれば、通常どおり登園・登校できます。

ただし、アナフィラキシーを起こした直後や症状が続いている場合は、医師の指示に従ってください。

園や学校には、原因食品、過去の症状、緊急時の対応、エピペン®の処方の有無などを伝えておきましょう。

必要に応じて、生活管理指導表を使用します。

家庭では医師が確認した範囲で原因食品を食べられる場合でも、保育所の給食では安全管理のため、完全除去か完全解除を基本とします。

給食での除去解除については、家庭での摂取状況や医師の評価をもとに、保護者と施設が情報を共有して進めます。

食物アレルギーについてよくある質問

Q. 授乳中の母親も食事を制限した方がよいですか?

A. 原則として必要ありません。

赤ちゃんの症状や診断によって例外的に検討する場合がありますが、自己判断による除去は勧められていません。

Q. エピペン®はどのようなお子さんに処方されますか?

A. 過去にアナフィラキシーを起こしたことがあるお子さんや、重いアレルギー反応を起こすリスクがあるお子さんなどに、医師が必要性を判断して処方します。

食物アレルギーと診断されたすべてのお子さんに処方されるわけではありません。

処方された場合は、ご家族や園・学校で使用方法と緊急時の対応を共有しておくことが大切です。

Q. 卵アレルギーがあると予防接種を受けられませんか?

A. 卵アレルギーがあるという理由だけで、すべての予防接種を避ける必要はありません。

インフルエンザワクチンも、卵アレルギーのあるお子さんに接種可能です。

ただし、ワクチンの成分に対する重いアレルギー歴や、過去の接種による重い副反応などがある場合は、個別に判断します。

Q. 血液検査が陽性でも食べられる場合がありますか?

A. はい。特異的IgE抗体が陽性でも、実際には症状なく食べられる場合があります。

食物アレルギーの診断や除去の必要性は、検査結果だけでなく、食事歴や症状を含めて判断します。

Q. 横浜市西区花咲町から食物アレルギーについて相談できますか?

A. はい。みなとみらい小児科クリニックは横浜市西区みなとみらいにあり、花咲町をはじめ、桜木町・紅葉ケ丘・戸部町など周辺地域からもご相談いただけます。

「食後にじんましんが出た」「卵・牛乳・小麦の離乳食をどのように進めればよいか分からない」「アレルギー検査が必要か知りたい」といったご相談にも対応しています。

当院のアレルギー専門外来では、お子さんの症状や食事の経過を確認し、必要に応じて検査を検討しています。

小児科医としてお伝えしたいこと

食物アレルギーについて、保護者の方が迷いやすいのは「どこまで食べさせてよいのか」という点です。

血液検査で陽性だったという理由だけで、長期間食物を除去することが適切でない場合があります。

一方で、「少しなら大丈夫」と自己判断で食べさせることにも危険があります。

食物アレルギーの診療では、原因を正しく見極め、安全に食べられる範囲を確認することが大切です。

食事を楽しむことや、成長に必要な栄養を確保することも、大切な目標です。

横浜市・みなとみらいで食物アレルギーが心配な方へ

みなとみらい小児科クリニックでは、日本アレルギー学会専門医で、けいゆう病院小児科部長・小児アレルギーセンター長を務める津村由紀医師によるアレルギー専門外来を行っています。

食物アレルギーのほか、乳児湿疹、アトピー性皮膚炎、離乳食の進め方などもご相談いただけます。

診察では、食べた食品や量、症状が出た時間、湿疹の状態、これまでの検査結果などを確認します。

血液検査の数値だけで食物除去を判断するのではなく、実際の症状や食事の経過を重視し、お子さん一人ひとりに必要な食事管理を考えます。

食物経口負荷試験など、より専門的な検査が必要な場合には、対応可能な医療機関への紹介を検討します。

横浜市西区・みなとみらいを中心に、中区・神奈川区など周辺地域のお子さんも診療しています。

食物アレルギーの診断や検査、原因食品の除去・再開、離乳食の進め方について詳しく相談したい場合は、当院のアレルギー専門外来をご利用いただけます。

アレルギー専門外来の診療内容や担当医、診療日、予約方法については、以下のページでご案内しています。

みなとみらい小児科クリニック|アレルギー外来のご案内

一般診療について

みなとみらい小児科クリニックでは、発熱、咳・鼻水、嘔吐、下痢、腹痛、発疹・湿疹など、子どもによくみられる症状について一般小児科診療を行っています。

食後の発疹や嘔吐など、原因が分からない症状についてもご相談いただけます。

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参考資料

公開日: 2026年7月12日
更新日: 2026年10月19日
監修者: みなとみらい小児科クリニック院長

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