
水ぶくれや黄色いかさぶたが広がるときは早めに受診しましょう
とびひ(伝染性膿痂疹)は、細菌が皮膚に感染して起こる子どもによくみられる皮膚感染症です。虫刺されやあせも、湿疹、擦り傷などを掻き壊した部分から細菌が入り、水ぶくれやただれ、黄色いかさぶたが広がることがあります。
特に乳幼児から小学校低学年のお子さんに多く、汗をかきやすい夏に増える病気です。
多くは適切な治療で改善しますが、掻いた手を介して別の場所へ広がったり、家族や周囲のお子さんへ感染したりすることがあります。
この記事では、とびひとはどのような病気なのか、症状や原因、感染経路、検査、受診の目安について、小児科医がわかりやすく解説します。
とびひ(伝染性膿痂疹)とは?
とびひは、正式には**伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)**と呼ばれる、細菌による皮膚感染症です。
水ぶくれやただれから出た液に含まれる細菌が、手や爪を介して別の場所へ広がり、火事の「飛び火」のように次々と病変が増えることから、「とびひ」と呼ばれています。
主な原因は黄色ブドウ球菌や**溶血性レンサ球菌(溶連菌)**で、虫刺されやあせも、湿疹、擦り傷など、皮膚のバリア機能が低下した部分から感染します。
とびひの基本情報
項目内容正式名称伝染性膿痂疹主な原因菌黄色ブドウ球菌、溶血性レンサ球菌主な感染経路接触感染(患部や浸出液への接触)潜伏期間一般に2〜10日程度好発年齢主に乳幼児〜小学校低学年多い季節夏(高温多湿の時期)
とびひには2つのタイプがあります
とびひは、症状の違いによって大きく2つのタイプに分けられます。
水ぶくれができるタイプ(水疱性膿痂疹)
子どもで最も多いタイプです。
皮膚に小さな水ぶくれができ、破れるとジュクジュクしたただれになります。浸出液が周囲の皮膚についたり、掻いた手で別の場所を触ったりすることで、病変が次々と広がります。
かゆみを伴うことが多く、乳幼児に多くみられます。
厚いかさぶたができるタイプ(痂皮性膿痂疹)
赤みのある皮膚に膿や厚いかさぶたができるタイプです。
黄色〜はちみつ色のかさぶたがみられることがあり、水ぶくれが目立たない場合もあります。赤みや痛みが強く、発熱などの全身症状を伴うこともあります。
症状だけで原因菌を区別することはできず、黄色ブドウ球菌と溶血性レンサ球菌の両方が関係する場合があります。
とびひの主な症状
とびひでは、次のような症状がみられます。
- 赤い発疹
- 小さな水ぶくれ
- 水ぶくれが破れてジュクジュクする
- 黄色〜はちみつ色のかさぶた
- かゆみ
- 赤みや腫れ
- 痛み
- 発熱(重症の場合)
すべてのお子さんが同じ経過をたどるわけではありません。
水ぶくれが中心になることもあれば、赤みやかさぶたが目立つこともあります。
とびひはどこにできる?
とびひは全身どこにでもできますが、特に次の部位によくみられます。
- 鼻の下
- 鼻の入り口
- 口のまわり
- あご
- 首
- 腕や手
- 足
- 肘や膝
- おしり
特に子どもでは、鼻水でただれた鼻の周囲や、虫刺されを掻いた場所から始まることが少なくありません。
また、
- 虫刺され
- あせも
- アトピー性皮膚炎
- 湿疹
- 擦り傷
など、皮膚を掻き壊した部分は感染しやすくなります。
とびひの原因
とびひの原因となる細菌は主に2種類です。
黄色ブドウ球菌
皮膚や鼻の中にも存在することがある細菌です。
皮膚に傷ができると侵入し、水ぶくれができるタイプのとびひを起こしやすくなります。
溶血性レンサ球菌(溶連菌)
溶連菌は、のどの感染症だけでなく皮膚感染症の原因になることもあります。
赤みや炎症が強いタイプのとびひで検出されることがありますが、黄色ブドウ球菌との混合感染も少なくありません。
どうやって感染する?
とびひは接触感染によって広がります。
例えば、
- 患部を掻いた手で別の場所を触る
- 水ぶくれの液に触れる
- タオルや衣類を共用する
- 家族や友達の患部に触れる
などで感染することがあります。
一方で、空気感染や飛沫感染をする病気ではありません。
感染を広げないためには、
- 石けんで手を洗う
- 爪を短く切る
- タオルを共用しない
ことが大切です。
どのように診断するの?
多くの場合は、皮膚の状態や症状の経過を確認することで診断できます。
通常は特別な検査を行わないことがほとんどですが、
- 治療を始めても改善しない
- 繰り返し発症する
- 病変が広範囲にある
- 原因菌を詳しく調べる必要がある
場合には、患部の液を採取して細菌培養検査を行うことがあります。
こんなときは早めに受診しましょう
次のような症状がある場合は、小児科や皮膚科を受診してください。
- 水ぶくれが増えている
- ジュクジュクした発疹が広がっている
- 黄色いかさぶたが増えている
- 赤みや腫れが強い
- 痛みがある
- 発熱を伴う
- 顔や目の周囲に広がっている
- 市販薬を使っても改善しない
救急受診を検討する症状
通常のとびひは皮膚だけの病気ですが、まれに重い感染症へ進行することがあります。
次のような場合は、時間外や救急外来を含め、早めに医療機関を受診してください。
- 高熱が続く
- ぐったりしている
- 水分がほとんど飲めない
- 顔やまぶたが大きく腫れている
- 赤みや腫れが急速に広がる
- 強い痛みがある
みなとみらい小児科クリニックでよくご相談いただくこと
横浜市西区みなとみらいに位置するみなとみらい小児科クリニックは、新高島駅から徒歩8分、みなとみらい駅から徒歩10分の場所にあります。
当院では、
- 「虫刺されだと思っていたら急に広がった」
- 「鼻の下がジュクジュクしてきた」
- 「市販薬を塗っても良くならない」
- 「兄弟にうつらないか心配」
といったご相談を多くいただきます。
とびひと思って受診されたお子さんでも、実際には虫刺されやアトピー性皮膚炎、あせも、接触皮膚炎、単純ヘルペス感染症など、別の皮膚疾患であることもあります。
当院では皮膚の状態を丁寧に診察し、お子さん一人ひとりに適した治療をご提案しています。
とびひの治療
とびひは細菌による皮膚感染症です。治療では、患部を清潔に保つことと、症状に応じて抗菌薬を使用することが基本になります。
病変の数や広がり、発熱などの全身症状によって治療方法を選びます。皮膚の状態主な治療病変が少なく、範囲が狭い抗菌薬の塗り薬を使用することがあります病変の数が多い、広範囲に広がっている抗菌薬の飲み薬を使用することがあります発熱や強い赤み・腫れがある全身状態を確認し、内服治療などを検討します治療しても改善しない、繰り返す細菌培養検査や治療内容の見直しを検討します
処方された抗菌薬は、症状が良くなったように見えても自己判断で中止せず、医師から指示された回数と期間を守って使用してください。
以前処方された薬や、兄弟・家族の薬を使うことは避けましょう。
塗り薬の使い方
抗菌薬の塗り薬が処方された場合は、患部を清潔にしてから使用します。
一般的には、次の手順で塗ります。
- 石けんをよく泡立て、患部をやさしく洗う
- シャワーで石けんを十分に流す
- 清潔なタオルやガーゼで押さえるように水分を取る
- 医師の指示どおりに薬を塗る
- 必要に応じてガーゼなどで覆う
薬を厚く塗れば早く治るわけではありません。塗る量や回数、患部を覆う方法については、診察時の説明に従ってください。
家庭でできるケア
患部をやさしく洗いましょう
とびひでは、患部を不潔にしないことが大切です。
石けんをよく泡立て、手でやさしく洗いましょう。強くこすったり、ナイロンタオルなどで刺激したりする必要はありません。
かさぶたや水ぶくれを無理にはがすと、皮膚が傷つき、浸出液が周囲に付着して病変が広がることがあります。
爪を短く切りましょう
とびひは、患部を掻いた手や爪を介して別の場所へ広がります。
かゆみがあるときは、次の点を心がけてください。
- 爪を短く整える
- 手をこまめに洗う
- 患部を必要に応じてガーゼで覆う
- かゆみが強い場合は医師に相談する
掻き壊しが続く場合は、かゆみを抑える治療が必要になることもあります。
患部を覆うことがあります
水ぶくれが破れてジュクジュクしている部分は、必要に応じてガーゼなどで覆います。
患部を覆うことで、
- 掻き壊しを防ぐ
- 浸出液が衣類や周囲の物につくのを防ぐ
- 家族やほかのお子さんへの接触感染を減らす
ことが期待できます。
ただし、密閉しすぎると蒸れやすくなることがあります。ガーゼの種類や交換方法は、医師の説明に従ってください。
お風呂やシャワーはどうする?
発熱がなく元気であれば、シャワーで患部を洗って清潔に保つことが勧められます。
石けんをよく泡立て、患部をやさしく洗い流しましょう。
症状がある間は、長時間の入浴や家族と同じ湯船に入ることよりも、シャワーを利用する方が安心です。
タオルやスポンジは家族と共用せず、それぞれ別のものを使用してください。
家族や兄弟にうつさないために
とびひは、患部や浸出液に触れることで広がる接触感染が中心です。空気感染する病気ではありません。
家庭内での感染を防ぐため、次の点に注意しましょう。
- 患部を触った後は石けんで手を洗う
- タオルや衣類を共用しない
- 爪を短く保つ
- ガーゼを交換した後は手を洗う
- 兄弟同士で患部に触れないようにする
- 虫刺されや湿疹を掻き壊さないようにする
衣類や寝具は通常の洗濯で洗うことができます。家庭用の洗濯で、特別な消毒を必ず行う必要はありません。
プールに入っても大丈夫?
とびひは、プールの水そのものによって感染が広がる病気ではないと考えられています。
ただし、水ぶくれやジュクジュクした病変には細菌が含まれているため、患部への接触や、タオル・ビート板などの共用によって感染が広がる可能性があります。
また、こども家庭庁の「保育所における感染症対策ガイドライン」では、治癒するまで水遊びやプールを控えることが示されています。
プールへの参加については、次の点を確認してください。
- 新しい水ぶくれが増えていないか
- ジュクジュクした部分が残っていないか
- 患部を十分に覆えるか
- 園・学校・スイミングスクールの規定
- 主治医の判断
施設ごとにルールが異なるため、自己判断だけで参加を決めず、園や学校、スイミングスクールにも確認しましょう。
登園・登校の目安
とびひは、学校保健安全法で一律に出席停止となる病気ではありません。
適切な治療を開始し、次の条件を満たしている場合には、登園・登校できることがあります。
- 病変を塗り薬などで適切に処置している
- ジュクジュクした部分をガーゼなどで覆える
- 浸出液が衣類の外へしみ出さない
- 発熱や強い痛みがない
- 普段どおり集団生活を送れる
一方で、次のような場合は登園・登校を控え、自宅での療養が勧められます。
- 病変が広範囲に広がっている
- 浸出液が多く、患部を覆えない
- 新しい水ぶくれが次々に増えている
- 発熱や全身のだるさがある
- 強い痛みや腫れがある
園や学校によっては、医師の意見書や登園届が必要になる場合があります。施設のルールも確認してください。
とびひを予防する方法
とびひを完全に防ぐことは難しいものの、皮膚の傷や掻き壊しを減らすことが予防につながります。
- 手を清潔に保つ
- 爪を短く切る
- 虫刺されを掻き壊さない
- あせもや湿疹を早めに治療する
- アトピー性皮膚炎の治療を続ける
- 鼻水による鼻の下のただれをケアする
- タオルを家族で共用しない
皮膚のバリア機能が低下していると、細菌が入り込みやすくなります。湿疹が続いている場合は、とびひになる前に小児科や皮膚科へ相談しましょう。
とびひが治らないときは再診が必要です
治療を始めても改善がみられない場合は、再度医療機関を受診してください。
特に次のような場合は、治療内容の見直しが必要です。
- 数日たっても発疹が減らない
- 新しい水ぶくれやかさぶたが増える
- 赤みや腫れが広がっている
- 発熱が出てきた
- 薬を使用している部分がかぶれてきた
- 何度も繰り返している
原因菌が使用中の抗菌薬に効きにくい場合や、とびひ以外の皮膚疾患である場合もあります。必要に応じて、細菌培養検査や薬の変更を行います。
よくある質問
とびひは自然に治りますか?
小さな病変が自然に改善する場合もありますが、短期間で広がることがあります。
水ぶくれやジュクジュクした部分が増えている場合は、自然に治るのを待たずに受診しましょう。
市販薬だけで治せますか?
市販薬では原因となる細菌に十分対応できないことがあります。
また、虫刺され、湿疹、接触皮膚炎、単純ヘルペス感染症など、とびひと似た皮膚疾患もあります。市販薬を使用しても改善しない場合や、症状が広がる場合は受診してください。
兄弟にうつりますか?
患部や浸出液に触れた手、タオルなどを介して感染する可能性があります。
患部を覆い、手洗いを行い、タオルを共用しないようにしましょう。
何日くらいで治りますか?
病変の範囲や原因菌、治療への反応によって異なりますが、適切な治療によって多くは1〜2週間程度で改善します。
治療を始めても広がる場合や、数日たっても改善がみられない場合は再診してください。
一度治っても繰り返しますか?
とびひは、一度かかっても十分な免疫がつく病気ではないため、繰り返すことがあります。
虫刺されやあせも、アトピー性皮膚炎など、皮膚を掻く原因を適切に治療することも大切です。
かさぶたははがした方がよいですか?
ご家庭で無理にはがす必要はありません。
かさぶたを強くはがすと出血したり、周囲に浸出液がついたりすることがあります。石けんをよく泡立ててやさしく洗い、医師の指示どおりに薬を使用しましょう。
横浜市・みなとみらいで、とびひが心配な方へ
横浜市西区みなとみらいに位置するみなとみらい小児科クリニックは、新高島駅から徒歩8分、みなとみらい駅から徒歩10分の場所にあります。
当院では、とびひをはじめ、次のようなお子さんの皮膚トラブルを診療しています。
- 虫刺され
- あせも
- 湿疹
- アトピー性皮膚炎
- おむつかぶれ
- 接触皮膚炎
- その他の皮膚の赤みやかゆみ
「虫刺されだと思っていたら急に広がった」「薬を塗っても治らない」「兄弟にうつらないか心配」「登園やプールの判断に迷っている」など、お困りのことがありましたらご相談ください。
皮膚の状態を確認し、塗り薬や飲み薬の必要性、患部の洗い方、ガーゼの当て方、登園・プールの判断について、わかりやすくご説明します。
参考資料
- こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」
- 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 伝染性膿痂疹」
- 日本皮膚科学会・日本小児皮膚科学会・日本臨床皮膚科医会・日本小児感染症学会「皮膚の学校感染症に関する統一見解」
- 日本小児科学会
- 日本小児感染症学会
- 皮膚感染症に関する国内診療ガイドライン
公開日:2026年7月5日
更新日:2026年7月26日
監修:みなとみらい小児科クリニック院長
お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。
みなとみらい小児科クリニック


































