
水痘ワクチンとは?
1歳から始まる、みずぼうそうを予防する大切な定期接種
保護者の皆さまへ
お子さんが1歳を迎える頃になると、麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)や水痘ワクチンなど、新たな予防接種が始まります。
「みずぼうそうは、子どもの頃に自然にかかった方がよいのでは?」
「軽い病気と聞いたけれど、ワクチンは必要?」
「副反応が心配…」
このような疑問や不安を感じる保護者の方は少なくありません。
水痘は、一般に「みずぼうそう」と呼ばれる感染症です。多くのお子さんは回復しますが、強いかゆみや発熱だけでなく、皮膚の細菌感染、脱水、肺炎、髄膜炎、脳炎などの合併症を起こすことがあります。
水痘ワクチンは、水痘の発症を予防するとともに、発症した場合の重症化を防ぐために行われる大切な定期予防接種です。(厚生労働省)
水痘(みずぼうそう)とは?
水痘は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こる感染症です。
ウイルスは空気感染、飛沫感染、接触感染などによって広がり、家庭や保育園、幼稚園、学校などで流行することがあります。
感染後、一般に約2週間の潜伏期間を経て、次のような症状が現れます。
- 発熱
- 赤い発疹
- 水ぶくれ
- 強いかゆみ
- 食欲低下
- だるさ
発疹は赤い斑点から盛り上がった発疹、水ぶくれ、かさぶたへと変化します。新しい発疹が次々に現れるため、赤い発疹、水ぶくれ、かさぶたが同時にみられることも水痘の特徴です。
水痘は感染力が強く、すべての発疹がかさぶたになるまでは、周囲の人へ感染させる可能性があります。
水痘ワクチンとは?
水痘ワクチンは、水痘・帯状疱疹ウイルスの病原性を弱めて作られた注射生ワクチンです。
ワクチンを接種することで体内に水痘に対する免疫をつけ、次のような効果が期待できます。
- 水痘の発症を予防する
- 発症しても症状を軽くする
- 水痘による重い合併症を減らす
- 家庭や保育施設などでの感染拡大を抑える
2回接種しても水痘にかかることはありますが、接種後に発症した場合は、未接種で発症した場合と比べて発熱が軽く、発疹の数が少ないなど、比較的軽症となることが多いとされています。
なぜ水痘ワクチンが必要なのでしょうか?
水痘は「子どもなら誰でも一度はかかる軽い病気」と考えられていた時代もありました。
しかし、実際には高熱や全身の発疹によって水分や食事がとれなくなったり、皮膚をかき壊して細菌感染を起こしたりすることがあります。
また、頻度は高くありませんが、肺炎、髄膜炎、脳炎などを起こし、入院治療が必要になる場合もあります。免疫機能が低下している方、新生児、妊婦、成人などが感染すると、重症化する危険性が高くなることがあります。(厚生労働省)
水痘ワクチンの定期接種が始まった後は、水痘の患者数だけでなく、入院例や重症例も減少しています。
自然感染では、どの程度重症になるかを事前に予測することはできません。安全に免疫をつけ、水痘とその合併症からお子さんを守るためには、決められた時期にワクチンを接種することが大切です。
水痘ワクチンの目的
① 水痘の発症を予防する
水痘ワクチンを2回接種することで、多くのお子さんで水痘の発症を予防することが期待できます。
ただし、接種後も水痘に感染することはあるため、「接種すれば絶対にかからない」というわけではありません。
② 水痘の重症化を防ぐ
ワクチン接種後に水痘を発症した場合でも、一般に発熱が軽く、発疹が少ないなど、症状が軽く済むことが期待されます。
③ 水痘による合併症を減らす
水痘そのものを予防することで、皮膚の細菌感染や脱水、肺炎、髄膜炎、脳炎などの合併症を起こす可能性を減らします。
④ 周囲の重症化しやすい人を守る
ワクチン接種によって水痘の流行や感染機会が減ることで、まだワクチンを受けられない乳児や、免疫機能が低下している方、妊婦などへの感染リスクを減らすことも期待されます。
水痘と主な合併症
水痘ワクチンが直接予防する病気は、**水痘(みずぼうそう)**です。
水痘を予防することで、次のような合併症を減らすことが期待できます。
① 皮膚の細菌感染
水痘の発疹には強いかゆみがあります。
皮膚をかき壊すと、傷口から細菌が入り、とびひや蜂窩織炎などを起こすことがあります。傷あとが残ることもあります。
② 脱水
口の中にも発疹ができると、痛みのため水分や食事がとりにくくなることがあります。
高熱や食欲低下が重なることで、特に小さなお子さんでは脱水を起こすことがあります。
③ 肺炎
水痘に伴って肺炎を起こすことがあります。
呼吸が速い、息苦しそう、咳が強いなどの症状がみられる場合は、早めの診察が必要です。
④ 髄膜炎・脳炎
まれですが、水痘に伴って髄膜炎や脳炎を起こすことがあります。
強い頭痛、繰り返す嘔吐、けいれん、意識がぼんやりする、反応が悪いなどの症状がみられる場合は、速やかな受診が必要です。
⑤ 急性小脳失調症
水痘の経過中や回復する頃に、ふらつく、まっすぐ歩けない、手足をうまく動かせないなどの症状が現れることがあります。
多くは回復しますが、入院して経過をみることもあります。
水痘ワクチンの接種スケジュール
日本の定期接種では、水痘にかかったことのないお子さんを対象に、合計2回接種します。
定期接種の対象年齢
生後12か月から生後36か月に至るまで、つまり、原則として1歳の誕生日の前日から3歳の誕生日の前日までが対象です。(厚生労働省)
1回目
標準的には、生後12か月から15か月までに接種します。
1歳になるとMRワクチンやおたふくかぜワクチンなども接種時期を迎えるため、1歳になったら早めに小児科へ相談しましょう。
2回目
1回目から3か月以上の間隔をあけて接種します。
標準的には、1回目の接種から6〜12か月後に2回目を接種します。(厚生労働省)
2回接種することで、1回接種だけの場合より確実な免疫をつけ、水痘の発症や重症化を防ぐ効果を高めることが期待されます。
接種が遅れてしまった場合
予定していた時期に接種できなかった場合でも、最初からやり直す必要はありません。
ただし、定期接種として無料で受けられる年齢には期限があります。母子手帳で接種歴を確認し、できるだけ早めに小児科へご相談ください。
3歳を過ぎた場合でも、水痘にかかったことがなく、必要な回数を接種していないお子さんには、年齢に応じて任意接種が検討されます。
一度みずぼうそうにかかった場合も接種が必要ですか?
医師によって水痘と診断され、実際に水痘にかかったことが確認されている場合は、水痘に対する免疫を獲得していると考えられるため、基本的には定期接種の対象外です。(厚生労働省)
ただし、
- 発疹が少なく診断がはっきりしなかった
- 本当に水痘だったか分からない
- 接種歴と病歴が確認できない
といった場合は、自己判断せず小児科へご相談ください。
他のワクチンと同時接種できますか?
水痘ワクチンは、必要に応じて次のようなワクチンと同時接種できます。
- MRワクチン
- おたふくかぜワクチン
- 5種混合ワクチン
- 小児用肺炎球菌ワクチン
- B型肝炎ワクチン
- 日本脳炎ワクチン
- インフルエンザワクチン
同時接種は、接種のために何度も受診する負担を減らし、必要な時期に確実に免疫をつけるために行われます。
同時接種をせず、水痘ワクチンとMRワクチン、おたふくかぜワクチンなどの別の注射生ワクチンを異なる日に接種する場合は、原則として27日以上の間隔をあけます。(厚生労働省)
実際の組み合わせは、お子さんの年齢、体調、これまでの接種歴を確認して医師が判断します。
水痘ワクチンの副反応
水痘ワクチン接種後には、次のような反応がみられることがあります。
- 注射した部分の赤み
- 腫れ
- 痛み
- 発熱
- 不機嫌
- 発疹
多くは軽く、一時的なもので、自然に改善します。
生ワクチンのため、接種後しばらくしてから、少数の水痘に似た発疹が現れることがあります。発疹が広がる、発熱が続く、元気がないなどの症状がある場合は、接種した医療機関へご相談ください。
まれですが注意が必要な副反応
頻度は非常に低いものの、次のような副反応が報告されています。
- アナフィラキシーなどの強いアレルギー反応
- けいれん
- 血小板減少性紫斑病
- 重い皮膚症状
接種後に次のような症状がみられた場合は、速やかに医療機関を受診してください。
- 呼吸が苦しそう
- 顔や唇が腫れている
- 全身にじんましんが出た
- 顔色が悪い
- ぐったりして反応が悪い
- けいれんした
- 高熱が続いている
予防接種後は、急なアレルギー反応に備えて、医療機関で決められた時間、体調を観察します。
水痘ワクチンを接種できない場合・注意が必要な場合
水痘ワクチンは生ワクチンのため、次のような場合には接種できないことや、主治医による慎重な判断が必要になることがあります。
- 明らかな発熱がある
- 重い急性疾患にかかっている
- ワクチンの成分でアナフィラキシーを起こしたことがある
- 免疫機能に重い異常がある
- 免疫を抑える治療を受けている
- ステロイド薬や抗がん剤などを使用している
基礎疾患がある場合や、他院から薬を処方されている場合は、接種前に必ず医師へお伝えください。
よくある質問
Q. 少し鼻水が出ていますが接種できますか?
軽い鼻水や咳だけで、元気や食欲が保たれていれば接種できることがあります。
一方、高熱がある、呼吸が苦しそう、ぐったりしているなど、全身状態がよくない場合は延期することがあります。
接種当日に医師が診察し、安全に接種できるか判断します。
Q. 接種当日にお風呂へ入れますか?
体調がよければ入浴できます。
接種した部分を強くこすることは避けましょう。発熱や体調不良がある場合は、無理をせず安静にしてください。
Q. 接種後に保育園へ行けますか?
接種後の体調に問題がなければ、通常どおり登園できます。
ただし、発熱、ぐったりしている、食欲がないなどの症状がある場合は、ご自宅で様子をみましょう。
まとめ
水痘ワクチンは、水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こる水痘(みずぼうそう)を予防する定期予防接種です。
水痘は多くの場合回復する病気ですが、皮膚の細菌感染、脱水、肺炎、髄膜炎、脳炎などを起こすことがあり、必ずしも軽い病気とは限りません。
定期接種では、1歳から3歳になる前までに2回接種します。
- 1回目は標準的に生後12〜15か月
- 2回目は1回目から3か月以上あける
- 標準的には1回目から6〜12か月後
に接種します。
接種後も水痘にかかることはありますが、発症予防に加えて、発症した場合の重症化を防ぐ効果が期待されます。
副反応の多くは軽く一時的です。不安なことや接種スケジュールについて分からないことがあれば、一人で悩まず、かかりつけの小児科へご相談ください。
横浜市西区・中区・神奈川区で水痘ワクチン接種をご希望の方へ
みなとみらい小児科クリニックでは、1歳から始まる水痘ワクチンをはじめ、公費による定期予防接種や任意予防接種を積極的に行っています。
接種前には、小児科医が丁寧に問診と診察を行い、お子さんの体調、予防接種歴、これまでにかかった病気、服用している薬などを確認したうえで、安全に配慮して接種しています。
「1歳になったら、どのワクチンから受ければよい?」
「MRワクチンやおたふくかぜワクチンと同時接種できる?」
「水痘ワクチンの2回目を忘れてしまった」
「みずぼうそうにかかったか分からない」
「副反応が心配」
このようなご相談にも、お子さん一人ひとりの年齢や接種歴に合わせて、分かりやすくご説明します。
当院では、水痘ワクチンだけでなく、生後2か月から始まる予防接種全体のスケジュール相談、乳幼児健診、育児相談にも対応しています。
横浜市西区・中区・神奈川区、みなとみらい周辺で水痘ワクチンや子どもの予防接種をご希望の方は、お気軽にご相談ください。
参考資料
- 厚生労働省「水痘(みずぼうそう)定期予防接種」
- 厚生労働省「予防接種情報」
- 日本小児科学会「予防接種スケジュール」
- 日本小児科学会「予防接種に関する提言」
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS:旧 国立感染症研究所)「水痘(みずぼうそう)」
- 国立健康危機管理研究機構 感染症発生動向調査(IDWR)
- 日本環境感染学会「医療機関における感染対策」
- 水痘ワクチン添付文書(乾燥弱毒生水痘ワクチン)
- 予防接種に関するQ&A(厚生労働省)
- 予防接種ガイドライン2025年度版(公益財団法人予防接種リサーチセンター)
お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。
みなとみらい小児科クリニック


































