子どもの経口補水液(ORS)とは?脱水時の役割とスポーツドリンクとの違い

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2026.07.27

子どもの経口補水液(ORS)とは?脱水時の役割とスポーツドリンクとの違い

お子さんが嘔吐や下痢をすると、「何を飲ませればいい?」「水だけで大丈夫?」「スポーツドリンクでもいい?」と迷うことがあると思います。

経口補水液(ORS)は、脱水によって失われた水分と電解質を効率よく補うための飲み物です。

特に、急性胃腸炎による嘔吐や下痢で軽度から中等度の脱水がある場合には、経口補水液を使った「経口補水療法(ORT)」が重要な治療になります。

一方、健康な子どもが毎日飲むための飲み物ではありません。

どのようなときに必要なのかを知り、お子さんの状態に合わせて正しく使うことが大切です。

経口補水液(ORS)とは?

経口補水液(Oral Rehydration Solution:ORS)とは、水分と電解質を体内に吸収しやすい組成に調整した飲み物です。

主に、

  • 水分
  • ナトリウム
  • カリウム
  • クロール
  • ブドウ糖

などが含まれています。

日本では、感染性胃腸炎による下痢・嘔吐に伴う脱水時の水分・電解質補給を目的とした経口補水液が、消費者庁の「特別用途食品(病者用食品)」として許可されています。

一般的な清涼飲料水とは目的が異なるため、製品の表示を確認して使用することが大切です。

経口補水液はなぜ必要なの?

嘔吐や下痢では、水分だけでなくナトリウムなどの電解質も失われます。

電解質は、体内の水分バランスや神経、筋肉などの働きを保つために必要な成分です。

経口補水液には、ナトリウムとブドウ糖が適切な割合で含まれています。

小腸には、ナトリウムとブドウ糖を一緒に取り込む仕組みがあります。この働きを利用することで、水分も効率よく体内へ吸収されます。

そのため、嘔吐や下痢による脱水では、水だけを飲むよりも経口補水液が適している場合があります。

経口補水療法(ORT)とは?

経口補水療法(Oral Rehydration Therapy:ORT)とは、経口補水液を口から摂取して脱水を改善する治療法です。

子どもの急性胃腸炎による軽度から中等度の脱水では、適切な経口補水液を使った経口補水療法が第一選択とされています。

軽度から中等度の脱水では、失われた水分を補う目安として、体重1kgあたり50〜100mL程度を3〜4時間かけて補給する方法が示されています。

実際に必要な量は、お子さんの体重、脱水の程度、嘔吐や下痢の回数などによって異なります。

重い脱水が疑われる場合や、口から十分に水分を取れない場合には、経口補水だけでは十分でなく、点滴など別の治療が必要になることがあります。

子どもはなぜ脱水になりやすいの?

特に乳幼児は、大人よりも脱水が進みやすいため注意が必要です。

子どもには、

  • 体重に対する水分の割合が大きい
  • 水分の出入りが多い
  • 腎臓による水分や電解質の調節機能が発達途中である
  • 自分で必要な量の水分を飲むことが難しい
  • のどの渇きや体調の変化をうまく伝えられない

といった特徴があります。

特に乳児では、嘔吐や下痢が続くと脱水が進むことがあります。

水分を飲んだ量だけでなく、

  • 尿の回数や量が減っていないか
  • 口や唇が乾いていないか
  • 涙が出ているか
  • 元気があるか
  • ぐったりしていないか

など、お子さん全体の様子を確認することが大切です。

経口補水液はどんなときに使うの?

経口補水液は、水分と電解質が失われ、脱水が疑われるときに使用します。

嘔吐や下痢が続いているとき

感染性胃腸炎などで嘔吐や下痢が続くと、水分と電解質の両方が失われます。

経口補水液が特に役立つ代表的な場面です。

例えば、

  • 嘔吐や下痢が続いている
  • 食事や水分が十分に取れない
  • 尿がいつもより少ない
  • 口が乾いている

といった場合には脱水に注意します。

発熱しているとき

発熱があるだけで、必ず経口補水液が必要になるわけではありません。

水分を十分に飲めていて、尿も出ており、普段に近い元気がある場合には、水や麦茶、母乳、ミルクなどで水分を補えることがあります。

一方で、

  • 発熱に嘔吐や下痢を伴う
  • 水分が十分に取れない
  • 脱水が疑われる

場合には、経口補水液を使用することがあります。

熱中症が疑われるとき

軽い熱中症で意識がはっきりしており、自分で飲める場合には、涼しい場所へ移動して体を冷やしながら、水分と電解質を補うことが大切です。

ただし、市販されているすべての経口補水液が、熱中症による脱水への使用を表示できるわけではありません。

日本では、熱中症による脱水への使用について個別に表示許可された製品があります。使用する際は、製品の表示を確認しましょう。

経口補水液とスポーツドリンクは何が違うの?

経口補水液とスポーツドリンクは、目的と成分が異なります。

※成分は製品によって異なります。

スポーツドリンクは運動時などの水分補給を目的とした飲み物で、急性胃腸炎による脱水の治療を目的として調整された経口補水液とは異なります。

そのため、嘔吐や下痢による脱水が疑われる場合には、目的に合った経口補水液を選ぶことが大切です。

水や麦茶ではだめですか?

健康なときの日常的な水分補給には、水や麦茶で問題ありません。

一方、嘔吐や下痢による脱水では、水分と一緒に電解質も失われています。

脱水を改善する目的では、水や麦茶だけでは失われた電解質を十分に補えないため、経口補水液が適している場合があります。

つまり、

普段の水分補給は水や麦茶、脱水時の水分・電解質補給には経口補水液

と、目的を分けて考えることが大切です。

健康な子どもが毎日飲む必要はありません

経口補水液は、健康な子どもの日常的な水分補給を目的とした飲み物ではありません。

脱水がないときには、水や麦茶、母乳、ミルクなど、年齢に合った普段の飲み物を基本にします。

「体によさそうだから」「暑いから念のため」と毎日飲むのではなく、脱水など必要な場面で適切に使用することが大切です。

経口補水液の正しい飲ませ方

嘔吐があるときは、一度にたくさん飲ませず、少量ずつ繰り返すことが大切です。

一気に飲ませると、胃が刺激されて再び吐いてしまうことがあります。

目安として、まずは

  • 1回5〜10mL程度
  • 3〜5分ごと
  • スプーンなどを使って少しずつ

から始めます。

吐かずに飲めるようであれば、お子さんの様子を見ながら少しずつ量を増やしていきます。

必要な経口補水液の量は、体重や脱水の程度、嘔吐・下痢の回数などによって異なります。

「決められた量を何としても飲ませる」のではなく、少量ずつ継続することが重要です。

飲ませても吐いてしまったら?

吐いてしまった場合は、10分程度休ませてから、さらにゆっくり少量ずつ再開します。

一度吐いたからといって、すぐに経口補水を中止する必要はありません。

ただし、何度試しても吐いてしまう、水分をほとんど取れない場合には、小児科を受診してください。

母乳やミルクは続けても大丈夫?

母乳は基本的にそのまま続けて構いません。

母乳を飲める赤ちゃんでは、授乳を中止する必要はありません。

ミルクについても、通常は自己判断で薄める必要はありません。お子さんの状態に応じて、普段どおりの濃さで再開します。

経口補水液は水分と電解質を補うためのもので、母乳やミルクの代わりとなる栄養飲料ではありません。

乳児で嘔吐や下痢が続いている場合は、脱水が進みやすいため、飲めている量や尿の回数にも注意しましょう。

食事はいつから再開する?

水分が取れるようになり、嘔吐が落ち着いてきたら、年齢に応じた普段の食事を少しずつ再開します。

下痢が完全に止まるまで絶食する必要はありません。

食欲がない場合は無理に食べさせる必要はありませんが、食べられそうであれば少量から始めましょう。

「おかゆだけ」「うどんだけ」に長期間限定する必要もありません。

お子さんが食べられる範囲で、普段の食事へ戻していくことが基本です。

経口補水液を嫌がるときは?

経口補水液には電解質が含まれているため、普段の飲み物とは味が異なります。

嫌がる場合は、スプーンやコップなどを使い、少量ずつ飲みやすい方法を試してみましょう。

水やジュースなどを加えて自己判断で薄めることはおすすめできません。

経口補水液は、水分・電解質・糖質が一定の組成になるよう調整されています。薄めたり別の飲み物を混ぜたりすると、そのバランスが変わってしまいます。

ほとんど飲めない場合は、無理に続けず小児科へご相談ください。

経口補水液を使用するときの注意点

経口補水液は、健康な子どもが自由に大量に飲むための飲み物ではありません。

特に、

  • 心臓や腎臓の病気がある
  • 水分摂取量について指示を受けている
  • ナトリウムやカリウムの摂取制限がある
  • 糖質の摂取について指示を受けている

場合には、使用方法について主治医へ確認してください。

また、経口補水液として販売されている製品でも、表示されている用途や成分には違いがあります。

使用する製品の表示を確認し、その用途や使用方法に従うことが大切です。

開封後の保存方法や使用期限についても、製品ごとの表示に従ってください。

小児科を受診した方がよい症状

経口補水液を飲めていても、脱水が改善しない場合や原因となる病気の診察が必要な場合があります。

次のような様子がある場合は、小児科を受診しましょう。

  • 水分が十分に取れない
  • 嘔吐を繰り返している
  • 下痢の回数が多い
  • 尿の回数や量が明らかに減っている
  • 口や唇が乾いている
  • 涙が少ない
  • 元気がなくなってきた
  • 顔色が悪い
  • 強い腹痛がある
  • 発熱などほかの症状も強い
  • 乳児で嘔吐や下痢が続いている

特に乳幼児では、短時間で脱水が進むことがあります。

飲んだ量だけではなく、尿、顔色、元気、反応などを含めて全身の状態を見ることが重要です。

すぐに医療機関を受診した方がよい症状

次のような場合は、経口補水液だけで自宅で様子を見続けず、速やかに医療機関を受診してください。

  • 呼びかけへの反応が悪い
  • 意識がはっきりしない
  • ぐったりしている
  • 自分で水分を飲めない
  • 飲ませても繰り返し吐いてしまう
  • 尿がほとんど出ない
  • 顔色が非常に悪い
  • 強い腹痛が続く
  • 血便がみられる
  • 緑色のものを吐く
  • けいれんがある

重い脱水や全身状態の悪化がある場合には、点滴などの治療が必要になることがあります。

経口補水液についてよくある質問

Q. スポーツドリンクで代用できますか?

A. 完全な代用にはなりません。

経口補水液とは目的や電解質・糖質の組成が異なります。詳しくは「経口補水液とスポーツドリンクは何が違うの?」の項目をご覧ください。

Q. 健康なときも飲ませた方がよいですか?

A. 日常的に飲ませる必要はありません。

脱水がないときは、水や麦茶、母乳、ミルクなど年齢に合った普段の飲み物を基本にします。

Q. 赤ちゃんにも経口補水液を使えますか?

A. 脱水の状態などに応じて使用することがあります。

母乳は基本的に継続します。乳児は脱水が進みやすいため、嘔吐や下痢が続く、水分が取れない場合は早めに小児科へご相談ください。

Q. どのくらい飲めていれば安心ですか?

A. 飲んだ量だけでは判断できません。

尿が出ているか、元気があるか、口が乾いていないか、嘔吐や下痢が続いていないかなどを総合して判断します。

Q. 経口補水液を水で薄めてもよいですか?

A. 自己判断で薄めないでください。

水分、電解質、糖質が適切な組成になるよう調整されているため、製品に記載された方法で使用しましょう。

横浜市・みなとみらいで子どもの脱水が心配な方へ

みなとみらい小児科クリニックでは、乳児・幼児・学童期のお子さんの脱水について診療しています。

例えば、

  • 嘔吐や下痢が続いている
  • 水分が十分に取れない
  • 尿が少なくなってきた
  • 発熱して食事や水分が進まない
  • 経口補水液をどう飲ませればよいか分からない
  • 自宅で様子を見てよいのか迷っている

といった場合にもご相談いただけます。

診察では、嘔吐や下痢の回数、これまでに取れた水分量、尿量、口の乾燥、元気や顔色などを確認し、お子さんの脱水の程度や全身状態を評価します。

経口補水を続けられる状態なのか、点滴など別の治療が必要なのかについても、お子さん一人ひとりの状態に合わせて判断します。

横浜市西区みなとみらいをはじめ、中区・神奈川区など周辺地域で、お子さんの嘔吐・下痢や脱水が心配な場合はご相談ください。

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参考資料

  • 日本小児感染症学会・日本小児消化管感染症・免疫アレルギー研究会 監修「小児消化管感染症診療ガイドライン2024」
  • 消費者庁「特別用途食品について」
  • 消費者庁「経口補水液(けいこうほすいえき)について」
  • 消費者庁「特別用途食品たる経口補水液の適切な使用方法について」(2026年6月25日)
  • 日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン2024」
  • World Health Organization(WHO)“Oral Rehydration Salts: Production of the New ORS”
  • World Health Organization(WHO)“The Treatment of Diarrhoea: A Manual for Physicians and Other Senior Health Workers”
  • World Health Organization(WHO)“Guideline on Management of Pneumonia and Diarrhoea in Children up to 10 Years of Age”

記事情報

公開日:2026年7月27日
更新日:2026年9月7日

監修:みなとみらい小児科クリニック 院長

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