子どもの下痢|原因・症状・危険なサイン・受診の目安を小児科医が解説

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2026.09.06

子どもの下痢|原因・症状・危険なサイン・受診の目安を小児科医が解説

まず知ってほしいこと

子どもの下痢の多くは、感染性胃腸炎などでみられます。

大切なのは便の回数だけでなく、水分が取れているか、おしっこが出ているか、元気があるかを見ることです。

血便、強い腹痛、緑色の嘔吐、ぐったりしているなどの症状がある場合は、早めの受診が必要です。

子どもの下痢は、小児科でよくみられる症状のひとつです。

多くはウイルスなどによる感染性胃腸炎に伴って起こります。しかし、下痢=感染性胃腸炎とは限りません。

食物との関係、薬の影響、腸の炎症など、感染症以外が原因になることもあります。

特に乳幼児では、下痢や嘔吐によって体の水分や塩分が失われ、脱水を起こすことがあります。

便の回数だけではなく、

  • 水分が取れているか
  • おしっこが出ているか
  • 元気があるか
  • 嘔吐や発熱があるか
  • 血便がないか
  • 強い腹痛がないか

など、お子さん全体の様子を見ることが大切です。

子どもの下痢とは?

下痢とは、普段より便がやわらかく、水分の多い便が増えている状態です。

一般的には、

24時間に3回以上の軟便・水様便が出ること、または普段より明らかに便の回数が増えること

が下痢の目安とされています。

ただし、赤ちゃん、とくに母乳を飲んでいる赤ちゃんは、もともと便がやわらかく、回数も多いことがあります。

そのため、

  • 急に便が水っぽくなった
  • 普段より便の回数が増えた
  • 嘔吐や発熱を伴っている
  • 元気や食欲が低下している

など、いつもの便との違いを確認することが重要です。

急性下痢と持続性下痢

下痢がどのくらい続いているかは、原因を考えるうえで大切な情報です。

急性の下痢では感染性胃腸炎がよくみられます。

一方、下痢が長く続く場合には、感染症の経過だけでなく、消化・吸収の問題や腸の炎症なども含めて評価することがあります。

子どもの下痢の主な原因

子どもの下痢には、さまざまな原因があります。

最も多くみられる原因のひとつが感染性胃腸炎です。

感染症による下痢

感染性胃腸炎は、ウイルス、細菌、寄生虫などが消化管に感染して起こります。

主な感染経路は、病原体が便などを介して口に入る糞口感染や、汚染された食品・水を介した感染です。

家族や保育園・幼稚園などで同じような嘔吐や下痢がみられている場合は、感染性胃腸炎を考える手がかりになります。

病原体によって潜伏期間は異なります

感染してから症状が出るまでの期間を潜伏期間といいます。

代表的な例では、

  • ノロウイルス:およそ24〜48時間
  • ロタウイルス:およそ1〜2日
  • 腸管アデノウイルス:およそ3〜10日

とされています。

そのため、「前日に食べたものが必ず原因」とは限りません。

感染症以外でも下痢は起こります

感染症以外にも、子どもの下痢を起こす病気があります。

原因特徴の例薬剤による下痢抗菌薬などの使用中に下痢がみられることがある食物蛋白誘発胃腸症乳児を中心に、特定の食物に関連して嘔吐、下痢、血便などが出ることがある炎症性腸疾患下痢や血便、腹痛が続き、体重増加不良を伴うことがある消化・吸収の異常下痢が長引いたり、体重が増えにくくなったりすることがある

年齢や症状、食事との関係、症状が続いている期間などによって考える病気は変わります。

下痢と一緒にみられやすい症状

感染性胃腸炎などでは、下痢以外にも次のような症状がみられることがあります。

  • 嘔吐
  • 発熱
  • 腹痛
  • 食欲低下
  • 元気がない
  • 血液や粘液が便に混じる

ウイルス性胃腸炎では水のような便がみられることがあります。

細菌性腸炎では、血液や粘液が混じることがあります。

ただし、便の色や見た目だけで、ウイルス性か細菌性かを確実に判断することはできません。

下痢で注意したいのは脱水です

下痢や嘔吐が続くと、水分だけでなく、ナトリウムやカリウムなどの電解質も失われます。

特に乳幼児は体が小さいため、大人より脱水が進みやすいことがあります。

そのため、下痢の診察では、便の回数だけではなく、水分が取れているか、おしっこが出ているか、元気や反応が保たれているかを確認します。

家庭で確認したい具体的な脱水のサインや受診の目安についても、続けて詳しく説明します。

下痢のときに考える病気

下痢があるからといって、すべてが感染性胃腸炎とは限りません。

年齢や症状によっては、

  • 腸重積
  • 虫垂炎などの腹部の病気
  • 食物蛋白誘発胃腸症
  • 炎症性腸疾患
  • 薬剤による下痢
  • 消化・吸収の異常

なども考えます。

特に、

  • 強い腹痛
  • おなかの強い張り
  • 緑色の嘔吐
  • 血便
  • 意識や反応の変化

などがある場合には、感染性胃腸炎以外の病気も考える必要があります。

これらの症状があるからといって特定の病気と決まるわけではありませんが、診断上大切な情報です。

子どもの下痢はどのように診断する?

子どもの下痢では、まず症状とこれまでの経過を詳しく確認することが診断の基本です。

診察では、

  • いつから下痢が始まったか
  • 1日の便の回数
  • 水様便か、血液や粘液が混じっているか
  • 嘔吐や発熱があるか
  • 水分が取れているか
  • おしっこが出ているか
  • 腹痛があるか
  • 家族や園で同じ症状の人がいるか
  • 最近食べたもの
  • 海外渡航歴
  • 使用している薬
  • 特定の食物との関係

などを確認します。

あわせて、元気や反応、口の中の乾燥、脈拍などを確認し、脱水や全身状態を評価します。

当院で下痢のお子さんを診察するときに大切にしていること

みなとみらい小児科クリニックでは、便の回数だけで下痢の重症度を判断しないことを大切にしています。

診察では、

  • 水分がどのくらい取れているか
  • おしっこが普段どおり出ているか
  • 元気や反応が保たれているか
  • 嘔吐や発熱を伴っているか
  • 強い腹痛がないか
  • 血便がないか

などを合わせて確認します。

また、感染性胃腸炎だけでなく、年齢や症状に応じて、腸重積など別の病気が隠れていないかも意識して診察します。

可能であれば、便の色や状態が分かる写真も診察の参考になります。

「下痢の回数はそれほど多くないけれど元気がない」「いつもの胃腸炎と様子が違う」と感じる場合も、遠慮なくご相談ください。

下痢では毎回検査が必要とは限りません

子どもの下痢では、すべてのお子さんに便検査や血液検査が必要なわけではありません。

症状や診察所見から感染性胃腸炎が考えられ、全身状態が良い場合には、経過をみながら診断することもあります。

一方、

  • 血便がある
  • 下痢が長く続いている
  • 海外渡航後に発症した
  • 症状が強い
  • 診断がはっきりしない
  • 重い感染症が疑われる
  • 基礎疾患などがあり慎重な評価が必要

といった場合には、便検査や血液検査などを検討することがあります。

大切なのは、下痢の回数だけではありません。

便の性状、症状の経過、嘔吐や発熱の有無、脱水の程度、お子さんの全身状態を合わせて判断します。

子どもが下痢をしているときの家庭での対応

子どもの下痢で家庭で最も大切なのは、脱水を防ぎながら、お子さんの全身状態を見ることです。

特に、水分が取れているか、おしっこが出ているか、元気や反応に変化がないかを確認してください。

水分は少量ずつ、こまめに

下痢や嘔吐があるときは、一度にたくさん飲ませるよりも、少量ずつ何回にも分けて水分を取らせる方法が適しています。

下痢や嘔吐によって水分と電解質が失われている場合は、経口補水液が適しています。

スポーツドリンクやジュースは経口補水液とは成分が異なり、脱水時の水分補給として同じように使用できるわけではありません。

母乳を飲んでいる赤ちゃんは、基本的に母乳を続けることができます。

食べられるようであれば、無理に絶食せず、体調に合わせて普段の食事へ戻していきます。

下痢のときに家庭で確認したい脱水のサイン

次のような変化がないか確認してください。

  • おしっこの回数や量が減っている
  • 口や唇が乾いている
  • 涙が少ない
  • 目がくぼんで見える
  • いつもより不機嫌
  • ぐったりしている
  • 水分を飲みたがらない、または飲めない

1歳未満、特に生後6か月未満の乳児は、脱水になりやすいため注意が必要です。

小児科を受診した方がよい下痢の目安

元気があり、水分が取れ、おしっこも出ている軽い下痢であれば、家庭で様子をみられることもあります。

一方、次のような場合は小児科へご相談ください。

  • 下痢の回数が多い
  • 嘔吐も繰り返している
  • 水分が十分に取れない
  • おしっこが減っている
  • 発熱を伴っている
  • 腹痛が続いている
  • 血液や粘液が便に混じる
  • 下痢が改善せず長く続いている
  • 元気や食欲が戻らない
  • 体重が減っている
  • 乳児で普段と明らかに便の状態が違う

特に生後3か月未満の赤ちゃんでは、症状が軽く見えても慎重な評価が必要です。

また、生後3か月未満で38℃以上の発熱がある場合は、早めに医療機関を受診してください。

すぐに医療機関へ相談・受診したい症状

次のような症状がある場合は、診療時間を待たずに医療機関への相談・受診を検討してください。

呼びかけへの反応が乏しい、意識がおかしい、呼吸状態が悪い、顔色が著しく悪いなどの場合は、救急要請が必要になることがあります。

血便がみられたときは?

血便には、肛門が切れて少量の血液が付くものから、腸の病気までさまざまな原因があります。

下痢と血便を伴う場合には、

  • 細菌性腸炎
  • 腸管出血性大腸菌感染症
  • 腸重積
  • 食物蛋白誘発胃腸症
  • 炎症性腸疾患

などを考えることがあります。

特に、強い腹痛を伴う、血便を繰り返す、ぐったりしている、尿が減っている場合は早めに受診してください。

保育園・幼稚園はいつから行ける?

ウイルス性胃腸炎では、一般的に

嘔吐や下痢がおさまり、普段の食事が取れるようになっていること

が登園の目安です。

症状が治まったあとも便の中にウイルスが排出されることがあるため、登園後も手洗いを続けることが大切です。

ただし、腸管出血性大腸菌感染症など、病気によって登園基準が異なることがあります。

園によって登園届などの運用が異なる場合もあるため、必要に応じて園へ確認してください。

家族にうつさないためにできること

感染性胃腸炎が疑われる場合には、家庭内感染を防ぐことも大切です。

  • トイレの後は石けんと流水で手を洗う
  • おむつ交換後はしっかり手を洗う
  • 調理や食事の前に手を洗う
  • 吐いたものや便は早めに処理する
  • 処理するときは使い捨て手袋などを使用する
  • タオルの共用を避ける

ノロウイルスなどでは、吐物や便に多くのウイルスが含まれることがあります。

汚染した場所の消毒には、必要に応じて次亜塩素酸ナトリウムを使用します。使用時は製品の注意事項を確認し、酸性の洗剤などと混ぜないでください。

よくある質問

Q. 下痢だけで元気があります。受診した方がよいですか?

水分が取れ、おしっこが出ていて元気がある場合は、家庭で様子をみられることもあります。

ただし、乳児、血便がある場合、下痢が長引く場合、元気がなくなってきた場合はご相談ください。

Q. 下痢のときは食事を止めた方がよいですか?

一律に絶食する必要はありません。

水分が取れ、食べられるようであれば、体調に合わせて食事を取ることができます。母乳も基本的に続けられます。

Q. スポーツドリンクでも大丈夫ですか?

脱水が疑われる場合は、経口補水液が適しています。

スポーツドリンクは経口補水液と糖分や電解質の濃度が異なるため、同じものではありません。

Q. 便が白いとロタウイルスですか?

ロタウイルス感染症で白っぽい便がみられることはありますが、便の色だけでロタウイルスと診断することはできません。

Q. 市販の下痢止めを飲ませてもよいですか?

子どもの下痢では原因によって対応が異なります。

自己判断で下痢止めを使用せず、小児科や薬剤師へご相談ください。

横浜市・みなとみらいで子どもの下痢が心配な方へ

みなとみらい小児科クリニックでは、乳児・幼児・学童期のお子さんの下痢について診療を行っています。

たとえば、

  • 急に下痢が始まった
  • 嘔吐や発熱もある
  • 水分が取れているか心配
  • 血便が出た
  • 下痢がなかなか改善しない
  • 保育園に行ってよいか迷っている

といった場合もご相談ください。

**「いつもと様子が違う」「家で見ていて大丈夫か分からない」**という場合も、気になることがあれば小児科へご相談ください。

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参考資料

  • 厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」
  • 厚生労働省「上手な医療のかかり方」小児の嘔吐・下痢に関する資料
  • こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」
  • 日本小児科学会「こどもの救急」
  • 日本小児科学会「腸管出血性大腸菌感染症」
  • 日本小児科学会「ロタウイルス感染症」
  • 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト「感染性胃腸炎」
  • 日本小児栄養消化器肝臓学会 関連ガイドライン
  • 日本小児アレルギー学会 消化管アレルギー関連資料
  • WHO「Diarrhoeal disease」
  • NICE「Diarrhoea and vomiting caused by gastroenteritis in under 5s」

公開日:2026年9月6日
更新日:2026年9月6日
監修:みなとみらい小児科クリニック 院長

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