
子どもの腹痛|原因・症状・考えられる病気・小児科での診断を解説
子どもの腹痛は、小児科でよくみられる症状のひとつです。
便秘や感染性胃腸炎など比較的よくみられる原因がある一方で、虫垂炎や腸重積など、早めの診断が必要な病気が隠れていることもあります。
また、おなか以外の病気でも腹痛が起こることがあります。
「急におなかを痛がり始めた」
「何度もおなかが痛いと言う」
「腹痛と一緒に吐いている」
「便秘なのか、別の病気なのか分からない」
このようなとき、保護者の方だけで原因を判断するのは簡単ではありません。
特に乳幼児は、痛む場所や痛み方をうまく言葉にできません。
腹痛だけを見るのではなく、元気があるか、食事や水分が取れているか、発熱・嘔吐・下痢・血便などを伴っていないかを一緒に確認することが大切です。
子どもの腹痛とは?
腹痛とは、みぞおち、おへその周り、下腹部など、おなかに感じる痛みや不快感のことです。
腹痛には、
- 突然始まる
- 数時間から数日続く
- 痛くなったり治まったりする
- 数週間から数か月にわたって繰り返す
など、さまざまな経過があります。
原因も胃や腸だけではありません。
尿路や腎臓、呼吸器、全身の病気などが腹痛として現れることがあります。
また、検査で明らかな炎症や構造上の異常がみつからなくても、腹痛を繰り返すことがあります。
こうした腹痛の一部には、**機能性腹痛症など「脳腸相関の障害」**が関係します。
これは「気のせい」という意味ではありません。
腸の動きや痛みの感じ方など、さまざまな要因が関係して症状が起こると考えられています。
子どもは腹痛をうまく説明できないことがあります
子どもの腹痛は、年齢によって現れ方や訴え方が異なります。
乳児
乳児は「おなかが痛い」と言葉で伝えることができません。
そのため、
- 突然激しく泣く
- 不機嫌になる
- 足をおなかに引きつける
- ミルクや食事を嫌がる
- 嘔吐する
- 顔色が悪くなる
などがみられることがあります。
幼児
「おなかが痛い」と言えるようになっても、痛む場所や痛み方を正確に伝えることが難しいことがあります。
痛む場所だけで原因を判断せず、全身状態やほかの症状を合わせて確認します。
学童期以降
年齢が上がるにつれて、痛む場所や症状の経過を説明できることが増えてきます。
それでも、痛む場所だけで病気を診断することはできません。
腹痛が始まった時期やほかの症状、診察所見を合わせて判断します。
子どもの腹痛で考えられる主な原因・病気
腹痛を起こす病気は非常に多くあります。
代表的なものをまとめると、次のようになります。

原因・病気主な特徴便秘硬い便、排便回数の減少、排便時の痛みなどを伴うことがある感染性胃腸炎嘔吐、下痢、発熱などを伴うことがある虫垂炎腹痛が続き、時間とともに痛みが強くなることがある腸重積強い腹痛を繰り返し、嘔吐や血便を伴うことがある尿路感染症発熱、腹痛、排尿時の痛みなどを伴うことがあるIgA血管炎腹痛、関節痛、紫色の発疹などがみられることがある食物アレルギー特定の食物を食べたあとに腹痛や嘔吐などが起こることがある機能性腹痛症など腹痛を繰り返すが、検査で明らかな器質的疾患が確認されないことがある
これら以外にも多くの病気があります。
症状だけで原因を決めつけず、経過をみながら判断することが重要です。
便秘による腹痛
便秘は、子どもの腹痛で確認することの多い原因のひとつです。
- 数日便が出ていない
- 硬い便が出る
- 排便時に痛がる
- 排便すると腹痛が軽くなる
などがみられることがあります。
ただし、腹痛があるからといって便秘と決めつけることはできません。
強い痛みや嘔吐などがある場合は、別の病気も考える必要があります。
感染性胃腸炎による腹痛
ウイルスや細菌などによって胃や腸に炎症が起こると、
- 腹痛
- 嘔吐
- 下痢
- 発熱
- 食欲低下
などがみられることがあります。
家族や園・学校で、同じような症状の人がいることも診断の参考になります。
虫垂炎
虫垂炎は、一般に「盲腸」と呼ばれることのある病気です。
初めはおへその周囲などを痛がり、その後、右下腹部の痛みが目立ってくる場合があります。
ただし、子どもでは典型的な症状や経過を示さないこともあります。
痛む場所だけで虫垂炎かどうかを判断することはできません。
腸重積
腸重積は、腸の一部が隣接する腸の中へ入り込む病気です。
特に乳幼児では注意が必要です。
- 突然激しく泣く
- 強い腹痛を繰り返す
- 嘔吐する
- 顔色が悪くなる
- 血便がみられる
などが起こることがあります。
これらの症状がすべてそろうとは限りません。
尿路感染症
尿路感染症は、腎臓や膀胱など尿の通り道に細菌が感染する病気です。
年長児では、
- 腹痛
- わき腹や背中の痛み
- 排尿時の痛み
- 頻尿
- 発熱
などがみられることがあります。
一方、乳幼児では症状がはっきりせず、発熱、哺乳不良、食欲低下、不機嫌などが手がかりになることがあります。
IgA血管炎
IgA血管炎は、全身の細い血管に炎症が起こる病気です。
- 腹痛
- 関節痛
- 主に下肢にみられる紫色の発疹
などが特徴です。
腹痛が先に現れ、その後に発疹が出てくる場合もあります。
そのため、症状の経過を確認することが大切です。
食物アレルギーと腹痛
食物アレルギーでは、特定の食物を摂取したあとに、
- 腹痛
- 嘔吐
- 下痢
などの消化器症状が現れることがあります。
じんましん、顔や唇の腫れ、咳、ゼーゼーなどを伴う場合もあります。
ただし、腹痛があるだけで食物アレルギーと診断することはできません。
何を食べたか、食べてから症状が出るまでの時間、同じ食物で同様の症状を繰り返すかなどを確認して判断します。
おなか以外の病気でも腹痛は起こります
腹痛の原因は消化器の病気だけではありません。
たとえば、
- 肺炎などの呼吸器疾患
- 尿路結石など泌尿器の病気
- 糖尿病性ケトアシドーシスなどの代謝性疾患
- 男児の精巣捻転など陰嚢の病気
- 女児の卵巣などに関係する病気
などでも腹痛がみられることがあります。
また、まれに川崎病など、全身に炎症を起こす病気で腹痛を伴うこともあります。
頻度は原因によって大きく異なります。
診察では、腹痛以外の症状も確認しながら必要な病気を考えていきます。
小児科では腹痛をどのように診断する?
子どもの腹痛では、診察時の症状だけでなく、それまでの経過を確認することが重要です。
診察では、
- いつから痛いか
- 突然始まったか
- 痛みが続くか、波があるか
- どこを痛がるか
- 発熱があるか
- 嘔吐や下痢があるか
- 最後に便が出たのはいつか
- 血便がないか
- 食事や水分が取れているか
- 排尿時の痛みなどがないか
- 発疹がないか
などを確認します。
おなかを診察し、痛む場所、おなかの張りや硬さなども確認します。
必要に応じて、
- 尿検査
- 血液検査
- 便検査
- 腹部超音波検査
などを検討します。
すべてのお子さんにすべての検査を行うわけではありません。
年齢、症状、診察所見、これまでの経過などから、必要な検査を選びます。
また、子どもの腹痛は、一度の診察だけでは原因を特定できないこともあります。
そのため、診察後も症状の変化を確認し、必要に応じて再度評価することが大切です。
子どもが腹痛を訴えたときの家庭での対応
子どもが腹痛を訴えたときは、痛みだけでなく、お子さん全体の様子を見ることが大切です。
元気があり、水分が取れていて、痛みが短時間で軽くなる場合は、家庭で様子をみられることもあります。
一方で、腹痛が強い、繰り返す、嘔吐や血便を伴うなどの場合は、早めの受診が必要です。
家庭で確認したいポイント
受診するか迷うときは、次のような点を確認してみてください。
- いつから痛いか
- 痛みは続いているか、波があるか
- どこを痛がっているか
- 発熱があるか
- 嘔吐や下痢があるか
- 最後に便が出たのはいつか
- 便が硬くないか
- 血便がないか
- 水分が取れているか
- おしっこが出ているか
- 発疹がないか
- 普段どおり歩いたり遊んだりできるか
- 顔色や機嫌が普段と違わないか
嘔吐物や便の色・状態が気になる場合は、可能であればスマートフォンで写真を撮っておくと、診察時の参考になることがあります。
腹痛があるときの食事と水分
腹痛が軽く、吐いていない場合は、無理のない範囲で水分を取らせます。
食欲がないときは、無理に食事を進めず、まず水分摂取を優先します。
嘔吐している場合は、一度にたくさん飲むと再び吐いてしまうことがあります。
経口補水液などを、少量ずつ、何回かに分けて飲ませる方法があります。
ただし、
- 水分をほとんど取れない
- 飲んでも繰り返し吐く
- おしっこの回数が明らかに減っている
- 口の中が乾いている
- ぐったりしている
といった場合は、脱水の可能性もあるため受診してください。
小児科を受診した方がよい腹痛
腹痛の強さだけで、病気の重さを判断することはできません。
次のような場合は、小児科への受診を検討してください。
- 腹痛がなかなか治まらない
- 腹痛を何度も繰り返す
- 時間とともに痛みが強くなる
- 発熱を伴っている
- 嘔吐や下痢を繰り返している
- 特定の場所を強く痛がる
- 便秘が続き、おなかの張りや痛みがある
- 排尿時に痛がる
- おしっこの回数が少ない
- 食事や水分が十分に取れない
- 発疹を伴っている
- 夜間に痛みで目を覚ますことを繰り返す
- 体重減少など、普段と違う変化がある
一度診察を受けていても、
- 痛みが強くなった
- 痛む場所が変わった
- 新しい症状が出てきた
- 元気がなくなってきた
といった変化がある場合は、再度受診してください。
すぐに受診・救急受診を考える腹痛
次のような症状がある場合は、早急に医療機関で評価を受ける必要があります。

症状注意する理由激しい腹痛で苦しがっている腸重積、虫垂炎、腸閉塞など緊急性のある病気の可能性がある強い腹痛を繰り返し、そのたびにぐったりする腸重積などを確認する必要がある嘔吐が止まらない脱水や腸の病気などを確認する必要がある緑色の嘔吐がある腸閉塞などの可能性がある血便がある腸重積や腸炎などを確認する必要があるおなかが強く張っている腸の通過障害などの可能性がある顔色が悪く、ぐったりしている全身状態が悪化している可能性がある意識がいつもと違う緊急性の高い状態の可能性がある腹痛と陰嚢の痛み・腫れがある精巣捻転など緊急性のある病気の可能性がある腹部を強くぶつけたあとに強い痛みがある内臓損傷などを確認する必要がある
特に、激しい腹痛、止まらない嘔吐、血便、意識がおかしい、ぐったりしているなどの場合は、夜間や休日でも早めの受診を検討してください。
状態が非常に悪い場合は、119番への連絡が必要になることがあります。
横浜市・神奈川県では、受診や救急車を呼ぶか迷ったときに、**かながわ救急相談センター「#7119」**へ相談することもできます。
子どもの症状については、**こどもの救急電話相談「#8000」**も利用できます。
腹痛を何度も繰り返す場合
子どもの中には、数週間から数か月にわたって腹痛を繰り返すことがあります。
その場合は、
- いつ痛くなるか
- 排便との関係
- 食事との関係
- 学校や園での様子
- 睡眠
- 痛みで生活にどの程度支障が出ているか
- 体重が増えているか
などを確認します。
便秘などの原因が隠れていることもあれば、検査で明らかな異常がみつからない機能性腹痛症などの脳腸相関の障害が関係している場合もあります。
大切なのは、「検査で異常がないから痛くない」ということではないという点です。
一方で、最初から「ストレスのせい」と決めつけることも適切ではありません。
症状や経過を確認し、必要な病気を除外したうえで総合的に判断します。
腹痛があっても登園・登校してよい?
腹痛そのものに、一律の登園・登校禁止期間はありません。
原因となる病気、お子さんの全身状態、園や学校の基準によって判断します。
登園・登校を考える際には、
- 普段に近い状態で活動できる
- 食事や水分が取れている
- 嘔吐を繰り返していない
- 頻回の下痢がない
- 強い腹痛が続いていない
といった点が参考になります。
ただし、感染性胃腸炎など感染症が原因の場合は、それぞれの病気や園・学校の基準に沿った判断が必要です。
無理に登園・登校させず、体調を優先してください。
よくある質問
Q. 腹痛だけでも小児科を受診してよいですか?
はい。
腹痛だけでも受診して問題ありません。
特に乳幼児は痛む場所や症状を正確に伝えることが難しいため、「いつもと違う」「原因が分からない」と感じた段階で相談していただいて構いません。
Q. 朝、学校へ行く前になると腹痛を訴えます。病気でしょうか?
便秘や睡眠、食事など身体的な原因が関係していることがあります。
また、機能性腹痛症などでは、生活環境や心理社会的な要因が症状に影響することもあります。
ただし、最初から「学校が嫌だから」「ストレスだから」と決めつけることはできません。
腹痛を繰り返す場合は、小児科で一度相談してください。
Q. 食後によくおなかが痛くなります。食物アレルギーでしょうか?
食後に腹痛があるだけでは、食物アレルギーとは判断できません。
食物アレルギーでは、特定の食べ物を摂取したあとに繰り返し症状が出るか、嘔吐、じんましん、咳、ゼーゼーなどほかの症状を伴うかなども重要です。
気になる場合は、自己判断で食事を除去せず、小児科やアレルギー診療を行う医療機関へ相談してください。
Q. 腹痛があるときに市販の痛み止めを使ってもよいですか?
腹痛の原因によって対応が異なります。
また、年齢や体重によって使用できる薬や量も異なります。
原因が分からない強い腹痛に対して自己判断で薬を使用するよりも、まず医療機関へ相談することをおすすめします。
当院で腹痛を診察するときに大切にしていること
子どもの腹痛では、診察した時点の症状だけでは、原因をすぐに特定できないことがあります。
たとえば、最初はおへその周りを痛がっていたのに、その後に痛む場所が変わったり、数時間たってから発熱や嘔吐が出てきたりすることもあります。
みなとみらい小児科クリニックでは、現在のおなかの状態だけでなく、
- いつから腹痛が始まったか
- 痛みがどのように変化しているか
- 発熱や嘔吐、下痢があるか
- 便がいつ出たか
- 食事や水分が取れているか
- おしっこが普段どおり出ているか
- 元気や機嫌が普段と比べてどうか
など、症状が始まってからの経過を確認することを大切にしています。
一度の診察で明らかな異常がなくても、その後の経過によって再評価が必要になることがあります。
そのため、診察時には保護者の方にも、**「どのような変化があったら再度受診するべきか」**をできるだけ分かりやすくお伝えするようにしています。
横浜市西区・みなとみらいで子どもの腹痛が心配な方へ
横浜市西区みなとみらいの、みなとみらい小児科クリニックでは、乳児・幼児・学童期のお子さんの腹痛について診療を行っています。
たとえば、
- 急におなかを痛がり始めた
- 腹痛と一緒に吐いている
- 下痢や発熱もある
- 便秘が続いている
- 腹痛を何度も繰り返す
- 朝になるとおなかが痛くなる
- 受診した方がよいのか分からない
といった場合もご相談ください。
腹痛の原因を、保護者の方だけで判断する必要はありません。
「いつもと様子が違う」「痛みが続いている」「受診するべきか迷う」
そのようなときも、お気軽にご相談ください。
必要に応じて検査を行い、さらに詳しい検査や専門的な診療が必要と判断した場合には、連携する医療機関への紹介を検討します。
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参考資料
- 厚生労働省「上手な医療のかかり方」
- 日本小児科学会「こどもの救急」
- 日本小児栄養消化器肝臓学会 診療ガイドライン・指針
- 日本小児栄養消化器肝臓学会・日本小児消化管機能研究会「小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン2025」
- 日本小児心身医学会 診療ガイドライン
- 日本小児泌尿器科学会 尿路感染症に関する一般向け情報
- 日本小児アレルギー学会 診療ガイドライン・一般向け情報
- 横浜市 小児救急・救急相談に関する情報
公開日: 2026年9月6日
更新日: 2026年9月6日
監修者: みなとみらい小児科クリニック院長
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