
生後9〜12か月の乳幼児健診|目的・発達・受診時期を小児科医が解説
生後9〜12か月頃は、赤ちゃんの身体と心が大きく発達する時期です。
座る姿勢が安定してきたり、自分で移動するようになったり、手や指を細かく使えるようになったりします。離乳食も進み、人とのやりとりにも変化がみられます。
その一方で、
- まだはいはいをしない
- つかまり立ちが遅いように感じる
- 12か月なのにまだ歩かない
- 離乳食をあまり食べない
- 体重が増えているか心配
など、新しい心配が増える時期でもあります。
生後9〜12か月頃の乳幼児健診では、身長・体重だけでなく、受診月齢に応じた運動発達、手指の使い方、視覚・聴覚、人との関わり、離乳食、歯や口の状態、生活や事故予防などを総合的に確認します。
発達には個人差があります。
一つの項目だけで「正常」「異常」と判断するのではなく、受診した月齢、これまでの成長、普段の様子などを合わせて確認することが大切です。
生後9〜12か月頃の乳幼児健診とは
乳幼児健康診査は、赤ちゃんの心身の健康状態を総合的に確認し、病気や発達上の問題の早期発見だけでなく、健康づくりや子育て支援につなげるための健康診査です。
「病気があるかどうかだけを調べる検査」ではありません。
発育や発達を確認するとともに、
- 離乳食はどう進めればよいか
- 夜泣きや睡眠について困っている
- 動き方に左右差がある気がする
- 聞こえているか心配
- 予防接種は予定どおり進んでいるか
といった、ご家族の疑問を相談することも大切な目的です。
なぜ9〜12か月頃の健診が重要なの?
身体の成長を「経過」で確認できる
健診では、身長、体重、頭囲などを測定します。
大切なのは、その日の数字だけを見ることではありません。
これまでの計測値を成長曲線に記録し、その子なりにどのような経過で成長してきたかを確認します。
平均より小さい、あるいは大きいというだけで病気と判断するわけではありません。
一方、体重の増え方が以前より明らかに鈍くなった場合や、成長曲線の推移に大きな変化がみられる場合には、授乳、離乳食、消化吸収、病気の有無などを確認することがあります。
早産で生まれたお子さんでは、必要に応じて出産予定日を基準とした「修正月齢」を考慮して発達をみます。
運動や手指の発達が大きく変わる
9〜12か月頃は、座る、移動する、はいはいする、つかまり立ちをするなど、運動の幅が広がる時期です。
また、物を握るだけでなく、小さな物を指先でつまむなど、手の使い方も細かくなります。
国の9〜10か月児健診では、座位、四つ這い、つかまり立ち、物のつかみ方などが確認項目となっています。
ただし、発達の順番や現れ方には幅があります。
四つ這いをせずに、ずり這いなど別の方法で移動する赤ちゃんもいます。
そのため、「はいはいをしないから異常」「はいはいをしなくても必ず大丈夫」のどちらとも、一つの所見だけでは判断できません。
視覚・聴覚や人との関わりも確認する
身体の動きだけでなく、目や耳、人との関わりも大切な確認項目です。
健診では、
- 物や人を見る様子
- 目の位置や視線
- 物を目で追う様子
- 呼びかけや音への反応
- 声を出す様子
- 動作をまねするか
- 人への関心
などを確認します。
人見知りの有無や程度には個人差があります。
一つの行動だけで判断せず、聞こえ、視線、声、遊び方など複数の情報を合わせて評価します。
健診では何を確認するの?

すべての赤ちゃんが同じ月齢に、同じことをできる必要はありません。
実際の健診では、受診月齢とそれまでの発達経過に応じて判断します。
「発達の目安」は締め切りではありません
母子健康手帳などには、「○か月頃には○○をする」といった発達の目安があります。
これは「その月齢までに必ずできなければならない」という意味ではありません。
一方で、すべてを「個人差」と考えて長期間様子をみればよいわけでもありません。
たとえば、
- 身体の左右差が強い
- 呼びかけへの反応が乏しい
- 物をほとんどつかまない
- これまでできていたことができなくなった
- 体重が増えにくい
などの場合には、月齢や他の所見も含めて詳しく確認することがあります。
「様子をみてよいのか分からない」という段階で相談することも、乳幼児健診の大切な役割です。
横浜市ではいつ受ければよい?
横浜市では、医療機関乳幼児健康診査の3回目について、標準の受診月齢は生後12か月です。
受診票を利用できる期間は、生後9か月から12か月、13か月未満までです。
つまり、「生後9〜12か月健診」という全国共通名称の健診があるという意味ではなく、横浜市では3回目の医療機関乳幼児健康診査をこの期間に受診できます。
国の9〜10か月児健診で示されている発達項目も参考にしながら、実際には受診した月齢に応じて評価することが重要です。
受診票の有効期間を母子健康手帳と一緒に確認し、余裕をもって予約しましょう。
運動発達では何をみているの?
この時期には、座る姿勢、自分で移動する様子、四つ這い、つかまり立ちなどを確認します。
四つ這いには発達のバリエーションがあり、ずり這いなど別の方法で移動する赤ちゃんもいます。
一方、9〜10か月頃につかまり立ちがみられない場合などには、座位、筋肉の状態、手足の使い方、ほかの発達所見などを合わせて確認します。
また、身体の片側ばかりを使うなど、強い左右差がみられる場合も大切な情報です。
手や指の発達では何をみる?
9〜10か月頃には、小さな物を親指と人差し指などでつまむ動きがみられるようになります。
健診では、
- 物へ手を伸ばす
- 左右の手を使う
- 物を持ち替える
- 小さな物をつまむ
などを確認します。
手指が発達すると、誤飲の危険も高まります。
ボタン電池、薬、硬貨、小さなおもちゃなどは、赤ちゃんの手が届かない場所に保管しましょう。
離乳食・栄養では何を確認する?
生後9か月頃からは、1日3回の離乳食へ進み、歯ぐきでつぶせる程度の固さが一つの目安になります。
ただし、食事量や進み方には個人差があります。
健診では、
- 食事の回数
- 食べている食品の種類
- 食べ物の固さ
- かむ・飲み込む様子
- 母乳や育児用ミルク
- 体重の増え方
などを確認します。
この時期は鉄不足にも配慮が必要です。
赤身の肉や魚など、鉄を含む食品を離乳食に取り入れていきます。
食べられる食品が非常に限られる、ほとんど食べない、むせを繰り返す、体重が増えにくいなどの場合にはご相談ください。
食物アレルギーが心配な場合は?
食物アレルギーが心配という理由だけで、離乳食や特定の食品を始める時期を自己判断で遅らせることが、食物アレルギーの予防になるとは考えられていません。
月齢や発達に合わせて離乳食を進めることが基本です。
ただし、すでに食品を食べた後に、じんましん、繰り返す嘔吐などがみられた場合は、医療機関へ相談してください。
呼吸が苦しそう、ゼーゼーする、強い咳を繰り返す、ぐったりする、意識の様子がおかしいなどの全身症状がある場合は、アナフィラキシーなどの重いアレルギー反応の可能性があります。
その場合は症状に応じて速やかな救急対応が必要です。
また、1歳未満のお子さんには、はちみつや、はちみつを含む食品を与えないでください。
乳児ボツリヌス症を予防するためです。
歯や口についても相談できます
歯が生え始める時期には個人差があります。
9〜12か月頃でも、歯がまだ少ない赤ちゃんもいます。
健診では、歯が何本生えているかだけでなく、口の中の状態や食べる様子なども確認します。
歯が生えてきたら、少しずつ歯みがきに慣れていくことも大切です。
歯の生え方や歯みがき、食事について気になることがあれば、健診時にご相談ください。
事故予防を見直しましょう
9〜12か月頃は行動範囲が急に広がります。
昨日まで届かなかった場所に、突然手が届くこともあります。
特に注意したいのは、
- ベッドやソファ、階段からの転落
- 小さな物や薬、ボタン電池などの誤飲
- 食べ物による窒息
- 熱い飲み物や調理器具によるやけど
- 浴槽などでの溺水
- 家具の転倒
です。
事故予防では、赤ちゃん本人に「危ない」と教えるだけでは十分ではありません。
大人が先回りして環境を整えることが基本です。
1歳を迎える前に予防接種歴も確認しましょう
乳幼児健診は、母子健康手帳を見ながら予防接種歴を確認するよい機会です。
1歳になると、MR(麻しん・風しん混合)ワクチンや水痘ワクチンなど、新たに接種対象となるワクチンがあります。
また、それまでに受けているワクチンの追加接種時期を迎える場合もあります。
接種スケジュールは、お子さんのこれまでの接種歴によって異なります。
母子健康手帳を持参し、接種漏れや今後の予定を確認しましょう。
健診前に準備しておくとよいこと
診察室での短い時間だけでは、普段の様子が分からないことがあります。
事前に、
- 離乳食の回数や食べている食品
- 母乳やミルクの回数
- 睡眠や生活リズム
- はいはい、つかまり立ちなどの様子
- 呼びかけや音への反応
- 便通
- 皮膚症状
- 予防接種歴
- ご家族が気になっていること
などを整理しておくと相談しやすくなります。
みなとみらい小児科クリニックでは、健診当日の診察だけでなく、母子健康手帳の成長曲線、これまでの発達、離乳食、予防接種、ご家庭での普段の様子などを合わせて確認します。
運動や反応について気になることがある場合には、必要に応じて、ご家庭で安全に撮影された動画が参考になることもあります。
よくある質問
Q.10か月ですが、まだはいはいをしません。大丈夫ですか?
はいはいを始める時期や移動方法には個人差があります。
四つ這いをせず、ずり這いなど別の方法で移動する赤ちゃんもいます。
一方、9〜10か月頃の四つ這いは健診で確認する発達項目の一つです。
座位、つかまり立ち、手足の使い方、筋肉の状態なども含めて確認します。
Q.12か月ですが、まだ一人で歩きません。大丈夫ですか?
12か月の時点で一人歩きをしていないことだけで、発達の異常とは判断しません。
歩き始める時期には個人差があります。
健診では、座位、つかまり立ち、伝い歩き、手足の使い方、筋肉の状態などを合わせて確認します。
Q.人見知りをしません。発達に問題がありますか?
人見知りの程度には個人差があります。
人見知りをしないことだけで発達の問題を診断することはできません。
一方、人見知りは9〜10か月児健診で確認する項目の一つです。
呼びかけへの反応、喃語、まね、人への関心なども合わせて確認します。
Q.離乳食をあまり食べません。
一回の食事量だけでは判断しません。
体重の増え方、授乳、食事回数、食品の種類や固さ、かむ・飲み込む様子などを確認します。
ほとんど食べられない、体重が増えにくい、むせが繰り返しみられる場合などはご相談ください。
Q.歯がまだあまり生えていません。大丈夫ですか?
歯が生え始める時期には個人差があります。
歯の本数だけで健康上の問題を判断することはできません。
健診では口の中の状態や発育全体も確認します。
気になる場合は健診時にご相談ください。
Q.風邪や発熱がある日に健診を受けてもよいですか?
発熱や強い咳、嘔吐などの急性症状がある場合は、健診よりも診療を優先した方がよいことがあります。
感染対策のため予約変更が必要になる場合もあるため、受診予定の医療機関へ事前に確認してください。
Q.健診と予防接種は同じ日にできますか?
同日に接種できるかどうかは、医療機関の予約方法や接種するワクチンなどによって異なります。
予防接種を希望する場合は、健診予約時に医療機関へ確認してください。
横浜市・みなとみらいで生後9〜12か月頃の乳幼児健診を受けたい方へ
みなとみらい小児科クリニックでは、横浜市西区・みなとみらいで乳幼児健診を行っています。
横浜市の3回目の医療機関乳幼児健康診査は、標準受診月齢が生後12か月で、受診票は生後9〜12か月、13か月未満まで利用できます。
当院では、
- 身長・体重・頭囲などの発育
- 運動や手指の発達
- 視覚・聴覚
- 離乳食や授乳
- 歯や口
- 予防接種
- 皮膚症状
- ご家庭での困りごと
などを確認します。
「まだはいはいをしない」
「12か月だけれどまだ歩かない」
「体重の増え方が心配」
「離乳食を食べてくれない」
「食物アレルギーが心配」
「1歳からの予防接種を確認したい」
といったご相談もお聞かせください。
乳幼児健診は、お子さんをほかの赤ちゃんと比較するためのものではありません。
今のお子さんの成長を確認し、ご家族の心配を整理し、必要に応じて次の支援や診療につなげるための大切な機会です。
気になることが特になくても、成長の節目として乳幼児健診を活用してください。
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- 赤ちゃんの離乳食について
参考資料
こども家庭庁「改訂2版 乳幼児健康診査 身体診察マニュアル」
こども家庭庁「乳幼児健康診査に関する取組み」
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」
厚生労働省「ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。」
日本小児科学会「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール 2026年4月1日版」
日本小児アレルギー学会「食物アレルギー診療ガイドライン2021」
横浜市「医療機関乳幼児健康診査」
公開日: 2026年9月23日
更新日: 2026年9月23日
監修者: みなとみらい小児科クリニック院長
みなとみらい小児科クリニックへのアクセス
みなとみらい小児科クリニックは、横浜市西区みなとみらい6丁目の「プライムコーストみなとみらい」2階にあります。
横浜市西区・みなとみらいを中心に、西区各地域のほか、中区・神奈川区など周辺地域からも受診いただけます。
電車でお越しの方
みなとみらい線をご利用の場合、
- 新高島駅から徒歩約8分
- みなとみらい駅から徒歩約10分
です。
ベビーカーをご利用の方や、小さなお子さんを連れての受診にも便利な立地です。
お車でお越しの方
お車でお越しの方は、プライムコーストみなとみらいの大型立体駐車場をご利用いただけます。
駐車場は2時間まで無料です。
発熱などでお子さんを長時間歩かせることが難しい場合や、乳幼児・ご兄弟を連れて受診される場合にも、お車でお越しいただけます。
所在地
みなとみらい小児科クリニック
〒220-0012
神奈川県横浜市西区みなとみらい6-3-4
プライムコーストみなとみらい2階
お子さんの体調が心配なときは、いつでもご相談ください。


































