
子どもの風邪(かぜ症候群)とは?症状・原因・治療を小児科医が解説
子どもの風邪の多くは、ウイルスによって鼻やのどなどに炎症が起こる急性の感染症です。
鼻水、鼻づまり、咳、のどの痛みなどが代表的ですが、発熱や食欲低下、不機嫌などを伴うこともあります。
乳幼児は風邪を繰り返すことが多いため、「また熱が出た」「咳が続いているけれど大丈夫?」と心配になる保護者の方も少なくありません。
多くは自然に改善します。
一方、風邪に似た症状から始まる別の病気や、経過中に中耳炎などを合併することがあります。
大切なのは、熱の数字だけではなく、呼吸、水分、元気、症状の変化を見ることです。
子どもの風邪(かぜ症候群)とは
一般に「風邪」と呼ばれる病気の多くは、ウイルスによる急性の気道感染症です。
この記事では、日常的に「風邪」と呼ばれる病気のうち、主に**普通感冒(感冒)**について説明します。
医学的には「かぜ症候群」という言葉が、普通感冒より広い意味で使われることもあります。
乳幼児では、鼻やのどだけでなく副鼻腔にも炎症が及ぶことが多く、普通感冒と急性鼻副鼻腔炎を明確に区別できない場合があります。

子どもはなぜ何度も風邪をひくの?
乳幼児は、大人より風邪を繰り返しやすい時期です。
乳幼児を中心とする子どもは、平均すると年6〜8回程度、感冒にかかるとされています。
年齢とともに、風邪にかかる回数は少なくなる傾向があります。
保育園など集団生活をしている子どもでは、多くの人と接するため感染する機会も増えます。
風邪を何度もひくというだけで、すぐに「免疫が弱い」と判断するものではありません。
ただし、
- 重い感染症を繰り返す
- 肺炎を何度も起こす
- 体重が増えにくい
など、通常の風邪とは異なる経過がある場合には、別の評価が必要になることがあります。
風邪の原因
子どもの風邪の主な原因はウイルスです。
原因となるウイルスには、
- ライノウイルス
- 季節性コロナウイルス
- アデノウイルス
- パラインフルエンザウイルス
など、多くの種類があります。
原因となるウイルスが非常に多いため、一度風邪をひいても、別のウイルスに感染して再び風邪をひくことがあります。
一方、細菌は典型的な普通感冒の主な原因ではありません。
そのため、通常の風邪に抗菌薬(抗生物質)を使用しても、ウイルスそのものを治療することはできません。
風邪はどのようにうつる?
風邪の原因となるウイルスは、主に飛沫や接触などによって広がります。
たとえば、
- 咳やくしゃみなどのしぶきを介する
- ウイルスが付着した手で鼻、口、目などを触る
- 家庭や保育施設などで近い距離で接触する
といったことで感染する可能性があります。
特に小さな子どもは、鼻や口を手で触ったり、おもちゃなどを共有したりするため、感染が広がりやすくなります。
風邪の潜伏期間はどのくらい?
普通感冒では、感染してから1〜3日程度で症状が出ることが多いとされています。
ただし、風邪は多くの種類のウイルスによって起こるため、潜伏期間は原因によって異なります。
「昨日会った人からうつった」など、感染した相手や日時を正確に特定できないことも珍しくありません。
子どもの風邪の主な症状
子どもの風邪では、鼻水や鼻づまり、咳を中心にさまざまな症状がみられます。
代表的なものは、
- 鼻水
- 鼻づまり
- くしゃみ
- 咳
- のどの痛み
- 発熱
- 声がかれる
- 頭痛
- だるさ
- 食欲低下
- 不機嫌
- 眠りにくい
などです。
子どもでは、風邪に伴って嘔吐や下痢などがみられることもあります。
乳幼児は症状を言葉で伝えられないため、「いつもより機嫌が悪い」「ミルクを飲みにくそう」「眠りが浅い」といった変化も大切です。
風邪は何日くらいで治る?
一般的な風邪では、発症から2〜3日頃に症状が強くなり、その後徐々に改善することが多いです。
多くは10日以内に改善します。
一方、鼻水や軽い咳など、一部の症状が2〜3週間程度残ることもあります。
そのため、「咳が1週間続いている」というだけで、必ず異常というわけではありません。
ただし、
- 10日以上たっても改善しない
- 一度よくなった後に再び悪化する
- 発熱が続く
- 呼吸状態が悪くなる
- 湿った咳が長く続く
といった場合には、急性副鼻腔炎、中耳炎、肺炎などを含め、別の病気や合併症がないか確認することが大切です。
風邪はどのように診断する?
典型的な風邪は、症状の経過と診察から診断することが基本です。
診察では、
- いつから症状があるか
- 鼻水や咳の程度
- 発熱の経過
- 呼吸状態
- 水分が取れているか
- 元気や機嫌
- 周囲で流行している感染症
- 耳やのどの症状
などを確認します。
典型的な風邪では、原因となったウイルスを毎回特定する必要はありません。
一方で、症状や年齢、流行状況などから、
- インフルエンザ
- COVID-19
- RSウイルス感染症
- 溶連菌感染症
- 百日咳
などが考えられ、検査結果によって治療や対応が変わる場合には、必要な検査を検討します。
風邪症状があるから一律に検査を行うのではなく、検査結果が診断や治療方針に役立つかを考えて選択することが大切です。
子どもの風邪の治療
普通感冒の多くは自然に改善するため、治療の基本は、つらい症状を和らげながら回復を待つことです。
発熱やのどの痛みなどでつらそうな場合には、年齢や体重に応じてアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬を使用することがあります。
鼻水や咳に対する薬についても、年齢や症状をみながら必要性を判断します。
薬を使えば必ず風邪が早く治るというわけではありません。
風邪に抗菌薬は必要?
典型的な普通感冒に抗菌薬は必要ありません。
抗菌薬は細菌に対して使用する薬であり、普通感冒の原因となるウイルスには効果がありません。
また、将来起こるかもしれない細菌感染を防ぐ目的で、風邪に抗菌薬をあらかじめ使用することも推奨されません。
一方、経過中に急性中耳炎、細菌性肺炎、細菌性副鼻腔炎などを合併した場合には、その病気の診断に応じて抗菌薬を使用することがあります。
抗菌薬が必要かどうかは、症状の経過や診察所見などから判断します。
風邪はいつまで人にうつる?
風邪は多くの種類のウイルスによって起こるため、「発症から○日間」と感染期間を一律に決めることはできません。
人にうつす可能性がある期間は、原因となるウイルス、症状の程度、年齢、体の状態などによって異なります。
また、熱が下がって元気になってきても、しばらくウイルスを排出している場合があります。
そのため、咳や鼻水などの症状がある間は、
- 手洗いをする
- 咳やくしゃみの際に口や鼻を覆う
- 室内を換気する
など、基本的な感染対策を続けましょう。
「感染する可能性が完全になくなったこと」と「登園できること」は同じではありません。
普通感冒には一律の出席停止期間はなく、登園については、発熱や全身状態などから集団生活を無理なく送れるかを判断します。
子どもが風邪をひいたときの家庭でのケア
子どもの風邪の多くは自然に改善します。
家庭では、薬だけに頼るのではなく、水分が取れているか、呼吸が苦しくないか、元気が保たれているかを確認することが大切です。
水分はこまめに
発熱や鼻づまりがあると、いつもより水分を取りにくくなることがあります。
特に乳幼児では、
- 母乳やミルク
- 水やお茶
- 普段飲み慣れている飲み物
などを、無理のない範囲で少しずつ与えましょう。
一度にたくさん飲ませる必要はありません。
尿がいつもより明らかに少ない、口の中が乾いている、ぐったりしているなどの場合は、脱水の可能性があります。
食事は無理をしなくても大丈夫
風邪のときは、一時的に食欲が落ちることがあります。
水分が取れ、尿が出ていて、元気が保たれている場合には、食事量が一時的に少なくても無理に食べさせる必要はありません。
食べられるものを、食べられる量だけで構いません。
鼻づまりがつらそうなとき
乳幼児では、鼻づまりによって眠りにくくなったり、母乳やミルクを飲みにくくなったりすることがあります。
鼻水が多い場合には、鼻吸い器などでやさしく取り除くことで楽になる場合があります。
特に授乳前や就寝前に鼻を通してあげると、飲みやすく、眠りやすくなることがあります。
咳があるとき
咳は、気道にたまった分泌物などを外へ出すための体の反応でもあります。
咳があるからといって、必ず咳止めが必要というわけではありません。
水分を取り、部屋を換気し、室温や湿度を過ごしやすい状態に整えましょう。
1歳以上の子どもでは、はちみつが咳を和らげることがあります。
ただし、1歳未満の赤ちゃんには乳児ボツリヌス症の危険があるため、はちみつを与えてはいけません。
市販のかぜ薬や咳止めには、年齢によって使用できない成分や、ほかの薬と成分が重複するものがあります。
使用する場合は添付文書を確認し、判断に迷う場合には医師や薬剤師に相談してください。
子どもの風邪で小児科を受診する目安
風邪の受診では、熱が何度あるかだけではなく、呼吸、水分、顔色、元気、症状の経過を見ることが大切です。
次のような場合には、小児科への受診をご検討ください。
- 発熱が続いている
- 咳が強くなってきた
- 10日以上たっても症状が改善しない
- 一度よくなった後に、発熱や咳が再び悪化した
- 耳を痛がる
- 水分が十分に取れない
- 尿がいつもより明らかに少ない
- 元気がなく、ぐったりしている
- ゼーゼー、ヒューヒューする
- 持病の症状が悪化している
風邪の経過中に中耳炎などを合併したり、クループ、細気管支炎、肺炎などが風邪に似た症状から始まったりすることがあります。
「いつもの風邪と少し違う」と感じる場合にもご相談ください。
生後3か月未満の赤ちゃんの発熱
生後3か月未満の赤ちゃんに38℃以上の発熱がある場合は、風邪と自己判断せず、速やかに医療機関へ相談してください。
この時期の赤ちゃんは、見た目の症状が軽くても重い感染症との区別が難しい場合があります。
低月齢の赤ちゃんでは、より慎重な評価が必要です。
すぐに受診・救急受診を考える症状
次のような症状がある場合には、通常の風邪だけと考えず、速やかに医療機関へ相談・受診してください。
- 呼吸が苦しそう
- 呼吸が非常に速い
- 呼吸するたびに胸や肋骨の間がへこむ
- 肩を大きく動かして呼吸している
- 唇が青紫色になる、または顔色が明らかに悪い
- 呼びかけへの反応が悪い
- ぐったりしている
- 水分がほとんど取れない
- 尿がほとんど出ていない
- けいれんがある
強い呼吸困難、意識状態の異常、唇が青紫色になるなどの症状がある場合は、救急要請も検討してください。
夜間や休日に判断に迷う場合には、こども医療電話相談「#8000」を利用する方法もあります。
風邪のときの登園の目安
普通感冒には、インフルエンザなどのように**「発症後○日間休む」という一律の出席停止期間はありません。**
鼻水や軽い咳が完全になくなるまで休む必要があるとは限りません。
登園できるかどうかは、普段の集団生活を無理なく送れる状態かで考えることが大切です。

園によって独自のルールが設けられている場合があります。
その場合には、園の基準も確認してください。
家族や周囲に風邪を広げないために
風邪を完全に防ぐことは難しいですが、基本的な感染対策によって広がる可能性を減らすことはできます。
- 石けんと流水で手を洗う
- 咳やくしゃみを人に向けない
- 咳やくしゃみの際はティッシュや腕で口と鼻を覆う
- 室内を適度に換気する
- よく触る場所や物を清潔にする
家庭内でも、特に赤ちゃんや基礎疾患のある家族がいる場合には、手洗いや咳エチケットを意識しましょう。
子どもの風邪についてよくある質問
Q. 熱が出たら必ず解熱剤を使った方がよいですか?
必ずしも必要ではありません。
体温の数字だけでなく、痛みがある、眠れない、水分を取りにくいなど、本人がつらそうなときに使用を検討します。
年齢や体重に合った薬を、指示された量で使用しましょう。
Q. 黄色や緑色の鼻水なら抗菌薬が必要ですか?
鼻水の色だけでは、抗菌薬が必要かどうかは判断できません。
ウイルス性の風邪でも、経過中に黄色や緑色の鼻水になることがあります。
症状の期間、発熱、一度改善してから再び悪化していないか、診察所見などを合わせて判断します。
Q. 咳だけが長く残っていても大丈夫ですか?
風邪のあとに、軽い咳がしばらく残ることはあります。
普通感冒では、一部の症状が2〜3週間程度続くこともあります。
ただし、
- 咳がだんだん強くなる
- ゼーゼーする
- 呼吸が苦しそう
- 夜眠れないほど咳き込む
- 長く続き、改善する傾向がない
といった場合には、喘息、百日咳、肺炎など、ほかの原因も含めて診察が必要になることがあります。
Q. 風邪とインフルエンザ、RSウイルス感染症などは症状で見分けられますか?
症状だけで確実に見分けられないことがあります。
普通感冒、インフルエンザ、COVID-19、RSウイルス感染症などはいずれも、発熱、鼻水、咳など似た症状を起こすことがあります。
インフルエンザでは急な発熱や全身症状が目立つことがありますが、症状には個人差があり、特に子どもでは典型的な経過にならない場合もあります。
そのため、年齢、症状、診察所見、周囲の流行状況などを確認し、必要に応じて検査を行って判断します。
Q. お風呂に入ってもよいですか?
元気があり、水分が取れ、呼吸も苦しくないなど全身状態がよければ、風邪を理由に一律に入浴を控える必要はありません。
高熱がありぐったりしているなど、体調が悪いときには無理に入浴させる必要はありません。
横浜市・みなとみらいで子どもの風邪が心配な方へ
みなとみらい小児科クリニックでは、乳児・幼児・学童期のお子さんの風邪(かぜ症候群)の診療を行っています。
たとえば、
- 急に熱が出た
- 鼻水や鼻づまりがひどい
- 咳が続いている
- 夜に咳き込んで眠れない
- 風邪だと思っていたが長引いている
- 保育園に行かせてよいか迷う
- 中耳炎や肺炎になっていないか心配
といった場合にもご相談ください。
診察では、鼻水や咳だけを見るのではなく、呼吸状態、顔色、水分摂取、脱水の有無、胸の音、耳やのどの状態、これまでの経過などを確認します。
必要に応じて、年齢や症状、周囲の流行状況などから検査や治療を検討します。
「このまま自宅でみていてよいのか分からない」「いつもの風邪と少し違う」と感じる場合にも、みなとみらい小児科クリニックへご相談ください。
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特に乳幼児では、鼻水や咳から細気管支炎へ進むことがあります。 - インフルエンザ
普通感冒と似た症状を起こしますが、別の感染症として診断や治療を検討します。 - 気管支喘息
風邪をきっかけに咳やゼーゼーが悪化することがあります。 - 子どもの予防接種
インフルエンザなど、ワクチンで予防できる感染症について確認できます。
参考資料
- 厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部感染症対策課「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 医科・外来編」2026年1月16日
- 日本小児感染症学会「外来診療における小児急性呼吸器感染症に対する多項目遺伝子関連検査の実施指針 第一版」2026年
- こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」令和5年10月10日現在
- 日本小児科学会「こどもの救急(ONLINE-QQ)」
- Centers for Disease Control and Prevention(CDC)「About Common Cold」2026年2月19日
- Centers for Disease Control and Prevention(CDC)「Manage Common Cold」2026年3月11日
- Centers for Disease Control and Prevention(CDC)「Preventing Spread of Respiratory Viruses When You’re Sick」2025年8月18日
- Centers for Disease Control and Prevention(CDC)「Cold Versus Flu」
公開日: 2026年9月7日
更新日: 2026年9月7日
監修者: みなとみらい小児科クリニック院長
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